神々の依頼、面倒なんですけどっ!

はなを

文字の大きさ
119 / 173
第5章 第1節 東の塔 ~耕す~

106.怒られるみたいです

しおりを挟む
ハジメは自分で作った商人装備一式にとても満足していた。色は無染色であり、縫った跡はまだまだであるが、初回でここまで出来ればいいだろう。

まだ練習が必要だと思ったハジメはサンプルとして各職業の制服を作ることにした。執事たちの制服を作ることにした。基本はスーツタイプでネクタイは太めで表から見える長さは短め、シャツの襟は立てる感じにしてネクタイがしっかり見えるようにする。あとは追加で手袋を作っておく。執事長も同じデザインで色違いということにしておこうと思った。

こうして1日で執事セットが完成した。メイド服に関してはパンツスタイルとスカートスタイルと意見が分かれるだろうと思い、夕食の時にメイドたちに聞いてみると、パンツスタイルは非常に人気がなく、ロングスカートのオールドタイプ一択であった。ハジメは仕事しにくくないかと聞くと、お客様をお迎えする以上、スカートタイプが一番問題となることが無いらしい。そういわれてしまえばハジメには反論できず、仕方なくエプロンの裾にだけフリルを付けておく。

ここまで来るとだいぶ作業速度が上がってきている。あとは農家と養蜂家、掃除の人、御者たちにはシャツと尻尾の所はボタンで出来ていて、大きさに合わせられるようになったオーバーオール、市場で働く人、教師には防水のついたジャージ上下、最近ではすっかり財務担当になったコンにはリクルートスーツ、船乗りには海軍のような黒のセーラー服、裁縫師さんには普段着など。1週間ほどかけてまぁやりたいだけやった。その結果、

【裁縫師レベルが2になりました】

レベルが上がった。そして得たスキルは欲しかった『染色』と『サイズ変更』だった。『サイズ変更』はちょっとした裾上げや袖の調整などが可能になるスキルだった。袖を付け替えたり、大きな穴を縫ったりなどは出来ないがかなり便利なスキルである。

そうして見事に全員分の制服が完成したのだった。その途中で、裁縫師レベルが3まで上がり、スキル『裁縫師の気概』を獲得したことでさらに生産性は高くなった。このスキルは『裁縫師の心得』の上位版で、裁縫速度がさらに向上したしたため1か月かからず各自2セットの制服たちは完成したのだった。

ハジメが『作業空間』を出て書斎に戻るとノックがする。入ってきたのはハジメ専属執事であるひかりだった。

「旦那様。最近色々なさっているようですが、何をされているんですか?皆食事以外姿が見えないと心配しておりましたよ」

と少し怒った口調でハジメを問い詰める。

「え、えっとー。制服を作ってました。皆を驚かせようと思って」

とハジメは言って、出来たばかりの執事長の服を着せたマネキンを出す。それを見たひかり

「はぁー。こんなとんでもない制服作るなんて・・・・。旦那様、ご自身で鑑定されましたか?」

溜息をつきながら言う。高級品であるジャイアントスパイダーの糸で出来ているだけなのに、なぜかそんなことを言われたハジメは一応鑑定してみる。

最高級の執事服:ジャイアントスパイダーの糸で紡がれた執事服。耐防刃、耐毒、耐麻痺を備えている。装着者の最も高い能力に+5%される。
        付与:防汚、防水、通気
                        買取価格:半白金1枚(500万S) 販売価格:半白金貨5枚

ハジメは慌てて全ての服を鑑定するとおおよそ同じ値段であった。

「・・・やっと、しでかしたことに気づかれましたか・・・」

ひかりは再度呟き、右手でコメカミを抑える。随分と人間臭い仕草が増えた。

「まぁ、商業ギルドさえ黙らせてしまったら、そうそうバレない・・・と思うし・・・。ここはひかりさん、大人のスルー力で・・・・」

とハジメがひかりの冷たい視線にわたわたしていると、書斎のドアがノックされる。

「旦那様」

とメイド長のパトリシアの声がする。ハジメは助かったと思い、入室を許可した。彼女は一人のメイドを伴って丁寧なお辞儀をすると部屋に入ってきた。

「旦那様。少しお願いがございまして・・・」

いつもきびきびとした態度である彼女が歯切れの悪い口調で言う。それを察したのかひかり

わたくしは部屋に戻っておりますので、先ほどのにつきましてはまた後程・・」

と告げる。

「もし、お時間がございましたら、ひかり様にも聞いて欲しいのでございます」

と彼女は言う。ひかりとハジメは顔を見合わせる。

「実は、このエイダが聞いた噂話がございまして・・・」

と彼女の後ろに控えていた一人のメイドが頭を下げる。噂話程度であるなら、パトリシアなら態々わざわざハジメの耳に入れることはしない。

「・・・噂話・・・?」

「はい。そうでございます。エイダ、旦那様とひかり様に説明を」

とエイダに促す。

「・・・私はこの国の貴族の娘でございます。貴族と申しましても、男爵家の第五子で三女でございます」

この世界では基本的に長男が跡継ぎで、次男は長男のサポート・・・と言っても何かあったときのスペアであることが普通である。長女・次女は成人前に婚約が決まることが多く、その相手は同格の貴族以上となることが多い。そして、よっぽどのことがなければ、貴族としての生活を強いられるのは男は上2人、女は1人までとされている。これは特定の貴族が一定以上の発言権を持つのを防ぐためとされている。その為、それに当たらない子供たちはそれぞれの道を考えなければならない。

「なるほど・・・。その噂話は貴族関連からのものと言う訳だね」

とハジメが優しく問うと

「はい。そうでございます。私の一つ上の姉はとある貴族様に使える騎士の方に嫁いでおります。その姉から手紙が本日届いたのでございます。その内容に驚き、パトリシア様にご相談したのですが、旦那様にもお伝えした方が良いとなりまして・・・」

と言った。

「そこからは私が。そのエイダの姉からの手紙には『旦那様がイブの街周辺に出兵するかもしれないと言っている。そちらは変わりないか』という内容が書かれておりました。現在私の知り合いに情報提供を呼び掛けておりますが、ひかり様と旦那様にも充分にお気を付けて頂きたく参りました」

とメイド長も困った様な顔をしていた。彼女的には本来なら情報をある程度把握した上で伝えたかったのだろうがそう言う話が出ているとなればあまり時間がないかもしれない。そう思って即ハジメたちに報告をしたのだろう。

「2人ともありがとう。こっちでもそれとなく情報集めてみますね。それはそうと、パトリシアさん、エイダさん。ちょっとこれ着てみてくれますか?」

そう言ってハジメは2つのメイド服を取り出す。

「新しいのを作ってみました」

そう言って2人を精霊ズの控室の隣の部屋に押し込んで着替えるようにお願いした。そして10分程して2人は書斎に帰ってきた。

少し長かったり短かったりしたので、そこは裁縫師のスキル『サイズ変更』で調整しておく。因みに全メイドの制服は一緒であるが、メイド長だけエプロンの端に1本の黒い線が付いている。

「・・・この肌触りの良さは・・・?」

メイド長が服を触りながら驚きながら尋ねてくるが、ひかり

「メイド長、聞かない方がいいと思います」

と答えておいた。ハジメ的には説明できると思っていたが、それは許されないようだった。

「・・・メイド長、これ皆の分なので、配ってくださいね。着替えたらここに来るように言ってくださいね。微調整しますから。あと、執事長のウィリアムさん呼んできてもらえます?」

とパトリシアにお願いしておく。パトリシアが退室した後すぐにウィリアムが入室してきた。

「旦那様、お呼びと聞きましたが・・・」

執事長に同じように制服を渡し着替えて貰う。その後、ハジメの方を向いて、

「旦那様っ!このような素材は使用人は普通使ってはなりません。当家は商家でございます。このような無駄遣いは・・・・」

どうやら執事長は鑑定が使えるようで、それを見た瞬間からかなりの怒り具合である。ハジメは慌てて

「大丈夫。買ってないから、僕がきたから無料ただだから・・・」

と宥めたが、

?狩ってきたんですかっ旦那様っ!!あなたは当家の主人でございますよ。そんな危ないことをして。貴方に何かあれば路頭に迷う人がいるんですよっ!」

と逆効果を示した。「藪蛇」だったと思ったが言葉にしなかったのは褒めて貰いたいところだろう。そうして小一時間怒られたのだった。その後パトリシアとウィリアムによって領民に配られたのだった。微調整は裁縫師たちが行ってくれたので、スムーズに終わったのだった。

因みに、執事長はネクタイは赤色で、部下は青色になっていることだけ追記しておく。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!

碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!? 「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。 そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ! 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】  普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。 (しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます) 【キャラクター】 マヤ ・主人公(元は如月真也という名前の男) ・銀髪翠眼の少女 ・魔物使い マッシュ ・しゃべるうさぎ ・もふもふ ・高位の魔物らしい オリガ ・ダークエルフ ・黒髪金眼で褐色肌 ・魔力と魔法がすごい 【作者から】 毎日投稿を目指してがんばります。 わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも? それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。

処理中です...