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26. 部下育成も必要でしょ?
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26. 部下育成も必要でしょ?
私たちは迷いの森を歩き続ける。『奇跡の花』は一体どこにあるのかしら?それより本当にあるんでしょうね?
「ねぇルチア。『奇跡の花』って。どういうものなの?」
私は隣で歩くルチアに尋ねた。
「その花は、どんな病も治す万能薬だって言われてて花弁が七色に輝く不思議な花なんだよ」
「七色に輝く花か……」
「へ~ぜひ見たいです~!」
「どの辺りにあるんですかね?やっぱりこの森の奥深くに行かないとダメですかね?」
エドは顎に手を当てながら言う。
「そうだね。森の最深部に行ってみるしかないと思うよ」
「最深部に何か目印になるような物とか無いんですかね~?」
「うーん……あ!そういえば昔お母様から聞いた事があるよ!」
ルチアは思い出したように手を叩く。
「最深部には泉があるんだって。その泉の近くには一本だけ大きな大木が生えてるらしいの」
「じゃあその大木を探すっていうのもありですね」
最深部にある大木……。私たちは迷わないよう気を付けつつ奥へと進んでいった。それからしばらく歩き続けると、何かの気配を感じる。するとそれは私たちの前に姿を現した。
「グルルッ……!!」
目の前に現れたのは大きな体躯をした狼だった。その瞳には鋭い眼光が宿っている。どうやら私たちのことを敵として認識しているようね。
「リンネ様!ボクの後ろに隠れてくださいっ!」
「は?」
エドは私を庇うようにして前に立つ。そしてチラチラとルチアのほうを見ている。こらこら。こんな時に格好つけるな色ガキ。
「いいからあんたは下がってなさい」
「えぇ!?そんなぁ!」
私はエドを押し退けると前に一歩出る。
「ガルルルゥ……!!」
狼は牙を剥き出しにして低く喉を鳴らす。その視線は私に向けられていた。そして次の瞬間、狼は凄まじいスピードでこちらへ向かってきた。速い!このままだと噛み付かれてしまうわね。でも―――。私はその一瞬を逃さない。
「私に焼けないパンはないわ。……体長2.6メートル、水分量55~58%。あら?ずいぶん水分量が少ないみたい、そりゃ食べたいわよね私たちを。水分が少ないと、生地はかたくてこねるのに力がいるのよね……イングリッシュマフィンあたりかしらね」
私は右手を出し炎魔法を詠唱する。
「こんがり焼き上がりなさい。我願う焔の加護。我が敵に裁きの鉄槌を下さんことを……《フレイム・ピラー》」
そしてそのまま手を前に突き出すと勢いよく燃え盛る火炎の柱が地面から飛び出してきた。狼はその柱に飲み込まれていく。
「キャイン!!キャンキャン!!」
狼は悲鳴を上げながらも必死にもがくが、逃げ場はなくやがて動かなくなった。
「こんなものかしらね?」
「すごーいリンネ様!格好いい!」
「ありがとうルチア。怪我はない?」
「うん!」
ルチアは目をキラキラさせながら私を見てくる。可愛い子だこと。その奥でエドが私をめちゃくちゃ睨み付けてくる。何よ文句あるの?面倒なやつね。
「ボクだって倒せたんですけどね!まぁ今回は譲ってあげますよリンネ様!」
「はいはい。次は頼むわね」
「エドお兄ちゃんもすごい魔法使えるの?」
「もちろんですよルチアさん!ボクだって魔女の孫ですから!」
胸を張るエド。威張ることじゃないでしょうが。嫉妬の化け物かお前は。
「とにかく先に進みましょうか。私が先頭を歩くから、えっと……エドはその素晴らしい魔法でフィーナとルチアを守ってあげなさい」
「お願いしますねエド君!」
「お願い。エドお兄ちゃん」
「もちろんですよ!任せてください!」
フィーナの援護射撃もあり、エドは意気揚々と進み始めた。私たちは再び歩き出す。それからしばらくして、森の最深部と思われる場所に辿り着いた。
そこには泉があり、大きな大木が一本生えているとても幻想的な風景が広がっていた。
「綺麗ね……」
「ほんとですね……」
「これは絶景ですね」
「ここに『奇跡の花』があるんだよね、探さないと!」
私たちはしばらくの間その景色に見惚れていた。すると、突然泉の水面が光を放ち始める。一体何事!?すると泉の中から七色の美しい花びらが舞い上がる。
「見てくださいリンネ様!泉の中から花が出てきましたよ!」
「あれが……『奇跡の花』……」
私たちは泉へと駆け寄った。すると、水中に一面に咲き誇るその花はまるで虹のように輝いていた。なんて神秘的なんだろう……。
「これが……『奇跡の花』すごいです~!」
「本当ね。そりゃ『奇跡の花』なんて呼ばれるわよね……」
その時だった。一瞬で私たちの視界が暗くなる。すぐに上を見上げると巨大な影が覆い被さっていた。その正体は、巨大な両翼を持つ竜であった。
「グオオォオオッ!!」
「ひぃっ……!!」
ルチアは恐怖のあまり声にならない叫びを上げる。
「こいつは……まさか……!!ド、ドラゴン……!!?リリリ……リンネ様!?」
「あのリンネ様。こんな時になんですけど、ドラゴンって食べれるんですかね?私食べてみたいです!」
「肉厚のステーキを挟んだドラゴンバーガーとかできそうだけど。さすがにフィーナでも食べきれないんじゃない?あんなに大きいのよ?」
「頑張って食べます!それが私の仕事です!」
いやあなたの仕事は接客でしょうが。私のまかないを食べることじゃないわよ?
「こんな時に何言ってるんですかリンネ様!フィーナさん!」
私たちが呑気に会話をしている間、ドラゴンは口から炎を吐こうとしていた。まずい……!このままだとみんな丸焦げになる……!私はみんなに覆い被さるようにして庇う。その炎のブレスが通ったあとを見ると、地面には大きな穴が出来上がっていた。直撃していたら危なかったわね……!
「グルルルッ……!!」
ドラゴンは私たちを見下ろすようにこちらを睨み付けている。
「ほらエド出番よ?」
「えっ!!?」
「魔法で倒せるんでしょ?譲ってあげるわ?言ったことは守らないと。ルチアが怯えてるわよ?」
「そんなぁ……!!ボクに死ねっていうんですか!?」
エドは泣きながら叫ぶ。なんでもやらせるそれが上司の務め、部下育成だから。
私たちは迷いの森を歩き続ける。『奇跡の花』は一体どこにあるのかしら?それより本当にあるんでしょうね?
「ねぇルチア。『奇跡の花』って。どういうものなの?」
私は隣で歩くルチアに尋ねた。
「その花は、どんな病も治す万能薬だって言われてて花弁が七色に輝く不思議な花なんだよ」
「七色に輝く花か……」
「へ~ぜひ見たいです~!」
「どの辺りにあるんですかね?やっぱりこの森の奥深くに行かないとダメですかね?」
エドは顎に手を当てながら言う。
「そうだね。森の最深部に行ってみるしかないと思うよ」
「最深部に何か目印になるような物とか無いんですかね~?」
「うーん……あ!そういえば昔お母様から聞いた事があるよ!」
ルチアは思い出したように手を叩く。
「最深部には泉があるんだって。その泉の近くには一本だけ大きな大木が生えてるらしいの」
「じゃあその大木を探すっていうのもありですね」
最深部にある大木……。私たちは迷わないよう気を付けつつ奥へと進んでいった。それからしばらく歩き続けると、何かの気配を感じる。するとそれは私たちの前に姿を現した。
「グルルッ……!!」
目の前に現れたのは大きな体躯をした狼だった。その瞳には鋭い眼光が宿っている。どうやら私たちのことを敵として認識しているようね。
「リンネ様!ボクの後ろに隠れてくださいっ!」
「は?」
エドは私を庇うようにして前に立つ。そしてチラチラとルチアのほうを見ている。こらこら。こんな時に格好つけるな色ガキ。
「いいからあんたは下がってなさい」
「えぇ!?そんなぁ!」
私はエドを押し退けると前に一歩出る。
「ガルルルゥ……!!」
狼は牙を剥き出しにして低く喉を鳴らす。その視線は私に向けられていた。そして次の瞬間、狼は凄まじいスピードでこちらへ向かってきた。速い!このままだと噛み付かれてしまうわね。でも―――。私はその一瞬を逃さない。
「私に焼けないパンはないわ。……体長2.6メートル、水分量55~58%。あら?ずいぶん水分量が少ないみたい、そりゃ食べたいわよね私たちを。水分が少ないと、生地はかたくてこねるのに力がいるのよね……イングリッシュマフィンあたりかしらね」
私は右手を出し炎魔法を詠唱する。
「こんがり焼き上がりなさい。我願う焔の加護。我が敵に裁きの鉄槌を下さんことを……《フレイム・ピラー》」
そしてそのまま手を前に突き出すと勢いよく燃え盛る火炎の柱が地面から飛び出してきた。狼はその柱に飲み込まれていく。
「キャイン!!キャンキャン!!」
狼は悲鳴を上げながらも必死にもがくが、逃げ場はなくやがて動かなくなった。
「こんなものかしらね?」
「すごーいリンネ様!格好いい!」
「ありがとうルチア。怪我はない?」
「うん!」
ルチアは目をキラキラさせながら私を見てくる。可愛い子だこと。その奥でエドが私をめちゃくちゃ睨み付けてくる。何よ文句あるの?面倒なやつね。
「ボクだって倒せたんですけどね!まぁ今回は譲ってあげますよリンネ様!」
「はいはい。次は頼むわね」
「エドお兄ちゃんもすごい魔法使えるの?」
「もちろんですよルチアさん!ボクだって魔女の孫ですから!」
胸を張るエド。威張ることじゃないでしょうが。嫉妬の化け物かお前は。
「とにかく先に進みましょうか。私が先頭を歩くから、えっと……エドはその素晴らしい魔法でフィーナとルチアを守ってあげなさい」
「お願いしますねエド君!」
「お願い。エドお兄ちゃん」
「もちろんですよ!任せてください!」
フィーナの援護射撃もあり、エドは意気揚々と進み始めた。私たちは再び歩き出す。それからしばらくして、森の最深部と思われる場所に辿り着いた。
そこには泉があり、大きな大木が一本生えているとても幻想的な風景が広がっていた。
「綺麗ね……」
「ほんとですね……」
「これは絶景ですね」
「ここに『奇跡の花』があるんだよね、探さないと!」
私たちはしばらくの間その景色に見惚れていた。すると、突然泉の水面が光を放ち始める。一体何事!?すると泉の中から七色の美しい花びらが舞い上がる。
「見てくださいリンネ様!泉の中から花が出てきましたよ!」
「あれが……『奇跡の花』……」
私たちは泉へと駆け寄った。すると、水中に一面に咲き誇るその花はまるで虹のように輝いていた。なんて神秘的なんだろう……。
「これが……『奇跡の花』すごいです~!」
「本当ね。そりゃ『奇跡の花』なんて呼ばれるわよね……」
その時だった。一瞬で私たちの視界が暗くなる。すぐに上を見上げると巨大な影が覆い被さっていた。その正体は、巨大な両翼を持つ竜であった。
「グオオォオオッ!!」
「ひぃっ……!!」
ルチアは恐怖のあまり声にならない叫びを上げる。
「こいつは……まさか……!!ド、ドラゴン……!!?リリリ……リンネ様!?」
「あのリンネ様。こんな時になんですけど、ドラゴンって食べれるんですかね?私食べてみたいです!」
「肉厚のステーキを挟んだドラゴンバーガーとかできそうだけど。さすがにフィーナでも食べきれないんじゃない?あんなに大きいのよ?」
「頑張って食べます!それが私の仕事です!」
いやあなたの仕事は接客でしょうが。私のまかないを食べることじゃないわよ?
「こんな時に何言ってるんですかリンネ様!フィーナさん!」
私たちが呑気に会話をしている間、ドラゴンは口から炎を吐こうとしていた。まずい……!このままだとみんな丸焦げになる……!私はみんなに覆い被さるようにして庇う。その炎のブレスが通ったあとを見ると、地面には大きな穴が出来上がっていた。直撃していたら危なかったわね……!
「グルルルッ……!!」
ドラゴンは私たちを見下ろすようにこちらを睨み付けている。
「ほらエド出番よ?」
「えっ!!?」
「魔法で倒せるんでしょ?譲ってあげるわ?言ったことは守らないと。ルチアが怯えてるわよ?」
「そんなぁ……!!ボクに死ねっていうんですか!?」
エドは泣きながら叫ぶ。なんでもやらせるそれが上司の務め、部下育成だから。
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