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本編
-188- 夫として オリバー視点
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「オリバー様───」
「アサヒの妊娠のことだろう?」
扉が閉まるや否や、タイラーが私の名前を呼びました。
『オリバー様へ確認することがありますから』等と呟き、もうその時点で私は『わかってるよ』と言いたい気持ちをぐっと堪えたものです。
『おはぎさんにも一緒に確認をしたいので』とアサヒに伝えたタイラーはどれだけ自分の勘に自信があるのでしょう?
妊娠しているかしていないかはまだ伝えていないのにも関わらず、先におはぎも一緒に、等とと言い出す始末です。
ええ、実際妊娠しているので、おはぎは必要なのですが……少し、いいえ、大いに納得いかなかっただけです。
『おはぎも?』
『ええ、そうですね』
『アサヒはそれをもって夕飯の相談へソフィアのところに行かれるのでしょう?』
『ああ、うん。今日も夕飯手伝うつもりだ』
『でしたらその間だけで済むことですから』
タイラーにそう言われたアサヒは、おはぎを呼び出しました。
分かってるだろうに、『なーに?アサヒ』などとアサヒの足にまとわりつくおはぎにはイラッとしますが、アサヒはそんなおはぎが可愛いのでしょう。
頭を撫でながら、『夕飯までタイラーと居てくれ。おはぎに聞きたいことがあるんだって』と優しく伝えていました。
『ん!』と良い子な返事をした後で、私を見で勝ち誇ったような顔を向けるので、本当に気に食わない妖精です。
ただ、まあ、アサヒをちゃんと守っていますからね。
人外のレベルなそれは勿論規格外に頑丈です。
その点では、感謝もしているんですよ、これでも。
「タイラーの言う通り、してたよ」
「っ!ええ、そうでしょうとも!」
「男児の、双子らしい」
「双子?!ああ、それはとても喜ばしいことですね!おめでとうございます」
「ありがとう。ちょっと、タイラー?ちょっと待ってくれ」
「何がです?」
タイラーはというと、こうしてはいられないような有様です。
すぐにでも周りに言い出しそうなタイラーを止めると、嬉しそうな顔で私を見てきました。
なんだか、タイラーの孫でも生まれたような……いいえ、曾孫でしょうか、年齢的に。
どうでもいいですが、かなりの浮かれ様です。
「まだ、周りに伝えるのは待ってくれ。アサヒ自身にもだ」
「何故です?早い方が良いでしょう、神器様なのですから、五体満足、安産は確定されているも同然のこと。まして、双子であればそれなりの乳母が必要でございます」
「それはそうだろうけれど、医者が言うには冷えだけ気をつければ特にこれといってまだ何も特別なことはいらないと言っていたんだ。必要以上に制限をかけたくないんだよ」
「……オリバー様、それはご自身の願望では?」
「や、本当にそう言っていたんだ。寧ろ、たくさん致せと」
「は?」
「神器様だから、だそうだよ。子供にも私の魔力を取られるから絶やさず満たしてあげろと言われたくらいだ」
「……おはぎさん、それは、本当ですか?」
何故そこでおはぎに聞くんだ!?と言いたい気持ちをぐっと堪え、まんまるな目をしてタイラーを見上げたおはぎを
見おろします。
『……本当。オリバー、今回、嘘ついてない』
「……そうですか」
私とタイラーが固唾をのみおはぎを見おろしますと、柄にもなくおはぎは少したじろぐような仕草をしてから答えてきました。
今回とはなんです、今回とは!
まるで私がいつもは嘘をついているようではありませんか。
本当にこの妖精は私に対して一言多いか、逆に誤解されるほど少ないかのどちらかですね。
ですが、まあ、今回は、タイラーが納得してるので良しとしておきましょう。
主の私よりおはぎを信用されるというのも、情けない気持ちになりますが……言えば、日ごろの行いのせいだと言われるだけでしょう。
それはそれで、虚しいようなやるせないような。
こんな性格なのでなかなか根本から改めるというのも限度があるのです。
アサヒが来て、少しは解消されてきたとこれでも自負しているのですが。
「おはぎさん、いつも使っている美味しくなる魔法は、美味しくなるだけですか?か」
『美味しくなる魔法、美味しくなる。おはぎ、嘘つかない』
「そうですか」
言い方に私へ対する棘がありますが、やはり美味しくなる魔法は、美味しくなる効果のようですね。
具体的には、その物が持つ鮮度の問題なのでしょう。
「アサヒ、おはぎの加護ある。大丈夫」
「それは、お茶や薬やアルコールも気にせず摂取してもよいと言うことでしょうか?」
「……おはぎ外にいる時、アサヒの魔力ちょっとだけ使う」
「ならば、やはり控えた方が良さそうですね」
「……アサヒ、まだ知らない」
「そうでしょうね」
知ったら、アサヒなら言ってくれるでしょう。
「もうすぐ気づく、それまで内緒」
「特訓とやらも続けるのですか?」
「おはぎと一緒、大丈夫!」
「……わかりました。それまでご実家へお伝えするのも待ちましょう。ですが、ソフィアには話して置いた方が良いですね」
「アサヒの妊娠のことだろう?」
扉が閉まるや否や、タイラーが私の名前を呼びました。
『オリバー様へ確認することがありますから』等と呟き、もうその時点で私は『わかってるよ』と言いたい気持ちをぐっと堪えたものです。
『おはぎさんにも一緒に確認をしたいので』とアサヒに伝えたタイラーはどれだけ自分の勘に自信があるのでしょう?
妊娠しているかしていないかはまだ伝えていないのにも関わらず、先におはぎも一緒に、等とと言い出す始末です。
ええ、実際妊娠しているので、おはぎは必要なのですが……少し、いいえ、大いに納得いかなかっただけです。
『おはぎも?』
『ええ、そうですね』
『アサヒはそれをもって夕飯の相談へソフィアのところに行かれるのでしょう?』
『ああ、うん。今日も夕飯手伝うつもりだ』
『でしたらその間だけで済むことですから』
タイラーにそう言われたアサヒは、おはぎを呼び出しました。
分かってるだろうに、『なーに?アサヒ』などとアサヒの足にまとわりつくおはぎにはイラッとしますが、アサヒはそんなおはぎが可愛いのでしょう。
頭を撫でながら、『夕飯までタイラーと居てくれ。おはぎに聞きたいことがあるんだって』と優しく伝えていました。
『ん!』と良い子な返事をした後で、私を見で勝ち誇ったような顔を向けるので、本当に気に食わない妖精です。
ただ、まあ、アサヒをちゃんと守っていますからね。
人外のレベルなそれは勿論規格外に頑丈です。
その点では、感謝もしているんですよ、これでも。
「タイラーの言う通り、してたよ」
「っ!ええ、そうでしょうとも!」
「男児の、双子らしい」
「双子?!ああ、それはとても喜ばしいことですね!おめでとうございます」
「ありがとう。ちょっと、タイラー?ちょっと待ってくれ」
「何がです?」
タイラーはというと、こうしてはいられないような有様です。
すぐにでも周りに言い出しそうなタイラーを止めると、嬉しそうな顔で私を見てきました。
なんだか、タイラーの孫でも生まれたような……いいえ、曾孫でしょうか、年齢的に。
どうでもいいですが、かなりの浮かれ様です。
「まだ、周りに伝えるのは待ってくれ。アサヒ自身にもだ」
「何故です?早い方が良いでしょう、神器様なのですから、五体満足、安産は確定されているも同然のこと。まして、双子であればそれなりの乳母が必要でございます」
「それはそうだろうけれど、医者が言うには冷えだけ気をつければ特にこれといってまだ何も特別なことはいらないと言っていたんだ。必要以上に制限をかけたくないんだよ」
「……オリバー様、それはご自身の願望では?」
「や、本当にそう言っていたんだ。寧ろ、たくさん致せと」
「は?」
「神器様だから、だそうだよ。子供にも私の魔力を取られるから絶やさず満たしてあげろと言われたくらいだ」
「……おはぎさん、それは、本当ですか?」
何故そこでおはぎに聞くんだ!?と言いたい気持ちをぐっと堪え、まんまるな目をしてタイラーを見上げたおはぎを
見おろします。
『……本当。オリバー、今回、嘘ついてない』
「……そうですか」
私とタイラーが固唾をのみおはぎを見おろしますと、柄にもなくおはぎは少したじろぐような仕草をしてから答えてきました。
今回とはなんです、今回とは!
まるで私がいつもは嘘をついているようではありませんか。
本当にこの妖精は私に対して一言多いか、逆に誤解されるほど少ないかのどちらかですね。
ですが、まあ、今回は、タイラーが納得してるので良しとしておきましょう。
主の私よりおはぎを信用されるというのも、情けない気持ちになりますが……言えば、日ごろの行いのせいだと言われるだけでしょう。
それはそれで、虚しいようなやるせないような。
こんな性格なのでなかなか根本から改めるというのも限度があるのです。
アサヒが来て、少しは解消されてきたとこれでも自負しているのですが。
「おはぎさん、いつも使っている美味しくなる魔法は、美味しくなるだけですか?か」
『美味しくなる魔法、美味しくなる。おはぎ、嘘つかない』
「そうですか」
言い方に私へ対する棘がありますが、やはり美味しくなる魔法は、美味しくなる効果のようですね。
具体的には、その物が持つ鮮度の問題なのでしょう。
「アサヒ、おはぎの加護ある。大丈夫」
「それは、お茶や薬やアルコールも気にせず摂取してもよいと言うことでしょうか?」
「……おはぎ外にいる時、アサヒの魔力ちょっとだけ使う」
「ならば、やはり控えた方が良さそうですね」
「……アサヒ、まだ知らない」
「そうでしょうね」
知ったら、アサヒなら言ってくれるでしょう。
「もうすぐ気づく、それまで内緒」
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