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【本編】第四章 the past (2年次10月末・bule drop後)
the past -7-
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「この写真は施設に一枚あるだけのはずなんだ。
けれど、これは新しく現像し直したものだ。
こんなこと、一般の人間に出来るだろうか?」
鷹司の言葉に、綾瀬は確かにと思い直す。
テーブルに置かれた写真は、小さな子供たちと先生と思われるエプロン姿の女性が数人写っていた。
年齢はバラバラだが、幼い鷹司と綾瀬が肩を並べて笑っている。
もし綾瀬が同じように教科書に写真を挟まれたとしたら、不安で仕方なかっただろう。
もしかしたら、そのまま鷹司のクラスに駆け込んでいたかもしれない。
「伊織、本当になにもなかったのか?」
鷹司に聞かれて、綾瀬は今日の出来事を思い出してみる。
あったといえば、暗幕の例の出来事だけであるーーーはずだった。
「んー……なんもない、気がするけど?」
「伊織、伊織が気にしていないだけで、もしかしたら何かあったかも しれないだろう?よく思い出してみるんだ」
「……って、言われてもさー」
うーん…とうなりながら綾瀬は朝から今までの出来事を話し始める。
「朝はいつもよりちょっと早く起きて、ほら、食パン切らせてたからさ、ジャージのままバイクでコンビニまでこっそりさ。
そしたら、反対車線の横断歩道に子供が飛び出してきてさ、トラックにひかれそうになってて。
まー、俺なら、簡単に、片手で受け止めるでしょ?
母親にもトラックの運転手にも凄い頭下げられてさ、あ、怪我もしてないし、どこもぶつけてないから安心して。
そのままコンビニによって、食パン買って。
帰りの途中で、こんどは植木鉢が上から降ってきて、もーびびった。
上からおばさんが、大丈夫か怒鳴るから、周りの窓も開いちゃって注目浴びちゃうし、両腕オッケー作って、その場を離れたけどさー。
その後、学校に着いてバイク置き場にバイクを置いて、体育館裏通ったら、今度は竹刀が飛んできて。
手元誤ったとかでさ、全くちゃんと握ってほしいよなあ。
剣道部の勧誘をなんとか断って、寮についたら貸してた雑誌が丁度戻ってきて、で、パン焼いてー、そんでもって退屈な授業に出るでしょ?
で、昼は中庭のあの事件ーーー」
「……綾瀬、朝のそれはなんかあったの内に入るんじゃないか?」
「えー?何で?」
「そんなに偶然重なるか?」
「重なるときは重なるっしょ?」
「伊織、戻ってきた雑誌は中を確かめたのか?」
「あ、まだ」
「見たほうがいいんじゃないか?」
「あ、そのまま来たから、カバン中、持ってる。今日ほんとは別の奴に回す予定だったし。あんなことがあったからさー…渡しそびれた」
買ったときの茶色の紙袋に入れて回していた2冊の雑誌は、茶色の紙袋に入れたまま戻ってきたのだ。
ちゃんと2冊入っているようだったし、いちいち中身を確認してはいなかった。
ちなみに1冊はメンズファッション雑誌、もう1冊はヘア雑誌だった。
買いはしないが読みたいというやつらに回していた。
「あれ?」
中身は重さも大きさも変わらないが、2冊とも貸した雑誌ではなかった。
2つともだいぶ古い雑誌だ。
1冊はスポーツ雑誌、もう1冊はゴシップ雑誌である。
しかも、ゴシップ雑誌は明らかに海外ものだ。
雑誌の2つともに、付箋がついている。
綾瀬はスポーツ雑誌を手にし、付箋の着いているページを開いた。
そして、目を見開く。
(これは………?!)
1人の少年がテニスをしている姿だった。
幼いけれども、その目には力を感じる。
どう見ても、目の前の久我の姿だった。
けれど、これは新しく現像し直したものだ。
こんなこと、一般の人間に出来るだろうか?」
鷹司の言葉に、綾瀬は確かにと思い直す。
テーブルに置かれた写真は、小さな子供たちと先生と思われるエプロン姿の女性が数人写っていた。
年齢はバラバラだが、幼い鷹司と綾瀬が肩を並べて笑っている。
もし綾瀬が同じように教科書に写真を挟まれたとしたら、不安で仕方なかっただろう。
もしかしたら、そのまま鷹司のクラスに駆け込んでいたかもしれない。
「伊織、本当になにもなかったのか?」
鷹司に聞かれて、綾瀬は今日の出来事を思い出してみる。
あったといえば、暗幕の例の出来事だけであるーーーはずだった。
「んー……なんもない、気がするけど?」
「伊織、伊織が気にしていないだけで、もしかしたら何かあったかも しれないだろう?よく思い出してみるんだ」
「……って、言われてもさー」
うーん…とうなりながら綾瀬は朝から今までの出来事を話し始める。
「朝はいつもよりちょっと早く起きて、ほら、食パン切らせてたからさ、ジャージのままバイクでコンビニまでこっそりさ。
そしたら、反対車線の横断歩道に子供が飛び出してきてさ、トラックにひかれそうになってて。
まー、俺なら、簡単に、片手で受け止めるでしょ?
母親にもトラックの運転手にも凄い頭下げられてさ、あ、怪我もしてないし、どこもぶつけてないから安心して。
そのままコンビニによって、食パン買って。
帰りの途中で、こんどは植木鉢が上から降ってきて、もーびびった。
上からおばさんが、大丈夫か怒鳴るから、周りの窓も開いちゃって注目浴びちゃうし、両腕オッケー作って、その場を離れたけどさー。
その後、学校に着いてバイク置き場にバイクを置いて、体育館裏通ったら、今度は竹刀が飛んできて。
手元誤ったとかでさ、全くちゃんと握ってほしいよなあ。
剣道部の勧誘をなんとか断って、寮についたら貸してた雑誌が丁度戻ってきて、で、パン焼いてー、そんでもって退屈な授業に出るでしょ?
で、昼は中庭のあの事件ーーー」
「……綾瀬、朝のそれはなんかあったの内に入るんじゃないか?」
「えー?何で?」
「そんなに偶然重なるか?」
「重なるときは重なるっしょ?」
「伊織、戻ってきた雑誌は中を確かめたのか?」
「あ、まだ」
「見たほうがいいんじゃないか?」
「あ、そのまま来たから、カバン中、持ってる。今日ほんとは別の奴に回す予定だったし。あんなことがあったからさー…渡しそびれた」
買ったときの茶色の紙袋に入れて回していた2冊の雑誌は、茶色の紙袋に入れたまま戻ってきたのだ。
ちゃんと2冊入っているようだったし、いちいち中身を確認してはいなかった。
ちなみに1冊はメンズファッション雑誌、もう1冊はヘア雑誌だった。
買いはしないが読みたいというやつらに回していた。
「あれ?」
中身は重さも大きさも変わらないが、2冊とも貸した雑誌ではなかった。
2つともだいぶ古い雑誌だ。
1冊はスポーツ雑誌、もう1冊はゴシップ雑誌である。
しかも、ゴシップ雑誌は明らかに海外ものだ。
雑誌の2つともに、付箋がついている。
綾瀬はスポーツ雑誌を手にし、付箋の着いているページを開いた。
そして、目を見開く。
(これは………?!)
1人の少年がテニスをしている姿だった。
幼いけれども、その目には力を感じる。
どう見ても、目の前の久我の姿だった。
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