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71. お嫁にきてくれてありがとう
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71. お嫁にきてくれてありがとう
残暑続く9月半ば。いつものように学校に行き、今は授業中である。外ではセミの声が聞こえ、夏の暑さがまだ残っていることを実感させられる。
しかし教室内はエアコンが効いており、涼しく快適である。先生の話を聞きながら黒板の文字を書き写していく。しかしどうしても眠くなり、あくびが出てしまう。
すると隣の席の聖菜さんがオレの肩をツンツンと突いてきた。聖菜さんの方を見ると、机の上にノートを広げており、シャーペンをこちらに向けていた。
そこにはこう書かれていた。
〈ここの問題分かる?〉
オレはそれを見るなり、聖菜さんが指差す問題を見つめた。これは……オレは少し考えて、聖菜さんに答えを教える。
聖菜さんは嬉しそうに微笑み、再びノートに何かを書いていく。
〈ありがとう優斗君!さすがは私の旦那様!〉
その文字を見たオレはついニヤけてしまった。聖菜さんは周りから目立たないようにこっそりとメッセージを送ってくるのだ。
こんなやり取りをしているだけで、オレは幸せな気持ちになってしまう。そんなことを考えていると先生にさされる。
「じゃあ次の問題を……神坂。わかるか?」
「「はい」」
「は?聖菜さん?」
「神坂だぞ?高宮?」
「あ。すいません間違えました……」
聖菜さんは顔を赤くしながら俯く。可愛すぎるぞ。一瞬クラス中がざわついたがすぐに収まった。
そして昼休み。いつものように西城さんと東雲さんが隣の聖菜さんの席にやってくる。本当にこの3人は仲が良いよな。
「あはは。聖菜。気が早すぎじゃん。よっ神坂婦人!」
「彩音。からかうんじゃないわよ。あの先生の発音が悪かったのよ。気にしないで聖菜。」
「すごく恥ずかしかった。穴があったら入りたいくらいだよ……」
「どうなの神坂?嬉しかったんじゃないの?」
「なんでオレに聞くんだよ……」
「神坂聖菜か……いいじゃん!」
「彩音!やめて。絶対そんなことはさせないから!」
「なんで舞子が否定すんの?」
相変わらず騒がしい2人だが、オレはこういう雰囲気は嫌いではない。でも確かに未来では聖菜さんはオレの奥様だから。『神坂聖菜』になっているんだよな。
「何か言いたそうだね優斗君?」
「いや。お嫁にきてくれてありがとうって思ってね」
「優斗君は長男だもんね。これでも神坂は10年はやらせてもらってますから」
「これからもよろしくね」
「ふふ。こちらこそ」
「ちょっと!学校でイチャつかないでくれるかしら!?」
東雲さんはオレだけを睨み付ける。本当にこの人は聖菜さんのことになると怖いよな。
「そう言えば今度の文化祭何するか決めた?あたしは楽しけりゃ何でもいいけど」
「今日の午後のHRに希望取るって言ってたわね。聖菜は何かやりたいことあるの?」
やりたいことあるの?その質問は無粋だよ東雲さん。
「メイド喫茶かな。絶対そうなるし」
「「絶対?」」
聖菜さんの言葉に疑問を持つ西城さんと東雲さん。まぁそりゃ『タイムリープ』してるからな聖菜さんは。
「じゃあさ。もしメイド喫茶になったら私にジュースおごってほしいかな?」
「は?聖菜さん?」
「面白い。その賭け乗った!」
「私はそんなことしなくてもジュースなんか何本でも買ってあげるわよ聖菜」
「舞子。それじゃ意味ないじゃん。」
「意味はあるわ。毎日ジュースをおごる私に聖菜は……ああ!ダメ!こんな妄想させないで!」
「じゃあ妄想すんなし」
聖菜さん……それはズルいのでは?オレが聖菜さんを横目で見ると、口元に人差し指を近づけ『しーっ』と合図をする。またその仕草が可愛い。
まったくオレの未来の奥様は本当に頼もしいよな。
残暑続く9月半ば。いつものように学校に行き、今は授業中である。外ではセミの声が聞こえ、夏の暑さがまだ残っていることを実感させられる。
しかし教室内はエアコンが効いており、涼しく快適である。先生の話を聞きながら黒板の文字を書き写していく。しかしどうしても眠くなり、あくびが出てしまう。
すると隣の席の聖菜さんがオレの肩をツンツンと突いてきた。聖菜さんの方を見ると、机の上にノートを広げており、シャーペンをこちらに向けていた。
そこにはこう書かれていた。
〈ここの問題分かる?〉
オレはそれを見るなり、聖菜さんが指差す問題を見つめた。これは……オレは少し考えて、聖菜さんに答えを教える。
聖菜さんは嬉しそうに微笑み、再びノートに何かを書いていく。
〈ありがとう優斗君!さすがは私の旦那様!〉
その文字を見たオレはついニヤけてしまった。聖菜さんは周りから目立たないようにこっそりとメッセージを送ってくるのだ。
こんなやり取りをしているだけで、オレは幸せな気持ちになってしまう。そんなことを考えていると先生にさされる。
「じゃあ次の問題を……神坂。わかるか?」
「「はい」」
「は?聖菜さん?」
「神坂だぞ?高宮?」
「あ。すいません間違えました……」
聖菜さんは顔を赤くしながら俯く。可愛すぎるぞ。一瞬クラス中がざわついたがすぐに収まった。
そして昼休み。いつものように西城さんと東雲さんが隣の聖菜さんの席にやってくる。本当にこの3人は仲が良いよな。
「あはは。聖菜。気が早すぎじゃん。よっ神坂婦人!」
「彩音。からかうんじゃないわよ。あの先生の発音が悪かったのよ。気にしないで聖菜。」
「すごく恥ずかしかった。穴があったら入りたいくらいだよ……」
「どうなの神坂?嬉しかったんじゃないの?」
「なんでオレに聞くんだよ……」
「神坂聖菜か……いいじゃん!」
「彩音!やめて。絶対そんなことはさせないから!」
「なんで舞子が否定すんの?」
相変わらず騒がしい2人だが、オレはこういう雰囲気は嫌いではない。でも確かに未来では聖菜さんはオレの奥様だから。『神坂聖菜』になっているんだよな。
「何か言いたそうだね優斗君?」
「いや。お嫁にきてくれてありがとうって思ってね」
「優斗君は長男だもんね。これでも神坂は10年はやらせてもらってますから」
「これからもよろしくね」
「ふふ。こちらこそ」
「ちょっと!学校でイチャつかないでくれるかしら!?」
東雲さんはオレだけを睨み付ける。本当にこの人は聖菜さんのことになると怖いよな。
「そう言えば今度の文化祭何するか決めた?あたしは楽しけりゃ何でもいいけど」
「今日の午後のHRに希望取るって言ってたわね。聖菜は何かやりたいことあるの?」
やりたいことあるの?その質問は無粋だよ東雲さん。
「メイド喫茶かな。絶対そうなるし」
「「絶対?」」
聖菜さんの言葉に疑問を持つ西城さんと東雲さん。まぁそりゃ『タイムリープ』してるからな聖菜さんは。
「じゃあさ。もしメイド喫茶になったら私にジュースおごってほしいかな?」
「は?聖菜さん?」
「面白い。その賭け乗った!」
「私はそんなことしなくてもジュースなんか何本でも買ってあげるわよ聖菜」
「舞子。それじゃ意味ないじゃん。」
「意味はあるわ。毎日ジュースをおごる私に聖菜は……ああ!ダメ!こんな妄想させないで!」
「じゃあ妄想すんなし」
聖菜さん……それはズルいのでは?オレが聖菜さんを横目で見ると、口元に人差し指を近づけ『しーっ』と合図をする。またその仕草が可愛い。
まったくオレの未来の奥様は本当に頼もしいよな。
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