神々の依頼、面倒なんですけどっ!

はなを

文字の大きさ
121 / 173
第5章 第2節 北の塔 ~種まき~

108.肥料をゲットするみたいです

しおりを挟む
【ステージ1-2開始】

大王イカはハジメを餌を確保するときに使う2本の長い触腕しょくわんを伸ばし体を拘束しようとする。ハジメが後ろに避けると空を切ったが、ハジメの後ろには怯えて動けない猫獣人が居る。しかしイカの攻撃スピードは割と速い。なんとか岸から離そうとはするのだが、少し沖に出ると得意フィールドのためか、そのスピードも速くなる。ましてや海水はハジメのスピードを奪うのである。

連携カウプレーションソード3・4・5、絶たれたモノは棺へと導かれとなる」

触腕をぎりぎりで避けながら小アルカナで錬金術を展開する。イカを2本の風刃が無差別に襲い、右の触腕が体から離れた瞬間それは消え失せる。

「おぉぉぉぉぉぉーー」

砂浜から猫獣人たちの歓声が聞こえる。唯一長老だけが、

「やつの右手はきますにゃ!」

とハジメに注意を促したが、ので、それは起こらない。大王イカも生えてこない右触腕に違和感を感じたのか、動きが鈍る。

「<風刃ウィンブレード>、回旋スピン分裂デビジョン

回転を加えた風の刃は3つに分かれ三角の耳の少し下あたりに左右に一列に並んで体を貫通した。イカは3つの心臓を持つのである。反撃をさせることなく倒すにはハジメがしたように3つとも同時に破壊する必要がある。島生まれだけはある。そうして大王イカを倒したのである。

【イカの殲滅を確認。ステージ1-2クリア】

前の塔とは違い、イカは光の粒子になって消えなかった。ハジメは恐る恐る近づき、アイテムボックスに入れようとすると問題なく入った。イカは既に生きていないということである。『取りあえず捌くか』と思いアイテムボックスから木の包丁を取り出す。これは東の塔で良く分からないまま手に入れたものであるが、鑑定しても

???の包丁:堅い木でつくられたハジメ専用包丁。アダマンタイトよりも固いが、使用目的によりその長さを変化させることが出来る。付与:防汚・防水・防臭・防刃こぼれ

としか分からず材質さえも分からないものだったが、非常に使いやすいのだ。元日本人であるハジメにとってイカは非常に使い勝手が良い素材である。イカフライやシーフードピザ、パスタ、イカスミパスタ、大根と煮込んでもいいなぁと思いながら捌き始めてみるが、アンモニア臭がする。どうやら元の世界のダイオウイカと同じだろう。ということは身は臭くて、塩辛く食べるのには向かないということだ。

ハジメがイカを捌き終わったのはそれから30分程してからだった。ハジメが浜辺まで来ると、猫獣人の長老が

「ピラニを頂いただけでも有難いのに、大王イカまで倒してくださりありがとうございましたにゃ。もし宜しければ家の村にお越しくださいにゃ」

と頭を下げる。ハジメは周囲を見渡したが階段らしいものは見えないため、取りあえず情報収集がてら村へ邪魔することにした。

道中、ピラニを両手いっぱいに運ぶ猫獣人の後ろをハジメと長老は隣通しで歩いている。

「それにしてもハジメさん、ダイオウイカなんて臭くて食べれないですにゃ」

と顔を顰めて言うが

「あぁ。あれは畑の肥料としてはかなり効果があるんですよ」

と答える。実際深海にすむダイオウイカはミネラルなどを多く含み、長期間肥効ひこうが続き、土壌の菌を増やし、寒冷を緩和してくれるのだ。ただ塩分を嫌う植物やサツマイモなどは美味しくなくなる。なぜ知っているかとというと、ハジメが死ぬ数年前にとある番組で世界で初めてダイオウイカの撮影に成功したというものを見たのだ。大人になって久々にテレビにくぎ付けになって、色々調べたのだ。ハジメ的には深海やら宇宙やらはとてもつもなく興味をそそられる。

10分くらい歩くと森は開けており、木の柵に囲まれたハジメのイメージする小さな村があった。家は高倉式倉庫のような造りで、違うのは高さ2mほど上にある入り口に向かう階段や梯子が無いことくらい。敵の侵入を許した時、生き延びるためだろう。猫獣人だからこそできる防衛方法だなと思った。

ハジメたちが村の中央に辿り着くと、猫獣人たちは大騒ぎだった。村の真ん中の広場にハジメの腰より少し高いくらいの簡易的なピラニをさばく作業台ができていて、料理が出来る人はどんどん捌き、保存する分は塩漬けにされている。ハジメの知っている魚と同じようにお腹から開いているが間に合っていない様子。赤ん坊を背負い紐でおんぶしながら作業していたが、幼子が泣き初め1つ場所が空いたので、ハジメは手伝うことにする。

「捌くの手伝いますね」

と言うと、長老は

「助かりますにゃ。少しでも早く処理したほうが美味くできますにゃ。ご迷惑おかけしますにゃ」

と有難がった。魚を捌くことは島育ちのスキルである。隣の主婦によると、ピラニは捨てることろが無いらしく、内臓は塩漬けにして酒の肴に、骨は大人のオヤツに、鱗はすり潰して袋に入れて海水に沈めておくと真水になるらしい。頭部は好き嫌いが分かれるが珍味として食べる人もいるらしい。そのため、各作業場の下には開いた魚を入れる用と鱗用、内臓用の3つが置かれていた。

それから2時間ほど捌いていると

【職業料理人を習得しました。職業を一時的に料理人へ変更します】

そのアナウンス以降、包丁の扱いがスムーズになり捌くスピードは格段に上がった。そうして小一時間ほどして魚は全て下処理が終わった。そこで料理してなかった者が長老指揮のもと塩漬け班と鱗班、干す班に分かれて作業を開始する。ハジメが交代した赤ちゃんを背負った女性がお茶とお茶請けを出してくれ、一息つくことにした。

「本当にありがとうございましたにゃ」

とお礼を言った。赤ん坊は彼女の背中ですやすやと眠っている。なんとも可愛らしい。

「いえいえ、眠ったようですね」

とハジメが微笑むと、

「えぇ。お腹いっぱいになったら眠ってしまいましたにゃ」

と笑顔で返した。ハジメはお茶を啜るとお茶請けを見る。

「こ、これは大豆ですか?」

「え?えぇ。大豆を醤油で煮たものですにゃ・・・?」

ハジメの勢いにやや引き気味に肯定する。

「ここには大豆と醤油があるのですか??もしかして味噌も?」

とハジメが言うと女性は頷く。その時全員に指示を終えた長老がハジメの下へと帰ってきた。

「おや、醤油と味噌に興味がおありですかにゃ?」

と長老は好々爺の如く笑う。

「えぇ。ずっと探してまして・・・」

とハジメが言うと、長老は醤油と味噌、大豆を瓶1つ分ずつ分けてくれることになった。ハジメは礼を伝えるが、長老は

「こちらこそ、沢山のピラニを頂きましたにゃ。それとですにゃ、我らの天敵である大王イカを倒して頂いたお礼と下拵えもお手伝いして頂きましたにゃ。こちらを受け取って欲しいのですにゃ」

と1枚の板と、お玉、大きな木の器とざるをハジメに渡してくる。

「これは私たちの村の近くで取れる丈夫な木を使って作っているまな板と、お玉、ボウルとざるですにゃ。良かったら使ってくださいにゃ」

ハジメは有難く受け取りアイテムボックスに仕舞う。そして長老に階段がないか聞いてみる。

「あぁ、それならこの村から北に暫く行ったところに大きな湖がありますにゃ。その真ん中あたりに上へと続く階段がありますにゃ。私たちは船は持ってないので申し訳ないですにゃ・・・」

と言われた。ハジメはお礼を言い、取りあえず、その湖を目指して村を出発した。

【ステージ1・2クリア 報酬:『成長する料理道具』】

そして道中魔物に遭うこともなく1時間ほどでハジメは湖岸に到着した。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!

碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!? 「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。 そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ! 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】  普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。 (しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます) 【キャラクター】 マヤ ・主人公(元は如月真也という名前の男) ・銀髪翠眼の少女 ・魔物使い マッシュ ・しゃべるうさぎ ・もふもふ ・高位の魔物らしい オリガ ・ダークエルフ ・黒髪金眼で褐色肌 ・魔力と魔法がすごい 【作者から】 毎日投稿を目指してがんばります。 わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも? それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。

処理中です...