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39. 最近の癒しと止まり木
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39. 最近の癒しと止まり木
私たちはシャンデラの街の外れにある宿屋に泊まることになった。しばらく拠点として使いたいと店主のサラに話したら、快く了承してくれ、しかも厨房の使用許可もでた。これで思う存分パンが焼けるわ!
でも残念なことがひとつある。それは……
「またリンネ様と一緒の部屋ですか?ボクはフィーナさんかルチアさんとが良かったのに」
それはこっちのセリフよエド。なんで私があんたと同じ部屋じゃないといけないのよ。まったく。
「文句を言うんじゃないわよ。仕方がないでしょう?」
「もし一緒の部屋でもボクは何もしないですよ?現にリンネ様にだって何もしてないじゃないですか!」
「フィーナとルチアにはするかもしれないでしょうが。このエロガキっ!」
根拠のない理由は無意味だから。私を動かすならそれなりの理由を持ってくるのねエド。
それからお風呂に入り、寝る準備をしているとエドが話しかけてくる。
「リンネ様。明日からどうしましょうか?砂船の情報を集めるんですか?」
「ええもちろん」
「それならやっぱりギルドですかね……リンネ様大丈夫ですか?」
ギルドには極力行かない方がいいわよね……。まだ騎士団は赤い髪の『パン魔法』の女を追っていると思うし。有名になりすぎて困るわ。
「そう言えばリンネ様。ルチアさんがスープ作りをしたいって言ってました。野菜を買う資金が欲しいって」
「いいんじゃない?それならこのシャンデラにいる間はルチアにはスープ作りを特訓してもらいましょ。フィーナには手伝わせるのがいいわね。この街は住人の数も多いし、エルフのフィーナにとってもいい提案だと思うわ」
「わかりました。そしたら明日みんなに相談ですね!お休みなさい!リンネ様」
そして私たちはベッドに入りそのまま眠った。次の日。昨日の話し通りにフィーナとルチアはスープの特訓をする。私とエドは砂船の情報を集めることになった。
「さてギルドへ行くわよエド」
「はいわかりました」
「ピーッピーッ」
「あら?あなたはフィーナと一緒じゃなくていいの?それならピー助も一緒に行く?」
私はピー助を肩にのせて、エドと共にギルドに行き、砂船の情報を集める。ちなみに私はフードを被っている。エドに『リンネ様はバレると面倒なので』と言われて仕方なくだけどね。色々な人の話を聞いたが結果はすべて空振りだった。
「情報を集めようとしてもあまりいい情報が集まらないですね……」
「仕方がないわ。そもそも砂漠での移動手段なんて限られているもの。それに砂漠を越えるなんて人は稀だしね」
「それもそうですね。今日はこれくらいにして宿に戻りますか?」
「うーん。もう少しだけ調べたいことがあるから先に帰ってていいわよ。すぐに戻るから」
「わかりました。ではお気をつけて」
エドと別れてから少し街を見て歩くことにした。情報収集はもう諦めているけど何かしらヒントがあるかもしれないしね。そんなことを考えながら歩いていると街の広場に出た。そこには大きな噴水がありたくさんの人が座っていたり休憩していたりする。
「ちょっと休んでいこうかしら」
ちょうどお昼時だったのもあり、ベンチに座って昼食をとることにする。
「ピピッ!」
「ん?ちゃんとピー助にもあげるから待って」
「ピーッ!」
私の膝の上でご飯を食べ始めるピー助。本当に可愛いわね……。というかなんかピー助が最近、私の癒しになってない?私も24だし……女として終わってるかしら?そんなに寂しい女子のつもりはないし、そろそろ素敵な殿方とか現れるといいんだけど……。そんなことを考えていると、突然後ろから声をかけられる。
「あっ休憩ですか?」
「ん?あっサラ。こんなところにいて宿屋は大丈夫なの?」
「はい。小さな宿屋ですけど、従業員はいますから。良かったらお隣いいですか?」
「ええ。どうぞ」
そう言ってサラは私の隣に腰掛ける。うーん。サラは私と同じくらいの年齢よね?しっかりしてるわね、自分で宿屋を切り盛りしてるなんて。
「そう言えばリンネさんたちは砂船を探していると聞いたんですけど本当ですか?」
「ええ。ダジュール砂漠を越えて商業都市に行きたいの。まぁ最終目的地は聖都リーベル=アイルでパン屋を開くことなんだけどね」
「素敵ですね。あの……もし良かったらですけど、このシャンデラには大きな図書館があるんです。そこへ行ってみてはどうでしょうか?きっと参考になる資料もあると思います」
「へぇ~そうなんだ。それはいいことを聞けたわ。ありがとう」
「いえ、お役に立てて嬉しいです。それじゃあ仕事に戻りますね。あまり遅くならないようにしてくださいね」
そう言って立ち去るサラ。あまり遅くならないようにか。なんか……自分の家みたいだなぁ。そんなことを考えながらも少しこの旅で止まり木的な場所を見つけた気がした。
私たちはシャンデラの街の外れにある宿屋に泊まることになった。しばらく拠点として使いたいと店主のサラに話したら、快く了承してくれ、しかも厨房の使用許可もでた。これで思う存分パンが焼けるわ!
でも残念なことがひとつある。それは……
「またリンネ様と一緒の部屋ですか?ボクはフィーナさんかルチアさんとが良かったのに」
それはこっちのセリフよエド。なんで私があんたと同じ部屋じゃないといけないのよ。まったく。
「文句を言うんじゃないわよ。仕方がないでしょう?」
「もし一緒の部屋でもボクは何もしないですよ?現にリンネ様にだって何もしてないじゃないですか!」
「フィーナとルチアにはするかもしれないでしょうが。このエロガキっ!」
根拠のない理由は無意味だから。私を動かすならそれなりの理由を持ってくるのねエド。
それからお風呂に入り、寝る準備をしているとエドが話しかけてくる。
「リンネ様。明日からどうしましょうか?砂船の情報を集めるんですか?」
「ええもちろん」
「それならやっぱりギルドですかね……リンネ様大丈夫ですか?」
ギルドには極力行かない方がいいわよね……。まだ騎士団は赤い髪の『パン魔法』の女を追っていると思うし。有名になりすぎて困るわ。
「そう言えばリンネ様。ルチアさんがスープ作りをしたいって言ってました。野菜を買う資金が欲しいって」
「いいんじゃない?それならこのシャンデラにいる間はルチアにはスープ作りを特訓してもらいましょ。フィーナには手伝わせるのがいいわね。この街は住人の数も多いし、エルフのフィーナにとってもいい提案だと思うわ」
「わかりました。そしたら明日みんなに相談ですね!お休みなさい!リンネ様」
そして私たちはベッドに入りそのまま眠った。次の日。昨日の話し通りにフィーナとルチアはスープの特訓をする。私とエドは砂船の情報を集めることになった。
「さてギルドへ行くわよエド」
「はいわかりました」
「ピーッピーッ」
「あら?あなたはフィーナと一緒じゃなくていいの?それならピー助も一緒に行く?」
私はピー助を肩にのせて、エドと共にギルドに行き、砂船の情報を集める。ちなみに私はフードを被っている。エドに『リンネ様はバレると面倒なので』と言われて仕方なくだけどね。色々な人の話を聞いたが結果はすべて空振りだった。
「情報を集めようとしてもあまりいい情報が集まらないですね……」
「仕方がないわ。そもそも砂漠での移動手段なんて限られているもの。それに砂漠を越えるなんて人は稀だしね」
「それもそうですね。今日はこれくらいにして宿に戻りますか?」
「うーん。もう少しだけ調べたいことがあるから先に帰ってていいわよ。すぐに戻るから」
「わかりました。ではお気をつけて」
エドと別れてから少し街を見て歩くことにした。情報収集はもう諦めているけど何かしらヒントがあるかもしれないしね。そんなことを考えながら歩いていると街の広場に出た。そこには大きな噴水がありたくさんの人が座っていたり休憩していたりする。
「ちょっと休んでいこうかしら」
ちょうどお昼時だったのもあり、ベンチに座って昼食をとることにする。
「ピピッ!」
「ん?ちゃんとピー助にもあげるから待って」
「ピーッ!」
私の膝の上でご飯を食べ始めるピー助。本当に可愛いわね……。というかなんかピー助が最近、私の癒しになってない?私も24だし……女として終わってるかしら?そんなに寂しい女子のつもりはないし、そろそろ素敵な殿方とか現れるといいんだけど……。そんなことを考えていると、突然後ろから声をかけられる。
「あっ休憩ですか?」
「ん?あっサラ。こんなところにいて宿屋は大丈夫なの?」
「はい。小さな宿屋ですけど、従業員はいますから。良かったらお隣いいですか?」
「ええ。どうぞ」
そう言ってサラは私の隣に腰掛ける。うーん。サラは私と同じくらいの年齢よね?しっかりしてるわね、自分で宿屋を切り盛りしてるなんて。
「そう言えばリンネさんたちは砂船を探していると聞いたんですけど本当ですか?」
「ええ。ダジュール砂漠を越えて商業都市に行きたいの。まぁ最終目的地は聖都リーベル=アイルでパン屋を開くことなんだけどね」
「素敵ですね。あの……もし良かったらですけど、このシャンデラには大きな図書館があるんです。そこへ行ってみてはどうでしょうか?きっと参考になる資料もあると思います」
「へぇ~そうなんだ。それはいいことを聞けたわ。ありがとう」
「いえ、お役に立てて嬉しいです。それじゃあ仕事に戻りますね。あまり遅くならないようにしてくださいね」
そう言って立ち去るサラ。あまり遅くならないようにか。なんか……自分の家みたいだなぁ。そんなことを考えながらも少しこの旅で止まり木的な場所を見つけた気がした。
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