【ガチ恋プリンセス】これがVtuberのおしごと~後輩はガチで陰キャでコミュ障。。。『ましのん』コンビでトップVtuberを目指します!

夕姫

文字の大きさ
837 / 1,095

749. 姫は『尽力』したいそうです

しおりを挟む
 749. 姫は『尽力』したいそうです



 翌朝10時。昨日の穏やかな陽光はどこへやら、今日は空一面に薄いベールのような雲が広がっている。そのせいか、気温も幾分かひんやりと感じられた。CGSの面接選考のために借りた会議室は、普段賑やかなはずのFmすたーらいぶの事務所から、少し離れたビジネスビルの静かな一室にあった。

 なぜ事務所ではないのか。その理由は、一言で言えば「機密事項」に尽きる。Vtuber事務所の機密事項。それは多岐にわたる。

 まずはライバーに関する機密事項。今後の配信スケジュール、コラボレーションの計画、オリジナル楽曲やグッズの制作状況、そして何よりも各ライバーの収益に関する情報は外部には決して漏らせない。収益情報は、事務所の経営戦略に関わる根幹であり、競合他社に知られれば不利な状況に追い込まれる可能性もある。

 さらに、事務所独自の技術やノウハウも重要な機密事項だ。例えばモーションキャプチャのシステム、配信ツールのカスタマイズ、炎上対策のマニュアル、ファンコミュニティの運営方法など、長年の経験と試行錯誤によって培われたこれらの情報は事務所の競争力を維持するための生命線となる。

 そして今回の面接のように、新しい人材の選考に関する情報も厳重に管理されるべき機密事項だ。応募者の個人情報はもちろんのこと、選考基準、面接の内容、合否の結果などが外部に漏れることは、応募者への不利益につながるだけでなく、事務所の信頼を大きく損なう行為と言える。

 だからこそ事務所内であっても、アクセスできる人間は限られているし、データは厳重に管理されている。ましてや関係者以外の人間を事務所に入れるなど考えられないことなのだ。

 それは、Fmすたーらいぶが単なる配信者の集まりではなく、多くの人々の夢と生活を背負う、一つの大きな企業になった証拠なのかもしれないけど。

 借りられた会議室は、無機質な白い壁と事務的な長机が並ぶ、殺風景な空間だった。しかし、時折厚い雲の隙間から、一条の希望のような光が差し込み、室内を淡く照らし出す。オレは、月城さんのモデリングイラストをタブレットで開き、コーヒーを啜りながら、隣に座る立花さんと最終確認をしていた。

「へ~可愛いじゃない」

「コンセプトはそこに書いてあるとおりで。あくまで月城さんの希望なので。まぁコンセプトやら名前やら一人称やらは、デビューするライバーが決めることなんですけどねw」

「でも、このモデリングがあればイメージしやすいし、陽菜が求めるライバー像に近い人を採用したいわよね……」

「そうですね。オレたちもできる限り尽力しましょう」

 そしてしばらくして会議室のドアが開いた。現れたのは、今日も颯爽とした佇まいの人事課長の城戸さんと、柔らかな笑顔を湛えた星乃社長だった。

「おはようございます社長」

「おはよう。立花さんと弟君」

「立花さんと神崎さん。今日はよろしくお願いいたします。流れはこの前お話した通りです」

「2人のライバーにしか分からない鋭い質問……期待してるわよ?」

 星乃社長のその一言が、会議室の張り詰めた空気にさらに目に見えない緊張感を加えた。城戸課長は、受付のスタッフと何か言葉を交わしている。どうやら、今日の面接に臨むすべての候補者が、予定通り到着したようだ。

「では、みなさん。最初の候補者の方をご案内します。準備をお願いします」

 城戸課長のその静かな言葉は、まるで舞台の幕が上がる合図のように、面接開始の瞬間を告げた。オレは、知らず知らずのうちに息を深く吸い込んだ。どんな人物が、このドアの向こうに現れるのだろうか。Fmすたーらいぶの新たな顔となり、オレたちと共に未来を創造していくまだ見ぬ才能。期待と拭いきれないほどの緊張が心臓の鼓動を早めている。

 固唾を飲む中、会議室のドアが再びゆっくりと開き、受付の女性スタッフに導かれるように、一人の若い女性が部屋に入ってきた。その顔には、明らかに隠しきれない緊張の色が見て取れる。けれど、その奥にある瞳の奥には、まるで宝石のような、夢に向かってひたむきに突き進む強い光が宿っているように、オレには感じられた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...