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第6章 新しい国
131.スクナヒコが頑張るみたいです
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『さてと、ハジメ君に民たちの事任せてって言ったから僕も少し頑張らないと』
ホウ砂を取りに出て行った商船団を見送りながらスクナヒコは考えていた。
「・・・あの、司祭様。旦那様がこの地を追われるのは本当の事でしょうか?」
宿屋のハロルドが心配そうな顔でスクナヒコを見ている。スクナヒコは洗礼式を行った際に司祭として領民には紹介されているため、皆そう呼んでいる。
『神の僕が神の下僕なんて、面白いっ』
そう思いつつも
「えぇ、それは間違いないようです。イブの街の報償としてこのクーラの領地を差し出すように領主様から言われたとのことです。流石にあの温厚なハジメ様もこの国に嫌気が差したのでしょう。それも分からぬことではありません。ここに残られた方々は皆どんなところでもハジメ様について行くのでしょう?恐ろしくなりましたか?」
スクナヒコが領民に問う。料理人のリンが皆を代表するかのように
「私たちは恐ろしくはないのです。旦那様に着いて行くだけですから・・・。ただ・・・」
「ただ?」
リンの言葉にスクナヒコは言葉を重ねる。
「ただ、旦那様の心が安らぐ場所であれば良いなと。旦那様は私ども奴隷に対して優しすぎます」
リンの夫のコンが不安そうな顔で司祭を見る。
「確かにハジメ様は優しいですね。それがいけないと?・・・」
司祭はやや厳しい目つきでそう問う。
「そうなんです。優しすぎて奴隷である私たちを優先してしまいます。私たちはもう十分良くしていただいております。奴隷の身分でありながらお給金を貰ったり住む場所や着る物、食事でさえも奴隷になる前よりも遥かにいいものを得られ、ましてお給金で贅沢品も自分の意思で買うことが出来ます。そしてなにより旦那様は私たちを奴隷としてではなく1人の生きる者として対応してくださいます。私たちはもう十分なのです。これ以上は旦那様自身がご自分の為に生きて頂きたいのです。奴隷である私が言うのも烏滸がましいのですが・・・・」
コンはそんな視線に気づかず、本当に心配そうに司祭へ懺悔室にいるかのように言った。スクナヒコはそれに驚く。
「・・・確かにそうですね。ハジメ様がもう少し我儘に生きることは神もお許しになるでしょう。私はあなた方がそう思っておらることがハジメ様の徳だと思いますよ」
そう言ってほほ笑んだ。
『ハジメ君。利己主義が基本のこの世界で愛他主義が芽吹くなんて、本当にすごいことだよ。彼らを無事に君の所へ連れて行かなきゃ、僕は神様失格になっちゃうよ』
「さて、皆さんあまり時間がありません。恐らく国の兵士が近々状況確認にやってくるでしょう。その前にご自分たちの荷物を持ち出していなければなりません。荷造りをお願いします。終わった方は作物の収穫をお手伝いください」
そう言うと領民は散って行った。それを見送った後、スクナヒコはハジメの家の裏庭から城壁を北へ潜り、禁足地へ向かったのだった。
~禁足地~
「やぁ、世界樹。もう意識はあるんでしょ?」
スクナヒコがそう目前にある世界樹に声を掛ける。ここに移動してから木の高さは2mくらいに成長していた。
「あい。ありましゅよ。スクナヒコしゃま」
幼稚園児のような声がして、彼の前に幼児が姿を現す。
「この世界の世界樹は男の子ですか。珍しいですね」
スクナヒコがそう告げると
「そうなんでしゅか?」
と男児が不思議そうな顔でスクナヒコを見る。
「うふふ。それで世界樹君、どこまで浸透できてるの?自我があるんだから半分以上は終わってると思うんだけど?」
スクナヒコが頭を撫でながら聞く。
「あい。だいちゃい8わりくらいでしゅ」
「そ、そう。かなり早いね・・・」
スクナヒコは驚きながら言う。
「そうでしゅね。ちちうぇーのおかけで違うしぇかいのかみしゃまがてちゅだってくりぇてましゅので」
「そうでしたか。今父上の居る場所は終わってる?」
スクナヒコが聞くと男児は
「今いしょいでやってましゅ。あしょこはじぇんぶ終わってかりゃじゃないと手をつけりゃれないんでしゅ。後2しゅうきゃんはかかりましゅ。がんばるでしゅ」
答える。
「じゃぁそのところ来るね。その時には父上の近くへ行くからね。希望の場所はある?」
「そうでしゅね。ちちうぇーの町から北にごひゃくめーとるくらいのばしょがちゅうしんでしゅ」
「分かったよ」と告げるとその場所を後にする。それを見送った男児はすぐにその姿を消した。
翌日、スクナヒコはバーナード一家を連れてイブの街へと来ていた。支払い先であるコウとの顔合わせをしておくためとこれから経営するレストランの場所を確認してもらうためである。
「はい。着きましたよ。ここがあなた方がレストランを開く場所になっています。通りから少し入っては居ますが、人通りはそれなりにありますので大丈夫でしょう」
それを聞いた一家は驚く。この場所はかなり立地がいい場所である。案内された土地は既に更地になっている。その向こうに見えるのは冒険者ギルドであり、この周囲には職人が多く店を開いている。昼夜共に客入りは見込めるのだ。バーナード達が呆然とするのは当然だろう。
そこへ1人の女性が声を掛けてくる。
「おや、あんたたちがここの施工主かい?」
「えぇ。こちらの男性が施工主のトムさんです」
その言葉に戸惑っているバーナードたちに代わりスクナヒコがバーナードの娘婿のトムを差し答える。
「あぁ。そうかい。良かったよ。ちょっと待っててな。エルムっち、施工主さんが来たよ!」
彼女が少し離れたところで図面を眺めている小人族の男を呼んだ。彼はその声に図面から顔を上げると小走りに近づいてくる。
「どうも初めまして。私は建築家の小人族、エリヘルムヴェッファと申します。呼びにくいですから、エルムと呼んでいただけると嬉しいです」
と右手を出してくる。
「は、初めまして。トムと言います」
トムはエルムと握手しながらスクナヒコに救いの目を向ける。
「トムさん。エルムさんはあなた方の店の設計を、隣のソラさんが建築をしてくださる方ですよ」
それを聞いたバーナード一家は
「「「「なんてことに・・・・」」」」
と呟き言葉を失う。
「うふふ。流石旦那様です」
そう言う声が不意に後ろから聞こえる。そこにはコウが立っていた。
「貴方がバーナードさんですね。初めまして、僕はコウと言います。ハジメ様の1番最初の奴隷でした。旦那様から独立のお祝いとしてこちらの土地と建物をお渡しするようにと言付かっています。それと、1つ謝罪が。奴隷ではなかったトムさんの名前で土地の登録をしているそうです。ピザと飲むヨーグルトのレシピも商人ギルドに登録されていたトムさんの名義になっているそうです。営業形態の登録はトムさんにお願いするそうですよ。あ、あと既に代金は支払われています。そしてこれはお祝いなので貰ってくれたら有難いとのことでした。ですので、こちらのエルムさんと打ち合わせをお願いしますね。あと解放代金に関しましては私が預かることになっておりますのでどうぞよろしくお願いします」
そう言うと笑顔でバーナードと握手をした。
「なんてことだ・・・・。何から何まで・・・・・どうやって恩返ししたらいいのか・・・」
彼は涙声でコウの手を握る。
「きちんと生活していれば、旦那様は満足されると思いますよ。私も一生をかけても返せないと思っていますので、一緒に頑張っていきましょう」
バーナードと妻のエイダは涙ぐみ、トムとベッキー夫妻はエルムと相談を開始している。
「では。私は準備がありますので、一度クーラへと戻ります。打ち合わせもあるでしょうから本日の夕方頃迎えに来てもらうようにしますね」
そうバーナードに告げてスクナヒコはその場を後にした。
そして3日ほどで荷造りと収穫を終えた彼等は帰ってきた船員たちの荷造りも手伝い船へと乗船したのはそれから6日ほど後のことであった。丁度ハジメが西の塔の攻略を終える直前の出来事である。
ホウ砂を取りに出て行った商船団を見送りながらスクナヒコは考えていた。
「・・・あの、司祭様。旦那様がこの地を追われるのは本当の事でしょうか?」
宿屋のハロルドが心配そうな顔でスクナヒコを見ている。スクナヒコは洗礼式を行った際に司祭として領民には紹介されているため、皆そう呼んでいる。
『神の僕が神の下僕なんて、面白いっ』
そう思いつつも
「えぇ、それは間違いないようです。イブの街の報償としてこのクーラの領地を差し出すように領主様から言われたとのことです。流石にあの温厚なハジメ様もこの国に嫌気が差したのでしょう。それも分からぬことではありません。ここに残られた方々は皆どんなところでもハジメ様について行くのでしょう?恐ろしくなりましたか?」
スクナヒコが領民に問う。料理人のリンが皆を代表するかのように
「私たちは恐ろしくはないのです。旦那様に着いて行くだけですから・・・。ただ・・・」
「ただ?」
リンの言葉にスクナヒコは言葉を重ねる。
「ただ、旦那様の心が安らぐ場所であれば良いなと。旦那様は私ども奴隷に対して優しすぎます」
リンの夫のコンが不安そうな顔で司祭を見る。
「確かにハジメ様は優しいですね。それがいけないと?・・・」
司祭はやや厳しい目つきでそう問う。
「そうなんです。優しすぎて奴隷である私たちを優先してしまいます。私たちはもう十分良くしていただいております。奴隷の身分でありながらお給金を貰ったり住む場所や着る物、食事でさえも奴隷になる前よりも遥かにいいものを得られ、ましてお給金で贅沢品も自分の意思で買うことが出来ます。そしてなにより旦那様は私たちを奴隷としてではなく1人の生きる者として対応してくださいます。私たちはもう十分なのです。これ以上は旦那様自身がご自分の為に生きて頂きたいのです。奴隷である私が言うのも烏滸がましいのですが・・・・」
コンはそんな視線に気づかず、本当に心配そうに司祭へ懺悔室にいるかのように言った。スクナヒコはそれに驚く。
「・・・確かにそうですね。ハジメ様がもう少し我儘に生きることは神もお許しになるでしょう。私はあなた方がそう思っておらることがハジメ様の徳だと思いますよ」
そう言ってほほ笑んだ。
『ハジメ君。利己主義が基本のこの世界で愛他主義が芽吹くなんて、本当にすごいことだよ。彼らを無事に君の所へ連れて行かなきゃ、僕は神様失格になっちゃうよ』
「さて、皆さんあまり時間がありません。恐らく国の兵士が近々状況確認にやってくるでしょう。その前にご自分たちの荷物を持ち出していなければなりません。荷造りをお願いします。終わった方は作物の収穫をお手伝いください」
そう言うと領民は散って行った。それを見送った後、スクナヒコはハジメの家の裏庭から城壁を北へ潜り、禁足地へ向かったのだった。
~禁足地~
「やぁ、世界樹。もう意識はあるんでしょ?」
スクナヒコがそう目前にある世界樹に声を掛ける。ここに移動してから木の高さは2mくらいに成長していた。
「あい。ありましゅよ。スクナヒコしゃま」
幼稚園児のような声がして、彼の前に幼児が姿を現す。
「この世界の世界樹は男の子ですか。珍しいですね」
スクナヒコがそう告げると
「そうなんでしゅか?」
と男児が不思議そうな顔でスクナヒコを見る。
「うふふ。それで世界樹君、どこまで浸透できてるの?自我があるんだから半分以上は終わってると思うんだけど?」
スクナヒコが頭を撫でながら聞く。
「あい。だいちゃい8わりくらいでしゅ」
「そ、そう。かなり早いね・・・」
スクナヒコは驚きながら言う。
「そうでしゅね。ちちうぇーのおかけで違うしぇかいのかみしゃまがてちゅだってくりぇてましゅので」
「そうでしたか。今父上の居る場所は終わってる?」
スクナヒコが聞くと男児は
「今いしょいでやってましゅ。あしょこはじぇんぶ終わってかりゃじゃないと手をつけりゃれないんでしゅ。後2しゅうきゃんはかかりましゅ。がんばるでしゅ」
答える。
「じゃぁそのところ来るね。その時には父上の近くへ行くからね。希望の場所はある?」
「そうでしゅね。ちちうぇーの町から北にごひゃくめーとるくらいのばしょがちゅうしんでしゅ」
「分かったよ」と告げるとその場所を後にする。それを見送った男児はすぐにその姿を消した。
翌日、スクナヒコはバーナード一家を連れてイブの街へと来ていた。支払い先であるコウとの顔合わせをしておくためとこれから経営するレストランの場所を確認してもらうためである。
「はい。着きましたよ。ここがあなた方がレストランを開く場所になっています。通りから少し入っては居ますが、人通りはそれなりにありますので大丈夫でしょう」
それを聞いた一家は驚く。この場所はかなり立地がいい場所である。案内された土地は既に更地になっている。その向こうに見えるのは冒険者ギルドであり、この周囲には職人が多く店を開いている。昼夜共に客入りは見込めるのだ。バーナード達が呆然とするのは当然だろう。
そこへ1人の女性が声を掛けてくる。
「おや、あんたたちがここの施工主かい?」
「えぇ。こちらの男性が施工主のトムさんです」
その言葉に戸惑っているバーナードたちに代わりスクナヒコがバーナードの娘婿のトムを差し答える。
「あぁ。そうかい。良かったよ。ちょっと待っててな。エルムっち、施工主さんが来たよ!」
彼女が少し離れたところで図面を眺めている小人族の男を呼んだ。彼はその声に図面から顔を上げると小走りに近づいてくる。
「どうも初めまして。私は建築家の小人族、エリヘルムヴェッファと申します。呼びにくいですから、エルムと呼んでいただけると嬉しいです」
と右手を出してくる。
「は、初めまして。トムと言います」
トムはエルムと握手しながらスクナヒコに救いの目を向ける。
「トムさん。エルムさんはあなた方の店の設計を、隣のソラさんが建築をしてくださる方ですよ」
それを聞いたバーナード一家は
「「「「なんてことに・・・・」」」」
と呟き言葉を失う。
「うふふ。流石旦那様です」
そう言う声が不意に後ろから聞こえる。そこにはコウが立っていた。
「貴方がバーナードさんですね。初めまして、僕はコウと言います。ハジメ様の1番最初の奴隷でした。旦那様から独立のお祝いとしてこちらの土地と建物をお渡しするようにと言付かっています。それと、1つ謝罪が。奴隷ではなかったトムさんの名前で土地の登録をしているそうです。ピザと飲むヨーグルトのレシピも商人ギルドに登録されていたトムさんの名義になっているそうです。営業形態の登録はトムさんにお願いするそうですよ。あ、あと既に代金は支払われています。そしてこれはお祝いなので貰ってくれたら有難いとのことでした。ですので、こちらのエルムさんと打ち合わせをお願いしますね。あと解放代金に関しましては私が預かることになっておりますのでどうぞよろしくお願いします」
そう言うと笑顔でバーナードと握手をした。
「なんてことだ・・・・。何から何まで・・・・・どうやって恩返ししたらいいのか・・・」
彼は涙声でコウの手を握る。
「きちんと生活していれば、旦那様は満足されると思いますよ。私も一生をかけても返せないと思っていますので、一緒に頑張っていきましょう」
バーナードと妻のエイダは涙ぐみ、トムとベッキー夫妻はエルムと相談を開始している。
「では。私は準備がありますので、一度クーラへと戻ります。打ち合わせもあるでしょうから本日の夕方頃迎えに来てもらうようにしますね」
そうバーナードに告げてスクナヒコはその場を後にした。
そして3日ほどで荷造りと収穫を終えた彼等は帰ってきた船員たちの荷造りも手伝い船へと乗船したのはそれから6日ほど後のことであった。丁度ハジメが西の塔の攻略を終える直前の出来事である。
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