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第6章 新しい国

130.水の循環を考えるみたいです

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クーラの街では生活排水は港の外海へと流していた。これはこの世界ではシャンプーやリンス、食器用洗剤などの陽イオン界面活性剤を持つものはなく、油脂を水酸化ナトリウム溶液で鹸化けんかした陰イオン界面活性剤、所謂石鹸しか存在おらず、使用されているのは動物油と灰と水であり、自然界に流出させても最長で8日で分解できるため環境への影響も少ないからである。

『まずは町の外周に大きな地下管を傾斜を付けて掘って、各家の排水管からそこへ繋いでっと。畑の地下に首都圏外郭放水路みたいな空洞を作るかな』

掘るディグ思考読み取りソーリーディング

ハジメは地下10m付近に街の外周に沿って堀を作る。南門の下が一番高く、北門が低くなるようにイメージする。そして続けて各家の排水管をその外周に繋げた。畑の真下15mに街の1/4ほどの空洞を作り、北門側からそこへ排水が流れるようにしておく。そこで30cmほどの滝のような段差を作っておき、網を作りゴミを除去できるようにしておき、そこを通って流れ込む排水貯留地に料理スキルの浄水を錬金術スキルで付与する。この浄水の付与発動魔力はとても少なくて済む。なぜなら料理スキル浄水はLV1のものだからである。したがってこの付与魔法の発動魔力は自然界に存在するものを使えばいいのだ。これがなぜ一般的に流通していないかというと錬金術スキルを持つ者がいないからである。因みに網に残ったゴミは北門の横に出ている棒に触れ、魔力を流せば消去トラッシュの付与魔法が発動して除去できるようになっている。
そして底の部分から街の北東の棟の下へ向かって上方に向けて穴を掘り、地下10m付近にもう1つ貯留場所を作りそこに水を貯留させる。こうすれば無属性の小さい魔石1個の魔力でも2日程度は各家に綺麗な水を配給することが出来るのである。
全部出来上がった後、水が通るところは全て固定フィックスでコーティングしておいた。この魔法土を乾燥させるだけでなく、より魔力を注げば土はガラス状になるので、ハジメは全てを幅1mくらいをそうしておいた。これでそうそう壊れることはないはずである。
ハジメは最初にある程度貯めるため、外周の溝に水生成クリウォを遠距離で発動させ、周囲探査ソナーで水の流れを監視したが、浄水も常時発動していた。3時間程度で畑の下と各家の下の貯留場所はいっぱいになった。

『おっと、道の両端に雨用の排水溝を作っておかないと、大雨の時こまるな・・・。棟があるところは屋根に雨が当たって道に落ちるから、道の両端に溝を作って地下を通して外周にある排水溝につながるように傾斜を付けたら大丈夫っと。農地も中央に小道を作ってその両端に排水溝に向かわせる感じで大丈夫だね。水量が増えた時用に北西部にも水が貯まるようにして、水貯留地の一番上からそこへ流れるようにして貯まったら消去トラッシュする形にするかな』

そうして丸1日かけて水回りは完成した。

『おし、取り敢えずこれで水関連は終わりかな。じゃぁ次は・・・・・。教会は後回しにしてっと。食堂だな』

割と根に持っているハジメなのだった。

ハジメは食堂と酒場はクーラの街のレストランを転用することにしてその建物を大通りから5mほど奥へ設置し、その空いたスペースはオープンテラスしようと考えた。これで取り敢えず衣食住のうち食住は揃ったことになる。そして衣は皆が着いてからで大丈夫だろう。

「後は学校と教会かぁ・・・」

今まで学校は日本で言う算数の四則計算をメインに教えていた。計算が出来ると将来なりたい職に就きやすいというメリットがあったからである。これからハジメが作ろうとしている学校は専門学校的なものである。職人になりたい者や冒険者になりたい者、船乗りになりたい者、農業をしたい者などを育てる場所兼、自分が将来就きたい職を見つける場所にするつもりである。そしてこれは急ぐ必要はない。

『トリアージの結果は教会か・・・仕方ない、心の拠り所がある方が問題が起こることも少ないって歴史的にも証明されているし』

看護師であったハジメにとって物事の優先順位を考えるのは至極当たり前のことである。ハジメの生きていた日本において、この識別救急しきべつきゅうきゅう、いわゆるトリアージが一般的に知られたのは、阪神・淡路大震災の時であると言われている。助かる見込みのない患者や軽傷の患者よりも、医療処置をすることによる確実に命を救える者を最優先で病院へ搬送するという救急搬送や院内トリアージで処置する順番を決めるという二次トリアージと言うものが一般的である。平時であれば救える命も緊急事態では残酷だが死亡することもある。この他にも避難場所に弱者とされる人々を優先して受け入れるという避難所トリアージがあるが、これはあまり広まっては居ない。

看護師という職は常に優先順位を考えて行動することが求められる。極端に言えば生死の境目にある人と目薬を差すだけの人の処置が同時刻に必要なら、前者を優先するのは当然だろう。Aさんを助けるのか、Bさんを助けるのかなど究極の選択のような時も多々ある。まぁそんな時は他の看護師に頼むのだが、緊急事態状態ではその時にある医材や人員により確実に助けられる命から救うという生命いのちの選択を医師・看護師は迫られるのである。その結果亡くなった人の家族からは罵倒されることも往々にしてある。そして精神こころを病む人が増加していくのである。

モノづくりの手メニューファクショリングハンド造形モデリング

ハジメは幽世の教会をベースにして現世の教会の材料を使って拡張していく。神の像は左がアーシラト様を筆頭にする幽世の神々、右がスクラド様を筆頭にする現世の神々である。この配置は元日本人のハジメの僅かな抵抗である。
丸3日かけて教会を作り上げたハジメは四隅にある柱に彼にとって愛すべき4人の精霊の姿を掘ることにする。南西に執事姿のひかりを、北西に農家姿のわたるを、北東にメイド姿のあいを、南西に冒険者姿のまいを彫刻した。これは自分は覚えているよという自己満足的なアピールに他ならない。

教会の外観は地球のパルテノン神殿のように柱で囲まれておりで、正門から入ると白い石畳が中央に敷かれており、その奥には石づくりの教会がある。参道の左右にはアスクレピオス神殿のような柱頭が立ち、その奥は庭園予定となっている。石畳に沿って教会に入ると身廊しんろうの左右に長椅子が設置されており、正面には左右に台座がありそこに神像が設置されている。教会の中の四隅には4属性王の姿が彫刻されている。祭壇の左右には司祭などが常駐する袖廊しゅろう身廊しんろうに直角に交差しているが、ハジメはそこへ小さな部屋を1つずつ作った。生活するためではなく着替えるための場所である。司祭になりたい人が居なければ、しばらくはスクナヒコに出張でばって貰うつもりである。用法は違うが立っている者は親でも使えの気持ちである。

結局教会と裏の公園を整備するのに丸3日掛かったのだが、まずまずの出来栄えだろう。そしてその後食堂の東隣りに男湯と女湯を1日で作り、いよいよやることが無くなった頃スクナヒコがハジメの前に現れたのである。

「ハジメ君、おまたせー」

とても気軽に声を掛けながら。

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