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カラフルデイズ
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「お待たせしました。希色はこっちな」
「ありがとう」
「ん? 同じの頼んだよな?」
「みど兄はこっち。頼むから静かにしてろよ」
今日も描いてもらえたペンギンくんは、ふにゃりと笑っている。吹き出しには“あったかくしてね”との優しいひと言つきだ。カップを見て、「希色の好きなペンギンじゃん。なるほど」と翠くんがニヤニヤしながら頷く。
翠くんはきっと、オレと桃真の関係が変わったことに気づいているのだと思う。好きな人がいると伝えたことがあるし、オレを変えた友だちが桃真だということも翠くんはもう知っている。みど兄に発破をかけられた、と桃真も言っていた。それでも翠くんは追求することなく、見守ってくれている。いつかふたりで伝えられたらいいなと、桃真とも話している。
「翠くん、こっち」
「はいはーい」
翠くんと一緒に、奥の席へと向かう。川合くんと佐々木くんがすでに来ているのは、入店時から見えていた。
「望月ー」
「川合くん、佐々木くん、お待たせ」
「いーえ。それで、そちらの方は?」
「えーっと、驚かないで欲しいんだけど……」
そこまで言って、オレは口元に手を添えて背を屈めた。合わせて身を乗り出してくれたふたりに、小さな声で翠くんの正体を明かす。
「先輩の翠くんです。ふたりに会いたいって、一緒に来ちゃったんだ」
「えっ……え!?」
「うわ、マジか」
大声が出そうになったのか、佐々木くんは慌てて両手で口を塞いだ。毎号M's modeを買っていると言っていた佐々木くんだから、その衝撃は察しがつく。川合くんは一見冷静だけれど、目を見開いてたしかに驚いている。
ふたりの反応に、翠くんは満足そうだ。キャップを少しだけ浮かせ、マスクをずらして笑顔を見せた。
「初めまして、日比谷翠です。どうしても希色の友だちに会いたくてさ、急にごめんね。コーヒー飲んだら帰るから、お邪魔してもいい?」
「もちろんっす……えっと、川合碧です」
「さ、佐々木紅樹、です」
「川合くんと佐々木くんね。よろしく!」
翠くんは店内に背を向ける位置に座ってもらって、オレはその隣に腰を下ろす。川合くんと佐々木くんは目を丸くしたままだけれど、翠くんはひっきりなしに話しかけている。学校でのオレのことを聞いたり、佐々木くんがM's modeの読者だと知って嬉しそうにしたり。
一緒に行きたいと言われた時はどうなることかと思ったけれど、オーケーを出したのは間違った判断ではなかったみたいだ。後輩の友人まで大切にしてくれる人なんて、そうそういないだろう。自慢の先輩だ。
「どしたー希色、ニコニコして」
「んー? ううん、なんでもないよ」
ほんとかー? と口角を上げながら、翠くんがオレの頬を指先でつついてくる。そんな翠くんのことを、川合くんと佐々木くんがマジマジと見つめている。
「俺、芸能人って初めて会った」
「俺も! でもさ、望月もそうなんだよなあ。ちゃんと顔出してんの初めて見たからさ、改めて実感してるとこ」
でもその視線はすぐに、オレへと移った。翠くんに気を取られていたけれど、佐々木くんの言う通りだと思い至る。急に恥ずかしくなって、前髪に触れながらそっと俯く。
球技大会の日にふたりにも、KEYとしてモデルをしていることは知られることとなったけれど。こうして顔を出して会うのは、今日が初めてだ。
「うう、ちょっと恥ずかしいかも……」
「まあ確かに、佐々木が言うとおり望月も芸能人なんだけど。それより友だちってほうが俺らはデカいからさ。無理はしなくていいけど、慣れてくれたら嬉しい。な?」
「そうそう!」
「川合くん、佐々木くん……うん、ありがとう」
「ありがとう」
「ん? 同じの頼んだよな?」
「みど兄はこっち。頼むから静かにしてろよ」
今日も描いてもらえたペンギンくんは、ふにゃりと笑っている。吹き出しには“あったかくしてね”との優しいひと言つきだ。カップを見て、「希色の好きなペンギンじゃん。なるほど」と翠くんがニヤニヤしながら頷く。
翠くんはきっと、オレと桃真の関係が変わったことに気づいているのだと思う。好きな人がいると伝えたことがあるし、オレを変えた友だちが桃真だということも翠くんはもう知っている。みど兄に発破をかけられた、と桃真も言っていた。それでも翠くんは追求することなく、見守ってくれている。いつかふたりで伝えられたらいいなと、桃真とも話している。
「翠くん、こっち」
「はいはーい」
翠くんと一緒に、奥の席へと向かう。川合くんと佐々木くんがすでに来ているのは、入店時から見えていた。
「望月ー」
「川合くん、佐々木くん、お待たせ」
「いーえ。それで、そちらの方は?」
「えーっと、驚かないで欲しいんだけど……」
そこまで言って、オレは口元に手を添えて背を屈めた。合わせて身を乗り出してくれたふたりに、小さな声で翠くんの正体を明かす。
「先輩の翠くんです。ふたりに会いたいって、一緒に来ちゃったんだ」
「えっ……え!?」
「うわ、マジか」
大声が出そうになったのか、佐々木くんは慌てて両手で口を塞いだ。毎号M's modeを買っていると言っていた佐々木くんだから、その衝撃は察しがつく。川合くんは一見冷静だけれど、目を見開いてたしかに驚いている。
ふたりの反応に、翠くんは満足そうだ。キャップを少しだけ浮かせ、マスクをずらして笑顔を見せた。
「初めまして、日比谷翠です。どうしても希色の友だちに会いたくてさ、急にごめんね。コーヒー飲んだら帰るから、お邪魔してもいい?」
「もちろんっす……えっと、川合碧です」
「さ、佐々木紅樹、です」
「川合くんと佐々木くんね。よろしく!」
翠くんは店内に背を向ける位置に座ってもらって、オレはその隣に腰を下ろす。川合くんと佐々木くんは目を丸くしたままだけれど、翠くんはひっきりなしに話しかけている。学校でのオレのことを聞いたり、佐々木くんがM's modeの読者だと知って嬉しそうにしたり。
一緒に行きたいと言われた時はどうなることかと思ったけれど、オーケーを出したのは間違った判断ではなかったみたいだ。後輩の友人まで大切にしてくれる人なんて、そうそういないだろう。自慢の先輩だ。
「どしたー希色、ニコニコして」
「んー? ううん、なんでもないよ」
ほんとかー? と口角を上げながら、翠くんがオレの頬を指先でつついてくる。そんな翠くんのことを、川合くんと佐々木くんがマジマジと見つめている。
「俺、芸能人って初めて会った」
「俺も! でもさ、望月もそうなんだよなあ。ちゃんと顔出してんの初めて見たからさ、改めて実感してるとこ」
でもその視線はすぐに、オレへと移った。翠くんに気を取られていたけれど、佐々木くんの言う通りだと思い至る。急に恥ずかしくなって、前髪に触れながらそっと俯く。
球技大会の日にふたりにも、KEYとしてモデルをしていることは知られることとなったけれど。こうして顔を出して会うのは、今日が初めてだ。
「うう、ちょっと恥ずかしいかも……」
「まあ確かに、佐々木が言うとおり望月も芸能人なんだけど。それより友だちってほうが俺らはデカいからさ。無理はしなくていいけど、慣れてくれたら嬉しい。な?」
「そうそう!」
「川合くん、佐々木くん……うん、ありがとう」
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