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<エピローグ 第6話>
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<エピローグ 第6話>
帝都大乱十三日目。木曜日。ゲートは、まだ開かない。
ゲートとは、平民区と通称される南一区、南二区、南三区と、その北側にある西区、中央区、東区との間にある警察の常設検問所のことだ。西区と東区は、通称で貴族区と呼ばれている。中央区は、皇城や首相官邸、それに帝国議会などがある区だ。帝国士官学校と帝国魔法学園も、中央区だ。皇城は中央区北部、首相官邸と帝国議会は中央区中央、帝国士官学校と帝国魔法学園は中央区南部にある。
警察大臣が治安回復宣言を出したものの、平民区はまだ危険だと、警察省は判断している。
なぜなら、無産者革命党の師団幹部二名が、まだ指名手配中だ。平民区のどこかに潜伏していると、推測されている。
それに、まだ逮捕されていない無産者革命党員が、南一区、南二区、南三区とも、それぞれ千名前後、合計三千名ほどもいる。中隊長は数十名、連隊長も数名、まだどこかに潜伏している。
無産者革命党の一個中隊は、百名だ。百名が組織的に行動すれば、かなりの大きさのテロを実行できる。
警察省は、無産者革命党の残存勢力が、中央区や貴族区でテロ事件を起こすことを、恐れているようだ。
とはいえ、ゲートを、いつまでも閉鎖し続けるわけにはいかない。
なぜなら、もうすぐクリスマスだからだ。
クリスマスに、家族が引き離されているような状態は、容認されない。警察大臣だけではなく、総理大臣に対してまで、非難が強まる可能性がある。
そのため、クリスマス前には、ゲートが開門するのではないか、との憶測記事が、新聞に掲載されていた。
ルビー・クールは、ゲートが開くまでに、するべきことを、しておこうと思った。
木曜日の朝九時に、ホテルを出た。イザベラたち三名と共に。
イザベラたちが新居で生活するための準備と、カフェ・レストランの営業開始の準備をするためだ。
その日は、すべてが、順調に進んだ。
イザベラたちがハーレムから持ち出したのは、ボストンバッグ一つ分の私服と私物だけだった。
そこで、彼女たちの新生活に必要な物を、購入した。
それに、婦人服店で、新しい服を、仕立ててもらうことにした。店舗を借りたカフェ・レストランの近くの店だ。
彼女たちが持っていた私服は、セクシーすぎて、普通の感覚からすると、おかしかったからだ。
私服とは別に、カフェ・レストラン用の制服も作ってもらうことにした。紺色の地味で落ち着いたデザインの制服だ。
制服の仕立代は、ルビー・クールが払った。前払いで。
なぜなら、ルビー・クールが、経営者だからだ。
ちなみに、ルビー・クールは、今日から新しい服を着ていた。
先週の金曜日に、南一区北西エリアの婦人服店で採寸し、注文した。できあがったのは、昨日、水曜日の夕方だ。
白を基調としたお嬢様風のツーピースで、ダリアが着ているような服だ。もちろんスカートは、丈が足首まであるロングスカートだ。
その上から、ベージュのコートを羽織っている。
身につけている武器は、両足首外側の三十二口径のリボルバー二挺と、両足首内側の小型ナイフ二本、それに、赤い鋼鉄製雨傘だけだ。
だが、高級住宅街で治安が良いため、それだけの武装があれば、充分だ。
その後、電話帳で調べた看板制作会社に、注文した。カフェ・レストランの新しい看板を。
その看板制作会社は、カフェ・レストランから一番近い会社を選んだ。南二区南西エリアの会社だったが、電話をかけてから一時間ほどのちに、中年男の職人が来た。その場で、価格交渉を済ませ、費用を前払いした。翌日の午後には、できるとのことだった。
カフェ・レストランの名称は、自由亭にした。これからは、自由に生きられるように、との願いを込めた。その自由は、ルビー・クール自身の自由でもあるが、イザベラたちの自由でもある。なぜなら、働いて自立することが、自由の基盤だからだ。
店舗を借りたカフェ・レストランの近くには、高級住宅街に住む富裕層のための高級食料品店があった。食材は、そこで仕入れることにした。食材を、ある程度、買い込んだ。
その日の午後、イザベラたちが、カフェ・レストランの厨房で、料理を何品か作った。四人で、試食した。メインとなる料理を決めた。手書きのメニューを、何枚か作った。
夕方になった。イザベラたちは、新居に泊まることにした。
ルビー・クールは一人で、南一区北東エリアのホテルに戻った。
第7話に続く
帝都大乱十三日目。木曜日。ゲートは、まだ開かない。
ゲートとは、平民区と通称される南一区、南二区、南三区と、その北側にある西区、中央区、東区との間にある警察の常設検問所のことだ。西区と東区は、通称で貴族区と呼ばれている。中央区は、皇城や首相官邸、それに帝国議会などがある区だ。帝国士官学校と帝国魔法学園も、中央区だ。皇城は中央区北部、首相官邸と帝国議会は中央区中央、帝国士官学校と帝国魔法学園は中央区南部にある。
警察大臣が治安回復宣言を出したものの、平民区はまだ危険だと、警察省は判断している。
なぜなら、無産者革命党の師団幹部二名が、まだ指名手配中だ。平民区のどこかに潜伏していると、推測されている。
それに、まだ逮捕されていない無産者革命党員が、南一区、南二区、南三区とも、それぞれ千名前後、合計三千名ほどもいる。中隊長は数十名、連隊長も数名、まだどこかに潜伏している。
無産者革命党の一個中隊は、百名だ。百名が組織的に行動すれば、かなりの大きさのテロを実行できる。
警察省は、無産者革命党の残存勢力が、中央区や貴族区でテロ事件を起こすことを、恐れているようだ。
とはいえ、ゲートを、いつまでも閉鎖し続けるわけにはいかない。
なぜなら、もうすぐクリスマスだからだ。
クリスマスに、家族が引き離されているような状態は、容認されない。警察大臣だけではなく、総理大臣に対してまで、非難が強まる可能性がある。
そのため、クリスマス前には、ゲートが開門するのではないか、との憶測記事が、新聞に掲載されていた。
ルビー・クールは、ゲートが開くまでに、するべきことを、しておこうと思った。
木曜日の朝九時に、ホテルを出た。イザベラたち三名と共に。
イザベラたちが新居で生活するための準備と、カフェ・レストランの営業開始の準備をするためだ。
その日は、すべてが、順調に進んだ。
イザベラたちがハーレムから持ち出したのは、ボストンバッグ一つ分の私服と私物だけだった。
そこで、彼女たちの新生活に必要な物を、購入した。
それに、婦人服店で、新しい服を、仕立ててもらうことにした。店舗を借りたカフェ・レストランの近くの店だ。
彼女たちが持っていた私服は、セクシーすぎて、普通の感覚からすると、おかしかったからだ。
私服とは別に、カフェ・レストラン用の制服も作ってもらうことにした。紺色の地味で落ち着いたデザインの制服だ。
制服の仕立代は、ルビー・クールが払った。前払いで。
なぜなら、ルビー・クールが、経営者だからだ。
ちなみに、ルビー・クールは、今日から新しい服を着ていた。
先週の金曜日に、南一区北西エリアの婦人服店で採寸し、注文した。できあがったのは、昨日、水曜日の夕方だ。
白を基調としたお嬢様風のツーピースで、ダリアが着ているような服だ。もちろんスカートは、丈が足首まであるロングスカートだ。
その上から、ベージュのコートを羽織っている。
身につけている武器は、両足首外側の三十二口径のリボルバー二挺と、両足首内側の小型ナイフ二本、それに、赤い鋼鉄製雨傘だけだ。
だが、高級住宅街で治安が良いため、それだけの武装があれば、充分だ。
その後、電話帳で調べた看板制作会社に、注文した。カフェ・レストランの新しい看板を。
その看板制作会社は、カフェ・レストランから一番近い会社を選んだ。南二区南西エリアの会社だったが、電話をかけてから一時間ほどのちに、中年男の職人が来た。その場で、価格交渉を済ませ、費用を前払いした。翌日の午後には、できるとのことだった。
カフェ・レストランの名称は、自由亭にした。これからは、自由に生きられるように、との願いを込めた。その自由は、ルビー・クール自身の自由でもあるが、イザベラたちの自由でもある。なぜなら、働いて自立することが、自由の基盤だからだ。
店舗を借りたカフェ・レストランの近くには、高級住宅街に住む富裕層のための高級食料品店があった。食材は、そこで仕入れることにした。食材を、ある程度、買い込んだ。
その日の午後、イザベラたちが、カフェ・レストランの厨房で、料理を何品か作った。四人で、試食した。メインとなる料理を決めた。手書きのメニューを、何枚か作った。
夕方になった。イザベラたちは、新居に泊まることにした。
ルビー・クールは一人で、南一区北東エリアのホテルに戻った。
第7話に続く
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