異世界に召喚された猫かぶりなMR、ブチ切れて本性晒しましたがイケメン薬師に溺愛されています。

日夏

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本編

-204- 心晴らすのはいつも オリバー視点

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「おや、オリバー様のお口には合いませんでしたか?」

アサヒの手作りクッキーでお茶をしていると、タイラーから思ってもみない問いが私に届きました。
私が静かに食べているのが気になったのでしょうね。
なんたって、アサヒの手作りです。
本来なら、一番に褒めちぎっていそうなものです。

「そんなことはないよ。とても、美味しいと思う」
「ならなぜそんな顔を?」
「なぜって、それは───……」

「作ったアサヒに失礼でしょう」
「あ……」

私が言い淀んでいると、タイラーから厳しいお叱りが飛んできました。
正論でしかないその言葉に、隣のアサヒへと恐る恐る目を向けると、アサヒは仕方なさそうな顔で笑ってきました。
私のこんな態度でも、怒ってはいなさそうです。

「お前には、また今度作るよ。ちゃんとさ」

そう言って慰めの言葉まで言ってくれました。
すると、お約束の様にタイラーから盛大なため息が吐かれました。

「オリバー様、独占欲もほどほどに」
「わかっているよ」

わかってはいるけれど、納得は出来ないことって世の中たくさんあるじゃないですか。
特別なのは私だけ。
いつも私が一番でありたい。

それに。
シリル君にあげるクッキーがアサヒの手作りではないおはぎの魔法のクッキーにする、それを決めたのは、私です。
こうやってアサヒが作ったのを皆で食べることの方がいくらかマシであるものの、渡さない選択はない、とアサヒにはっきり言われてしまった手前、あの魔法のクッキーはシリル君の手に渡るのでしょう。

おはぎの言う『ちょっぴり』とはどの程度なのか、私にはわかりません。
アサヒが願ったにしたって、運が良くなる魔法など、聞いたことがありません。

いえ、お菓子の文句としてはあるのですよ?
愛が伝わるキャンディだとか、美人になるゼリーだとか。
でもそれは、薔薇のエッセンスが入っていたり、肌に良いハーブを使っていたりするものです。
愛が伝わる魔法が付与されているわけでも、美人になる魔法が付与されているわけでもありません。

シリル君には私からもよくよく言っておかなければ。
ああ、でも彼は妖精と一緒にいるはず。
ならば、その彼と一緒に食べるように言えば、より人目を気にしてくれるでしょう。
そう思ったら、少し、ほんの少しだけ私の心配ごとも減るものです。


とは、いうものの。
心は晴れないのは事実。
こんなもやもやしている状態でも、植物たちは何一つ文句を言わないので助かります。


「なあ、そろそろ機嫌直せよ」
「………」

アサヒの影が目の前に落ちると同時、ほんの少し心配の色をのせて、両腕を回してきました。
普段、植物たちに話しかけているから、黙って手入れをしていることが気になったのでしょう。

ふんわりと甘い苺の香りが鼻を擽ってきます。
本当に可愛らしい。

抱きしめる割り合いは、私の方が圧倒的に多い。
こうやって後ろから抱きしめてくれるだけで、気分が上がってしまいます。
アサヒに対しては、単純だと私も思います。


「直りましたかー?」

笑いを含む問いかけは、もう、私の機嫌が良いことを知ってるのでしょうね。
アサヒは、何だか楽しそうに私の頭のてっぺんを顎でかくかくと遊んできます。


「まだ直ってはいないようです。直してください」

そう言ってアサヒの腕を取り、瞳を見つめた後故意に視線をアサヒの薄く美しい唇へと向ければ、
すぐにそれは私の唇へとふんわり合わさりました。

「…直ったか?」

口づけを落とされて、間近に問いかけてくるその吐息が、本当に甘い苺のようで。
でも、アサヒの言葉は真剣で、視線がほんの少しだけ揺らいでいるのを感じ、このままではいけないと思い立ちました。
意地をはるのもほどほどに、しなくては。
アサヒは、私が全部で愛しても、どう尽くしても、心の奥底で、やがて私から終わりが来ると思っている。
そんなはずは、絶対にありません。
未来永劫くることはありません。
それなのに。

こうして私が笑えば、安心したように嬉しそうな笑みを見せてくれるのも。
本当は、誰にも見せたくないほど私は心が狭いのです。
いつか、あなたのその心の奥底にある不安が、砂の粒ほどもなくなりますようにと願う。

「もっとください」
「ははっ……しょうがねえなあ」

しょうがない、なんて言いながら嬉しそうなその笑顔が本当に可愛らしい。
とても、愛おしいと思います。



アサヒが応えてくれるから、本気で嫌がることをしないから。
だからつい、つけ上がってしまいました。
誰もいない温室で、土の香りと緑の植物に囲まれながら、たっぷりとアサヒを可愛がってしまった。
久しぶりに目にしたアサヒのスプラッシュは、瑞々しく甘い香りを放つ、素晴らしく美しい噴射でした。

息も耐え耐えにさせてしまいましたが、アサヒは言葉では色々言いながらも従順に私の思いに応えてくれました。
アサヒもまんざらでもない様子。
普段よりとても興奮してくれたので、こうして自分の熱が冷めるのを待つ、という結論を下すことになっても十分満足しています。

『……しねーの?』なんて、可愛く問われてしまうと、私の理性もぐらっと傾いてしまいます。
ですが、アサヒの身体が一番大事です。
ここで私が抱いてしまえば、奥深く欲してしまう。
身ごもっているアサヒに、それは負担なだけでしょう。

ポーションも、ありませんしね。
アサヒは気が付いているでしょうか?
いないでしょうね。
アロエだけで中を潤し、この場では産道を開きはしなかったことを。
元々行為自体に慣れていたアサヒは、後ろで快楽を追うことを知っていました。

ここで産道を開いてしまっては、衛生上良くないでしょう?


「……そんなに見ないでください」
「あんだけ俺の見てたくせに何言ってんだ」

私の中々静まらない股間をじっと見つめるアサヒに白旗を立てると、もっともな答えがすぐに返ってきました。
そうでしょうとも、ええ、明るい太陽の下、しっかりとこの目に焼き付けておきましたとも。
ああ、せっかく静かになりそうであったのに。

「私の忍耐力はそこまで強くないんですよ」
「ぶはっ……知ってる」

本当に、本当に困ってしまって情けない声を上げると、アサヒはとても楽しそうに笑ってくるのでした。
私の心を晴らすのは、いつだってあなたですよ、アサヒ。
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