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8.南の賢者様をお迎えに-1
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王子さまや陛下が、ボードレールの人々といろいろ相談してくれて、いつ俺がどこに迎えに行くかが決まった。ちなみに南の賢者様は塔まで迎えに来いと言ったけれど、それだと時間がかかるでしょ、と、あっちの王女様がぶった切ってくださったそうだ。だから、王女様にお土産を渡すようにと、王妃様に言われた。
旅は俺と天馬のアベル、オーバンとの二頭一人で行くことになった。俺はアベルに乗って、オーバンは荷物を載せる。そんで、ボードレールについたら、オーバンに南の賢者様を乗せて帰ってくるってことだ。
俺だけならボードレールの国境まで五日。南の賢者様の乗馬の熟練度によって、十日から十五日を想定されている。もうちょっとかかるかもしれないそうだ。
「大分強行軍寄りですが、まあ、バティストならできるでしょう」
「頑張れよ、アベル、オーバン!」
ちょっとジジイとセドリック団長の言葉にショックを受けたけれど、実際の道中はそうでもなかった。道はまあ大体真っすぐだし。どっちに行けばいいのか迷うような時は宿泊場所だった。でかい街で、街道が三本くらいあって。俺一人だから領主の館には泊まらねえんだけれど挨拶には行って、王妃様から持たされた手紙を渡す。宛名はちゃんと俺でも読めるけど、門番の人に合ってるか聞いて、渡してもらう。そん時に、どっちの街道から行きゃいいか聞けるし、どの宿に泊まればいいか聞けるのもありがたかった。
王妃様本当すげえや。
アベルとオーバンは天馬といっても背中にでかい羽が生えてる方の天馬ではない。あいつらは気難しくて、特定の相手しか乗せねえんだよな。当然奴隷の俺は見下されてる。ジャンル的にはあいつらの鞍とか手綱とか寄りだからな。しかもあいつらにいわせりゃ、質の悪い、って着くらしい。俺はそんなもんだろうなあって思ったけれど、セドリック団長はまあ怒ってたな。止めなかったけど。誰も。
アベルとオーバンは、蹄の上の部分に小さい羽が一対生えているタイプの天馬だ。ブーブリル種、っていうらしい。大空を舞うことは出来ないが、荒れ地だろうが川だろうがそのまま駆け抜けることが出来る。足も速い。街道が混んでいる時は、街道からちょっと離れた場所を走ったって、俺には負担はほとんどない。アベルとオーバンにもないらしいからそれでいいだろう。
ざくざくざくと五日かけて、辿り着いたのがボードレールとの国境の街バゼレーヌ。流石にここでは領主さまのお屋敷に泊めて貰う手はずになっているから、最後の王妃様の手紙を握りしめて、領主様のお屋敷の門へと向かう。
確かに旅装は汚れているが、浮浪者のような汚れ方ではない。陛下と王妃様と王子様と、まあ要するに国の使いの格好をちゃんとしているし、王子様が嫌がるので奴隷の証は外からは見えない。あと俺の種は本当に伯爵さまだったらしくて、風貌もちょっとお貴族様寄りなんだそうだ。城の騎士団に紛れて訓練していても、不自然でない程度には。俺としてはそうなんだ、って感想しかないが、王子様のお側に置いておくのに問題がなくてよかったとジジイがほっとしていたから、まあ、種には感謝しておいてもらった。そこだけ。
「いつもの方ではないんですね」
「ええ、先方からの指定で」
おや、という顔をした門番は、その疑問を即座にぶつけてきた。俺の年齢もあるだろう。伝令をするほどの年嵩には見えない。見えないだろう。多分まだ成人してないのだから。
「そうですか、ご苦労様です」
正式な王家の使いなので、正門から入る。正面のお屋敷ではなく、一旦奥に回ってアベルとオーバンを厩舎に預けることになった。門番が合図を送ったから、厩番がこっちに向かってきてくれているそうなので、そこで馬を預けて、あとはどこから入るかなんかを聞いてくれと案内された。
まあな。ここで全部案内するよりは、その方が楽だよな。互いにな。
俺は門番に礼とねぎらいの言葉をかけて、馬から降りて誘導先へと歩く。前方から、おそらくは厩番だろう男が歩いてきた。
アベルとオーバンを男に預けて、俺は屋敷へと入る。基本的に、正門真向いの玄関扉は、馬の世話をする人とかを連れている、貴族様が使うもんだ。今回だったら、ボードレールからくる南の賢者様とかな。王子様とジジイとか。俺は大体馬を連れてこっちのコースだ。それでも屋敷の中に入れてくれるんだから、国の使いの立場はありがたいもんだ。
屋敷に入ると執事が待ち構えていたので、王妃様から預かっていた手紙を渡す。中身は知らん。俺が知る必要はない。宛名だけ一緒に確認して貰ったら、執事はそれをおそらく領主様に届けに行って、俺はメイドさんに案内されて客室だ。
「こちらになります。旅の汚れを、落とされますか」
「出来れば」
お屋敷を汚すわけにもいかねえしな。
部屋風呂の他に、この屋敷には大浴場もあるらしい。いや俺はそっち使っちゃダメだろ。いくらお使いとはいえ、奴隷の証が見えるから、他の人が嫌がるだろうしな。
「お手数おかけしますが、部屋風呂でお願いします」
「承りました」
部屋風呂は部屋風呂でな。手間がかかるから悪いんだけど、まあ仕方ねえのよ。王子様の奴隷とはいえ、奴隷とは風呂に入りたくない。別の時間帯でも。って奴はそこそこいるだろうしな。しかも風呂場で俺の奴隷の証見ちまって、うわって顔して、いや俺はするだろうなとしか思わねえけど、他の人にそれはよくない、とかたしなめられんのも悪い気がするしな。
風呂の準備をしてもらっている間に、旅装を解く。つっても、鞄を下ろして、それからマントを脱いで、くらいなもんだ。ブーツも脱ぐか。鞄から着替えを出したりしている間に、風呂の準備が整ったと呼んで貰えた。正直水風呂でもいいんだよな。濡れた手拭いですらありがたい。
が、国からの使いにそんな真似は出来ねえんだよな。その辺りは出発前にジジイに言い含められているから、お礼を言ってありがたく風呂に入る。いやめちゃくちゃ風呂の準備早かったな。
旅は俺と天馬のアベル、オーバンとの二頭一人で行くことになった。俺はアベルに乗って、オーバンは荷物を載せる。そんで、ボードレールについたら、オーバンに南の賢者様を乗せて帰ってくるってことだ。
俺だけならボードレールの国境まで五日。南の賢者様の乗馬の熟練度によって、十日から十五日を想定されている。もうちょっとかかるかもしれないそうだ。
「大分強行軍寄りですが、まあ、バティストならできるでしょう」
「頑張れよ、アベル、オーバン!」
ちょっとジジイとセドリック団長の言葉にショックを受けたけれど、実際の道中はそうでもなかった。道はまあ大体真っすぐだし。どっちに行けばいいのか迷うような時は宿泊場所だった。でかい街で、街道が三本くらいあって。俺一人だから領主の館には泊まらねえんだけれど挨拶には行って、王妃様から持たされた手紙を渡す。宛名はちゃんと俺でも読めるけど、門番の人に合ってるか聞いて、渡してもらう。そん時に、どっちの街道から行きゃいいか聞けるし、どの宿に泊まればいいか聞けるのもありがたかった。
王妃様本当すげえや。
アベルとオーバンは天馬といっても背中にでかい羽が生えてる方の天馬ではない。あいつらは気難しくて、特定の相手しか乗せねえんだよな。当然奴隷の俺は見下されてる。ジャンル的にはあいつらの鞍とか手綱とか寄りだからな。しかもあいつらにいわせりゃ、質の悪い、って着くらしい。俺はそんなもんだろうなあって思ったけれど、セドリック団長はまあ怒ってたな。止めなかったけど。誰も。
アベルとオーバンは、蹄の上の部分に小さい羽が一対生えているタイプの天馬だ。ブーブリル種、っていうらしい。大空を舞うことは出来ないが、荒れ地だろうが川だろうがそのまま駆け抜けることが出来る。足も速い。街道が混んでいる時は、街道からちょっと離れた場所を走ったって、俺には負担はほとんどない。アベルとオーバンにもないらしいからそれでいいだろう。
ざくざくざくと五日かけて、辿り着いたのがボードレールとの国境の街バゼレーヌ。流石にここでは領主さまのお屋敷に泊めて貰う手はずになっているから、最後の王妃様の手紙を握りしめて、領主様のお屋敷の門へと向かう。
確かに旅装は汚れているが、浮浪者のような汚れ方ではない。陛下と王妃様と王子様と、まあ要するに国の使いの格好をちゃんとしているし、王子様が嫌がるので奴隷の証は外からは見えない。あと俺の種は本当に伯爵さまだったらしくて、風貌もちょっとお貴族様寄りなんだそうだ。城の騎士団に紛れて訓練していても、不自然でない程度には。俺としてはそうなんだ、って感想しかないが、王子様のお側に置いておくのに問題がなくてよかったとジジイがほっとしていたから、まあ、種には感謝しておいてもらった。そこだけ。
「いつもの方ではないんですね」
「ええ、先方からの指定で」
おや、という顔をした門番は、その疑問を即座にぶつけてきた。俺の年齢もあるだろう。伝令をするほどの年嵩には見えない。見えないだろう。多分まだ成人してないのだから。
「そうですか、ご苦労様です」
正式な王家の使いなので、正門から入る。正面のお屋敷ではなく、一旦奥に回ってアベルとオーバンを厩舎に預けることになった。門番が合図を送ったから、厩番がこっちに向かってきてくれているそうなので、そこで馬を預けて、あとはどこから入るかなんかを聞いてくれと案内された。
まあな。ここで全部案内するよりは、その方が楽だよな。互いにな。
俺は門番に礼とねぎらいの言葉をかけて、馬から降りて誘導先へと歩く。前方から、おそらくは厩番だろう男が歩いてきた。
アベルとオーバンを男に預けて、俺は屋敷へと入る。基本的に、正門真向いの玄関扉は、馬の世話をする人とかを連れている、貴族様が使うもんだ。今回だったら、ボードレールからくる南の賢者様とかな。王子様とジジイとか。俺は大体馬を連れてこっちのコースだ。それでも屋敷の中に入れてくれるんだから、国の使いの立場はありがたいもんだ。
屋敷に入ると執事が待ち構えていたので、王妃様から預かっていた手紙を渡す。中身は知らん。俺が知る必要はない。宛名だけ一緒に確認して貰ったら、執事はそれをおそらく領主様に届けに行って、俺はメイドさんに案内されて客室だ。
「こちらになります。旅の汚れを、落とされますか」
「出来れば」
お屋敷を汚すわけにもいかねえしな。
部屋風呂の他に、この屋敷には大浴場もあるらしい。いや俺はそっち使っちゃダメだろ。いくらお使いとはいえ、奴隷の証が見えるから、他の人が嫌がるだろうしな。
「お手数おかけしますが、部屋風呂でお願いします」
「承りました」
部屋風呂は部屋風呂でな。手間がかかるから悪いんだけど、まあ仕方ねえのよ。王子様の奴隷とはいえ、奴隷とは風呂に入りたくない。別の時間帯でも。って奴はそこそこいるだろうしな。しかも風呂場で俺の奴隷の証見ちまって、うわって顔して、いや俺はするだろうなとしか思わねえけど、他の人にそれはよくない、とかたしなめられんのも悪い気がするしな。
風呂の準備をしてもらっている間に、旅装を解く。つっても、鞄を下ろして、それからマントを脱いで、くらいなもんだ。ブーツも脱ぐか。鞄から着替えを出したりしている間に、風呂の準備が整ったと呼んで貰えた。正直水風呂でもいいんだよな。濡れた手拭いですらありがたい。
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