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本編
-126- アサヒの欲しいもの オリバー視点
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「えー?マジで?米じゃん。すげー嬉しい!」
運ばれてきた料理に、今までになく嬉しそうに笑うアサヒの横顔が目に入りました。
米。
アサヒは米が好きなようですね。
米は南東地方で生産されている穀物で、帝都でも珍しいものなのですが。
「南東の農家さんから直接取り寄せてるんだ」
「へえ、じゃあやっぱり、米はこっちじゃあんまり普及はしてないのか」
「うん、ライスの方がまだ入ってるかな。カレー店がいくつかあるし」
「そっか。でもここに来たら食えるんだもんな」
「うん。気に入ってくれたら嬉しいな」
「うっま……」
「ふふっ、良かった」
本当に美味しそうにアサヒは食べています。
フレイが嬉しそうに笑ってから去っていく理由もよくわかります。
見ているだけで幸せになれるのは、アサヒだからでしょう。
「───オリバー……おい、見てないでお前も食えよ。じゃなくてさ」
見てないで食え、なんて言いながらも、アサヒはやめろとは言わないんですよね。
照れ隠しに、少し悪態をつくのはアサヒの癖なのだと思いますが、そんなことをされても可愛らしいだけです。
「はい、なんですか?ああ、アサヒが米が好きなら取り寄せましょう」
米は南東地方で生産されてますが、キャンベル商会に頼めば手に入るでしょう。
そこまで難しい話ではないはずです。
「じゃなくて」
「なんです?」
「米とライスの違いって何?元の世界じゃ、米もライスも言い方が違うだけで同じもんを指してたからさ」
米とライスが同じもの?
アサヒのいた世界には、ライスがなかったのでしょうか?
「ああ、米はこのように丸い小さな粒なのですが、ライスはもっと細長くて……そうですね、この米の2,3倍ほどの長さがあります。
もっとパラパラとしていて火を通しても粘り気は出ませんし、ぱさぱさしてます。味や香りに癖があって、正直私は苦手です。米は私も好きですよ」
「タイ米か」
「タイマイ?」
「あー……や、あっちの世界でも、似たのがあったからさ、“タイ米”っつって、別の国で作られてたもんなんだけれど、多分それと似てるやつだろうなって思って」
「マナトもカレーを食べに行ったときに、そんなこと言ってたわね」
コナーがマナト君を目に入れながら幸せそうに呟きました。
マナト君も米が好きなようですね。
にしても。
コナーは私のことを揶揄えないくらいには、マナト君を大切にしているように見えます。
「うん。旭さんのであってると思います」
「あーやっぱ?」
ということは、言い方が違うだけでアサヒの元いた世界にもライス自体はあったようです。
「はい。俺、食事は基本外なんで、色々な店に連れて行ってもらってるんですけど、ここって、元の世界と比べて凄く食べ物の種類が雑なんですよね」
「雑?」
「はい。例えばなんですけど、チーズなら、白いチーズだとか黄色いチーズだとか黒いチーズだとかっていうんです。
元の世界の様に、カマンベール、チェダー、ゴルゴンゾーラなんて名前もついてないし、ナチュラル、ハード、フレッシュもないんですよ。
果物もです。みかんは全部みかんだし、梨なんて、ラフランスもただの梨、なんですよ?
米もそうです、タイ米は別物になってますけど、品種によって、ササニシキ、あきたこまち、コシヒカリなんて名前はついてません。米は全て米です」
マナト君が納得いかないような顔をしていますが、ここで育った私には特に疑問に思うこともありません。
といいますか、そんなに名前がついていたら覚えるのが大変なのではないでしょうか?
お二人のいた世界は、凄く複雑そうです。
「あー……なるほど。そういやソフィアも、もちっとチーズだとか、かちかちチーズだとか、とろっとチーズだとか言ってたっけ」
アサヒが納得したように呟きますが、そこは納得してはいけません。
ソフィアはよく独自の言い方に変えてしまうことがよくあるのです。
「アサヒ、あれはそういう種類なのではなく、ソフィアがそう呼んでるだけです」
「ははっ、そっか」
アサヒが可笑しそうに笑った後、米を口へと運び、幸せそうな顔をしました。
これは、聞くまでもありませんね。
「コナー、米の取り寄せを頼めますか?」
「月一で少量でいいなら今受けるわよ?南東地方にいくつか取引先があるから購入をお願いするわ。
あっちは普通に米が主食だもの」
「助かります」
「あ、なら、土鍋か、魔法具の炊飯器があったほうが良いと思ます」
マナト君が提案をしてくれました。
土鍋……はないでしょうね、きっと。
普通の鍋はあったように思いますが。
ですが、コンロを独占するより魔法具の炊飯器があった方が良いでしょう。
毎日食べるものになるのですから、出来るだけ美味しいものをアサヒには食べて貰いたいものです。
「なら、値は張っても良いから、なるべく美味しく出来る炊飯器を頼めるかい?」
「はい」
マナト君は、あれだけ食に納得がいかないような顔をしていたので、元の世界の……つまり、アサヒの口にもあうだろう“美味しく”炊ける炊飯器を選んでくれるでしょう。
キャンベル商会は帝国内のものであったら大抵のものを取り扱っている大きな商会です。
無理は全くないはず。
米と一緒に届けてくれるでしょう。
そう言えば、コナーは最初から無理だ、と言わない人なんですよね。
やってみないと、試してみないと、そういう考え方をすることが商人に向いているのでしょうね。
私やアレックス、ユージーンもですが、無理なものは無理だ、と突っぱねてしまうことが多いです。
コナーの考え方に感化されて動かされることも今までありましたが、結果良かった方が多いですからね。
偶に……いえ、良く呆れもしますが、尊敬もしているのですよ。
「いいのか?」
「なにがです?」
「や、そこに金使っていいのかなって思って」
アサヒが、申し訳なさそうに聞いてきました。
普段とても男らしい考え方をするのに、物に対しては遠慮がちなアサヒです。
「アサヒは全然物を欲しがらないじゃないですか、私のお金で買うのだから問題ないでしょう?このくらい買わせてください」
「言う前に大体全部揃っちまってるじゃねえか、それも文句も言えない上等なもんが」
「そうですか?何かあれば遠慮なく言ってくださいね?」
「わかったわかった」
本当にわかってるのでしょうか?
今回の米だって、『ここに来たら食える』で納得していました。
普段食べられないのが残念だとも言いません。
本当に欲しいものがあるなら言って欲しいのですが、アサヒは物を欲しがらない。
私自身を欲しがってくれてはいますが。
……今、考えることじゃないですね。
ですが、これは今後もアサヒの言動には目が離せません。
「あなたもマナトも規格外よねえ」
コナーが愛しそうに呟きます。
ああ、マナト君も物を欲しがらないのですね。
一緒にこちらの世界に召喚されたのは、何もかも予定外のことが多かったようです。
人数も少なければ、こうして交流も出来ました。
レン君なんて初の闇属性ですからね。
彼もまた、外見とそぐわないほど素直で良い子でしたし。
「愛斗、俺、蓮君にはもう会ってるんだ」
「あ、渚から聞きました」
「渚に会ったのか?」
「はい、つい最近、街中でばったり。凄く元気で楽しそうにしてました」
「そっか、そりゃよかった。ってことは……渚は蓮君に会ったのか」
「はい。“蓮君が足りない”と沈んでいたら、家に連れて行って貰ったそうです」
「ははっ……そりゃよかった」
もう一人の神器様も幸せに暮らせているようです。
帝都にいるようですから会おうと思えば会えるはず。
アレックスに詳しい場所を聞くか経由するかで手紙を出せば叶いますが……立場的に難しいでしょうか。
相談してみるくらい、良いかもしれません。
「凄い興奮気味に、出会いの瞬間から、弾き語りをしてもらったことや、製菓を教えて貰う約束をするまでの話をほど細かく話してもらいました」
「あの子は……異常ね。でも、私もその“サイオシのレン君”に会ってみたくなったわ。あのアレックスが溺愛してるっていうんですもの」
確かに、アレックスがいつになく穏やかで優しく、ひと目で特別な存在だとわかるほどでした。
「来年以降なら会えると思いますよ」
レン君を帝都に連れてくるとなると、来年以降になるでしょう。
うちで集まるのも、それでも良いかも知れませんが、アレックスとレン君だけならまだしも、それ以上となると流石に予定を立てなければ。
ソフィアは兎も角タイラーがくどくど言ってくるのは目に見えています。
「そんなに待てないから、今月末エリソン侯爵領に行く予定に合わせて、店を予約しちゃったわ」
は?
「……またそんな。アレックスは領主ですよ?決算報告の直前ですし、魔法省だって忙しい時期でしょうに」
領主のアレックスですら自分中心に予定をたててしまうなんて。
流石コナーです、ああ、褒めてはいませんよ、呆れています。
「来月よりマシでしょ?あっちはぱっと移動出来るんだから、2時間3時間どってことないわよ。
ユージーンにも話して伝言頼んでるから、駄目ならすぐに言ってくるでしょ。久しぶりに4人で飲みましょ」
まさかの、4人……本気ですか?
「無理ですよ、急には。月末に観察したい植物がいくつかあるんです。丸3日間も開けたくありません」
近いと言えど、移動に一日掛かります。
家から馬車を借りることは簡単ですが、それだと、エリソン侯爵領に戻る事がわかってしまう。
実家に寄らないわけにはいかなくなりますし、アサヒの養父となった伯父上にも会わないわけにはいかなくなります。
そうなれば、5日間程必要になってしまいます。
「そんなこと、アレックスに頼めば移動に一日もかからないじゃない。一瞬よ、一瞬」
「……気が引けます」
「もう、使えるものは使いなさいよー、便利よー、アレ。仕事じゃなくてプライベートなら文句も何も出ないわ」
「アレックスは文句はないでしょうけれど。ええ、快く引き受けてくれるでしょうけれど」
アレックスは頼られ慣れています。
良くも悪くもです。
私も大分頼っていることが多いです。
仕事で頼るばかりですので、せめてプライベートでは立場や魔法目的とした頼み事はしたくない、そう思ってしまうのです。
「そんな便利な移動装置みたいなこと、私の都合が理由では頼みたくありません。あなたみたいに割り切れないんですよ」
運ばれてきた料理に、今までになく嬉しそうに笑うアサヒの横顔が目に入りました。
米。
アサヒは米が好きなようですね。
米は南東地方で生産されている穀物で、帝都でも珍しいものなのですが。
「南東の農家さんから直接取り寄せてるんだ」
「へえ、じゃあやっぱり、米はこっちじゃあんまり普及はしてないのか」
「うん、ライスの方がまだ入ってるかな。カレー店がいくつかあるし」
「そっか。でもここに来たら食えるんだもんな」
「うん。気に入ってくれたら嬉しいな」
「うっま……」
「ふふっ、良かった」
本当に美味しそうにアサヒは食べています。
フレイが嬉しそうに笑ってから去っていく理由もよくわかります。
見ているだけで幸せになれるのは、アサヒだからでしょう。
「───オリバー……おい、見てないでお前も食えよ。じゃなくてさ」
見てないで食え、なんて言いながらも、アサヒはやめろとは言わないんですよね。
照れ隠しに、少し悪態をつくのはアサヒの癖なのだと思いますが、そんなことをされても可愛らしいだけです。
「はい、なんですか?ああ、アサヒが米が好きなら取り寄せましょう」
米は南東地方で生産されてますが、キャンベル商会に頼めば手に入るでしょう。
そこまで難しい話ではないはずです。
「じゃなくて」
「なんです?」
「米とライスの違いって何?元の世界じゃ、米もライスも言い方が違うだけで同じもんを指してたからさ」
米とライスが同じもの?
アサヒのいた世界には、ライスがなかったのでしょうか?
「ああ、米はこのように丸い小さな粒なのですが、ライスはもっと細長くて……そうですね、この米の2,3倍ほどの長さがあります。
もっとパラパラとしていて火を通しても粘り気は出ませんし、ぱさぱさしてます。味や香りに癖があって、正直私は苦手です。米は私も好きですよ」
「タイ米か」
「タイマイ?」
「あー……や、あっちの世界でも、似たのがあったからさ、“タイ米”っつって、別の国で作られてたもんなんだけれど、多分それと似てるやつだろうなって思って」
「マナトもカレーを食べに行ったときに、そんなこと言ってたわね」
コナーがマナト君を目に入れながら幸せそうに呟きました。
マナト君も米が好きなようですね。
にしても。
コナーは私のことを揶揄えないくらいには、マナト君を大切にしているように見えます。
「うん。旭さんのであってると思います」
「あーやっぱ?」
ということは、言い方が違うだけでアサヒの元いた世界にもライス自体はあったようです。
「はい。俺、食事は基本外なんで、色々な店に連れて行ってもらってるんですけど、ここって、元の世界と比べて凄く食べ物の種類が雑なんですよね」
「雑?」
「はい。例えばなんですけど、チーズなら、白いチーズだとか黄色いチーズだとか黒いチーズだとかっていうんです。
元の世界の様に、カマンベール、チェダー、ゴルゴンゾーラなんて名前もついてないし、ナチュラル、ハード、フレッシュもないんですよ。
果物もです。みかんは全部みかんだし、梨なんて、ラフランスもただの梨、なんですよ?
米もそうです、タイ米は別物になってますけど、品種によって、ササニシキ、あきたこまち、コシヒカリなんて名前はついてません。米は全て米です」
マナト君が納得いかないような顔をしていますが、ここで育った私には特に疑問に思うこともありません。
といいますか、そんなに名前がついていたら覚えるのが大変なのではないでしょうか?
お二人のいた世界は、凄く複雑そうです。
「あー……なるほど。そういやソフィアも、もちっとチーズだとか、かちかちチーズだとか、とろっとチーズだとか言ってたっけ」
アサヒが納得したように呟きますが、そこは納得してはいけません。
ソフィアはよく独自の言い方に変えてしまうことがよくあるのです。
「アサヒ、あれはそういう種類なのではなく、ソフィアがそう呼んでるだけです」
「ははっ、そっか」
アサヒが可笑しそうに笑った後、米を口へと運び、幸せそうな顔をしました。
これは、聞くまでもありませんね。
「コナー、米の取り寄せを頼めますか?」
「月一で少量でいいなら今受けるわよ?南東地方にいくつか取引先があるから購入をお願いするわ。
あっちは普通に米が主食だもの」
「助かります」
「あ、なら、土鍋か、魔法具の炊飯器があったほうが良いと思ます」
マナト君が提案をしてくれました。
土鍋……はないでしょうね、きっと。
普通の鍋はあったように思いますが。
ですが、コンロを独占するより魔法具の炊飯器があった方が良いでしょう。
毎日食べるものになるのですから、出来るだけ美味しいものをアサヒには食べて貰いたいものです。
「なら、値は張っても良いから、なるべく美味しく出来る炊飯器を頼めるかい?」
「はい」
マナト君は、あれだけ食に納得がいかないような顔をしていたので、元の世界の……つまり、アサヒの口にもあうだろう“美味しく”炊ける炊飯器を選んでくれるでしょう。
キャンベル商会は帝国内のものであったら大抵のものを取り扱っている大きな商会です。
無理は全くないはず。
米と一緒に届けてくれるでしょう。
そう言えば、コナーは最初から無理だ、と言わない人なんですよね。
やってみないと、試してみないと、そういう考え方をすることが商人に向いているのでしょうね。
私やアレックス、ユージーンもですが、無理なものは無理だ、と突っぱねてしまうことが多いです。
コナーの考え方に感化されて動かされることも今までありましたが、結果良かった方が多いですからね。
偶に……いえ、良く呆れもしますが、尊敬もしているのですよ。
「いいのか?」
「なにがです?」
「や、そこに金使っていいのかなって思って」
アサヒが、申し訳なさそうに聞いてきました。
普段とても男らしい考え方をするのに、物に対しては遠慮がちなアサヒです。
「アサヒは全然物を欲しがらないじゃないですか、私のお金で買うのだから問題ないでしょう?このくらい買わせてください」
「言う前に大体全部揃っちまってるじゃねえか、それも文句も言えない上等なもんが」
「そうですか?何かあれば遠慮なく言ってくださいね?」
「わかったわかった」
本当にわかってるのでしょうか?
今回の米だって、『ここに来たら食える』で納得していました。
普段食べられないのが残念だとも言いません。
本当に欲しいものがあるなら言って欲しいのですが、アサヒは物を欲しがらない。
私自身を欲しがってくれてはいますが。
……今、考えることじゃないですね。
ですが、これは今後もアサヒの言動には目が離せません。
「あなたもマナトも規格外よねえ」
コナーが愛しそうに呟きます。
ああ、マナト君も物を欲しがらないのですね。
一緒にこちらの世界に召喚されたのは、何もかも予定外のことが多かったようです。
人数も少なければ、こうして交流も出来ました。
レン君なんて初の闇属性ですからね。
彼もまた、外見とそぐわないほど素直で良い子でしたし。
「愛斗、俺、蓮君にはもう会ってるんだ」
「あ、渚から聞きました」
「渚に会ったのか?」
「はい、つい最近、街中でばったり。凄く元気で楽しそうにしてました」
「そっか、そりゃよかった。ってことは……渚は蓮君に会ったのか」
「はい。“蓮君が足りない”と沈んでいたら、家に連れて行って貰ったそうです」
「ははっ……そりゃよかった」
もう一人の神器様も幸せに暮らせているようです。
帝都にいるようですから会おうと思えば会えるはず。
アレックスに詳しい場所を聞くか経由するかで手紙を出せば叶いますが……立場的に難しいでしょうか。
相談してみるくらい、良いかもしれません。
「凄い興奮気味に、出会いの瞬間から、弾き語りをしてもらったことや、製菓を教えて貰う約束をするまでの話をほど細かく話してもらいました」
「あの子は……異常ね。でも、私もその“サイオシのレン君”に会ってみたくなったわ。あのアレックスが溺愛してるっていうんですもの」
確かに、アレックスがいつになく穏やかで優しく、ひと目で特別な存在だとわかるほどでした。
「来年以降なら会えると思いますよ」
レン君を帝都に連れてくるとなると、来年以降になるでしょう。
うちで集まるのも、それでも良いかも知れませんが、アレックスとレン君だけならまだしも、それ以上となると流石に予定を立てなければ。
ソフィアは兎も角タイラーがくどくど言ってくるのは目に見えています。
「そんなに待てないから、今月末エリソン侯爵領に行く予定に合わせて、店を予約しちゃったわ」
は?
「……またそんな。アレックスは領主ですよ?決算報告の直前ですし、魔法省だって忙しい時期でしょうに」
領主のアレックスですら自分中心に予定をたててしまうなんて。
流石コナーです、ああ、褒めてはいませんよ、呆れています。
「来月よりマシでしょ?あっちはぱっと移動出来るんだから、2時間3時間どってことないわよ。
ユージーンにも話して伝言頼んでるから、駄目ならすぐに言ってくるでしょ。久しぶりに4人で飲みましょ」
まさかの、4人……本気ですか?
「無理ですよ、急には。月末に観察したい植物がいくつかあるんです。丸3日間も開けたくありません」
近いと言えど、移動に一日掛かります。
家から馬車を借りることは簡単ですが、それだと、エリソン侯爵領に戻る事がわかってしまう。
実家に寄らないわけにはいかなくなりますし、アサヒの養父となった伯父上にも会わないわけにはいかなくなります。
そうなれば、5日間程必要になってしまいます。
「そんなこと、アレックスに頼めば移動に一日もかからないじゃない。一瞬よ、一瞬」
「……気が引けます」
「もう、使えるものは使いなさいよー、便利よー、アレ。仕事じゃなくてプライベートなら文句も何も出ないわ」
「アレックスは文句はないでしょうけれど。ええ、快く引き受けてくれるでしょうけれど」
アレックスは頼られ慣れています。
良くも悪くもです。
私も大分頼っていることが多いです。
仕事で頼るばかりですので、せめてプライベートでは立場や魔法目的とした頼み事はしたくない、そう思ってしまうのです。
「そんな便利な移動装置みたいなこと、私の都合が理由では頼みたくありません。あなたみたいに割り切れないんですよ」
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