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第2章 使用人とメイドさんとプレゼント

18. メイドさんと許し

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18. メイドさんと許し



 私は衝撃的な光景を目の当たりしてしまったので落ち着くために一度食堂で休憩をとることにする。ふぅ。まさかカイル君とミーアがあそこまでの関係とは。何となくそうかもと、日中思ったけどそれでもやっぱり実際に目の当たりにすると心にくるものがあるというかなんというか……

「はぁ……」

 私がため息を吐いていると、そこにまさかのミーアがやってくる。

「あっお疲れ様マリア」

「ミーア!?」

「え?なに?なんかあった?」

「いやっ別に何もないよ!うん!」

 私は慌てて取り繕う。不思議そうな顔をしながらもそれ以上追求する気はないのか、彼女は私の隣の席に座る。そして、私と同じく一息つくように紅茶を一口飲んだ後、話を切り出した。

「それにしても、大変よねあのカイルはさ?あいつ片付けできないし、やりっぱなしだから……ほんっとーに困ったもんよね?結局片付けたの私だし」

 その言葉を聞いて思わず吹き出しそうになる。えっ!?もう部屋とか行き来する仲なの!?予想以上なんだけど……私はあくまで平静を装いながら会話を続ける。

「そ、そうだね。でも意外だなぁ。ミーアってそういうこと言わなさそうな感じなのに」

「んー?そう?マリアの方が言わなそうだけど。今日みたいに、人手が足りない時はちゃんと言っておかないとダメだしね。他の人が迷惑するでしょ?」

 他の人って!?ミーアは大人の恋愛しちゃってるの!?そんなことは断じて許さないから親友として!

「そ、それは確かに……でもミーアも無理しない方がいいんじゃない?」

「無理?何が?私は全然大丈夫よ?」

 こてんと首を傾げる姿はとても可愛らしいのだが、今の私にはそれを楽しむ余裕はなかった。

「そう……ミーアがいいのならそれでいいけど。」

「マリア?」

「私。玄関ホールの掃除だからもう行くね?」

「あっ待って私も途中まで一緒に行くわよ」

 そう言って立ち上がった私は食堂を出ることにした。まさかカイル君とミーアがそういう関係とは……。玄関ホールに向かう途中の廊下で遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。

「マリアさ~ん!!」

 カイル君だ。よりによってこんな時に……しかも食堂をあとにした私の後ろからはミーアも来てるし。親友の私が2人の仲を引き裂くわけにはいかない!ここは心苦しいけど見なかったことにしよう。私はカイル君には何も返答せず、顔をそむけそのまま玄関ホールまで歩いていく。

 ごめん許してカイル君。これはカイル君とミーアのためだから。
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