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40. さっきのリクエストかな

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40. さっきのリクエストかな



 そして放課後。オレは聖菜さんにメッセージを送ると最初は『移しちゃうと悪いから』って言われたけど、最終的には『お願いします旦那様』というメッセージがきた。めちゃくちゃ可愛い。保存しておこう。

 とりあえず、まずは家に帰り支度する。すると怜奈が両手に荷物を持ってやってきた。

「おにぃ。これ持ってって」

「なんだよこれ?」

「お粥の材料とか、熱さまシートとか、あとは果物とかお薬とかだけど。」

「いやこんなに必要か?」

「もう!おにぃは何もできないんだから私の言うことを聞いてればいいの!あとお粥の作り方のメッセージ送っておいたから」

 すごい面倒見がいいんだが。意外な妹の一面を見た気がして、少し感動だな。

「まったく。ママかお前は」

「誰がママですか。妹だよ」

「知ってるよ」

「あとは絶対ヤったりしないでよ?聖菜さん体調悪いんだから!悪化したら大変だし。我慢出来なかったら1人で致しなよ?」

「おい。病人だぞ聖菜さんは?そんなことするかよ」

 本当にこいつは……。オレは怜奈から渡されたものを持ちながら家を出る。怜奈の奴……兄のことなんだと思ってるんだよ。

 そんなことを考えながら電車に乗って聖菜さんのアパートに向かう。オレは聖菜さんの部屋の前まで来ると、チャイムを鳴らす。するとすぐにドアが開かれた。

「優斗君……来てくれたんだ。ゴホゴホ」

「大丈夫か聖菜さん?」

「うん」

 顔は赤くて、目も虚ろだ。おそらく熱があるだろう。

「とりあえずベッドで横になっててくれ。何か食べたのか?」

「ううん。まだ何も食べてない」

「ならお粥作るから。食べれるか?」

「え?作ってくれるの?」

「当たり前だろ?恋人同士になったんだからさ」

「……ありがとう。嬉しいよ」

 聖菜さんは目を潤ませながら微笑む。本当に綺麗な顔立ちだな。ずっと見ていたくなるよ。オレはキッチンに行き、怜奈から送られてきたレシピ通りにお粥を作る。お米と水を一緒に鍋に入れ、火にかける。その間に卵を溶いておき、後はネギを切るだけだ。

「よし出来た!」

 オレは完成したお粥を皿に移し、聖菜さんの部屋まで運ぶ。

「聖菜さん。起き上がれるか?」

「なんとか……ね」

 オレは聖菜さんを起こし、背中を支える。熱はまだ下がってないみたいだ。すると聖菜さんがオレのことを見つめる。

「ん?」

「ふぅーふぅーしてほしいかな」

「聖菜さん猫舌なの?」

「にゃあ」

「……分かったよ」

 なにそれ可愛いんだけどさ!?オレはスプーンでお粥をすくい、息を吹きかけて冷ます。そしてそれを聖菜さんの口元へ持っていく。

「ほら聖菜さん。口を開けて」

「……あ~ん」

「どう?」

「美味しい。優斗君の優しさが染み渡るね」

 そう言ってオレが持っていたお粥の入ったスプーンをパクッと口に含むと、そのままイヤらしく舐めとる。その仕草はとても色っぽく見えて身体が熱くなる。エロいんだけど……。この唇と舌で……。

「おや?何を考えてたのかなぁ?」

「べ、別に何も」

「顔赤いけど風邪うつっちゃったのかな?」

「いや大丈夫だから」

「それとも……何か思い出したのかなぁ?」

「ほら!ふぅーふぅー!」

「ふふ。さっきのリクエストかな?」

「……絶対ワザとでしょ。聖菜さん」

「なんのことかな」

 そう言ってクスクスと笑う聖菜さん。恋人同士になってもオレと聖菜さんの関係は変わらないようだ。
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