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256. ペンギンのケース

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256. ペンギンのケース



 今日も炎天下らしい。こういう日は部屋でエアコンを効かせて、ゲームをしながらアイスを食べるのが一番だな。

 それに今日は夏帆が用事があるらしく午前中はいない。こんな平和なのことあるのか。いやない!

「さて、アイスでも食べるか。この前買っておいた果物のシャーベットを……」

 オレは冷凍庫を開けると、そこには……

「あれ?もうこんなに食べたんだっけ?」

 3日前の夜に食べた記憶があるんだが……その時は確かまだまだ残ってたような……。そんなことを考えていると冷凍庫の中に見たことのないペンギン型のケースを見つけた。なんだこれ? そう思いながら開けようとすると夏帆がやってくる。

「先輩~!予定より早く帰ってきました……あっ!なんで勝手に私のペンギンちゃんを!」

 夏帆は目を丸くして驚いている。いやここはオレの部屋でこの冷蔵庫もオレのだ。勝手に占領してるのはこのペンギンなんだよ。

「中見たんですか先輩?」

「いや。まだ見てないけど?」

「絶対見ないでくださいよ。どうせ先輩は怒るだろうし」

 勝手に占領してる時点で怒るんだけど。まあそれはいいとして……一体何が入っているんだろうか?とりあえず開けるか。

「あっ!先輩ダメですよ!」

「うるさい。なら勝手にペンギンをここに陣取らせるのはやめるべきだったな?」

 オレは勢いよくケースを開けると、その中からオレンジやみかん味などのアイスやゼリーが飛び出してきた。

「は?」

「うぅ……せっかく隠しておいたのに……」

 夏帆は涙目になりながらこっちを見てくる。いや、これはお前が悪いからね。というかどんだけオレンジ好きなんだよ……。

「……こんなことしなくてもオレンジやみかん味の物は食べねぇから安心しろ」

「え?それは私の為ですよね?やっぱり先輩は優しいです!いいんですよ私が可愛くて我慢できないなら押し倒しても!私を食べますか!?」

「食べねぇから!うるさい黙れ!」

 そう言いながら抱きついてくる夏帆。だから暑いから離れろって。まぁなんか可愛いから許しちゃうオレもオレだが。

 これからオレンジやみかん味の物はそのペンギンのケースの中に真っ先に入れることになるのだった。
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