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エリファス1810

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第6巻 第7章 「フランス第一帝政」と「フランス復古王政」

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第6巻 第7章 「フランス第一帝政」と「フランス復古王政」

 ナポレオンは、世界を不思議で満たした。
 ナポレオン自体が、世界で最大の不思議であった。
 ナポレオンの妻、皇后ジョゼフィーヌは、クレオール人であるため、好奇心旺盛であり信じ易かったので、占いなどに誘惑された。
 少女時代にジョゼフィーヌは放浪の民ロマの老女の占い師に「女王以上の存在に成る」と皇后に成る栄光を予言された、と言われている。
 ジョゼフィーヌは皇帝ナポレオンの勝利の女神、幸運の女神であった、と田舎の大衆は未だに信じている。
 事実、ジョゼフィーヌは優しく謙虚な助言者であった。
 仮に、ナポレオンがジョゼフィーヌの忠告に常に耳を傾けていれば、ジョゼフィーヌは多数の危険からナポレオンを救ったであろう。
 しかし、運命が、というよりは、神意が、ナポレオンを進ませた。
 ナポレオンの身に起こる事は、事前に決まっていた。
 後記は、1524年に印刷された、編者不明のフランスの予言集「ミラビリス リベル(驚異の書)」にある、St Césaireの予言とされているが、Jean de Vatiguerroの署名がある予言である。

「教会は、冒涜されるであろう。
大衆の信心は、止むであろう。
ワシは、世界中を飛んで、多数の国々を圧倒するであろう。
西で最大の王、最高の王は、超自然的な敗北の後に、敗走するであろう。
最も貴い王は、敵に監禁されて、自分に忠実な人々の事を思って悲しむであろう。
フランスに平和が戻る前に、同様の出来事が何度もくり返されるであろう。
ワシは、三重の王冠をかぶるであろう。
ワシは、勝利して巣に戻るであろう。
ワシは、巣を離れると、昇天するしかないであろう」

 ノストラダムスは、教会への略奪と聖職者の殺害を予言した後に、イタリアの近くでの皇帝(、ナポレオン)の誕生を予言している。
 ノストラダムスは、イタリアの近くで生まれた皇帝(、ナポレオン)による統治がフランスに大いなる流血をさせる、と予言している。
 ノストラダムスは、イタリアの近くで生まれた皇帝(、ナポレオン)が味方に裏切られてフランスに流血をさせた罪で告発される、と予言している。

「皇帝(、ナポレオン)がイタリアの近くで生まれるであろう。
皇帝(、ナポレオン)は帝国に高い犠牲を払わせるであろう。
大衆は『誰と共に、皇帝(、ナポレオン)は国を守るのか!?』と話すであろう。
皇帝(、ナポレオン)は、皇帝よりも、虐殺者として見られるであろう。
皇帝(、ナポレオン)は、一兵卒から、最高指揮官に成るであろう。
皇帝(、ナポレオン)は、短衣から長衣に成るであろう。
皇帝(、ナポレオン)は、武装して勇敢であり、教会にとって悪い人ではなく、水が海綿に浸透する様に、聖職者を騒がせるであろう」

 言い換えると、教会が大いなる惨事を経験した時に、皇帝(、ナポレオン)は、利益を与えて聖職者を圧倒するであろう。
 エリファス レヴィが写本を所有している1820年に印刷された「ノストラダムスの予言」では、皇帝ナポレオン1世の予言の後に、「甥は、叔父が失敗した事を成就するであろう」と記されている。
 有名な女占い師ルノルマンは、「オリヴァリウスの予言」の論文と、ナポレオンの統治と失墜を予言した10枚の手書きの文書を含む、厚紙を羊皮紙で閉じた本を所有していた。
 女占い師ルノルマンは、ナポレオンの予言の内容を、皇后ジョゼフィーヌに知らせていた。
 ルノルマンに言及したので、ルノルマンという変わった女性について、いくつか話す。
 ルノルマンは、ふくよかな人並みの美しさの女性であり、話しぶりは強く、表現は滑稽であるが、覚醒した催眠状態により良く見える洞察力を持っていた。
 ルノルマンは、「フランス第一帝政」と「フランス復古王政」の時に人気の女占い師であった。
 ルノルマンの本は読み解くのに最も疲れて、うんざりする。
 ルノルマンは、タロット カード占い師として、最も成功した。
 フランスでは、エッティラまたはアリエットが、タロット カード占いを復活させた。
 文字通り、タロット カード占いは、あらかじめ決められているタロット カードの象徴群によって、運命をたずねる。
 タロット カードの象徴群は、数との組み合わせによって、タロット カードを凝視している霊媒者に神託を暗示する。
 タロット カードという象徴群は、ゆっくりと混ぜられた後なので、運任せに引かれる。
 カバラの数に従ってタロット カードを並べると、タロット カードに真剣に誠実に質問している人々の思考に、タロット カードは常に答える。
 なぜなら、全ての人は予感の世界を心の中に持っている。
 全ての人が心の中に持っている予感は、何かの口実によって、表れる。
 感受性の高い過敏な神経質な人々は、磁気的な衝撃を他人から受け取る。
 他人からの磁気的な衝撃は、他人の神経の状態による印象を、感受性の高い過敏な神経質な人々に伝える。
 水の波紋、雲の形、地面に乱雑に投げられた金属片や木片やコイン、コーヒーの残滓が皿の上に作る模様、トランプのくじ引き、タロット カードの象徴群によって、感受性の高い過敏な神経質な霊媒者は、他人の恐怖や希望を読み取る事ができる。
 学の有るカバラの本として、タロットの全ての組み合わせは、象徴、文字、数の間に元々存在する調和を明かす。
 タロットの実践的な価値は、本当に、何ものよりも、驚異的である。
 しかし、人は、占いによって、普遍の光との密接な交流による秘密を、自身から強引に引き出せば、当然、罰を受ける。
 トランプ占いやタロット カード占いは、危険と罪を伴って動作する、真の降霊術である。
 降霊術では、人は、自分の星の体が、自身の前に表れる様に強制する。
 占いでは、人は、自分の星の体が、自身の前に表れて、話す様に強制する。
 降霊術と占いでは、人は、自分の想像力に、星の体という体を与える。
 降霊術と占いによって、人は、言葉の力が呼び出すと実現する、信心が選び取ると実現する、未来の実現を近づける。
 占いの習慣や、磁気の催眠状態による助言の習慣を身につけてしまう事は、めまいと契約する事に成ってしまう。
 そして、すでに確証した様に、めまいとは地獄である。

 中略

 世界に起きた大きな出来事群が、全ての人心を、神秘主義に向かわせてしまった。
 宗教的な反作用が始まったのである。
 「神聖同盟」の権力者たちは、統一した王笏を、十字架と結びつける必要性を感じた。

 中略

 存在と存在の調和を目の当たりにしながら疑う事、至る所で神を表している命の永遠の数学と不変の法を目の当たりにしながら疑う事は、間違い無く最も愚かな迷信であり、最も危険なので最も許し難い軽信である。
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