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33. ラブコメとか始まらないから
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33. ラブコメとか始まらないから
オレは聖菜さんから『もう大丈夫』というメッセージをもらったので家に帰ることにする。理由は分からないけど怜奈の悩みが解決されたのなら、兄としては一安心だ。そして今は家に帰って来たところだ。
「ただいま」
返事がない。リビングの方からも物音一つしない。あれ?出かけてるのか?靴を確認すると聖菜さんの靴が置いてあった。まさかとは思うが聖菜さんがいる時に喧嘩とかにならないよな……不安になりながらリビングに向かう。
「おかえり優斗君」
「……えっなんで!?」
そこにはエプロンを着た聖菜さんがいた。そしてテーブルの上を見ると綺麗に盛り付けられた料理がある。一体どういうことだ……
「優斗君の誕生日会の準備をしていたんだよ」
「誕生日……会?」
「うん。今日は優斗君の誕生日だよね?」
そう言えばそうだった。最近は色々ありすぎて忘れていた。
「おにぃ」
聖菜さんの横からひょっこりと怜奈が出てくる。どうやら聖菜さんと一緒にいたようだ。
「……誕生日おめでとう」
怜奈は照れくさそうな表情で感謝の言葉を口にする。
「怜奈ちゃんがね、今日は優斗君の誕生日だから一緒にいてあげてくださいって言ってくれたんだ」
「怜奈……」
「だって……おにぃが寂しいんじゃないかと思ったんだもん」
「ありがとう怜奈」
「別に……いいよ。おにぃは誘えなそうだし。」
怜奈はプイッと顔を背ける。なんだか少し嬉しく感じてしまう。そしてそのまま誕生日会が始まっていく。いつもは怜奈と2人きりだが、今日は聖菜さんも一緒だ。怜奈も楽しそうだし嬉しい限りである。
怜奈はお皿やら飲み物やらを準備してくれている。聖菜さんはふと思い出したかのようにジト目で見てくる。
「誕生日を教えてくれないとか酷いなぁ優斗君は」
「ごめん。でも知ってたんでしょ聖菜さんは?」
「もちろん。『タイムリープ』してるからね。だから元から今日は優斗君と一緒にいるつもりだったの」
「オレは愛されてるな」
「今さらだねそれ」
そんなこんなでオレの誕生日会は無事に終わる。本当に聖菜さんには感謝だよな。オレが聖菜さんを駅に送り、家に戻ると怜奈が玄関まで出迎えてくれる。
「おにぃ」
「どうした怜奈」
「お風呂沸かしてあるから」
「おっサンキュー」
「あと着替えはおにぃの部屋にあるから」
「おう。わかった」
うん。いつもの怜奈に戻ったみたいだな。良かった良かった。そしてお風呂を出て、部屋で聖菜さんとメッセージのやり取りをしていると怜奈がやってくる。
「おにぃ。今大丈夫?」
「ああ」
扉が開かれ怜奈が入ってくる。お風呂上がりなのか多少顔が火照っているように見える。なんか……色っぽいな……妹なのに。いやいやラブコメとか始まらないから。怜奈は正真正銘のオレの妹だぞ。それはあり得ない。
「その……おにぃ……あのね……」
「なんだ?」
何やらモジモジしている。こういう怜奈を見るのは初めてかもしれない。やめてくれ。なんかこっちまで緊張するから。まさか……こいつオレのこと……。とか下らないことを考えていると口を開いた。
「おにぃは……聖菜さんのこと好き?」
「好きじゃない人と寝泊まりなんてしないだろ」
「じゃあ……付き合わないの?」
前のオレなら『何言ってんだよ。聖菜さんみたいな美少女はオレみたいな奴とは釣り合わないだろ』とか言っていただろう。でも今なら自信を持って言える。
「安心しろ……付き合うよ。もう少しあとにな」
「そっか。……良かった」
「……?」
「なんでもない!おやすみおにぃ!」
怜奈はそのまま部屋を出て行ってしまった。一体何だったんだろう?でもそう言った怜奈の表情はとても嬉しそうにしていたのだった。
オレは聖菜さんから『もう大丈夫』というメッセージをもらったので家に帰ることにする。理由は分からないけど怜奈の悩みが解決されたのなら、兄としては一安心だ。そして今は家に帰って来たところだ。
「ただいま」
返事がない。リビングの方からも物音一つしない。あれ?出かけてるのか?靴を確認すると聖菜さんの靴が置いてあった。まさかとは思うが聖菜さんがいる時に喧嘩とかにならないよな……不安になりながらリビングに向かう。
「おかえり優斗君」
「……えっなんで!?」
そこにはエプロンを着た聖菜さんがいた。そしてテーブルの上を見ると綺麗に盛り付けられた料理がある。一体どういうことだ……
「優斗君の誕生日会の準備をしていたんだよ」
「誕生日……会?」
「うん。今日は優斗君の誕生日だよね?」
そう言えばそうだった。最近は色々ありすぎて忘れていた。
「おにぃ」
聖菜さんの横からひょっこりと怜奈が出てくる。どうやら聖菜さんと一緒にいたようだ。
「……誕生日おめでとう」
怜奈は照れくさそうな表情で感謝の言葉を口にする。
「怜奈ちゃんがね、今日は優斗君の誕生日だから一緒にいてあげてくださいって言ってくれたんだ」
「怜奈……」
「だって……おにぃが寂しいんじゃないかと思ったんだもん」
「ありがとう怜奈」
「別に……いいよ。おにぃは誘えなそうだし。」
怜奈はプイッと顔を背ける。なんだか少し嬉しく感じてしまう。そしてそのまま誕生日会が始まっていく。いつもは怜奈と2人きりだが、今日は聖菜さんも一緒だ。怜奈も楽しそうだし嬉しい限りである。
怜奈はお皿やら飲み物やらを準備してくれている。聖菜さんはふと思い出したかのようにジト目で見てくる。
「誕生日を教えてくれないとか酷いなぁ優斗君は」
「ごめん。でも知ってたんでしょ聖菜さんは?」
「もちろん。『タイムリープ』してるからね。だから元から今日は優斗君と一緒にいるつもりだったの」
「オレは愛されてるな」
「今さらだねそれ」
そんなこんなでオレの誕生日会は無事に終わる。本当に聖菜さんには感謝だよな。オレが聖菜さんを駅に送り、家に戻ると怜奈が玄関まで出迎えてくれる。
「おにぃ」
「どうした怜奈」
「お風呂沸かしてあるから」
「おっサンキュー」
「あと着替えはおにぃの部屋にあるから」
「おう。わかった」
うん。いつもの怜奈に戻ったみたいだな。良かった良かった。そしてお風呂を出て、部屋で聖菜さんとメッセージのやり取りをしていると怜奈がやってくる。
「おにぃ。今大丈夫?」
「ああ」
扉が開かれ怜奈が入ってくる。お風呂上がりなのか多少顔が火照っているように見える。なんか……色っぽいな……妹なのに。いやいやラブコメとか始まらないから。怜奈は正真正銘のオレの妹だぞ。それはあり得ない。
「その……おにぃ……あのね……」
「なんだ?」
何やらモジモジしている。こういう怜奈を見るのは初めてかもしれない。やめてくれ。なんかこっちまで緊張するから。まさか……こいつオレのこと……。とか下らないことを考えていると口を開いた。
「おにぃは……聖菜さんのこと好き?」
「好きじゃない人と寝泊まりなんてしないだろ」
「じゃあ……付き合わないの?」
前のオレなら『何言ってんだよ。聖菜さんみたいな美少女はオレみたいな奴とは釣り合わないだろ』とか言っていただろう。でも今なら自信を持って言える。
「安心しろ……付き合うよ。もう少しあとにな」
「そっか。……良かった」
「……?」
「なんでもない!おやすみおにぃ!」
怜奈はそのまま部屋を出て行ってしまった。一体何だったんだろう?でもそう言った怜奈の表情はとても嬉しそうにしていたのだった。
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