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パートナーとはとは
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しおりを挟む「では、制服は預かります。明日受け取りを忘れない様に」
「ハイ、ヨロシクオネガイシマス……」
あーなんでこんな事になっちまったんだ? 俺はただ忘れ物を届けてもらったお礼にコーヒーをごちそうしたかっただけなのに。
部屋に来た時より多くの荷物(汚れた洗濯物)を手に部屋を出ていく茶々さんの背を居た堪れない気持ちで見送る。
ふと。
「ああ、そうだ」
と、俺の方へ振り返る背中。
へ? と彼に視線を向ければ
「コーヒー、ご馳走様でした。また機会があればいれてください」
なんて言葉と共にふんわりと見せられた微笑み。それを目に捉えた瞬間、ドクリと高鳴った心臓の音は気の所為ではなかったはずだ。
「……はい! 茶々さんが良ければいつでも」
俺も満面の笑みで応えを返し、扉を閉めた。
扉を閉めた後。やや間をあけてドンっと扉に背中を預ける。そのままズルズルとその場に座り込んだ。
「~~っ」
言葉にならない声をあげながら顔を両の手のひらでおおって踞った。
なんだ、あれ。
なんだよあれ。反則だろあんなの!
入口の傍らに取り付けられた全身鏡にうつる自分の姿をちらり、と見てみれば。指間から覗く顔は笑ってしまうくらい真っ赤に染まってた。
「なんだよその顔はよ。バカかお前」
鏡の向こうの自分へと毒づく。
スイッチは、そう。奴の言葉だ。
『……茶々にでも惚れでもしたか?』
本当にそうなんだろうか。
もし本当にそうなのだとしたら。
今更自覚してしまった気持ちをなかった事には出来ない。
と、思うって事は。
そうなんだろう、と思う。
「あ~どうしよう。相手は男だっつーの」
鳴き声に近いその声は誰にも聞かれる事無く、しん……と静まり返った部屋の中で妙に大きく響いた__。
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