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797. 姫は『暴かれる』らしいです
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797. 姫は『暴かれる』らしいです
オレは事務所の時計に目をやった。6月中旬の22時。いつもの時間となった夜の時間。七海と月城さんとの1期生のミーティングは続いていた。立花さんは残念ながら他の仕事で欠席だ。
「来月だね?陽菜ちゃんが復帰するの?」
「うん。七海ちゃん嬉しい?」
「もちろん!でも……そう考えるともう半年くらい経ったんだ。早いよねw」
「ね。私としても……本当に色々勉強になった。それもみんなのおかげだよ。ありがとう」
月城さんの言葉は、この半年間の重みを物語っていた。月城さんが不在の1期生という状況は、間違いなくオレたちにも色々な影響があった。もちろん運営もあまり『各期生』としての企画なんかをやらないようにしてくれていたしな。今回のお正月も去年のような各期生で集まることもなかったし。そんなことを考えていると、七海が唐突に口を開いた。
「そうだ!あのさ、陽菜ちゃんって……6期生と会ったことあるよね?どんな子?」
「え?それは七海ちゃんでも言えないかな。まだデビューしてないし、発表されてないしw」
「え~?颯太は面接したんでしょ?知ってるよね?」
七海はオレの顔をじっと見つめてくる。その視線が、まるで真実を暴こうとする探偵のようだった。……こんな時にコンセプトを出してくるなよ七海。
「何人面接したと思ってるんだよ。そのうちの3人だろ?覚えてないよ」
オレは努めて平静を装って答える。嘘だと見抜かれないように、少しだけ声を低くした。
「嘘だ!あたしには分かるから!颯太は嘘つくのヘタだし!」
「ならオレに聞くなよ!会社の機密情報を漏らして、『姫宮ましろ』が解雇になったらどうすんだよ!」
「ほら。やっぱり知ってんじゃんw」
七海は勝ち誇ったように笑う。ぐ、図星だ。しかし、いくら親しい同期、親友だとしても会社の機密情報を漏らすわけにはいかない。6期生……CGSの情報は、まだ公になっていない上に、彼女たちのデビューを左右する重要なものだ。
しかも……6期生には七海の妹の帆夏ちゃんもいる。より慎重にならなければならない。もしここで口を滑らせれば……とにかく、ここは何とか上手くかわさないと
「とにかく何も教えることはないぞ」
「あたしたちの友情はどこいったの!」
「あのね、七海ちゃん。颯太君が言えないって言ってるんだから、あんまり困らせちゃダメだよ?」
「ケチ。なんか最近、若ちゃんが6期生の誰かの担当になってるっぽいんだよ。あたしと打ち合わせしてても、すぐに席外すしさ?」
「仕事だから文句言うなよ。というか、七海のそれは嫉妬だろ?今まで若林マネージャーは担当が青嶋ポアロ……七海だけだったから」
「嫉妬!?あたし嫉妬してんのかなぁw」
七海は自分の言葉にハッとしたように目を丸くし、それから面白そうに笑い出した。普段から若林マネージャーには甘えている節がある七海だが、もしかしたら独占欲があるのかもしれない。意外な一面に、オレは少し驚いた。そして同時に、七海の感情が豊かなところが、彼女の魅力の一つだと改めて感じた。
「まぁ、若林マネージャーも大変なんだよ。新しい子たちの担当マネージャーなんて、今1番力を入れなきゃいけないし」
「ふーん……そういう颯太は今、誰のマネージャーなの?陽菜ちゃんから代わったんだよね?」
「それは……」
「なにそれ。絶対6期生の誰かじゃんw」
「どうなんだろうな?」
曖昧な返事しかできない。ここで肯定してしまえば、間違いなく七海は深掘りしてくるだろう。彼女の探求心は、一度火がつくと止まらない。そして、もしそれが6期生の情報につながるとなればさらに厄介だ。オレの言葉の端々から、情報を引き出そうとしている。七海の直感と洞察力は、時として恐ろしいほど鋭い。
「あたしに隠し事は無駄だよ颯太!この真実を見抜く可愛らしい瞳が見逃さないよ?こっちは5年は探偵やってるからw」
「でも、1度も闇を暴いたところ見たことないけどなw」
「うるさいなw」
と冗談を交えていくが、この様子だと七海が6期生の情報を知るのは時間の問題かもしれない。十分注意しないと。本当に厄介な探偵だよ七海はw
オレは事務所の時計に目をやった。6月中旬の22時。いつもの時間となった夜の時間。七海と月城さんとの1期生のミーティングは続いていた。立花さんは残念ながら他の仕事で欠席だ。
「来月だね?陽菜ちゃんが復帰するの?」
「うん。七海ちゃん嬉しい?」
「もちろん!でも……そう考えるともう半年くらい経ったんだ。早いよねw」
「ね。私としても……本当に色々勉強になった。それもみんなのおかげだよ。ありがとう」
月城さんの言葉は、この半年間の重みを物語っていた。月城さんが不在の1期生という状況は、間違いなくオレたちにも色々な影響があった。もちろん運営もあまり『各期生』としての企画なんかをやらないようにしてくれていたしな。今回のお正月も去年のような各期生で集まることもなかったし。そんなことを考えていると、七海が唐突に口を開いた。
「そうだ!あのさ、陽菜ちゃんって……6期生と会ったことあるよね?どんな子?」
「え?それは七海ちゃんでも言えないかな。まだデビューしてないし、発表されてないしw」
「え~?颯太は面接したんでしょ?知ってるよね?」
七海はオレの顔をじっと見つめてくる。その視線が、まるで真実を暴こうとする探偵のようだった。……こんな時にコンセプトを出してくるなよ七海。
「何人面接したと思ってるんだよ。そのうちの3人だろ?覚えてないよ」
オレは努めて平静を装って答える。嘘だと見抜かれないように、少しだけ声を低くした。
「嘘だ!あたしには分かるから!颯太は嘘つくのヘタだし!」
「ならオレに聞くなよ!会社の機密情報を漏らして、『姫宮ましろ』が解雇になったらどうすんだよ!」
「ほら。やっぱり知ってんじゃんw」
七海は勝ち誇ったように笑う。ぐ、図星だ。しかし、いくら親しい同期、親友だとしても会社の機密情報を漏らすわけにはいかない。6期生……CGSの情報は、まだ公になっていない上に、彼女たちのデビューを左右する重要なものだ。
しかも……6期生には七海の妹の帆夏ちゃんもいる。より慎重にならなければならない。もしここで口を滑らせれば……とにかく、ここは何とか上手くかわさないと
「とにかく何も教えることはないぞ」
「あたしたちの友情はどこいったの!」
「あのね、七海ちゃん。颯太君が言えないって言ってるんだから、あんまり困らせちゃダメだよ?」
「ケチ。なんか最近、若ちゃんが6期生の誰かの担当になってるっぽいんだよ。あたしと打ち合わせしてても、すぐに席外すしさ?」
「仕事だから文句言うなよ。というか、七海のそれは嫉妬だろ?今まで若林マネージャーは担当が青嶋ポアロ……七海だけだったから」
「嫉妬!?あたし嫉妬してんのかなぁw」
七海は自分の言葉にハッとしたように目を丸くし、それから面白そうに笑い出した。普段から若林マネージャーには甘えている節がある七海だが、もしかしたら独占欲があるのかもしれない。意外な一面に、オレは少し驚いた。そして同時に、七海の感情が豊かなところが、彼女の魅力の一つだと改めて感じた。
「まぁ、若林マネージャーも大変なんだよ。新しい子たちの担当マネージャーなんて、今1番力を入れなきゃいけないし」
「ふーん……そういう颯太は今、誰のマネージャーなの?陽菜ちゃんから代わったんだよね?」
「それは……」
「なにそれ。絶対6期生の誰かじゃんw」
「どうなんだろうな?」
曖昧な返事しかできない。ここで肯定してしまえば、間違いなく七海は深掘りしてくるだろう。彼女の探求心は、一度火がつくと止まらない。そして、もしそれが6期生の情報につながるとなればさらに厄介だ。オレの言葉の端々から、情報を引き出そうとしている。七海の直感と洞察力は、時として恐ろしいほど鋭い。
「あたしに隠し事は無駄だよ颯太!この真実を見抜く可愛らしい瞳が見逃さないよ?こっちは5年は探偵やってるからw」
「でも、1度も闇を暴いたところ見たことないけどなw」
「うるさいなw」
と冗談を交えていくが、この様子だと七海が6期生の情報を知るのは時間の問題かもしれない。十分注意しないと。本当に厄介な探偵だよ七海はw
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