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第4章 人材

77.ツアコンをするみたいです

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そして翌日の朝ハジメはイブの街の奴隷商支店長のイヴァンカの元を訪れた。そして今はお昼前になっている。奴隷たちの主人登録に時間が掛かったためである。

「ありがとうございました、イヴァンカさん。奴隷の方々は行先決まりましたか?」

と挨拶と軽い雑談的に話すと

「戦争奴隷の若い女たちと若い犯罪奴隷たちは売れました。ハジメ様のお陰で彼らの処遇は安泰ですし、私の心も楽になりました。リナリーさんやコウさんを見ていると本当に幸せそうで。若いころは仕事だからで押し通してきましたが、この歳になると”罪”の意識が強くなって・・・。あらあら、なんだか言い訳がましくなってしまいました」

と言いながら深々とイヴァンカは頭を下げる。そして職員によって順序良く馬車に乗って行く。5台の馬車では足りなかったので、結局臨時の馬車5台とイヴァンカの好意で奴隷商の馬車を5台借りることが出来たのだ。彼女は大量に買っていただいたサービスですと言って無償で貸してくれたのである。また彼女・彼らを預かって貰っていた2日間の食費なども無料にしてくれたのであった。

ほぼ全員馬車に乗った時、一人の職員が老人を連れて外に出てくる。馬車に乗ろうとしていた宿屋を経営していた女性がそれに気づき声を上げる。

「お父さん!」

ハジメの主人登録の際にその制限はリナリーとコウの時の様に”人を殺さないこと”のみを奴隷に課する制限に変更している。その為発言は既に自由になっているのである。

お父さんと呼ばれた老人は、イヴァンカに頭を下げ、ハジメの方を向く。老人を連れて来た職員がイヴァンカに耳打ちすると彼女は1つ頷き発言を許可した。

「娘をどうぞよろしくお願いします」

そしてハジメに向かって頭を下げたのだ。ハジメが戸惑っていると

「ハジメ様、申し訳ありません。違う檻で違う馬車で違う部屋に入ったため親子であることが分からなかったようです。本日の聞き取りでそれが判明したようです」

そもそも奴隷は最初に登録された場所でその人物が出来ることやスキルなどを確認し、書類化するのが通常である。しかし今回は戦争と言うものにより一気に多くの奴隷が誕生してしまったため、その確認を最初に売ったところがすることになったのである。しかし思いかげずハジメが多くの奴隷を購入したため、それらの奴隷のスキルを優先して書類化し、売れなかった人々は後回しにされ、今朝から取り掛かった。それにより、ハジメに買われた娘がいることが判明したのである。

「イヴァンカさん」

とハジメが言うと彼女は

「10万シードです」

と出来る彼女はハジメの言いたいことを感じて端的に言う。ハジメは現金を手渡すとその場で主人登録をし娘と一緒の馬車に乗って貰う。

「あと犯罪奴隷でない方は何人ほど?」

と彼女に言うと、

「おりません。あと残っているのは高齢の犯罪奴隷のみでござます」

と答える。

「では、イヴァンカさんまた機会がありましたら」

と言い馬車はクーラへ出発するのだった。それから1時間半後全ての馬車は私有地へと到着していた。ハジメは馬車をハジメの家にある馬車置場に停める。独身男性はひかりが、独身女性はあいが、家族がいる方はハジメが案内することにする。

~ハジメ編~

ハジメはまず、教会と孤児院から案内を始める。本当は家からと思ったのがいかんせん彼ら彼女らに持ち物はないのである。

「えっと、ここは教会です。いつでも好きな時に来てもらって大丈夫ですので、お気軽にね。そしてその隣にあるのが孤児院になっています。お子さんの勉強はここで行いますので、最初は親御さんと一緒に来てくださいね。その後は朝と夕方に馬車があるので、それでお子さんをここへ連れてくるようにしますね。予定では2週間後から始める予定です。その時はお知らせしますね。そして向かいにあるのは遊び場です」

とハジメが言うと子供たちの目が輝く。そこにはハジメが以前の世界の遊具を伝え、建築家であるエルムとソラが作ってくれた”シーソー”、”ブランコ”、”砂場”があった。鉄棒とか上り棒やジャングルジムとかも作る予定であるが、まだ出来ていない。

「皆さん自由に使って貰って大丈夫ですので、楽しく怪我無く遊んでくださいね。それでこれは、水が出るところです。てっぺんに手を置くと水が出るので、遊んだあとはしっかり手を洗ってくださいね。はい、では次の所に行きますねー。後で自由に見て回れる時間はありますから、今はついてきてください」

ちょっとしたツアコンの気分になる。ハジメは自分の家の前の隣のマーケットへ連れて来た。

「ここがマーケット、暫くは出店数はあんまりないけど、そのうち多くなる予定です。必要なものがあればここで買えるかもしれません。そしてその前が馬車置場になっていますので、子供たちはこちら方面へくるのはどうしてもの時にしてください。馬車の出入りが多くなるので」

とハジメが言うと子供たちは

「はいっ」

と元気な返事をした。

「良いお返事です。それでは次にこの道を進みますよー」

と言い中央通りを進んでいく。そして中央公園までくると

「ここは公園です。ベンチでまったりするのもよし、走り回るのも良しの所です。転んでも下に草がありますから怪我は少ないと思いますけど、気を付けてくださいねー。アライグマ族の大人の方以外はこちらで待っていてくださいね」

と言い、北側の木々の間にある納屋に3家族の大人6人を連れていく。

「それで、アライグマ族の皆さんには街のお掃除をお願いしたいのです。道路や、公園、などこの街の公共施設のお掃除をお願いしたいのです。その為の道具がこの納屋にありますので使ってくださいね」

とハジメが言うと一人の中年女性が手を挙げる。

「あの、ご主人様。公共施設とは・・・?」

とハジメに意を決したように言う。

「良い質問です。公共施設とは、皆が使う場所のことを言います。道路や公園、先ほど案内させてもらったマーケット、教会、子供たちの遊び場、そしてこれから案内します公衆浴場などになります。公衆浴場は宿泊した人が入れる大きいお風呂です。男性用と女性用に分かれているので、男性用は男性が、女性用は女性がお掃除するようにしてください。道路と公園の掃除道具はここに、マーケット、公衆浴場、教会、遊び場にはそれぞれの場所に同じ建物がありますのでそこに掃除道具が入っていますので、使ってくださいね。あと、皆さんの代表はあなたがなって頂けますか?えっと、お名前は?」

「ドリーと申します」

「ではドリーさんにお願いしますね。掃除道具でなにかしら欲しいものがあればドリーさんへ伝えてください。ドリーさんは私か、個人執事のひかり、個人メイドあいに伝えて頂ければ購入しますので。あと20人ほど独身勢がいますので、また後で顔合わせをしますね」

個人執事や個人メイドという呼び名は2人はハジメの事だけに集中するため、家のことにはほぼ関係しないのである。そのため新たに執事長とメイド長を決めることになる予定である。連絡事項はメイド→メイド長もしくは執事長→個人執事もしくは個人メイド→ハジメの順で上がることになる。ハジメ的にはダイレクトに話しかけて貰いたいところであるが、これから事業が拡大することを考えるとしっかりとした手順を考えておかなければハジメの作業が増えるだけである。

ドリーは青い顔をしている。

「・・・・私が直接ご主人様にお願いする・・・・?」

とぶつぶつ言っていたがするっとスルーしておく。そのうち慣れるだろう。

「では次の場所いきまーす」

ハジメのツアコン気分に律義に付き合ってくれている優しい獣人たちであった。

「次はここです。ここは1つめの畑になります。ここは牛族の方に管理していただく畑です。では他の方々はこちらで待っていてくださいね」

とハジメが言う。畑の一番奥隅に納屋が建っており、そこまで来るとハジメは

「ここが農具入れになっています。水は子供たちの遊び場と同じような仕組みで出ますので使ってくださいね。それで牛族の3家族さんにはここともう一つ海側にある畑、あと街の木の管理をお願いしたいのです」

牛族の女性が手を挙げる。

「ではここは私たち一家が・・・。今まで育てていた作物と同じなので・・・」

と言う。

「他に希望の方はいらっしゃいませんか?いませんね。ではお願いしますね、えっとお名前は・・・?」

一応イヴァンカから一覧表は貰っているモノの、正直区別がつかないのである。ハジメは心の中で謝罪しておく。

「私はドナと申します」

ということで公衆浴場隣の畑はドナさん一家が管理者となった。

「では次に海側の畑に行きましょう」

結果ジェイさん一家が、木々の管理はケイトさん一家が担当となった。因みに木々の管理道具は家族棟の外に設置してあるので、後で案内することにする。

そしてその後一度街を出て養蜂場に行き、そこはクマ族のアルフさん一家の担当となる。その後家族棟へ案内する。

「さて、ここが皆さんのお家になりまーす。1階は裁縫所となっていますのでエイミーさんが責任者となってお仕事をお願いしますね。他にも裁縫師の方がいますのであとでご紹介します。最初はすごく忙しいと思いますが無理をしないようにしてくださいね。そしてこちらの棚に布や裁縫道具がありますので使ってください」

と伝え、まずは2階の1部屋へ案内する。部屋に入ると6畳の台所とトイレがあり、その奥に6畳の部屋が2つある作りになっている。いわゆる2LDKである。

「全ての部屋がこのようになっていますので、部屋の中は自由に使っていただいて構いません。さて皆さんどの部屋に住みますか?」

とハジメが言うと皆2階に住むと言う。大きなトラブルもなく部屋は決まる。アライグマ族の3家族が1つの部屋に入ろうとしたため、1家族1部屋ですよーと説明したら驚かれたという出来事があったくらいである。
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