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ドキドキなんてしないように
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「望月の弁当、今日もちっちゃ! そんなんで本当に足りんの?」
「足りるよ。川合くんのはいつもすごく大きいよね」
「まあな。なんなら朝練後に、こんなでっかいおにぎり二個食ってる」
「すごい……」
「ザ・野球部だよな。あれ、望月は部活入ってんだっけ? ちなみに俺はバスケ」
「部活はやってないよ。えっと、バイト、してるから」
モデルの仕事をアルバイトと呼ぶのは、ちょっと違うけれど。無難だろうと、そう答える。
桃真がいい人だから、類は友を呼ぶのだろうか。川合くんも佐々木くんも、最初からオレを邪険にすることはなかった。それどころかこうして、オレにも直接話しかけてくれる。
「そうなんだ。土屋と一緒だ」
「だな、俺もバイトしてるし。希色、口のこっち側、米粒ついてる」
「え。あ、ほんとだ。ありがとう桃真」
桃真のおかげで、学校が楽しくなってきた。ひとりでいいと思っていたのに。誰かと過ごすことを喜べる、そんな心がオレにもあったことを、桃真が教えてくれたということだ。
弁当を食べ終わり、本日二本目の水のペットボトルを開封する。美容のために水分はこまめに摂るといい、と翠くんに教わって以来、すっかり習慣になっている。
「希色、これ一緒に食わない?」
「なに?」
「チョコのお菓子。朝コンビニで買ってきた。これ好き?」
「う……好き」
「じゃあ半分こな」
いつだったか、お互いに甘いものが好きだと知って桃真と盛り上がった日があった。それ以来、こうして一緒にお菓子を食べる日が増えた。昼はいつもパンやおにぎりを食べている桃真が、ついでだからと買ってくることが多い。
「え、ちょっとでいいよ」
「希色と食べようと思って買ってきたからいいんだよ。はい」
「ええ……じゃ、じゃあいただきます」
オレのほうに椅子ごと寄って、桃真がお菓子を差し出してくる。プレッツェルにチョコレートがかかった定番のお菓子だ。半分ももらうなんて、と気後れするが、桃真はこうなったら譲らないことをオレはもう知っている。
肌や体形維持のために食べすぎないように気をつけているけど、桃真が誘ってくれると断りたくなくて。オレの貴重なお菓子タイムは、今やすっかり桃真とのものだ。
「明日はオレが買ってくるよ。桃真、どんなのがいい?」
「甘いのはなんでも好き」
「特に食べたいのは?」
「んー……希色が選ぶヤツならマジでなんでも」
「そんなの困る」
「でもマジだしなあ。あ、希色、最後の一本だぞ。ほら、口開けろ」
「え、いやそれは桃真が……」
「いいから、ほら」
「ええ、じゃあ……あー……」
戸惑いつつも、言われるがままに口を開ける。桃真が買ってきたのだから、最後の一本は自分で食べればいいのに。それに、推しにあーんなんてされるこっちの身にもなってほしい。
「足りるよ。川合くんのはいつもすごく大きいよね」
「まあな。なんなら朝練後に、こんなでっかいおにぎり二個食ってる」
「すごい……」
「ザ・野球部だよな。あれ、望月は部活入ってんだっけ? ちなみに俺はバスケ」
「部活はやってないよ。えっと、バイト、してるから」
モデルの仕事をアルバイトと呼ぶのは、ちょっと違うけれど。無難だろうと、そう答える。
桃真がいい人だから、類は友を呼ぶのだろうか。川合くんも佐々木くんも、最初からオレを邪険にすることはなかった。それどころかこうして、オレにも直接話しかけてくれる。
「そうなんだ。土屋と一緒だ」
「だな、俺もバイトしてるし。希色、口のこっち側、米粒ついてる」
「え。あ、ほんとだ。ありがとう桃真」
桃真のおかげで、学校が楽しくなってきた。ひとりでいいと思っていたのに。誰かと過ごすことを喜べる、そんな心がオレにもあったことを、桃真が教えてくれたということだ。
弁当を食べ終わり、本日二本目の水のペットボトルを開封する。美容のために水分はこまめに摂るといい、と翠くんに教わって以来、すっかり習慣になっている。
「希色、これ一緒に食わない?」
「なに?」
「チョコのお菓子。朝コンビニで買ってきた。これ好き?」
「う……好き」
「じゃあ半分こな」
いつだったか、お互いに甘いものが好きだと知って桃真と盛り上がった日があった。それ以来、こうして一緒にお菓子を食べる日が増えた。昼はいつもパンやおにぎりを食べている桃真が、ついでだからと買ってくることが多い。
「え、ちょっとでいいよ」
「希色と食べようと思って買ってきたからいいんだよ。はい」
「ええ……じゃ、じゃあいただきます」
オレのほうに椅子ごと寄って、桃真がお菓子を差し出してくる。プレッツェルにチョコレートがかかった定番のお菓子だ。半分ももらうなんて、と気後れするが、桃真はこうなったら譲らないことをオレはもう知っている。
肌や体形維持のために食べすぎないように気をつけているけど、桃真が誘ってくれると断りたくなくて。オレの貴重なお菓子タイムは、今やすっかり桃真とのものだ。
「明日はオレが買ってくるよ。桃真、どんなのがいい?」
「甘いのはなんでも好き」
「特に食べたいのは?」
「んー……希色が選ぶヤツならマジでなんでも」
「そんなの困る」
「でもマジだしなあ。あ、希色、最後の一本だぞ。ほら、口開けろ」
「え、いやそれは桃真が……」
「いいから、ほら」
「ええ、じゃあ……あー……」
戸惑いつつも、言われるがままに口を開ける。桃真が買ってきたのだから、最後の一本は自分で食べればいいのに。それに、推しにあーんなんてされるこっちの身にもなってほしい。
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