神々の依頼、面倒なんですけどっ!

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第6章 新しい国

132.世界樹が移動するみたいです

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「ハジメ君。皆はクーラの街から沖合に出たところにある島で仮の拠点を作って今は生活して貰っているよ。ようやく世界樹の方も準備が出来たから。こっちに呼んでもらうことが出来るようにはなったんだ。の希望はこの街の北に少し行ったところみたいだよ」

と笑顔でスクナヒコは告げる。

「彼?世界樹に性別があるんですか?」

と問うと

「当たり前だよ。生き物にも雄雌があって、植物は種子植物、被子植物共に多くが雌雄同株だけど、木は雌雄別株が基本だよ?」

当たり前のように告げる。ここら辺の知識は流石薬草学の神なだけはある。高校時代に習ったはずだが、すっかり忘れていた。まぁ覚えていたからと言って世界に1本だけしかない世界樹が雌雄別株で大丈夫なのか・・・あぁ、別に増える必要はないからいいのか、と思い直した。

2人は彼が指定したという場所まで到着する。

「よし。じゃぁ下準備からだね。たっつん君が木を切ってはく君が整地してもらえる?」

スクナヒコがそういうと50m四方が更地になる。

「あ、妖精君たちはハジメ君の側にいてね。じゃぁハジメ君世界樹君を呼んじゃって」

スクナヒコがそう告げるので、ハジメは魔力の籠った言霊ことだまを紡ぐ。

「世界樹。われなんじを呼ぶものなり」

一気に魔力が消費されている感覚がハジメを襲う。精霊の木として呼んだ時よりも遥かに膨大な消費である。思わず歯を食いしばる。この短時間で感覚的に8割ほどの魔力を持っていかれているようである。冷汗が頬を伝う。

「皆はハジメ君にこの魔力ポーションをどんどん飲ませて」

それを見たスクナヒコが手からどんどんポーションを生み出しながら妖精たちに指示を出す。はくがそれを咥え、ぽんと放り投げるとくれないがキャッチし嘴で器用に蓋を外し、ゼニーがハジメの口をこじ開け、たっつんが口に瓶を突っ込んでくる。ハジメは魔法を維持しながら条件反射のようにひたすら飲み込む。

15本ほど消費した頃ハジメの前の整えられた土地に世界樹の生えている聖域全体がうっすらと浮かび始め、さらに10本の魔力ポーションを追加した頃にその存在は確固たるものになった。魔法の展開を終えたハジメはぜぇぜぇと息を乱して崩れるように座り込んだ。

「ハジメ君、お疲れ様」

「前はこんなに魔力持っていかれなかったんですけど・・・」

ハジメがスクナヒコに言うと、彼は笑って

「今世界樹はこの世界全ての大地に根を張り巡らせているからね。謂わばこの世界をこの場所に持ってくるって感じになるから、必要魔力も多くなっちゃうんだよ」

そうからになった魔力ポーションを片付けながら言った。

『・・・まさか聖域全部持ってくるなんて・・・・。そりゃ魔力も枯渇するわけだ・・・』 

スクナヒコ的には世界樹だけ転移させれば樹の協力を得られるため魔力ポーションは必要ないと思っていた。そして後日に聖域を転移させたらいいかと思ってはいたのだが、ハジメは今回その両方を転移させてしまったのである。

ちちうぇ父上ーー」

座り込んだハジメの胸に1人の少年が飛び込んでくる。咄嗟に抱きしめてしまったが、ハジメには初対面の男児だった。鮮やかな緑色の髪をソフトモヒカンのように刈っており、だぼっとした古代ローマ人のような白い布を纏っている。2-3歳くらいだろうか。ハジメは彼を自分の目線まで持ち上げる。

「えっと、君は誰?」

「あぁ、ハジメ君。その子がこの世界の世界樹だよ。ハジメ君が父親ってことになるかな」

男児に代わってスクナヒコが答える。確かに称号に世界樹の親というものがあった。なるほど、だから父上か。とハジメが納得したところで、

ちちうぇ父上ぼきゅおにゃまえお名前は?」

とハジメににっこりと笑顔を見せる。

「これって僕が付けるの?」

ハジメはスクナヒコを見る。

「当たり前でしょ。父親なんだから」

と彼は頷く。

「じゃぁ、オーダ。秩序を保つって意味があるんだけどね」

ハジメがオーダの目を見ながら伝える。

「あい。ぼきゅにゃまえ名前はオーダ!」

男児がそう言うと世界樹がするすると伸び、高さが1mくらいだったのが5mほどになった。それに驚いていると男児が光に包まれ、ハジメの前には自分よりも少し低いくらいまで身長が伸びたオーダが立っていた。

「オーダ。いい名前を貰ったね。これで、必要な人物は全員揃ったね。『時代の移り変わり』が始まるよ」

オーダに優しい目を向けたスクナヒコが告げる。

「えぇ、スクナヒコ様。世界樹である私の父上を傷つけた罪を人は償う時です」

ハジメが「荒事はしない方向で」と言う前にオーダが言葉を発する。

「神々よ。時は来れる」

彼の空に向けて開かれた手が光輝き、天に向かって伸びる。その直後、幽世と現世の神々がその光の中に現れたのだった。

~領主フラップ~

「・・・それで?」

執務室で領主のフラップは入ってきた男に問う。

「既にクーラの街は誰も残っておりませんし、

「家の中や市場の中にも誰もおらぬのか?」

男の報告に眉を顰める。

「いえ、領主様。クーラの街には何もないのです。ただ城壁だけがある状態です。その中はただ真っ平な土地が広がっているだけです」

「なに?家屋もか?」

思わず立ち上がりフラップが問う。

「家屋どころか港さえもありません」

「なんと・・・。わかった。ご苦労だった。下がってよい」

フラップが呟くように男に告げると彼は部屋から出て行った。それを見送った後、彼はベルを鳴らす。

「旦那様、お呼びでしょうか?」

執事が部屋へ入ってくる。

「冒険者ギルド長と商業ギルド長を呼んでくれないか」

と頼むと「承知しました」と告げ退室していった。フラップは椅子に力が抜けたように座り込んだ。イブの街に住居を作りハジメを始め奴隷たちを招くつもりであった。準備は着々と進んでおり、もう2か月もすれば住居は完成する予定であった。しかしその当人たちがクーラの街から姿を消したのだ。

1時間ほどしてギルド長2名が部屋にやってくる。

「フラップ様、何か御用ですか?」

冒険者ギルド長のセバスチャンが口を開いた。

「ハジメが姿を消した、どちらか所在を知らぬか?」

と問うと2人はまさか?と言う顔をする。

「商売に行っているのでは?」

商業ギルド長のエヴァが告げるが

「もうクーラの街は家屋や港さえもなくただ土地があるだけとなっている」

彼らが何も知らないことを察しながらフラップを告げる。

「「すぐに捜索をします」」

ギルド長2人はあわただしく部屋を出ていく。そして2時間ほどして2人は戻ってきた。

「リナリーたちは依頼で1週間ほど前から隣国のダス国に行っているため確認が取れません」

「ハジメさんはギルドに登録はしているものの1週間ほど前に預金のほぼ全てを下していました。そのためコウに聞いたところ「国を出る」と言ったそうです。それ以降連絡は取れていないそうです。そしてハジメさんが登録していたレシピは既に他者へ移譲されておりまして、その者たちにも確認しましたが・・・」

そこでセバスチャンとフラップは息を呑む。

「国を出る・・・としか聞いていないそうです。自分たちはイブの街に残ることを決めたためどの国に行くのかは知らないとのことでした・・・」

その時窓の外が光に包まれる。3人がテラスに出ると空には神々が一同に会していた
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