異世界に召喚された猫かぶりなMR、ブチ切れて本性晒しましたがイケメン薬師に溺愛されています。

日夏

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本編

-97- 心無いやつにはなりたくない

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「先生は、どこまで鑑定出来てますか?」
「……言えん。だが、私には対処が出来ん」

言えないってことは、ある程度見えてるってことか。
やっぱな、この医者、人の鑑定がある程度出来る人なんだろう。
だが、口にすることで自分の身が危ぶまれることもある。

この世界には、魔法がある。
元の世界より、言葉の力っつーのは、ときに大きな作用をもたらすことも少なくない。

「それならば、イエスかノーかで答えていただけますか?
言いたくなければ言わなくて結構です」
「うむ……わかった」

「これには神殿が関わっていますか?」
「いきなりじゃな……答えたくないが答えじゃ」

イエスか。
まあ、だろうな。

「あなたは、医師ギルドには入っていますか?」
「イエス」
「医師ギルドは、アリアナ教から恩恵を受けていますか?」
「イエス」
「アリアナ教とあなたは直接的な繋がりがありますか?」
「ノーじゃ。ただ、医師ギルドとアリアナ教は古くから繋がりがある。
上層部は切れないだろうよ、ただ下は誰がどう繋がってるかわからん」
「あなたは、誰かとの契約魔法を受けていますか?」
「イエス、じゃ。内容は言えん。舌が焼け落ちる」

契約魔法?
舌が焼け落ちるってなんだ、すげー物騒なんだけど。
そんな魔法が、一般に暮らしていてそうほいほい使われるのか?
口約束はともかく、契約書に残すんでもなくて?
約束破ったら針千本飲ませます、を実行させるみてえな話じゃね?
こっわ、どんなアレだ。

「契約魔法は、かける側が命令し、その命令を破るとペナルティが課せられます。
奴隷契約も似たようなものですね。
最悪命が亡くなるなんてものもありますが、体の一部を犠牲にすることが多いです」
「そんなん、日常的にあるのか?」
「一般的ではありませんね。裏に通じている者や、貴族に仕えている者などが稀に行われる行為です。
もしくは、うっかり貴族の秘密を知ってしまって、それが相手にバレた時なども行われるでしょうね。
契約魔法を受けていたとしても、必ずしも悪人ばかりとは限りませんよ」
「そっか…」

ってことは、この医者はなんとなくだが、うっかり貴族の秘密を知っちまったか、もしくは裏に通じているか、だ。
裏っつっても、この医者の場合は私欲じゃねえだろうが。
それに、長く生きてりゃ色々ある…かもしれない。

「あなたの属性は光ですか?」
「イエス」
「魅了は使えますか?」
「ノー」
「洗脳は出来ますか?」
「ノー」
「暗示は?」
「イエス。けがをした子供に、痛くない痛くないと言ったら、その場だけ痛くなくなる程度じゃ」

へえ、そんなことが出来るのか。
注射するときに、痛くねえぞーと言ったら痛くなくなるとか、薬飲ますときに、苦くないぞーと言えば苦くなくなるのか。
結構便利そうだけど、うっかり逆のこと言っちまったら大変だな、チクッとしますよーだとか、ちょっと苦いぞーだとか。
それはそれで、気を遣いそうだ。

「暗示や魅了は、一般的にはかけた本人にしか解けません。無理をすれば、精神が壊れてしまいます。
ですから、対処としてはその上から暗示を重ねる、という方法が思いつくのですが…難しいですか?」
「わしは、魔力量が12じゃ。お嬢ちゃんはいくつだ?」
「13です」
「厳しいですね……」

「無理なのか?」
「魅了や暗示は、対象者よりかける側の魔力が高くなければ失敗する可能性が高いんです。
勿論魔力が高くても、耐性のスキルを持っていれば、失敗することもあります」
「そっか……あっ!」
「どうしました?」
「や……なんでもない。ってか、家帰ってから話す」
「わかりました」

多分だが、俺が医者を仲間っつーか、信頼するものと認識すれば、魔力量は少しだけ上がる。
ただ、傍にいるだけで仲間の魔力が少し上がるっつーのは、今現在俺とおはぎしか知らないことだ。
少しって具体的にどれくらいだ?と聞いたことがあるが、大体本人の魔力量の20パーセントくらいらしい。
オリバーは、元が22だ。
俺の補正が入って26、調子が良ければ27だとおはぎが言っていた。
おはぎは補整まで見えるらしいが、そこはちゃんと隠してくれている。

裏番長っていうスキルのことを周りに言っちまったが、具体的にどういうスキルか、までは俺にしか言っていない。
ほんとに、おはぎは可愛い顔して、すげー出来るにゃんこだ。

ってことは、だ。
医者が12だっつーなら、満タン状態で臨めば、14を超える。
これは知れたら厄介だから、絶対に知らせたくない……が、俺が黙ってることで救えるもんも救えないってことにならないか?

それってすげー心無えやつじゃね?
なら、言っちまったほうが良いのかもしれない。
俺は、意を決して口を開いた。
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