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44. 管理人さんと誕生日(後編)

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44. 管理人さんと誕生日(後編)



 私は花壇の手入れを終えてから、夕飯の食材を買いに北山さんとともにスーパーに向かう。一緒についてきてくれた北山さんはやっぱり優しい。北山さんの食べたいものを作ってあげたい。私のワガママを聞いてくれたせめてものお礼だから。

「あの、真白さんの好きなものじゃなくて良かったんですか?今日誕生日なのに?」

「北山さんの好きなものを作ってあげたいんです。ダメですか?」

「いえ……むしろ嬉しいですけど……」

 嬉しいなら良かった。少し押し付けがましいかなと思ってたけど……問題なかったみたい。

 それから数十分後。私は作った料理をテーブルの上に並べていく。北山さん喜んでくれると嬉しいけど。

「北山さん。夕飯できましたよ」

 私がそう呼ぶと、北山さんは袋らしきものを持ってくる。

「あの、その前に、真白さん。これ……誕生日プレゼントです。」

「え?そんな……」

 プレゼント……?私のワガママを聞いてくれてるだけで十分なのに……。

「遠慮せずに受け取ってください。22歳のお誕生日おめでとうございます真白さん。これからもよろしくお願いします。」

 泣きそう……。好きな人からのプレゼントってこんなに嬉しいし感動するんだ。私は溢れてくる涙を堪えて北山さんにお礼をする。

「ありがとう……ございます……開けていいですか?……わぁ……可愛いエプロン。あとお花の種も。ありがとうございます!大切にします!」

「真白さんに似合うと思って選んだんですけど……。気に入ってくれたならよかったです。あっ……夕飯作る前に渡した方が良かったですよね……すいません。こういうの初めてで」

「いえ。わたしのために選んでくれたことが嬉しくて……。本当にありがとうございます北山さん!」

 本当に嬉しい。今までで一番の誕生日プレゼントになったよぉ!早速明日からエプソン使って、花壇にお花の種を植えなくちゃ!

 それから、2人で楽しく夕食を食べ終えた。食後にはスーパーで買ったケーキを食べながら色々な話をした。

 そして時間は22時。もう帰る時間。楽しい時間は早く過ぎると言うけれど本当みたい……。もう少し北山さんと一緒にいたかったな……。

「北山さん。今日は私のワガママ聞いてくれてありがとうございました。楽しかったです」

「オレの方こそ、真白さんの誕生日なのに何もできなくてすいません。今度はもっとちゃんとした形で祝わせてください」

 私は溢れる感情が押さえられなくなった。擬似カップルじゃ嫌だ。だから私は北山さんにお願いをする。

「はい。楽しみにしてますねっ。……あ、あの……ですね。1つだけお願いを言ってもいいでしょうか?」

「あっはい。オレにできることなら何でも。」

 これは擬似カップルだからじゃない……北山さんの事が好きな私の気持ちだから……

「あの……これから……お名前で読んでもいいですか?」

「え?もちろん!真白さんの呼びたいように呼んでください!」

「ありがとうございます……じゃあまた明日……おやすみなさい晴斗さん?」

 言っちゃった……言っちゃったよ真白!良かった……。私は顔を赤くしながら急いで自分の部屋に戻る。

「晴斗さん……いやーん。言っちゃったよぉ~。恥ずかしぃ~。でも……幸せだよぉ~。これで少し晴斗さんと恋人に近づけたらいいなぁ……。」
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