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2章 のんびりとした日常
6話 初めての湯、ふたりの距離
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夕飯を食べ終わって、片付けを終えた頃には、外はすっかり暗くなっていた。リビングの時計は9時を少し回ったところ。テレビの音が小さく流れているけど、今日はなんだか静かに感じる。音があるのに、部屋の空気だけが、いつもより柔らかくて、落ち着きすぎてるみたいだった。
私はソファに座って、白雪様を見た。白雪様は私の隣にぴったりくっついて、膝の上に頭を乗せて、目を細めている。銀色の髪が私の太ももに広がって、ふわふわと柔らかい。指を落とせば、そのまま眠ってしまいそうなくらい無防備だ。
「綾……なんか、今日はたくさん動いたから、ちょっと汗かいたかも」
白雪様が少し恥ずかしそうに呟いた。
「そうだね……スーパー行ったり、買い物袋持ったり、お鍋作ったり」
私は自然と白雪様の髪を撫でながら答えた。さらさらの感触が指に絡むたび、心がほどけていく。
「じゃあ……お風呂、入ろうか」
その言葉を言った瞬間、白雪様の耳がぴょこっと飛び出した。
「え、お風呂!? 一緒!?」
「う、うん……一緒に、いい?」
私は顔を赤くしながら聞いた。逃げたくなるくらい恥ずかしいのに、言葉だけは止められなかった。
白雪様は目をキラキラさせて、すぐに頷いた。
「いい! いいよ! 綾と一緒にお風呂、夢みたい!」
そう言って、白雪様は私の手をぎゅっと握って立ち上がった。
家のお風呂はユニットバスだけど、狭いながらもふたりで入れるくらいの広さはある。湯船は小さめだけど、湯を張れば十分に浸かれる。狭いからこそ、距離が近くなる気がして、余計に心臓が落ち着かなかった。
先に私がお湯を張って、白雪様は脱衣所で待ってることにした。
白雪様はそう言って、浴室のドアを閉めた。
私は先にシャワーを浴びて、体を洗い始める。湯気が少しずつ立ち上って、鏡がうっすら曇っていく。鏡に映る自分の顔が、なんだか赤くて、ドキドキが止まらない。
本当に、白雪様と一緒にお風呂なんて。
家族がいなくなってから、お風呂はただのルーティンだった。温かいお湯に浸かるのも、ただ体を洗うだけ。明日を回すための作業みたいで、気持ちまで温まることはなかった。
でも今は違う。白雪様がいる。それだけで、いつもの浴室が別の場所みたいに感じる。
「綾……入っていい?」
「うん……どうぞ」
白雪様はタオルを外して、恥ずかしそうに体を隠しながら入ってきた。、銀色の髪をほどいて、頰を赤くしている。視線の置き場がわからなくて、私は一瞬だけ息を止めた。
私は思わず息を飲んでしまった。だって白雪様の肌は雪のように白くて、透き通るよう。細い肩、くびれた腰、長い脚。湯気の向こうで、ほんのり上気した顔まで、全部が眩しい。人間じゃないみたいに美しいって、こういうことだと思った。
「わ……綾の体、きれい……」
白雪様も私を見て、目を丸くした。
「え、そんなことないよ……白雪様の方が……」
ふたりとも顔を赤くして、湯船に浸かる。お湯が温かくて、肩まで沈むと、ほっと息が漏れた。白雪様は私の隣にぴったりくっついてきて、
「あったかーい……人間のお風呂、すごいね」
「そうだね……気持ちいいでしょ?」
「うん……綾の隣だから、もっと気持ちいい」
白雪様は私の肩に頭を預けて、目を閉じた。湯の音と、呼吸の音が重なる。私はそっと、白雪様の背中を洗い始めた。ボディタオルにボディソープをつけて、優しく泡立てる。泡の匂いがふわっと広がっていった。白雪様の背中は、細くて華奢で、触れるたびにドキドキしてきた。
「くすぐったい……でも、気持ちいい」
白雪様は小さく笑って、体を預けてきた。私は丁寧に、肩から背中、腰までを洗う。泡が白雪様の肌を滑って、湯船に溶けていく。
「綾の手、優しい……」
白雪様が呟いて、私の手をそっと握った。
次は髪を洗う番。白雪様の銀色の髪は、濡れるとより輝いて、まるで月光みたいに見える。濡れた髪が肩に張りついて、そのせいで余計に視線が迷う。
シャンプーを手に取って、指を絡めて泡立てる。白雪様は目を閉じて、気持ちよさそうに体を預けてくる。
「ん……綾の指、好き……」
私は耳の後ろや頭頂部まで丁寧に洗って、泡を流す。リンスもして、指で梳く。白雪様の髪はサラサラで、指が絡まない。するん、と抜けていくのが気持ちよくて、もう少し触れていたくなる。
「終わったよ」
「ありがとう……今度は私が綾を洗う!」
白雪様は目を輝かせて、私の背中に向き合った。小さな手でボディソープを泡立てて、私の背中に触れる。
「綾の肌、すべすべ……温かくて、いい匂い」
白雪様は真剣な顔で、私の背中を撫でるように洗う。肩から腰まで、丁寧に。触れ方がやさしすぎて、逆に照れる。時々、指が脇腹に触れて、くすぐったくて笑ってしまう。
「綾、くすぐったいの?」
「うん……でも、気持ちいい」
白雪様は笑って、私の髪も洗ってくれた。指が頭皮をマッサージするように動いて、すごく心地いい。目を閉じると、熱と安心で、全部がゆるむ。
「綾の髪、白くてきれい……私と同じ色で、嬉しい」
「白雪様の髪の方がきれいだよ……」
ふたりで笑い合って、髪を流す。
湯船に戻って、ふたりで向かい合って浸かる。白雪様が私の手を握って、
「綾……こうしてると、ずっと一緒にいられる気がする」
そう言った。握る力が少し強い。
「うん……私も」
お湯の音と、ふたりの呼吸だけが聞こえる。胸の奥が静かにあたたかい。湯上がりは、ふたりで体を拭き合った。
白雪様のパジャマは少し大きめで、袖をまくってる姿が可愛い。髪の先から落ちる水滴まで、愛しく感じるのが怖いくらいだった。
リビングに戻って、ソファに並んで座る。髪がまだ少し湿ってるから、ドライヤーをかけてあげる。白雪様は私の膝に頭を乗せて、目を閉じる。
「綾の香り……お風呂上がりの匂いで好き」
私はドライヤーの温風を当てながら、白雪様の髪を梳く。ふわふわの銀髪が、私の指に絡まる。乾いていくにつれて、さらさらが戻ってきて、手放したくなくなる。
ドライヤーを終えて、ふたりでベッドへ。
今日はいつもより早く、くっついて横になる。白雪様が私の胸に顔を埋めて、
「綾……今日も、ありがとう」
小さく、少し眠そうな声で言ってきた。
「私の方こそ……白雪様と一緒にお風呂、幸せだった」
白雪様はくすくす笑って、私の首に腕を回した。
「おやすみ、綾」
「おやすみ、白雪様」
湯上がりの温かさが、体全体に残ってる。
白雪様の体温が、私の体に染み込んでいく。この温かさが、ずっと続けばいい。そう思った瞬間、怖いくらい安心してしまって、涙が出そうになるのをこらえた。
夢の中でさえ、白雪様の笑顔が見えるような気がした。
私はソファに座って、白雪様を見た。白雪様は私の隣にぴったりくっついて、膝の上に頭を乗せて、目を細めている。銀色の髪が私の太ももに広がって、ふわふわと柔らかい。指を落とせば、そのまま眠ってしまいそうなくらい無防備だ。
「綾……なんか、今日はたくさん動いたから、ちょっと汗かいたかも」
白雪様が少し恥ずかしそうに呟いた。
「そうだね……スーパー行ったり、買い物袋持ったり、お鍋作ったり」
私は自然と白雪様の髪を撫でながら答えた。さらさらの感触が指に絡むたび、心がほどけていく。
「じゃあ……お風呂、入ろうか」
その言葉を言った瞬間、白雪様の耳がぴょこっと飛び出した。
「え、お風呂!? 一緒!?」
「う、うん……一緒に、いい?」
私は顔を赤くしながら聞いた。逃げたくなるくらい恥ずかしいのに、言葉だけは止められなかった。
白雪様は目をキラキラさせて、すぐに頷いた。
「いい! いいよ! 綾と一緒にお風呂、夢みたい!」
そう言って、白雪様は私の手をぎゅっと握って立ち上がった。
家のお風呂はユニットバスだけど、狭いながらもふたりで入れるくらいの広さはある。湯船は小さめだけど、湯を張れば十分に浸かれる。狭いからこそ、距離が近くなる気がして、余計に心臓が落ち着かなかった。
先に私がお湯を張って、白雪様は脱衣所で待ってることにした。
白雪様はそう言って、浴室のドアを閉めた。
私は先にシャワーを浴びて、体を洗い始める。湯気が少しずつ立ち上って、鏡がうっすら曇っていく。鏡に映る自分の顔が、なんだか赤くて、ドキドキが止まらない。
本当に、白雪様と一緒にお風呂なんて。
家族がいなくなってから、お風呂はただのルーティンだった。温かいお湯に浸かるのも、ただ体を洗うだけ。明日を回すための作業みたいで、気持ちまで温まることはなかった。
でも今は違う。白雪様がいる。それだけで、いつもの浴室が別の場所みたいに感じる。
「綾……入っていい?」
「うん……どうぞ」
白雪様はタオルを外して、恥ずかしそうに体を隠しながら入ってきた。、銀色の髪をほどいて、頰を赤くしている。視線の置き場がわからなくて、私は一瞬だけ息を止めた。
私は思わず息を飲んでしまった。だって白雪様の肌は雪のように白くて、透き通るよう。細い肩、くびれた腰、長い脚。湯気の向こうで、ほんのり上気した顔まで、全部が眩しい。人間じゃないみたいに美しいって、こういうことだと思った。
「わ……綾の体、きれい……」
白雪様も私を見て、目を丸くした。
「え、そんなことないよ……白雪様の方が……」
ふたりとも顔を赤くして、湯船に浸かる。お湯が温かくて、肩まで沈むと、ほっと息が漏れた。白雪様は私の隣にぴったりくっついてきて、
「あったかーい……人間のお風呂、すごいね」
「そうだね……気持ちいいでしょ?」
「うん……綾の隣だから、もっと気持ちいい」
白雪様は私の肩に頭を預けて、目を閉じた。湯の音と、呼吸の音が重なる。私はそっと、白雪様の背中を洗い始めた。ボディタオルにボディソープをつけて、優しく泡立てる。泡の匂いがふわっと広がっていった。白雪様の背中は、細くて華奢で、触れるたびにドキドキしてきた。
「くすぐったい……でも、気持ちいい」
白雪様は小さく笑って、体を預けてきた。私は丁寧に、肩から背中、腰までを洗う。泡が白雪様の肌を滑って、湯船に溶けていく。
「綾の手、優しい……」
白雪様が呟いて、私の手をそっと握った。
次は髪を洗う番。白雪様の銀色の髪は、濡れるとより輝いて、まるで月光みたいに見える。濡れた髪が肩に張りついて、そのせいで余計に視線が迷う。
シャンプーを手に取って、指を絡めて泡立てる。白雪様は目を閉じて、気持ちよさそうに体を預けてくる。
「ん……綾の指、好き……」
私は耳の後ろや頭頂部まで丁寧に洗って、泡を流す。リンスもして、指で梳く。白雪様の髪はサラサラで、指が絡まない。するん、と抜けていくのが気持ちよくて、もう少し触れていたくなる。
「終わったよ」
「ありがとう……今度は私が綾を洗う!」
白雪様は目を輝かせて、私の背中に向き合った。小さな手でボディソープを泡立てて、私の背中に触れる。
「綾の肌、すべすべ……温かくて、いい匂い」
白雪様は真剣な顔で、私の背中を撫でるように洗う。肩から腰まで、丁寧に。触れ方がやさしすぎて、逆に照れる。時々、指が脇腹に触れて、くすぐったくて笑ってしまう。
「綾、くすぐったいの?」
「うん……でも、気持ちいい」
白雪様は笑って、私の髪も洗ってくれた。指が頭皮をマッサージするように動いて、すごく心地いい。目を閉じると、熱と安心で、全部がゆるむ。
「綾の髪、白くてきれい……私と同じ色で、嬉しい」
「白雪様の髪の方がきれいだよ……」
ふたりで笑い合って、髪を流す。
湯船に戻って、ふたりで向かい合って浸かる。白雪様が私の手を握って、
「綾……こうしてると、ずっと一緒にいられる気がする」
そう言った。握る力が少し強い。
「うん……私も」
お湯の音と、ふたりの呼吸だけが聞こえる。胸の奥が静かにあたたかい。湯上がりは、ふたりで体を拭き合った。
白雪様のパジャマは少し大きめで、袖をまくってる姿が可愛い。髪の先から落ちる水滴まで、愛しく感じるのが怖いくらいだった。
リビングに戻って、ソファに並んで座る。髪がまだ少し湿ってるから、ドライヤーをかけてあげる。白雪様は私の膝に頭を乗せて、目を閉じる。
「綾の香り……お風呂上がりの匂いで好き」
私はドライヤーの温風を当てながら、白雪様の髪を梳く。ふわふわの銀髪が、私の指に絡まる。乾いていくにつれて、さらさらが戻ってきて、手放したくなくなる。
ドライヤーを終えて、ふたりでベッドへ。
今日はいつもより早く、くっついて横になる。白雪様が私の胸に顔を埋めて、
「綾……今日も、ありがとう」
小さく、少し眠そうな声で言ってきた。
「私の方こそ……白雪様と一緒にお風呂、幸せだった」
白雪様はくすくす笑って、私の首に腕を回した。
「おやすみ、綾」
「おやすみ、白雪様」
湯上がりの温かさが、体全体に残ってる。
白雪様の体温が、私の体に染み込んでいく。この温かさが、ずっと続けばいい。そう思った瞬間、怖いくらい安心してしまって、涙が出そうになるのをこらえた。
夢の中でさえ、白雪様の笑顔が見えるような気がした。
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