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38. 姫は『誇らしい』のです
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38. 姫は『誇らしい』のです
そして翌日。オレは『AME』さんの連絡先を聞いたので、連絡がとってみることにする。
「お忙しい中申し訳ございません。私はFmすたーらいぶの神崎颯太と申します。実は所属タレントのVtuberの『双葉かのん』のオリジナル曲の作成をお願いできないかと思いまして、ご連絡差し上げました。一度お会いして話をさせていただければと思いますので、ご都合の良い日を教えていただけますでしょうか。……これでいいか。送信と。」
しばらくすると、返信がきた。『お世話になっております。いつでも大丈夫です。カレーが食べたいのでおすすめのカレー屋さんで会えると嬉しいです。』
「……ん?」
なんだこの返事。なんか面白い人だな。オレは思わずクスリと笑ってしまう。
「分かりました。後で日時と住所を送らせていただきますね」
これでよし。後は会うだけだ。さて……どういう人がくるのやら。
そして約束の当日。時間は午後7時。待ち合わせ場所の駅前のカレー屋さんに鈴町さんと共に向かう。店内にはインド風の音楽が流れていて雰囲気のある店だ。店員さんに個室に案内されると、すでにその人はいた。
長い髪を後ろで束ねており、その髪の色はとても綺麗な茶色。歳はオレと同じくらいで顔はどこか幼く見えるが美人な方だと思う。ジーパンにパーカーというラフな格好だが、それがまた似合っている。その女性は立ち上がり挨拶をする。
「こんばんは。Fmすたーらいぶの神崎さんと双葉かのんさんですね。初めまして『AME』と申します」
「わざわざご足労頂きありがとうございます。こちらこそよろしくお願い致します」
「よ……よろしく……お願いします」
いつも通りだけど鈴町さんは緊張しているのか少し声が震えている。オレたちは席に座り、注文を済ませる。そしてすぐに飲み物が届いた。一口飲むと話を切り出す。
「今回AMEさんにお願いした経緯ですが、彼女が『姫宮ましろ』のファンでしてそのオリ曲の『ホワイトプリンセス』が特にお気に入りで。そこで彼女からAMEさんに依頼をしてみたいと言われたので、こうしてご相談させていただきました」
オレの話を聞きながら、彼女は嬉しそうな表情で鈴町さんを見つめる。鈴町さんは恥ずかしそうに下を向いてしまった。
「それは光栄です。『ホワイトプリンセス』ですか……あれは私のボカロP人生……いや私自身を救ってくれた曲ですからね……」
「そうなんですか?」
「かのんさんのオリ曲の話の前に少しだけ私の話をしてもいいですか?私は最初に出した『夢色トリック』っていう曲が結構バズったんです。でもその後の曲はそこまで……元々可愛らしい曲ばかりだしていたんですけど、どこかで違うと思ってました。私はバンドやゲームが好きなんでカッコいい曲が作りたくて。」
「確かに『ホワイトプリンセス』は疾走感のある曲でしたね」
「正直あの時、もうボカロPを引退しようと思ってました。これが最後のチャンス……だからご依頼をもらった時に自分の好きなように作ったんです」
なにか思い出に浸っているような遠い目をしている。それほど思い入れがある曲だったんだろう。そんな曲を歌わせてもらったんだなオレ……
「Fmすたーらいぶの『姫宮ましろ』に私は救われました。NGを貰うことも覚悟していた。でもそのままオリ曲として採用してくれた。彼女のイメージとは全然違ったのが良かったのか……『ホワイトプリンセス』は大きな反響をもらった。私の理想で。おかげで私は立ち直れた。そんな曲なんです」
「ましろん先輩……すごい……」
鈴町さんが憧れのまなざしを向けてくる。こらこら。バレるだろうが。オレは慌てて視線を外す。
まぁ偶然かもしれないけど、オレとAMEさんの利害が一致した曲だったんだな……。この話を聞いて少しだけ、『ホワイトプリンセス』をもっと大勢の人に聞いて欲しいと思うのと同時に誇らしくもあるのだった。
そして翌日。オレは『AME』さんの連絡先を聞いたので、連絡がとってみることにする。
「お忙しい中申し訳ございません。私はFmすたーらいぶの神崎颯太と申します。実は所属タレントのVtuberの『双葉かのん』のオリジナル曲の作成をお願いできないかと思いまして、ご連絡差し上げました。一度お会いして話をさせていただければと思いますので、ご都合の良い日を教えていただけますでしょうか。……これでいいか。送信と。」
しばらくすると、返信がきた。『お世話になっております。いつでも大丈夫です。カレーが食べたいのでおすすめのカレー屋さんで会えると嬉しいです。』
「……ん?」
なんだこの返事。なんか面白い人だな。オレは思わずクスリと笑ってしまう。
「分かりました。後で日時と住所を送らせていただきますね」
これでよし。後は会うだけだ。さて……どういう人がくるのやら。
そして約束の当日。時間は午後7時。待ち合わせ場所の駅前のカレー屋さんに鈴町さんと共に向かう。店内にはインド風の音楽が流れていて雰囲気のある店だ。店員さんに個室に案内されると、すでにその人はいた。
長い髪を後ろで束ねており、その髪の色はとても綺麗な茶色。歳はオレと同じくらいで顔はどこか幼く見えるが美人な方だと思う。ジーパンにパーカーというラフな格好だが、それがまた似合っている。その女性は立ち上がり挨拶をする。
「こんばんは。Fmすたーらいぶの神崎さんと双葉かのんさんですね。初めまして『AME』と申します」
「わざわざご足労頂きありがとうございます。こちらこそよろしくお願い致します」
「よ……よろしく……お願いします」
いつも通りだけど鈴町さんは緊張しているのか少し声が震えている。オレたちは席に座り、注文を済ませる。そしてすぐに飲み物が届いた。一口飲むと話を切り出す。
「今回AMEさんにお願いした経緯ですが、彼女が『姫宮ましろ』のファンでしてそのオリ曲の『ホワイトプリンセス』が特にお気に入りで。そこで彼女からAMEさんに依頼をしてみたいと言われたので、こうしてご相談させていただきました」
オレの話を聞きながら、彼女は嬉しそうな表情で鈴町さんを見つめる。鈴町さんは恥ずかしそうに下を向いてしまった。
「それは光栄です。『ホワイトプリンセス』ですか……あれは私のボカロP人生……いや私自身を救ってくれた曲ですからね……」
「そうなんですか?」
「かのんさんのオリ曲の話の前に少しだけ私の話をしてもいいですか?私は最初に出した『夢色トリック』っていう曲が結構バズったんです。でもその後の曲はそこまで……元々可愛らしい曲ばかりだしていたんですけど、どこかで違うと思ってました。私はバンドやゲームが好きなんでカッコいい曲が作りたくて。」
「確かに『ホワイトプリンセス』は疾走感のある曲でしたね」
「正直あの時、もうボカロPを引退しようと思ってました。これが最後のチャンス……だからご依頼をもらった時に自分の好きなように作ったんです」
なにか思い出に浸っているような遠い目をしている。それほど思い入れがある曲だったんだろう。そんな曲を歌わせてもらったんだなオレ……
「Fmすたーらいぶの『姫宮ましろ』に私は救われました。NGを貰うことも覚悟していた。でもそのままオリ曲として採用してくれた。彼女のイメージとは全然違ったのが良かったのか……『ホワイトプリンセス』は大きな反響をもらった。私の理想で。おかげで私は立ち直れた。そんな曲なんです」
「ましろん先輩……すごい……」
鈴町さんが憧れのまなざしを向けてくる。こらこら。バレるだろうが。オレは慌てて視線を外す。
まぁ偶然かもしれないけど、オレとAMEさんの利害が一致した曲だったんだな……。この話を聞いて少しだけ、『ホワイトプリンセス』をもっと大勢の人に聞いて欲しいと思うのと同時に誇らしくもあるのだった。
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