16 / 44
<第四章 第4話>
しおりを挟む
<第四章 第4話>
ルビー・クールは、大声で叫んだ。
「こちらにも、あなたたちの敵がいるわよ!」
エルザを包囲している男たちが、振り返った。十名前後だが。
魔法詠唱し、魔法の釘を投げつけた。
九名の男が、絶叫した。左目に、魔法の釘を刺されて。
多くの男たちが、振り返った。
連続で二回、魔法の釘を投げつけた。
合計三回、投げた。魔法の釘を。
二十七名の男が、絶叫した。左目を押さえて。
ルビー・クールが、襲いかかった。男たちに。鉄心の入った杖で。
最初は左に、次に右に、振り下ろした。杖を、次々に。男たちの脳天に。
一撃で、失神昏倒させた。男たちを。
左右に分かれて、男たちが後退を始めた。恐怖の表情を浮かべながら。
包囲網に、穴が開いた。
「エルザ! 脱出して!」
そう、叫んだ。
エルザが、飛び出した。包囲網の穴から。叫びながら。
「ルビー!」
包囲網から、脱出した。エルザが。
目があった。エルザと。
エルザは、半分泣いているような、もう半分は高揚しているような、不思議な表情だった。
「愛してる! ルビー!」
そう、叫んだ。エルザが。
なに言ってるのよ。
ルビー・クールは、内心、腹が立った。表情には、出さなかったが。
この女は、危険だ。
今は共闘しており、重要な戦力だ。
だが半年前、この女に何度も殺されかけた。
この女に隙を見せたら、殺される。
無表情のまま、叫んだ。
「十字架まで、後退するわよ!」
ルビー・クールは、敵に背を向けずに、バックステップしながら、後退した。
「女が逃げるぞ!」
百名近くの敵が、追いかけてきた。ナイフを手に。
ルビー・クールが、魔法詠唱した。男たちが、足を踏み出す瞬間を狙って。
石畳の上に、直径三十センチメートルほどの円形の魔法の氷を出現させた。次々に。
男たちは、転倒した。次々に、足を滑らせて。
「赤毛! 邪魔だ! オレの射線から出ろ!」
「今、出るわ!」
そう叫んで、敵に背を向けた。
一気に、走り抜けた。自由革命党の戦闘員の脇を。
フランクたちが、一斉に発砲した。
大虐殺の始まりだ。
無産者革命党一個中隊は、銃弾の雨で、蜂の巣だ。
木製大型十字架に、たどり着いた。
エルザが、肩で息をした。
ダリアが、エルザに視線を向けた。
「あなた、服がボロボロよ」
たしかに、そのとおりだった。エルザの両腕は、前腕の袖に、いくつもの切れ込みが入っていた。その切れ込みからは、茶色の革製プロテクターが見えた。革製プロテクターは分厚いため、敵の刃物は、貫通していないようだ。
両手の軍手も切り刻まれ、軍手の下の革製手袋が露出していた。
その上、左胸や腹にも、いくつもの切れ込みが入っていた。切れ込みからは、茶色の革製プロテクターが露出していた。
エルザが、奇声をあげながら、叫んだ。なぜか、嬉々として。
「死ぬかと思った!」
ルビー・クールは、驚いた。この女でも、そう思うことがあるのか、と。表情には出さなかったが。
フランクたちの銃撃音が、止んだ。
フランクを含めて四名が、二挺の拳銃、計十二発を撃ち終わった。弾切れとなった拳銃をホルスターに戻し、新たな拳銃を二挺抜いた。
四名で合計四十八発撃った。銃弾が人体を貫通し、後方の者に当たったケースもある。特に、フランクの四十五口径の弾丸は、この距離ならば、確実に人体を貫通する。よって、六十名以上が、死傷した。
フランクが、怒鳴った。
「降伏しろ! 両手を挙げて、両膝を地面につけ!」
降伏を呼びかけるのは、弾丸の節約のためだ。敵全員を、撃ち殺すだけの弾丸は、ないからだ。
そのときだった。
二人の少年が、左の視界に入った。
広場の南方から、北方に向かって走っている。広場の東側の端を。
少年の一人が、叫んだ。
「伝令! 伝令! 師団参謀からの伝令! 第九中隊と第十中隊は、後方に回り込んで、攻撃せよ!」
右の視界にも、二人の少年が入った。全速力で、走っている。広場の西側を、南から北へ。
「師団参謀からの伝令! 第六、第七中隊は、後方に回り込んで攻撃せよ!」
ルビー・クールは、思った。
やはり、師団序列第三位の参謀は、この広場にいたか、と。
師団参謀の指示は、的確だ。優秀な男のようだ。
後方に回り込まれるのは、まずい状況だ。
ルビー・クールは、心の中で、舌打ちをした。
ルビー・クールは、大声で叫んだ。
「こちらにも、あなたたちの敵がいるわよ!」
エルザを包囲している男たちが、振り返った。十名前後だが。
魔法詠唱し、魔法の釘を投げつけた。
九名の男が、絶叫した。左目に、魔法の釘を刺されて。
多くの男たちが、振り返った。
連続で二回、魔法の釘を投げつけた。
合計三回、投げた。魔法の釘を。
二十七名の男が、絶叫した。左目を押さえて。
ルビー・クールが、襲いかかった。男たちに。鉄心の入った杖で。
最初は左に、次に右に、振り下ろした。杖を、次々に。男たちの脳天に。
一撃で、失神昏倒させた。男たちを。
左右に分かれて、男たちが後退を始めた。恐怖の表情を浮かべながら。
包囲網に、穴が開いた。
「エルザ! 脱出して!」
そう、叫んだ。
エルザが、飛び出した。包囲網の穴から。叫びながら。
「ルビー!」
包囲網から、脱出した。エルザが。
目があった。エルザと。
エルザは、半分泣いているような、もう半分は高揚しているような、不思議な表情だった。
「愛してる! ルビー!」
そう、叫んだ。エルザが。
なに言ってるのよ。
ルビー・クールは、内心、腹が立った。表情には、出さなかったが。
この女は、危険だ。
今は共闘しており、重要な戦力だ。
だが半年前、この女に何度も殺されかけた。
この女に隙を見せたら、殺される。
無表情のまま、叫んだ。
「十字架まで、後退するわよ!」
ルビー・クールは、敵に背を向けずに、バックステップしながら、後退した。
「女が逃げるぞ!」
百名近くの敵が、追いかけてきた。ナイフを手に。
ルビー・クールが、魔法詠唱した。男たちが、足を踏み出す瞬間を狙って。
石畳の上に、直径三十センチメートルほどの円形の魔法の氷を出現させた。次々に。
男たちは、転倒した。次々に、足を滑らせて。
「赤毛! 邪魔だ! オレの射線から出ろ!」
「今、出るわ!」
そう叫んで、敵に背を向けた。
一気に、走り抜けた。自由革命党の戦闘員の脇を。
フランクたちが、一斉に発砲した。
大虐殺の始まりだ。
無産者革命党一個中隊は、銃弾の雨で、蜂の巣だ。
木製大型十字架に、たどり着いた。
エルザが、肩で息をした。
ダリアが、エルザに視線を向けた。
「あなた、服がボロボロよ」
たしかに、そのとおりだった。エルザの両腕は、前腕の袖に、いくつもの切れ込みが入っていた。その切れ込みからは、茶色の革製プロテクターが見えた。革製プロテクターは分厚いため、敵の刃物は、貫通していないようだ。
両手の軍手も切り刻まれ、軍手の下の革製手袋が露出していた。
その上、左胸や腹にも、いくつもの切れ込みが入っていた。切れ込みからは、茶色の革製プロテクターが露出していた。
エルザが、奇声をあげながら、叫んだ。なぜか、嬉々として。
「死ぬかと思った!」
ルビー・クールは、驚いた。この女でも、そう思うことがあるのか、と。表情には出さなかったが。
フランクたちの銃撃音が、止んだ。
フランクを含めて四名が、二挺の拳銃、計十二発を撃ち終わった。弾切れとなった拳銃をホルスターに戻し、新たな拳銃を二挺抜いた。
四名で合計四十八発撃った。銃弾が人体を貫通し、後方の者に当たったケースもある。特に、フランクの四十五口径の弾丸は、この距離ならば、確実に人体を貫通する。よって、六十名以上が、死傷した。
フランクが、怒鳴った。
「降伏しろ! 両手を挙げて、両膝を地面につけ!」
降伏を呼びかけるのは、弾丸の節約のためだ。敵全員を、撃ち殺すだけの弾丸は、ないからだ。
そのときだった。
二人の少年が、左の視界に入った。
広場の南方から、北方に向かって走っている。広場の東側の端を。
少年の一人が、叫んだ。
「伝令! 伝令! 師団参謀からの伝令! 第九中隊と第十中隊は、後方に回り込んで、攻撃せよ!」
右の視界にも、二人の少年が入った。全速力で、走っている。広場の西側を、南から北へ。
「師団参謀からの伝令! 第六、第七中隊は、後方に回り込んで攻撃せよ!」
ルビー・クールは、思った。
やはり、師団序列第三位の参謀は、この広場にいたか、と。
師団参謀の指示は、的確だ。優秀な男のようだ。
後方に回り込まれるのは、まずい状況だ。
ルビー・クールは、心の中で、舌打ちをした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる