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4章 shadowの深淵
病院からの脱出
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(金山中央病院・夜)
ふと意識が浮上すると、そこには無機質な白い天井が広がっていた。
蛍光灯の冷たい光が、ぼんやりと視界に入ってきた。
鼻腔を鋭く刺す消毒液の匂いが、肺の奥まで染み込んでくる。
息をするたび、喉がわずかに痛み、胸の奥が重く軋むような感覚が残っていた。
カーテンの隙間から覗く外の世界は、すでに夜になっていた。
金山の街は眠らず、毒々しいネオンが窓ガラスにぼんやりと貼りつき、不規則な心拍モニターのリズムに合わせて、まるで血の涙の痕のように滲み、揺らめいている。
赤、紫、青の光が交互に閃き、病室の壁に不気味な影を落とす。
あの街の喧騒が、遠くからかすかに聞こえてくる気がした。
きっと当て逃げも、ただの事故なんかじゃない。
警告か、それともあれであたしを殺せたと思ったのか?
それにしても安田さんの時は明らかにプロのやり方だったのだが、なぜか私の時は手抜きをしている感があるように思えて仕方なかった。
本来なら安田さんが亡くなったから、報告する相手もいないので依頼はやめてもよかった。
でも囚われた舞や少年少女を救うことは、私自身の魂に深く刻み込まれた十年前の借りを、返すためだと思う。
疼く肋骨の奥で、ようやく体の芯から理解し始めていた。
ここから先は私たちのターンで終わらせてあげる。
シーツが嫌な冷や汗で肌に張りつき、わずかに体を動かすだけで肋骨の奥が鋭くきしんだ。
けれど、この数時間の強制的な睡眠が、思った以上に体力を底上げしてくれているのを感じる。
夢見は最悪だった。
あのコンテナの闇、鎖の冷たさ、尊厳を踏みにじる重みと嘲笑。
すべてが鮮明に蘇り、胸の奥を抉った。
でも、おかげで私は「原点」を再確認できた。
あの地獄を生き延びた自分。
髪が白く変わり、魂が砕け散ったはずの場所で、冷たい炎を灯した自分。
そして、今なすべきことを思い出した、
舞や少年少女を救い、組織を叩き潰すこと。
それは、今の私にとって、何よりの完治させるための最高の薬だった。
ベッド脇の棚に置かれたスマホが、「21:03」の無機質な数字を表示していた。
画面の光が、暗い病室をぼんやりと照らす。
その横に、一枚のメモが丁寧に折り畳まれて置かれていた。
玲奈の几帳面さが滲み出た、端正で力強い文字。
『突入は綾の代わりに私がやるから。戻るまで大人しく体を休めてなさい。
絶対に、無茶はしないで。——玲奈 (予定24:00)』
最後の「絶対に、無茶はしないで」の一文に、玲奈の心配と苛立ちを感じる。
そして私への想いが詰まっているのがわかる。
……そう言われて止まる私じゃないのは知ってるでしょう?
全く私を置いて
パーティを始めないでほしいなって言いたい。
それでも、胸の奥が熱くなって暖かくなる。
みんなが、私を思って動いてくれてる。
そんな思いは受け取るだけにした。
警察の正規訓練じゃ、裏社会の潜入なんて教わらない。
私は櫻華流の裏も教えてもらっていた。
本来はおっしえてもらえる死角がなかったのだけど、あの人の口添えで特別に教えていただいた。
基本は潜入等で、暗殺とかそういうのは教えてもらえなかった。
あくまでも探偵で必要になる技術だけだった。
玲奈を危険な場所に行かせるなんて、絶対にできない。
私自身な気持ちとして、玲奈の親父さんに顔向けできないじゃん。
親父さんが生きていたら、きっと仕方ないなぁって笑って許してくれて、
私と一緒に飛び込んでいきそう。その人と一緒に。
潜入調査なんて上にばれたら始末書どころじゃなく下手したら解雇になってしまう。
そんなことはさせられない
私はテーピングの端を指先で確かめた。ベッドの柵を強く掴んで、ゆっくり上体を起こす。
肋骨の奥が軋んだ。息を吸うたびに、鋭い痛みが走る。
でも、今は痛みは味方だと思う。
良い気づけ薬になってる
体が動くってことは戦える状態だって言ってたあっけ?
不意に胸の奥で、得体の知れない恐怖が疼く。
十年前のコンテナの闇を思い起こさせる、冷たく粘つく感覚。
だけど、これは悪いものじゃない。
師匠に言われた言葉が、耳の奥でよみがえる。
恐怖は感じていいんだよ。だけど、必要以上には感じたらダメ!
さんざん言われたよね。
あのネコミミ師匠には。
当時は理屈なんて掴めなかったし、意味が解らなかった。
ただ繰り返し、繰り返し、現場で教えてもらった。
今なら、痛いほど分かる。
恐怖は神経を研ぐための砥石で警戒心を養ってくれる。
怯えすぎれば動きも鈍くなるけど。
きちんと感じればこれほど心強い物もない。
私は肩の筋肉を一つずつ、丁寧にゆるめて深く息を吐いた。
裸足の裏で、冷たい床の感触を確かめる。
指先がわずかに震えるのを、拳を握って抑え込んでみた。
さて……行こうか。
銀髪を軽く払って、ベッドから降り立つ。
病室の闇が、私の影を長く伸ばした。
玲奈たちの突入予定は24:00だったよね。
うん、まだ時間はある。
(病院廊下・夜21:30)
病室のドアを、数センチだけそっと押し開ける。
隙間から漏れる廊下の灯りは、蛍光灯の冷たい白だった。
壁に沿って伸びる淡い光が、床のワックスを鈍く反射していた。
薄い氷の膜みたいに滑らかだった。
そういえばむかし、アイススケートのように滑って遊んだことがあったのを思い出していた。
空気には消毒液の鋭い匂いが立ち込めていて、病院は好きになれないなぁ。
寝てるのも暇だしね。
遠くでナースステーションのモニターが、ピッ、ピッと規則正しく鳴っている。
巡回の足音が、ゆっくり近づいては遠ざかっていた。ゴム底が廊下を叩いていた。
私はその間隔を、息を潜めて測った。
スリッパの底を床に滑らせるようにして、かかとをわずかに浮かせるて音を殺して歩き出した。
背後の非常階段へ、影みたいに滑り込む。
途中、ストレッチャーの硬い車輪が軋む音が近づいてきていた。
金属の冷たい響きが、壁を伝って迫ってくる感じ。
おかげさまで扉を開けれなかったのが痛い。
それでもあと少し遅かったらばれていたかも。
私はすぐに自販機の脇の暗がりへ身を寄せた。
自動販売機の淡いブルーの光が、顔の輪郭をぼんやり浮かび上がらせる。
呼吸を一拍だけ止める。心臓の鼓動さえ、抑え込むように努力をした。
自分の存在を廊下の景色に溶かす。櫻華流の幻歩の応用を行った。
視界の端を、白衣の影がゆっくり通り過ぎていく。
足音が十分に遠ざかり、角を曲がるのを待ってから、私はもう一度、動き出した。
進む先にエレベーターが見つけたので乗り込んだ。
扉が閉まる、その瞬間。
鏡に映った自分の姿を、ちらりと見た。
乱れた銀髪が蛍光灯の下で不気味に輝いて、蒼白な顔と重なって、幽霊みたいだなぁてっ突っ込みを入れた。
腫れた頬。痛みを堪える赤い瞳。
病衣の裾には、わずかな血の染み。
本当にひどい姿だと我ながら思うよ。
「……招かれざる客かもしれないけど、身だしなみだけは整えないとね」
小さく呟いて、銀髪を指でなでた。
鏡の中の自分が、薄く笑った。
痛みはあるけど、そのお陰で私の神経も研ぎ澄ましていた。
玲奈たちを危険な目に遭わせるわけにはいかない。
これは、10年前から続く私の事件だ。
玲奈たちに任せてあげるものか。
エレベーターが一階に着く。
扉が開き、夜の病院のロビーへ
私は、また闇の中へと溶け込んでいった。
そうして私は病院から脱出を完了した。
ふと意識が浮上すると、そこには無機質な白い天井が広がっていた。
蛍光灯の冷たい光が、ぼんやりと視界に入ってきた。
鼻腔を鋭く刺す消毒液の匂いが、肺の奥まで染み込んでくる。
息をするたび、喉がわずかに痛み、胸の奥が重く軋むような感覚が残っていた。
カーテンの隙間から覗く外の世界は、すでに夜になっていた。
金山の街は眠らず、毒々しいネオンが窓ガラスにぼんやりと貼りつき、不規則な心拍モニターのリズムに合わせて、まるで血の涙の痕のように滲み、揺らめいている。
赤、紫、青の光が交互に閃き、病室の壁に不気味な影を落とす。
あの街の喧騒が、遠くからかすかに聞こえてくる気がした。
きっと当て逃げも、ただの事故なんかじゃない。
警告か、それともあれであたしを殺せたと思ったのか?
それにしても安田さんの時は明らかにプロのやり方だったのだが、なぜか私の時は手抜きをしている感があるように思えて仕方なかった。
本来なら安田さんが亡くなったから、報告する相手もいないので依頼はやめてもよかった。
でも囚われた舞や少年少女を救うことは、私自身の魂に深く刻み込まれた十年前の借りを、返すためだと思う。
疼く肋骨の奥で、ようやく体の芯から理解し始めていた。
ここから先は私たちのターンで終わらせてあげる。
シーツが嫌な冷や汗で肌に張りつき、わずかに体を動かすだけで肋骨の奥が鋭くきしんだ。
けれど、この数時間の強制的な睡眠が、思った以上に体力を底上げしてくれているのを感じる。
夢見は最悪だった。
あのコンテナの闇、鎖の冷たさ、尊厳を踏みにじる重みと嘲笑。
すべてが鮮明に蘇り、胸の奥を抉った。
でも、おかげで私は「原点」を再確認できた。
あの地獄を生き延びた自分。
髪が白く変わり、魂が砕け散ったはずの場所で、冷たい炎を灯した自分。
そして、今なすべきことを思い出した、
舞や少年少女を救い、組織を叩き潰すこと。
それは、今の私にとって、何よりの完治させるための最高の薬だった。
ベッド脇の棚に置かれたスマホが、「21:03」の無機質な数字を表示していた。
画面の光が、暗い病室をぼんやりと照らす。
その横に、一枚のメモが丁寧に折り畳まれて置かれていた。
玲奈の几帳面さが滲み出た、端正で力強い文字。
『突入は綾の代わりに私がやるから。戻るまで大人しく体を休めてなさい。
絶対に、無茶はしないで。——玲奈 (予定24:00)』
最後の「絶対に、無茶はしないで」の一文に、玲奈の心配と苛立ちを感じる。
そして私への想いが詰まっているのがわかる。
……そう言われて止まる私じゃないのは知ってるでしょう?
全く私を置いて
パーティを始めないでほしいなって言いたい。
それでも、胸の奥が熱くなって暖かくなる。
みんなが、私を思って動いてくれてる。
そんな思いは受け取るだけにした。
警察の正規訓練じゃ、裏社会の潜入なんて教わらない。
私は櫻華流の裏も教えてもらっていた。
本来はおっしえてもらえる死角がなかったのだけど、あの人の口添えで特別に教えていただいた。
基本は潜入等で、暗殺とかそういうのは教えてもらえなかった。
あくまでも探偵で必要になる技術だけだった。
玲奈を危険な場所に行かせるなんて、絶対にできない。
私自身な気持ちとして、玲奈の親父さんに顔向けできないじゃん。
親父さんが生きていたら、きっと仕方ないなぁって笑って許してくれて、
私と一緒に飛び込んでいきそう。その人と一緒に。
潜入調査なんて上にばれたら始末書どころじゃなく下手したら解雇になってしまう。
そんなことはさせられない
私はテーピングの端を指先で確かめた。ベッドの柵を強く掴んで、ゆっくり上体を起こす。
肋骨の奥が軋んだ。息を吸うたびに、鋭い痛みが走る。
でも、今は痛みは味方だと思う。
良い気づけ薬になってる
体が動くってことは戦える状態だって言ってたあっけ?
不意に胸の奥で、得体の知れない恐怖が疼く。
十年前のコンテナの闇を思い起こさせる、冷たく粘つく感覚。
だけど、これは悪いものじゃない。
師匠に言われた言葉が、耳の奥でよみがえる。
恐怖は感じていいんだよ。だけど、必要以上には感じたらダメ!
さんざん言われたよね。
あのネコミミ師匠には。
当時は理屈なんて掴めなかったし、意味が解らなかった。
ただ繰り返し、繰り返し、現場で教えてもらった。
今なら、痛いほど分かる。
恐怖は神経を研ぐための砥石で警戒心を養ってくれる。
怯えすぎれば動きも鈍くなるけど。
きちんと感じればこれほど心強い物もない。
私は肩の筋肉を一つずつ、丁寧にゆるめて深く息を吐いた。
裸足の裏で、冷たい床の感触を確かめる。
指先がわずかに震えるのを、拳を握って抑え込んでみた。
さて……行こうか。
銀髪を軽く払って、ベッドから降り立つ。
病室の闇が、私の影を長く伸ばした。
玲奈たちの突入予定は24:00だったよね。
うん、まだ時間はある。
(病院廊下・夜21:30)
病室のドアを、数センチだけそっと押し開ける。
隙間から漏れる廊下の灯りは、蛍光灯の冷たい白だった。
壁に沿って伸びる淡い光が、床のワックスを鈍く反射していた。
薄い氷の膜みたいに滑らかだった。
そういえばむかし、アイススケートのように滑って遊んだことがあったのを思い出していた。
空気には消毒液の鋭い匂いが立ち込めていて、病院は好きになれないなぁ。
寝てるのも暇だしね。
遠くでナースステーションのモニターが、ピッ、ピッと規則正しく鳴っている。
巡回の足音が、ゆっくり近づいては遠ざかっていた。ゴム底が廊下を叩いていた。
私はその間隔を、息を潜めて測った。
スリッパの底を床に滑らせるようにして、かかとをわずかに浮かせるて音を殺して歩き出した。
背後の非常階段へ、影みたいに滑り込む。
途中、ストレッチャーの硬い車輪が軋む音が近づいてきていた。
金属の冷たい響きが、壁を伝って迫ってくる感じ。
おかげさまで扉を開けれなかったのが痛い。
それでもあと少し遅かったらばれていたかも。
私はすぐに自販機の脇の暗がりへ身を寄せた。
自動販売機の淡いブルーの光が、顔の輪郭をぼんやり浮かび上がらせる。
呼吸を一拍だけ止める。心臓の鼓動さえ、抑え込むように努力をした。
自分の存在を廊下の景色に溶かす。櫻華流の幻歩の応用を行った。
視界の端を、白衣の影がゆっくり通り過ぎていく。
足音が十分に遠ざかり、角を曲がるのを待ってから、私はもう一度、動き出した。
進む先にエレベーターが見つけたので乗り込んだ。
扉が閉まる、その瞬間。
鏡に映った自分の姿を、ちらりと見た。
乱れた銀髪が蛍光灯の下で不気味に輝いて、蒼白な顔と重なって、幽霊みたいだなぁてっ突っ込みを入れた。
腫れた頬。痛みを堪える赤い瞳。
病衣の裾には、わずかな血の染み。
本当にひどい姿だと我ながら思うよ。
「……招かれざる客かもしれないけど、身だしなみだけは整えないとね」
小さく呟いて、銀髪を指でなでた。
鏡の中の自分が、薄く笑った。
痛みはあるけど、そのお陰で私の神経も研ぎ澄ましていた。
玲奈たちを危険な目に遭わせるわけにはいかない。
これは、10年前から続く私の事件だ。
玲奈たちに任せてあげるものか。
エレベーターが一階に着く。
扉が開き、夜の病院のロビーへ
私は、また闇の中へと溶け込んでいった。
そうして私は病院から脱出を完了した。
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