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本編
-65- コントロールの必要性
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「アサヒ」
「…はい」
やべー、タイラーがめちゃくちゃ怖えー…と思ったが、逃げ腰に返事をした俺に、タイラーはへにょっと眉を下げてくる。
あー、怒ってはいないらしい。
「怒っているわけではありません。
ですが、そうオリバー様の好き勝手にさせずとも良いのですよ。
昼間はうまく手綱を握ってるではありませんか。
夜も、もう少しうまくコントロールしてください」
手綱を握ってる、コントロール。
すげー言われようだ。
だが、まあ、タイラーの言いたいことはわかる。
再びベッドにのせてもらい、温かい濡れタオルを渡されたので太腿と尻を拭うと、目を丸くされた。
なんだ?
あ……やべえ、これ、洗顔替わりだったかもしれねえ。
そもそもこっちじゃ洗うより、浄化が殆どだ。
朝のこういった洗顔のタオルやなんかは、心遣いだ。
つい、元いた感覚で拭ってしまった。
無言の小さな沈黙が痛い。
「ごめん、タイラーつい」
「いえ…洗顔用は着替えた後でまたご用意します」
そう言って、俺の手から汚れた濡れタオルを取り上げ、下着を渡してくるので腕を通す。
上は自分だけで着れるが、下は流石に無理だった。
服を着るのに介助が必要なんて、老人にでもなった気分だ。
「昨日は…その、はじめてだったからで。
次から、あんま響かないように気をつける」
「はい、ぜひ、今夜からにでもそうしてください」
「今夜……」
今夜もやれんの?と思うとちょっと頬が熱くなる。
あ、やべえ、オリバーのあんな乱れた姿を思い出すと、すげーなんだか胸が熱くなる。
普段汗をかくことなんてほとんどしないもんな、息が乱れるようなことも。
髪を乱すこともしなけりゃ、あんな激しく腰を打ち付けるなんてことも……。
「アサヒ」
「…ありがと」
「いいえ」
再度渡された濡れタオルに顔を埋めると、少しだけ冷静さを取り戻したような気がした。
「アサヒ、そろそろ……ああ、起きましたか?
おはようございます。…気分は?体は、大丈夫ですか?」
ノックもせずに部屋に入るなり、おはぎとタイラーを綺麗に無視したオリバーは、なんだかキラキラとした笑顔を俺に向けたまま抱擁し、甘やかに聞いてくる。
口づけを落とされて、ふんわりと微笑まれる。
やべえ、なんだ?
昨日とあんまりかわってないこんな行動も、なんだかキラキラして見える。
えー…なんだ、これ。
あ、はじめての彼女と初めてのセックスした友人が、全部がキラキラしてんだー世界が輝いて見える、とかそんなこと騒いでたな、そういや。
え、じゃあ、俺はあんなふうに浮かれた感じに、タイラーやおはぎに見えてんのか?
「ん…、おはよう。気分はいい、体は…ん、大丈夫」
『大丈夫じゃない』
「大丈夫じゃありません」
俺の答えの後に、タイラーとおはぎがツッコミを入れてくる。
えー、や、立てないだけで痛くもねーし、大丈夫だけど?
「もしかして…立てませんか?」
「ははっ、うん、立てねえ」
「怒らないんですか?」
「何で?腹減った」
両腕を伸ばすと、すぐに抱き上げてくれる。
今日は甘えて運んでもらおう。
すげーらくちんだ、気分が良い。
ふふっと笑って、腕を緩めてオリバーを見ると、真っ赤になってる。
そんな赤くなることしてねえだろ?
いつも抱き上げようとしてきてるくせに、なに恥ずかしがってんだ?
「何でそんなに真っ赤になってんだよ?」
「アサヒが、可愛すぎて」
「?昨日と変わんないだろ?」
「いいえ、今朝は特別可愛……まあ、わからなくていいですよ」
「ふーん」
いつもと変わんねえのになあと思ったけど、タイラーだけじゃなくておはぎにも生暖かい目で見られた。
え、なんでおはぎにまで?
やっぱ…俺、すげー浮かれて見えてんのかな。
「…はい」
やべー、タイラーがめちゃくちゃ怖えー…と思ったが、逃げ腰に返事をした俺に、タイラーはへにょっと眉を下げてくる。
あー、怒ってはいないらしい。
「怒っているわけではありません。
ですが、そうオリバー様の好き勝手にさせずとも良いのですよ。
昼間はうまく手綱を握ってるではありませんか。
夜も、もう少しうまくコントロールしてください」
手綱を握ってる、コントロール。
すげー言われようだ。
だが、まあ、タイラーの言いたいことはわかる。
再びベッドにのせてもらい、温かい濡れタオルを渡されたので太腿と尻を拭うと、目を丸くされた。
なんだ?
あ……やべえ、これ、洗顔替わりだったかもしれねえ。
そもそもこっちじゃ洗うより、浄化が殆どだ。
朝のこういった洗顔のタオルやなんかは、心遣いだ。
つい、元いた感覚で拭ってしまった。
無言の小さな沈黙が痛い。
「ごめん、タイラーつい」
「いえ…洗顔用は着替えた後でまたご用意します」
そう言って、俺の手から汚れた濡れタオルを取り上げ、下着を渡してくるので腕を通す。
上は自分だけで着れるが、下は流石に無理だった。
服を着るのに介助が必要なんて、老人にでもなった気分だ。
「昨日は…その、はじめてだったからで。
次から、あんま響かないように気をつける」
「はい、ぜひ、今夜からにでもそうしてください」
「今夜……」
今夜もやれんの?と思うとちょっと頬が熱くなる。
あ、やべえ、オリバーのあんな乱れた姿を思い出すと、すげーなんだか胸が熱くなる。
普段汗をかくことなんてほとんどしないもんな、息が乱れるようなことも。
髪を乱すこともしなけりゃ、あんな激しく腰を打ち付けるなんてことも……。
「アサヒ」
「…ありがと」
「いいえ」
再度渡された濡れタオルに顔を埋めると、少しだけ冷静さを取り戻したような気がした。
「アサヒ、そろそろ……ああ、起きましたか?
おはようございます。…気分は?体は、大丈夫ですか?」
ノックもせずに部屋に入るなり、おはぎとタイラーを綺麗に無視したオリバーは、なんだかキラキラとした笑顔を俺に向けたまま抱擁し、甘やかに聞いてくる。
口づけを落とされて、ふんわりと微笑まれる。
やべえ、なんだ?
昨日とあんまりかわってないこんな行動も、なんだかキラキラして見える。
えー…なんだ、これ。
あ、はじめての彼女と初めてのセックスした友人が、全部がキラキラしてんだー世界が輝いて見える、とかそんなこと騒いでたな、そういや。
え、じゃあ、俺はあんなふうに浮かれた感じに、タイラーやおはぎに見えてんのか?
「ん…、おはよう。気分はいい、体は…ん、大丈夫」
『大丈夫じゃない』
「大丈夫じゃありません」
俺の答えの後に、タイラーとおはぎがツッコミを入れてくる。
えー、や、立てないだけで痛くもねーし、大丈夫だけど?
「もしかして…立てませんか?」
「ははっ、うん、立てねえ」
「怒らないんですか?」
「何で?腹減った」
両腕を伸ばすと、すぐに抱き上げてくれる。
今日は甘えて運んでもらおう。
すげーらくちんだ、気分が良い。
ふふっと笑って、腕を緩めてオリバーを見ると、真っ赤になってる。
そんな赤くなることしてねえだろ?
いつも抱き上げようとしてきてるくせに、なに恥ずかしがってんだ?
「何でそんなに真っ赤になってんだよ?」
「アサヒが、可愛すぎて」
「?昨日と変わんないだろ?」
「いいえ、今朝は特別可愛……まあ、わからなくていいですよ」
「ふーん」
いつもと変わんねえのになあと思ったけど、タイラーだけじゃなくておはぎにも生暖かい目で見られた。
え、なんでおはぎにまで?
やっぱ…俺、すげー浮かれて見えてんのかな。
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