追放聖女。自由気ままに生きていく ~聖魔法?そんなの知らないのです!~

夕姫

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追憶の章 魔女と聖女の始まり

21. 成長を感じて

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21. 成長を感じて



 私たちは魔物討伐依頼をしている最中に、ここに生息していないジャイアントスパイダーが突如現れる。そのタイミングで現れたのは偶然か?それとも……

「ロゼッタさん。見てください」

 ディアナから言われて私はジャイアントスパイダーを見る。すると微かだが『黒い魔力』が見えた。それは、あの時に感じた物と全く同じだった。

「これは……まさか!?」

「はい。間違いありません」

 ここにも『黒い魔力』が。ジャイアントスパイダーはただでさえ強力な魔物なのに……そんなことを考えているとジャイアントスパイダーが口から紫色の毒液を吐いてくる。

「危ない!みんなを守れ!風魔法・ウインドバリア!」

 ギル坊は風のバリアでルナとディアナを守る……こらこら。私も守れ!私は何とかかわすが地面に当たった毒液が跳ねてローブが溶けてしまう。

「げっ!マジ!?ちょっとギル坊!私も守りなさいよ!」

「ロゼッタ様!無理です!そこまで範囲を広げられません!」

「使えないわね!」

 するとジャイアントスパイダーがまた毒液を吐こうとしている。私は慌てて避けると毒液が当たった地面がドロドロになって溶けていた。そして糸を伸ばして攻撃をしてくる。

「甘いです。防御魔法・ファランクス」

 ディアナの防御魔法に弾かれた糸は、近くの森にある木々に突き刺さり貫通する。まるで鋼の槍で貫かれたように。やはり攻撃力も高いようだ。

「調子に乗るんじゃないわよ!爆炎魔法・バーストブリッド!」

 私は杖を構えて爆発系の魔法を放つ。すると爆風によってジャイアントスパイダーは吹き飛ばされる。

「グギィイイイ!!」

「よし!効いてる!」

 ダメージを与えたことで少し怯んだ様子を見せる。だけどほとんど効果はなさそうだ。ジャイアントスパイダーはすぐに体勢を立て直す。やっぱりこの程度の攻撃じゃダメね。そもそもあいつの装甲が硬すぎる。あいつの弱点は口なんだけど。

「ねぇロゼッタ様。あの大きな蜘蛛さ、私の槍で貫くしかないよね?」

「確かに……」

 ルナの言葉を聞いて私は考える。確かにルナの言う通りだ。彼女の武器ならあの硬い装甲を貫きダメージを与えることが出来るだろう。でも……

「あのさロゼッタ様!私なら大丈夫だから信じて!そして力を貸して!」

 ルナの目を見ると本気だと分かった。彼女は本気であの巨大な敵を倒すつもりなんだ。そしてそれを聞いたディアナが話す。

「ルナさんは私とギルフォードさんの魔法で守りますから。ロゼッタさんはルナさんを援護してください」

「指図すんじゃないわよ。ルナ。あいつの弱点は口よ!私が爆炎魔法で援護するから、思い切り貫きなさい」

「うん!わかった!」

 思えば今まで、私が援護にまわることなんてなかった。今回はルナの攻撃が最適であるのは変わりないけど、それでもここまで成長した事が嬉しい。もちろんギル坊もだ。

「行くぞぉおお!!風魔法・ウインドランス!」

 ギル坊の風魔法がジャイアントスパイダーを貫く。どうやら装甲にヒビが入ったようだ。こらこらギル坊のやつ、ルナにいいところ見せはようとして……でも、やるじゃないギル坊!

「今ですルナさん!」

「任せて!ハァアアッ!いくよ必殺!ライトニングスピア!!」

 ルナの持つ槍が光輝く。そしてそのままジャイアントスパイダーに向けて雷の魔力を解放する。それは一直線に進みながら大きくなり雷の槍となって奴を貫く。

「グギャアァアアッ!!!」

 大ダメージを受けたジャイアントスパイダーは暴れ出す。私はルナの近くに駆け寄り、魔法を唱える。ごめんねやっぱりトドメは私がさせてもらうわね?

「爆炎魔法・バーストフレイム!」

 私が唱えるとジャイアントスパイダーに向かって火柱が上がる。それはまるで太陽のようで眩しかった。やがてその光が消えると、そこには跡形もなく消滅したジャイアントスパイダーがいた。

「やったぁ!倒したよロゼッタ様!ありがとう!」

 嬉しそうにはしゃぐルナ。その姿を見ながら私は笑みを浮かべる。

「お疲れさまルナ。よく頑張ったわね」

 私は優しく頭を撫でる。するとギル坊も寄ってきた。

「ロゼッタ様も流石でした!ボクも頑張りましたよ!」

「はいはい偉いわよ」

 私は二人の頭も撫でる。すると二人は気持ち良さそうな表情をする。まったく可愛い子達だこと。

「それにしても……また『黒い魔力』ですか。一体なんなのでしょう」

 ディアナが呟く。確かに気になるところだ。この森にいるジャイアントスパイダーもそうだし、ディアナの言う通り今世界に何かが起きていることは間違いないのかもしれないわね。

「とりあえず今日はこの辺にして帰るわよ」

「えぇ~!?まだ戦えるよ!?」

「いえロゼッタさんの言う通りです。もう日も暮れます。ここで野宿するのは危険ですから戻りましょう」

「むぅ……仕方ないか~」

 不満げな顔をするがルナは素直に従う。私たちは来た道を戻って街に戻ることにした。そして私はこの前のように、また酒場に行く。

「おじさん。エールちょうだい!」

 生態系が崩れている。このままなら、いつ各地の国や街、村が魔物に襲われてもおかしくない。そして『黒い魔力』。魔女の力を集めている存在がいる。一体何のために?

「……わからない事だらけね」

 私はエールを飲みながらため息をつく。するとそこにディアナがやってきた。

「本当に寂しい人ですね。あなたは」

「そう思うなら放っておけば?まぁいいやおじさん。彼女にもエールを1つ」

 私はディアナにも注文する。彼女は私の隣に座ってきた。

「それで?わざわざ私に話しかけてきた理由は?」

「私があなたのことを心配して声をかけたと思ってるんですか?」

「違うの?」

「違いませんよ。ただ私も聞きたいことがあっただけです」

 私に聞きたいこと?なんだろうか。また文句かしら?そんなことを考えてディアナを見ると、いつもと同じ無表情のままだが、どこかいつもとは違う雰囲気があった。そしてディアナは静かに話始めるのだった。
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