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85. スキンシップだよ
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85. スキンシップだよ
そして週末。待ち合わせ場所にしている駅の改札に着くと既に聖菜さんが待っていた。今日は前に着ていた白のワンピースに薄手のコートを着ている。やっぱり聖菜さんは何でも似合うなと感心しながら見惚れていると聖菜さんが気づいてオレに手を振ってくる。
「おはよう聖菜さん」
「おはよ優斗君!待たせちゃったかな?」
「いや今来たところ」
「良かった。今日は楽しもうね!」
「いつも通りにしててよ聖菜さん」
「ふふっ。そうだね」
今日は東雲さんもいるから変なことは出来ないけど、それでも少しくらいは恋人らしいことをしたい気持ちはある。オレは聖菜さんの肩を抱き寄せる。
「おや?ここ外だけど優斗君」
「オレは夜以外もイチャイチャするから」
「ふふ。素直だね」
嬉しそうにしている聖菜さんを見るとそれだけで幸せを感じる。すると突然横から大きな咳払いが聞こえる。
「……ゴホンッ。あなたたち少しは周りを見なさいよ。恥ずかしいわね」
声の主はもちろん東雲さんだ。少し不満げな表情を浮かべて、頬を赤らめながら呟く。ちなみに東雲さんの格好は白いブラウスの上に紺色のジャケットと黒のスカートを履いている。そして足元は茶色のブーツだった。何気に東雲さんはおしゃれだと思う。しかも普通に美人だよな……
今日1日の流れを確認すると、まず映画を見てその後昼食を食べる。そして最後にカラオケに行って帰る。という予定になっている。
映画館に行くために駅の中を歩いていると、聖菜さんがオレの腕を組んでくる。柔らかい感触が腕に当たりドキドキするが今は耐えなければならない。ここで照れてしまったら聖菜さんも調子に乗ってしまう。ここは我慢して平静を装うしかないのだ。
「聖菜さん。いつも通りね」
「いつも通りだよ」
「いや……腕なんて組まないでしょ」
「私たちは恋人として日々成長していかないとだよ優斗君」
オレも聖菜さんに抱きつかれるのは嫌いじゃないけどさ。でも東雲さんの前でやられるのは流石に恥ずかしい。
でもそんなオレの考えなどおかまいなしに聖菜さんはより強く抱きしめてくる。嬉しいけど東雲さんが見ている手前、冷静でいなくてはならない。
「男の人は腕を組まれると嬉しいのかしら」
「そりゃあ……嫌ではないな。スキンシップだよスキンシップ」
「胸が当たってるもんね」
「スキンシップだよ東雲さん。聖菜さんはオレといる時は適当なことしか言わないからさ」
「私は適当なんかじゃないよ。ひどいなぁ優斗君は」
聖菜さんはオレの頬を指先でツンツンしてくる。こんなことされたら余計意識してしまうじゃないか。オレの気も知らないで……。
そして映画館に到着すると事前にチケットを買っていたらしくそのまま中に入る。内容は人気の恋愛映画。聖菜さんはきっとこれが好きなんだろうなと思っていたけどやはり正解だったようだ。聖菜さんはポップコーンを食べたりジュースを飲みながら終始ご機嫌で楽しんでくれているようだった。
そしてクライマックスを迎えようとする場面で不意に聖菜さんが手を握ってきた。驚いて聖菜さんの顔を見ると『ダメ?』と言いたそうな顔で見つめ返される。オレは小声で返事をする。
「ダメじゃ……ないけど」
「ふふっ。良かった」
それからラストまで2人で集中して鑑賞した。東雲さんも楽しめていたようで途中から目を輝かせていた。映画が終わったあと、聖菜さんと東雲さんを連れて近くにできたばかりのカフェに入る。店内には落ち着いた雰囲気の音楽が流れており、客もカップルばかりこの店はデートスポットとしても有名らしい。
注文を終えてしばらくするとコーヒーの良い香りが漂ってくる。聖菜さんは紅茶、オレはコーヒー、東雲さんはミルクティーをそれぞれ飲んで一息つく。
「ちょっとお手洗いに行ってくるね」
そして聖菜さんが席をたつ。残されたオレと東雲さん。やはり気まずい……。そんなことを思っていると東雲さんが話し始める。
「神坂君。聞いてもいいかしら」
「ああ。なんだ?」
「私と付き合いたいと思う?」
は?急にどうしたというのか。東雲さんがこういうことを口にするのは珍しい。何か心境の変化でもあったのだろうか。というより何て答えればいいんだこれ?
そして週末。待ち合わせ場所にしている駅の改札に着くと既に聖菜さんが待っていた。今日は前に着ていた白のワンピースに薄手のコートを着ている。やっぱり聖菜さんは何でも似合うなと感心しながら見惚れていると聖菜さんが気づいてオレに手を振ってくる。
「おはよう聖菜さん」
「おはよ優斗君!待たせちゃったかな?」
「いや今来たところ」
「良かった。今日は楽しもうね!」
「いつも通りにしててよ聖菜さん」
「ふふっ。そうだね」
今日は東雲さんもいるから変なことは出来ないけど、それでも少しくらいは恋人らしいことをしたい気持ちはある。オレは聖菜さんの肩を抱き寄せる。
「おや?ここ外だけど優斗君」
「オレは夜以外もイチャイチャするから」
「ふふ。素直だね」
嬉しそうにしている聖菜さんを見るとそれだけで幸せを感じる。すると突然横から大きな咳払いが聞こえる。
「……ゴホンッ。あなたたち少しは周りを見なさいよ。恥ずかしいわね」
声の主はもちろん東雲さんだ。少し不満げな表情を浮かべて、頬を赤らめながら呟く。ちなみに東雲さんの格好は白いブラウスの上に紺色のジャケットと黒のスカートを履いている。そして足元は茶色のブーツだった。何気に東雲さんはおしゃれだと思う。しかも普通に美人だよな……
今日1日の流れを確認すると、まず映画を見てその後昼食を食べる。そして最後にカラオケに行って帰る。という予定になっている。
映画館に行くために駅の中を歩いていると、聖菜さんがオレの腕を組んでくる。柔らかい感触が腕に当たりドキドキするが今は耐えなければならない。ここで照れてしまったら聖菜さんも調子に乗ってしまう。ここは我慢して平静を装うしかないのだ。
「聖菜さん。いつも通りね」
「いつも通りだよ」
「いや……腕なんて組まないでしょ」
「私たちは恋人として日々成長していかないとだよ優斗君」
オレも聖菜さんに抱きつかれるのは嫌いじゃないけどさ。でも東雲さんの前でやられるのは流石に恥ずかしい。
でもそんなオレの考えなどおかまいなしに聖菜さんはより強く抱きしめてくる。嬉しいけど東雲さんが見ている手前、冷静でいなくてはならない。
「男の人は腕を組まれると嬉しいのかしら」
「そりゃあ……嫌ではないな。スキンシップだよスキンシップ」
「胸が当たってるもんね」
「スキンシップだよ東雲さん。聖菜さんはオレといる時は適当なことしか言わないからさ」
「私は適当なんかじゃないよ。ひどいなぁ優斗君は」
聖菜さんはオレの頬を指先でツンツンしてくる。こんなことされたら余計意識してしまうじゃないか。オレの気も知らないで……。
そして映画館に到着すると事前にチケットを買っていたらしくそのまま中に入る。内容は人気の恋愛映画。聖菜さんはきっとこれが好きなんだろうなと思っていたけどやはり正解だったようだ。聖菜さんはポップコーンを食べたりジュースを飲みながら終始ご機嫌で楽しんでくれているようだった。
そしてクライマックスを迎えようとする場面で不意に聖菜さんが手を握ってきた。驚いて聖菜さんの顔を見ると『ダメ?』と言いたそうな顔で見つめ返される。オレは小声で返事をする。
「ダメじゃ……ないけど」
「ふふっ。良かった」
それからラストまで2人で集中して鑑賞した。東雲さんも楽しめていたようで途中から目を輝かせていた。映画が終わったあと、聖菜さんと東雲さんを連れて近くにできたばかりのカフェに入る。店内には落ち着いた雰囲気の音楽が流れており、客もカップルばかりこの店はデートスポットとしても有名らしい。
注文を終えてしばらくするとコーヒーの良い香りが漂ってくる。聖菜さんは紅茶、オレはコーヒー、東雲さんはミルクティーをそれぞれ飲んで一息つく。
「ちょっとお手洗いに行ってくるね」
そして聖菜さんが席をたつ。残されたオレと東雲さん。やはり気まずい……。そんなことを思っていると東雲さんが話し始める。
「神坂君。聞いてもいいかしら」
「ああ。なんだ?」
「私と付き合いたいと思う?」
は?急にどうしたというのか。東雲さんがこういうことを口にするのは珍しい。何か心境の変化でもあったのだろうか。というより何て答えればいいんだこれ?
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タイムリープというSF設定を題材にしながら、
そちらの方面ではなく青春物語として掘り下げていくのが
軽妙で素晴らしいですね。また、ただの恋愛ものでもなく、
背景に「未来に何が待っているのか」という大きな謎を
置くことで、物語に深みが出ていると感じました。
結末がすごく楽しみです。続きを楽しみにしてます!
書記係K君様
感想ありがとうございます😂
最近は忙しくて更新できておりませんが……(泣)
必ず完結はさせますので、優斗と聖菜の事を末長く応援してください🎵
すごい引き込まれて最新話まで一気読みしてしまいました!
ヒロインが可愛すぎるのと、主人公とヒロインのやりとりが軽快でサクサク読めました!
ハレ時々猫だまり様
感想ありがとうございます😂
この物語は2人にしか分からない『空気感』を大切にしています。それは仲の良い友達のように、甘々な恋人のように、時には長年連れ添った夫婦のように。
周りから見た2人よりも、優斗と聖菜にしか分かりえない濃厚な関係が描けていたら幸いです。それが作中の言葉を借りると『運命的な何か』ということですね🎵