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閑話
-1- 初デート クリスティーナ視点
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「見たことないスーツだ」
「初デートですから、お洒落しましょう」
「初デート!」
「でしょう?」
「確かにー」
ブルーノ様と実際にお会いするのは、今日で二回目となる。
お見合いから、十日が過ぎたところだ。
今日の午後から出かけませんか?とのお誘いがあったのだ。
迎えの馬車でブルーノ様が家まで来てくれるらしい。
夕食は、帝都にあるオースティン公爵邸にお呼ばれしている。
食事のマナーについて大分厳しく育てられたので、そこを不安に思うことがないのはよかった。
宰相閣下とご夫人とお会いするのは、流石に緊張はするけど。
でも、レヴも一緒に来てくれるから、だいぶ心強い。
見合い後、正式に俺はブルーノ様の婚約者となった。
今ブルーノ様も宰相閣下もとてもお忙しく、とにかく婚約だけでも先に決めてしまいたいようだった。
互いの家族に紹介をする前に、書面で早々と婚約だけ済んでしまった。
母様はその対応に少し不満げな様子だったが、とうの本人が全然気にしていないのだ。
なげやりになってはいないか、家のために我慢してはいないか、ちゃんとよく考えているのか色々聞かれた。
『クリスはそれで良いのね?』だとか『本当の本当に後悔しないわね?』だとか『一生を添い遂げる人よ?』と、何度も確認された。
それを煩わしいとは一切思わなかった。
ここで、『無理だ』と言ってしまっても相手が公爵家じゃ断れないだろうに、俺の気持ちを大切にしてくれたのがわかるから、なんだかとてもあたたかくなった。
『ちゃんと好きなので、大丈夫です』と告げると、やっと納得してくれたんだよな。
『おめでとう』と、笑顔で言ってくれた。
因みに、父上は上手くいったことにびっくりして、暫し言葉を失っていた。
そりゃそうだ、俺が一番びっくりしているくらいだ。
ご報告に上がった時には、二人して暫し無言で見つめ合ってしまい、レヴから指摘されてしまったくらいだ。
家同士の婚約とは別に、ブルーノ様から俺宛に手紙と一緒に花束と紅茶が届いた。
手紙には感動した。
や、文章自体は短いんだけれど、スチルでしか見たことなかった貴重なブルーノ様の恋文だ。
それが、なんと俺宛に来た上に、ゲームとは違って熱烈な文章でさ。
思わず真っ赤になって『ひえー!』って声をあげたくらいだ。
その声に、父上と母上が、何事かと部屋にやってきたんだよなあ。
レヴが、届いた手紙と花束と紅茶を俺に渡すところを、気になってそっと二人で伺っていたらしい。
修道院の時には二人に心配をかけてしまったし、お相手があのブルーノ様だったから心配だったんだろうな。
若干、婚約してもまだ心配されている気はする。
花束は美しい薄紫色のラナンキュラスと、白薔薇が5本入った花束だった。
レヴによると、『魅力的なあなたをお慕いしています』という意味らしい。
花言葉に疎い俺だが、花自体は綺麗だから好きだ。
自室の一番良く目にする場所に飾ってもらった。
紅茶は公爵家御用達のお店らしく、一緒に添えられたシュガーが花やうさぎ型でものすごく可愛らしかった。
互いに好きな食べ物だとか店だとかの話をしなかったが、ブルーノ様はなかなかセンスがいいらしい。
好きな食べ物の話はしなかったものの、ブルーノ様は甘いものが割と好きだということを、ゲームの知識で俺は知っている。
なかでも、チョコレートが好きだということも。
手作りクッキーに、課金で手に入るチョコチップを入れると、特別スチルが貰える件があったくらいだ。
ということで、俺は花束と紅茶のお礼に、チョコレートとハンカチを送った。
ハンカチにはものすごく小さい上にヘタクソなイニシャルの刺繍を入れて、だ。
ぎりぎりまで悩んだ末に勢いで送ってしまったが、もの凄く喜んでもらえたので良しとしよう。
だが、母様からは『お嫁に行くまでにイニシャルだけでも練習しましょう』と言われてしまった。
「前と同じスーツで良かったのに」
「流石に同じとはまいりません」
「うーん……ま、そっか。同じ服装で連続で会うのは失礼かな」
「お相手がお相手です。それに、このスーツは、フィオリーナ様がお選びになったものですよ」
「えー?帰る時には何も言ってなかったのにいつの間に……でも、ならこれにするよ。今日も頼んだ」
「お任せください」
今回のスーツも白が基調で、所々金糸の刺繍が施されている。
もちろんパンツスタイルだ。
けれど、ハイウエストでの細身なテーパードパンツだったり、ジャケットの裾が短めなのにウエストマークで裾がひらひらしていたりするので、だいぶ可愛らしいパンツスーツだ。
シャツとベストとクラバットは細身でぴったりすっきりしているので、いつもより首筋や腰が細く見えた。
普通の男性なら大分可愛らしすぎて合わないだろう。
けれど、男装令嬢であり、女な上にこの美少年顔。
似合っちゃっている、この上なく。
さすが、フィオリーナ姉上だ。
今日の髪型は、後ろで一本にまとめた編み込みらしい。
三つ編みじゃない。
上から途中までが、なんだか複雑に交差しているレヴ渾身の出来の編み込みスタイルだった。
「良くお似合いです」
「なんか今日のは凛々しいっつーより可愛いな。リハビリには丁度いいかも」
「そうですね。本日は二回目ですし、ご自宅へもお呼ばれしていますから」
「服装は自由で良いって聞いてるけど、やっぱ公の場で隣に立つのにはドレスが必要だもんなあ」
そうでないと、ブルーノ様が恥をかくだろう。
それに、そういった隙を見せたら、たとえ婚約中であろうとも、苦手としている“積極的なお嬢さん”からアプローチがかかってしまう。
「公の場といいますか、結婚式でウエディングドレスを着ないわけには……」
「それもある。ま、でも、籍はともかくさ、式の方がずっと先になるだろ?ブルーノ様も宰相閣下も忙しいっつってるんだし。早くても半年以上は先だろうしさ」
今すぐにでも結婚したいっていうブルーノ様は本気っぽかったし。
宰相閣下も、卒業を待たずでも、うちから通えば───なんて書かれてあったという。
二人ともめちゃくちゃ気が早い。
俺はまだお会いしてもいないのだけれど、ブルーノ様の様子がよっぽどだったのかもな。
「………」
「え?何?」
レヴの手元が一瞬止まった。
なんか、変なこと言ったか?
「いえ、なんでもございません。忙しいのは確かですし、時期もそのあたりになりそうですね」
「だろ?」
「初デートですから、お洒落しましょう」
「初デート!」
「でしょう?」
「確かにー」
ブルーノ様と実際にお会いするのは、今日で二回目となる。
お見合いから、十日が過ぎたところだ。
今日の午後から出かけませんか?とのお誘いがあったのだ。
迎えの馬車でブルーノ様が家まで来てくれるらしい。
夕食は、帝都にあるオースティン公爵邸にお呼ばれしている。
食事のマナーについて大分厳しく育てられたので、そこを不安に思うことがないのはよかった。
宰相閣下とご夫人とお会いするのは、流石に緊張はするけど。
でも、レヴも一緒に来てくれるから、だいぶ心強い。
見合い後、正式に俺はブルーノ様の婚約者となった。
今ブルーノ様も宰相閣下もとてもお忙しく、とにかく婚約だけでも先に決めてしまいたいようだった。
互いの家族に紹介をする前に、書面で早々と婚約だけ済んでしまった。
母様はその対応に少し不満げな様子だったが、とうの本人が全然気にしていないのだ。
なげやりになってはいないか、家のために我慢してはいないか、ちゃんとよく考えているのか色々聞かれた。
『クリスはそれで良いのね?』だとか『本当の本当に後悔しないわね?』だとか『一生を添い遂げる人よ?』と、何度も確認された。
それを煩わしいとは一切思わなかった。
ここで、『無理だ』と言ってしまっても相手が公爵家じゃ断れないだろうに、俺の気持ちを大切にしてくれたのがわかるから、なんだかとてもあたたかくなった。
『ちゃんと好きなので、大丈夫です』と告げると、やっと納得してくれたんだよな。
『おめでとう』と、笑顔で言ってくれた。
因みに、父上は上手くいったことにびっくりして、暫し言葉を失っていた。
そりゃそうだ、俺が一番びっくりしているくらいだ。
ご報告に上がった時には、二人して暫し無言で見つめ合ってしまい、レヴから指摘されてしまったくらいだ。
家同士の婚約とは別に、ブルーノ様から俺宛に手紙と一緒に花束と紅茶が届いた。
手紙には感動した。
や、文章自体は短いんだけれど、スチルでしか見たことなかった貴重なブルーノ様の恋文だ。
それが、なんと俺宛に来た上に、ゲームとは違って熱烈な文章でさ。
思わず真っ赤になって『ひえー!』って声をあげたくらいだ。
その声に、父上と母上が、何事かと部屋にやってきたんだよなあ。
レヴが、届いた手紙と花束と紅茶を俺に渡すところを、気になってそっと二人で伺っていたらしい。
修道院の時には二人に心配をかけてしまったし、お相手があのブルーノ様だったから心配だったんだろうな。
若干、婚約してもまだ心配されている気はする。
花束は美しい薄紫色のラナンキュラスと、白薔薇が5本入った花束だった。
レヴによると、『魅力的なあなたをお慕いしています』という意味らしい。
花言葉に疎い俺だが、花自体は綺麗だから好きだ。
自室の一番良く目にする場所に飾ってもらった。
紅茶は公爵家御用達のお店らしく、一緒に添えられたシュガーが花やうさぎ型でものすごく可愛らしかった。
互いに好きな食べ物だとか店だとかの話をしなかったが、ブルーノ様はなかなかセンスがいいらしい。
好きな食べ物の話はしなかったものの、ブルーノ様は甘いものが割と好きだということを、ゲームの知識で俺は知っている。
なかでも、チョコレートが好きだということも。
手作りクッキーに、課金で手に入るチョコチップを入れると、特別スチルが貰える件があったくらいだ。
ということで、俺は花束と紅茶のお礼に、チョコレートとハンカチを送った。
ハンカチにはものすごく小さい上にヘタクソなイニシャルの刺繍を入れて、だ。
ぎりぎりまで悩んだ末に勢いで送ってしまったが、もの凄く喜んでもらえたので良しとしよう。
だが、母様からは『お嫁に行くまでにイニシャルだけでも練習しましょう』と言われてしまった。
「前と同じスーツで良かったのに」
「流石に同じとはまいりません」
「うーん……ま、そっか。同じ服装で連続で会うのは失礼かな」
「お相手がお相手です。それに、このスーツは、フィオリーナ様がお選びになったものですよ」
「えー?帰る時には何も言ってなかったのにいつの間に……でも、ならこれにするよ。今日も頼んだ」
「お任せください」
今回のスーツも白が基調で、所々金糸の刺繍が施されている。
もちろんパンツスタイルだ。
けれど、ハイウエストでの細身なテーパードパンツだったり、ジャケットの裾が短めなのにウエストマークで裾がひらひらしていたりするので、だいぶ可愛らしいパンツスーツだ。
シャツとベストとクラバットは細身でぴったりすっきりしているので、いつもより首筋や腰が細く見えた。
普通の男性なら大分可愛らしすぎて合わないだろう。
けれど、男装令嬢であり、女な上にこの美少年顔。
似合っちゃっている、この上なく。
さすが、フィオリーナ姉上だ。
今日の髪型は、後ろで一本にまとめた編み込みらしい。
三つ編みじゃない。
上から途中までが、なんだか複雑に交差しているレヴ渾身の出来の編み込みスタイルだった。
「良くお似合いです」
「なんか今日のは凛々しいっつーより可愛いな。リハビリには丁度いいかも」
「そうですね。本日は二回目ですし、ご自宅へもお呼ばれしていますから」
「服装は自由で良いって聞いてるけど、やっぱ公の場で隣に立つのにはドレスが必要だもんなあ」
そうでないと、ブルーノ様が恥をかくだろう。
それに、そういった隙を見せたら、たとえ婚約中であろうとも、苦手としている“積極的なお嬢さん”からアプローチがかかってしまう。
「公の場といいますか、結婚式でウエディングドレスを着ないわけには……」
「それもある。ま、でも、籍はともかくさ、式の方がずっと先になるだろ?ブルーノ様も宰相閣下も忙しいっつってるんだし。早くても半年以上は先だろうしさ」
今すぐにでも結婚したいっていうブルーノ様は本気っぽかったし。
宰相閣下も、卒業を待たずでも、うちから通えば───なんて書かれてあったという。
二人ともめちゃくちゃ気が早い。
俺はまだお会いしてもいないのだけれど、ブルーノ様の様子がよっぽどだったのかもな。
「………」
「え?何?」
レヴの手元が一瞬止まった。
なんか、変なこと言ったか?
「いえ、なんでもございません。忙しいのは確かですし、時期もそのあたりになりそうですね」
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これからも、どうかあたたかく見守っていただけたら嬉しいです♪