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本編
-449- 物事の捉え方 アレックス視点
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「───なるほど」
俺は包み隠さず、条件のことも全てユージーンに話した。
レンを絶対に危険な目に合せない。
そのためには、ヴァンを表に立たせることはしないし、許したりしない。
その能力があろうが、地位があろうが、関係ないことだ。
扉一枚で繋げるのは、レンの日常をみすみす危うい状態にしていないか。
や、しているんだが……条件が守られる限り、それは安全と言えるだろう。
本当か?
セオは兎も角、ヴァンは条件を守り切れるんだろうか。
だが、レンだって浅はかではない。
ヴァンの性格やセオの性格ですら、俺よりずっと理解して良そうな気がする。
レンは、神器様だが、侯爵夫人だ。
俺がいない間はレンが家を守る立場であり、家とその使用人の環境改善は夫人の仕事だ。
家にもよると思うが、全てにおいて俺の許可がいるかと言えば、一般的な考えとしては首をかしげるところだ。
だが、セバスもセオも勿論レンも、俺の考え方をよくわかっていた。
「うーん……と、そうだね───」
ユージーンは、考えるそぶりを見せるが、俺の様に深刻な顔をしているわけじゃなかった。
例えて言うなら、『今日の夕飯は何にしようか』くらいの程度に見える。
ユージーンの考え方は、俺と大分違う。
失敗のことなどほとんど気にせず試すと言うし、やって駄目なら次の手を探すと言っていた。
やりたいことがあったらやる、やりたくないならやらなくてすむ方法を見つける。
だがそれも、時間があるなら、の話なんだろう。
なんだかんだ言ってユージーンは人が好きなのだろうと思う。
だましだまされたりする貴族間のやり取りはまっぴらごめんだと思うが、同じ魔法士同士、ああでもないこうでもないと議論するときは楽しそうにしている。
仕事に関しては、頼られることにも、相談事にも、話を聞く前にむげにしない性格だ。
そういうユージーンだからこそ、今回のことに対して意見を聞いてみたいと思った。
「ごめん。まず、僕にはこれだけの条件を与えておいて、なにが問題なのかがよくわからない。
あの邸のセキュリティーと使用人の能力と君がそばにいて、その上さらにあのピアスだ。それでもレン君を危険にさらす状況が考えられない」
「……そうだろうか」
「そうだろう?え?待って待って、君さ───。えーと、とりあえずレン君は置いておいて───」
「や、レンありきの話だ」
「わかってるよ、わかってる君が言いたいことは。だけど僕の話もちょっと聞いてよ」
「すまん」
「や、あやまる必要はないけれど、それでね?そもそもレン君がいなかったときと比べてみてよ。アレックス、君自身が一人で家にいる時そんなガチガチに周りを固めていたとは思えないんだけれど、どうなんだい?」
「あの家のセキュリティは完璧だ」
「だろう?君にとって安全な家が、レン君にとったら危険になるのかい?そうじゃないだろう?
それとも新しい使用人の中にレン君を手籠めにかけようなんて考えの輩がいたりするのかい?」
「それはないはずだ。思ってもいない」
信用できないような使用人はいない。
新人においても、だ。
新人の4人はこころから信頼できるかといったら嘘になるかもしれない。
だが、自分でも驚いているくらいするりと言葉が出た。
ということは、俺にとって新人4人はすでに『信頼に値する』人間なのだろう。
人を疑ってかかる人間だと言うことを我ながらよく理解していたつもりだ。
もう少し年月を必要とすると思っていた。
勿論、セオの代わりにレンの傍へと願えるほどは思っていないが、普段生活をしていく上で疑心暗鬼にとらわれる者などいない。
俺が俺自身に少し驚いていると、ユージーンは大きなため息をついた。
「君がレン君をいかに大切にしているかはよーくわかったよ。
君はレン君をどれだけ失いたくないのかもね。
とりあえず結論から言うと、それだけの条件をつけて扉と扉をつなげることにレン君の安全面では問題はないはずだ、僕から見てもね。
外部ならともかく、敷地内の使用人と使用人の、それも夫夫同士だ」
「……そうか」
問題がおきてからでは遅い。
セバスも渋るくらいだ。
俺もレンからお願いされなかったら脚下したものを覆すことなどしなかったはずだ。
「ただね、彼らだけ部屋を繋げているわけだろう?他の使用人と贔屓にならないかな、とそこは思うよ」
「使用人同士が結婚したのはあいつらが初めてだ」
「うん、まあ、うん、そうだろうね。
でもさ、扉と扉を繋げられるんだろう?離れた場所と場所を簡単に繋げられるんだ。
使用人の中には、外に妻子を持っている人だっているだろう?
扉一枚で直ぐに会える手段があったら、自分も───と思わないかい?」
「思うだろうか」
「うーん……少なくとも僕が使用人だったら、贔屓に思う」
「………わかった」
貴族の中には、使用人同士が結婚した時に敷地内へ家を与えたという話を聞いていた。
それと比べたら、扉と扉を繋げることは手段は突飛であれど、そう特別なことでもないはずだ。
だが、ユージーンの言うように、外に妻子を持つ使用人はいる。
住み込みの使用人ばかりだし、新人に限っては今は通いでも来年になれば住み込みを条件としている。
家族が侯爵邸を訪れることはよっぽどのことだし、会いたいから来た、という理由で訪れるような非常識な家族をもつ使用人はいない。
だが、会いたいと思ってもそうすぐに会えるものでもないのは事実だ。
今まで使用人の家族まで気にしたことはなかった。
言えない状況を作っていたのは俺なのかもしれない。
レンが来て、少しずつ状況は良くなっていると思っている。
だが、まだ足りないのかもしれない。
「あのさ、まさかと思うけれど、レン君って普段ひとりになることがない、なんてことはないよね?」
「基本ないな」
「え?!ひとりの時間がないのかい?」
「ない。ああ、俺の帰りが遅い時に先に寝る時はひとりになるか」
「嘘だろ?君さあ……あーもう!そっちのほうが大問題だよ!」
ユージーンの勢いに思わず言葉が詰まってしまった。
俺には何が問題なのかさっぱりわからないが、『そっちの方が大問題だ』と言われるくらいの問題らしい。
ユージーンの考え全てが正しいわけじゃないことはわかる。
だが、ひとつの意見としても聞かないわけにはいかない。
『大問題だ』などと言われて、は。
まして、友人の中では一番常識人だと思っている、ユージーンが、だ。
この感じは……説教タイムがはじまるな。
ユージーンからの説教を受ける場合、過去、毎回彼のほうが正しかった。
思わず、両手を膝の上に置く。
レンに関することだ。
過去一不安になっちまっても仕方ないだろう?
俺は包み隠さず、条件のことも全てユージーンに話した。
レンを絶対に危険な目に合せない。
そのためには、ヴァンを表に立たせることはしないし、許したりしない。
その能力があろうが、地位があろうが、関係ないことだ。
扉一枚で繋げるのは、レンの日常をみすみす危うい状態にしていないか。
や、しているんだが……条件が守られる限り、それは安全と言えるだろう。
本当か?
セオは兎も角、ヴァンは条件を守り切れるんだろうか。
だが、レンだって浅はかではない。
ヴァンの性格やセオの性格ですら、俺よりずっと理解して良そうな気がする。
レンは、神器様だが、侯爵夫人だ。
俺がいない間はレンが家を守る立場であり、家とその使用人の環境改善は夫人の仕事だ。
家にもよると思うが、全てにおいて俺の許可がいるかと言えば、一般的な考えとしては首をかしげるところだ。
だが、セバスもセオも勿論レンも、俺の考え方をよくわかっていた。
「うーん……と、そうだね───」
ユージーンは、考えるそぶりを見せるが、俺の様に深刻な顔をしているわけじゃなかった。
例えて言うなら、『今日の夕飯は何にしようか』くらいの程度に見える。
ユージーンの考え方は、俺と大分違う。
失敗のことなどほとんど気にせず試すと言うし、やって駄目なら次の手を探すと言っていた。
やりたいことがあったらやる、やりたくないならやらなくてすむ方法を見つける。
だがそれも、時間があるなら、の話なんだろう。
なんだかんだ言ってユージーンは人が好きなのだろうと思う。
だましだまされたりする貴族間のやり取りはまっぴらごめんだと思うが、同じ魔法士同士、ああでもないこうでもないと議論するときは楽しそうにしている。
仕事に関しては、頼られることにも、相談事にも、話を聞く前にむげにしない性格だ。
そういうユージーンだからこそ、今回のことに対して意見を聞いてみたいと思った。
「ごめん。まず、僕にはこれだけの条件を与えておいて、なにが問題なのかがよくわからない。
あの邸のセキュリティーと使用人の能力と君がそばにいて、その上さらにあのピアスだ。それでもレン君を危険にさらす状況が考えられない」
「……そうだろうか」
「そうだろう?え?待って待って、君さ───。えーと、とりあえずレン君は置いておいて───」
「や、レンありきの話だ」
「わかってるよ、わかってる君が言いたいことは。だけど僕の話もちょっと聞いてよ」
「すまん」
「や、あやまる必要はないけれど、それでね?そもそもレン君がいなかったときと比べてみてよ。アレックス、君自身が一人で家にいる時そんなガチガチに周りを固めていたとは思えないんだけれど、どうなんだい?」
「あの家のセキュリティは完璧だ」
「だろう?君にとって安全な家が、レン君にとったら危険になるのかい?そうじゃないだろう?
それとも新しい使用人の中にレン君を手籠めにかけようなんて考えの輩がいたりするのかい?」
「それはないはずだ。思ってもいない」
信用できないような使用人はいない。
新人においても、だ。
新人の4人はこころから信頼できるかといったら嘘になるかもしれない。
だが、自分でも驚いているくらいするりと言葉が出た。
ということは、俺にとって新人4人はすでに『信頼に値する』人間なのだろう。
人を疑ってかかる人間だと言うことを我ながらよく理解していたつもりだ。
もう少し年月を必要とすると思っていた。
勿論、セオの代わりにレンの傍へと願えるほどは思っていないが、普段生活をしていく上で疑心暗鬼にとらわれる者などいない。
俺が俺自身に少し驚いていると、ユージーンは大きなため息をついた。
「君がレン君をいかに大切にしているかはよーくわかったよ。
君はレン君をどれだけ失いたくないのかもね。
とりあえず結論から言うと、それだけの条件をつけて扉と扉をつなげることにレン君の安全面では問題はないはずだ、僕から見てもね。
外部ならともかく、敷地内の使用人と使用人の、それも夫夫同士だ」
「……そうか」
問題がおきてからでは遅い。
セバスも渋るくらいだ。
俺もレンからお願いされなかったら脚下したものを覆すことなどしなかったはずだ。
「ただね、彼らだけ部屋を繋げているわけだろう?他の使用人と贔屓にならないかな、とそこは思うよ」
「使用人同士が結婚したのはあいつらが初めてだ」
「うん、まあ、うん、そうだろうね。
でもさ、扉と扉を繋げられるんだろう?離れた場所と場所を簡単に繋げられるんだ。
使用人の中には、外に妻子を持っている人だっているだろう?
扉一枚で直ぐに会える手段があったら、自分も───と思わないかい?」
「思うだろうか」
「うーん……少なくとも僕が使用人だったら、贔屓に思う」
「………わかった」
貴族の中には、使用人同士が結婚した時に敷地内へ家を与えたという話を聞いていた。
それと比べたら、扉と扉を繋げることは手段は突飛であれど、そう特別なことでもないはずだ。
だが、ユージーンの言うように、外に妻子を持つ使用人はいる。
住み込みの使用人ばかりだし、新人に限っては今は通いでも来年になれば住み込みを条件としている。
家族が侯爵邸を訪れることはよっぽどのことだし、会いたいから来た、という理由で訪れるような非常識な家族をもつ使用人はいない。
だが、会いたいと思ってもそうすぐに会えるものでもないのは事実だ。
今まで使用人の家族まで気にしたことはなかった。
言えない状況を作っていたのは俺なのかもしれない。
レンが来て、少しずつ状況は良くなっていると思っている。
だが、まだ足りないのかもしれない。
「あのさ、まさかと思うけれど、レン君って普段ひとりになることがない、なんてことはないよね?」
「基本ないな」
「え?!ひとりの時間がないのかい?」
「ない。ああ、俺の帰りが遅い時に先に寝る時はひとりになるか」
「嘘だろ?君さあ……あーもう!そっちのほうが大問題だよ!」
ユージーンの勢いに思わず言葉が詰まってしまった。
俺には何が問題なのかさっぱりわからないが、『そっちの方が大問題だ』と言われるくらいの問題らしい。
ユージーンの考え全てが正しいわけじゃないことはわかる。
だが、ひとつの意見としても聞かないわけにはいかない。
『大問題だ』などと言われて、は。
まして、友人の中では一番常識人だと思っている、ユージーンが、だ。
この感じは……説教タイムがはじまるな。
ユージーンからの説教を受ける場合、過去、毎回彼のほうが正しかった。
思わず、両手を膝の上に置く。
レンに関することだ。
過去一不安になっちまっても仕方ないだろう?
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