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7. あなたは経理と衛生管理だから
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7. あなたは経理と衛生管理だから
私とフィーナはエドワードことエドを仲間にして次の街に向かうことにする。人間嫌いのエルフのフィーナがエドには心を開いてくれて良かったわ。もちろんエドも仲良くしてくれてるし。
「あのエド君はおいくつですか?」
「ボクはこの前15になったばかりです。」
「なら私のほうがやっぱりお姉さんですね!私は169歳なので」
エルフの寿命と一緒にされて困っているエド。そりゃそうだよね。人間の15歳の男の子からしたら500年生きるエルフなんて想像できないものね。
「そう言えばリンネ様はおいくつなんですか?魔女だから人間より長生きですよね?」
「え?えーっと……忘れたわ」
今年で24だよ私は。とにかく魔物が出てきても一応フィーナも戦えるし、エドも魔法が使えるなら安心よね。うん。私はこれで心置きなく大好きなパンが焼けるわ。
「リンネ様~」
「ん?どうかしたフィーナ?」
「お腹空きました。お肉食べたいです。」
「お肉はないけど、バゲットがあるでしょ?朝焼いたじゃない」
するとフィーナはバゲットをいれていた袋を逆さにして空なのをアピールする。中に入っているはずのバゲットはすでにフィーナの胃袋に消えているようだ。
「……食べすぎよフィーナ。あれは私とエドの分もあったのよ?」
「え?あの量でですか?」
「……もういいわ。そろそろ休憩しようと思ってたし、ねぇエド。魔法で石窯を作ってくれない?お婆さんから聞いたけど土魔法使えるんでしょ?」
「はい!任せてください!」
エドは土魔法を詠唱して、小さな石窯を作り出す。形は少し歪だけどまぁまぁの出来じゃないかしらね。
「じゃあフィーナは薪を集めてきてくれるかしら?火種は私がつけるから。」
「わかりました!では行ってまいります!リンネ様のパンのために!」
元気よく森に向かって走っていくフィーナを見て私は苦笑いをする。そこまで私のパンを楽しみにしてくれるとは嬉しい限りだけどね。
それからしばらくして、フィーナは大量の薪を抱えて戻ってくる。拾いすぎよフィーナ……。
「ふぅー疲れました……」
「ありがとうフィーナ。そこで座って待ってなさい」
私は石窯の中に薪を入れて、そこに手をかざす。そして炎をイメージして魔力を流すと、石窯の中からゴォォッという音が聞こえてくる。よし成功だわ。
今日は何のパンを作ろうかしら……?うーん悩むわね。とりあえずベーグルでいいか。そんなことを考えながら私は石窯の中の温度を確認して焼き始める。
「あとは待つだけね」
「楽しみです~!お腹が空きすぎてます」
「はいはい。あっそうだエド、あなたが今日から資金やパンの材料を管理して」
「えぇ!?ボクがですか!?」
「そうよ。あなたこの前までパーティーのアイテムとか管理してたんでしょ?それなら問題ないわ」
ふふ……そう。エドはアイテム管理や買い出し、あとはお掃除などの雑用をやっていた。だから、お金の管理もできるはず。つまり……私が楽できる!!私の最強のパン屋の経理と衛生管理を同時に手に入れたようなものだ。
と顔に出るのはまずい。だからエドにも優しい嘘を言ってあげる。これはパン屋のためだから仕方ない。
「エド。私はあなたを信頼してるの。それに重要な仕事よ?できるわよね?」
「リンネ様……はい!ボクやります!」
「良かったですねエド君。リンネ様から頼ってもらえて」
「はいフィーナさん。ボク頑張ります」
少し心が痛むけど仕方ない。パン屋のためなの許してねエド。それから焼き上がったベーグルを食べながら、エドについて聞いてみることにする。
エドことエドワードはどの属性の魔法も使えるらしい。威力とかは全然らしいけど。でも、まだ15歳だしこれから伸びると思うわ。魔法は練習すればするほど上達するし。この旅でしっかり成長して欲しいわ。
「そう言えばリンネ様の旅はどこに行くか決まっているんですか?」
「特に決めていないわ。最終的には聖都リーベル=アイルでパン屋を開く。それが目的よ」
「聖都ですか?どうして?」
「私も気になります。なぜその国を目指すのでしょうか?」
「そんなの私のパンが一番美味しいに決まってるからよ。だから一番人が多い聖都でパン屋をやる。それだけよ」
本当にそれだけ。これが私の目標であり夢なのだ。そのためならどんな努力も惜しまないつもりだ。
「すごいですリンネ様は。とても素敵な考えです。ボクも見習います」
「うん。素晴らしいですリンネ様。さすがです。私はリンネ様のパンが食べたいです」
「べ、別に大したことじゃないわよ。それよりそろそろ出発するわよ」
私たちはまた歩き出す。目指すは海沿い近くにある街。そこまで行けば次の目的地である商業都市に行けるはずだ。そこからは船で海を渡ることになる。船に乗るのは初めてなのでちょっとワクワクしている。
私はふと横を見る。エルフのフィーナ。大魔法使いになりたい少年のエドワード。ふふっ変な組み合わせよね私たち。それでも、一緒にいると楽しいし、何より信頼できる仲間ができたことが嬉しい。そう思うのだった。
私とフィーナはエドワードことエドを仲間にして次の街に向かうことにする。人間嫌いのエルフのフィーナがエドには心を開いてくれて良かったわ。もちろんエドも仲良くしてくれてるし。
「あのエド君はおいくつですか?」
「ボクはこの前15になったばかりです。」
「なら私のほうがやっぱりお姉さんですね!私は169歳なので」
エルフの寿命と一緒にされて困っているエド。そりゃそうだよね。人間の15歳の男の子からしたら500年生きるエルフなんて想像できないものね。
「そう言えばリンネ様はおいくつなんですか?魔女だから人間より長生きですよね?」
「え?えーっと……忘れたわ」
今年で24だよ私は。とにかく魔物が出てきても一応フィーナも戦えるし、エドも魔法が使えるなら安心よね。うん。私はこれで心置きなく大好きなパンが焼けるわ。
「リンネ様~」
「ん?どうかしたフィーナ?」
「お腹空きました。お肉食べたいです。」
「お肉はないけど、バゲットがあるでしょ?朝焼いたじゃない」
するとフィーナはバゲットをいれていた袋を逆さにして空なのをアピールする。中に入っているはずのバゲットはすでにフィーナの胃袋に消えているようだ。
「……食べすぎよフィーナ。あれは私とエドの分もあったのよ?」
「え?あの量でですか?」
「……もういいわ。そろそろ休憩しようと思ってたし、ねぇエド。魔法で石窯を作ってくれない?お婆さんから聞いたけど土魔法使えるんでしょ?」
「はい!任せてください!」
エドは土魔法を詠唱して、小さな石窯を作り出す。形は少し歪だけどまぁまぁの出来じゃないかしらね。
「じゃあフィーナは薪を集めてきてくれるかしら?火種は私がつけるから。」
「わかりました!では行ってまいります!リンネ様のパンのために!」
元気よく森に向かって走っていくフィーナを見て私は苦笑いをする。そこまで私のパンを楽しみにしてくれるとは嬉しい限りだけどね。
それからしばらくして、フィーナは大量の薪を抱えて戻ってくる。拾いすぎよフィーナ……。
「ふぅー疲れました……」
「ありがとうフィーナ。そこで座って待ってなさい」
私は石窯の中に薪を入れて、そこに手をかざす。そして炎をイメージして魔力を流すと、石窯の中からゴォォッという音が聞こえてくる。よし成功だわ。
今日は何のパンを作ろうかしら……?うーん悩むわね。とりあえずベーグルでいいか。そんなことを考えながら私は石窯の中の温度を確認して焼き始める。
「あとは待つだけね」
「楽しみです~!お腹が空きすぎてます」
「はいはい。あっそうだエド、あなたが今日から資金やパンの材料を管理して」
「えぇ!?ボクがですか!?」
「そうよ。あなたこの前までパーティーのアイテムとか管理してたんでしょ?それなら問題ないわ」
ふふ……そう。エドはアイテム管理や買い出し、あとはお掃除などの雑用をやっていた。だから、お金の管理もできるはず。つまり……私が楽できる!!私の最強のパン屋の経理と衛生管理を同時に手に入れたようなものだ。
と顔に出るのはまずい。だからエドにも優しい嘘を言ってあげる。これはパン屋のためだから仕方ない。
「エド。私はあなたを信頼してるの。それに重要な仕事よ?できるわよね?」
「リンネ様……はい!ボクやります!」
「良かったですねエド君。リンネ様から頼ってもらえて」
「はいフィーナさん。ボク頑張ります」
少し心が痛むけど仕方ない。パン屋のためなの許してねエド。それから焼き上がったベーグルを食べながら、エドについて聞いてみることにする。
エドことエドワードはどの属性の魔法も使えるらしい。威力とかは全然らしいけど。でも、まだ15歳だしこれから伸びると思うわ。魔法は練習すればするほど上達するし。この旅でしっかり成長して欲しいわ。
「そう言えばリンネ様の旅はどこに行くか決まっているんですか?」
「特に決めていないわ。最終的には聖都リーベル=アイルでパン屋を開く。それが目的よ」
「聖都ですか?どうして?」
「私も気になります。なぜその国を目指すのでしょうか?」
「そんなの私のパンが一番美味しいに決まってるからよ。だから一番人が多い聖都でパン屋をやる。それだけよ」
本当にそれだけ。これが私の目標であり夢なのだ。そのためならどんな努力も惜しまないつもりだ。
「すごいですリンネ様は。とても素敵な考えです。ボクも見習います」
「うん。素晴らしいですリンネ様。さすがです。私はリンネ様のパンが食べたいです」
「べ、別に大したことじゃないわよ。それよりそろそろ出発するわよ」
私たちはまた歩き出す。目指すは海沿い近くにある街。そこまで行けば次の目的地である商業都市に行けるはずだ。そこからは船で海を渡ることになる。船に乗るのは初めてなのでちょっとワクワクしている。
私はふと横を見る。エルフのフィーナ。大魔法使いになりたい少年のエドワード。ふふっ変な組み合わせよね私たち。それでも、一緒にいると楽しいし、何より信頼できる仲間ができたことが嬉しい。そう思うのだった。
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