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羽根が生えたって本気で思った
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左手は瀬名に繋がれたまま、ベッドにふたりで腰かける。桜輔はデスク前の椅子に座った。
「さっきも言ったけど、モモに大事な話があって。うーん、どこから話したらいいかな」
「最初からじゃないっすか? かいつまんではオレからも言ってありますけど」
「最初かあ。じゃあ俺、今からモモに怒られちゃうな」
「なんだよ早く言えよ。そんなん今更だろ」
「はは、悲しいけど確かに。じゃあまずは、俺と水沢くんが話すようになったきっかけだけど……」
桜輔の話をまとめるとこうだ。瀬名と桜輔は、春の頃にはもう知り合っていた。声をかけたのは桜輔のほうから。瀬名に聞いていた通りだ。だがまさかそれが、三年の階の渡り廊下で「瀬名には構うな」と釘を刺した当日のことだったとは。この片割れは、約束をしたその日にさっそく破ってくれたということだ。
「桜輔、マジ見損なったわ……」
「ほんとごめんモモ!」
「はあ……分かったから、続き」
「モモ……ありがとう。えっと、水沢くんに声をかけたのは、実は牽制するためだったんだよね」
「牽制?」
「正直、瀬名くんのことちょっと警戒してたから。モモのこと傷つけるくらいなら、関わらないでほしいって言ったんだ」
「いや、お前は何様なんだよ……」
「え? モモの双子のお兄ちゃんだよ」
「はあ、出た……」
「はは、先輩たちって揃うと面白いんすね」
「どこがだよ……」
片割れの行動に桃輔は呆れてしまったけど、当の桜輔はそれをものともしない。かと思えば、そんな兄弟を見て瀬名は笑う。
「話を戻すけど。瀬名くんと話したら、モモに対して真剣なんだってすぐに分かった。だから俺は、応援することにしたんだ。色々アドバイスしたけど、例えばお弁当とかかな」
「弁当?」
「瀬名くんがモモのためになにか作りたいって言うから、好物はエビフライって教えた。母さんのおかずとかぶらないように、事前に聞いたりしてね」
「マジかよ……なんか、桜輔に転がされたと思うと腹立つんだけど。でも……瀬名のエビフライは美味かった」
「いつでも作りますよ。他にも色々モモ先輩に食べてほしいんで、リクエストください」
「マジ? やった」
あのエビフライがまた食べられるのだと思うと、桃輔はついつい顔が緩んでしまう。だが、一緒に笑んでいたはずの瀬名が、その表情を引き締めた。
「でね、先輩。本題はここからなんです」
「本題?」
「モモ、驚かないで聞いてほしいんだけど……単刀直入に言うと、cherryは俺なんだ」
「……え?」
突然出てきた“cherry”というワードに、桃輔は思考がストップした。
チェリーは俺? さくらんぼのことだよな? いやお前は人間だろ。なに言ってんだ俺の片割れは……
なんて呆れそうになったのは、本当は一瞬で意味が分かってしまったからかもしれない。信じたくないからこその、現実逃避だ。それを分かっているらしく、桜輔は話を続ける。
「どっちもmomoの歌を聴いてるって気づいたのは、わりとすぐだったよね」
「っすね。モモ先輩のことを放課後に話してる時、momoが投稿した、って通知が同時に鳴って。お互いにそれが見えちゃって」
「はは、自己紹介し直したよね。あれは面白かったな。アンミツですー、cherryですーって」
「いやいや、全然面白くねえから! てか桜輔……お前、どうやって俺のアカウント見つけたんだよ」
「ああ、それは。モモの部屋から歌声が聴こえてきて、だから試しに検索……」
「あー……うん。ごめん、もういいわ」
「さっきも言ったけど、モモに大事な話があって。うーん、どこから話したらいいかな」
「最初からじゃないっすか? かいつまんではオレからも言ってありますけど」
「最初かあ。じゃあ俺、今からモモに怒られちゃうな」
「なんだよ早く言えよ。そんなん今更だろ」
「はは、悲しいけど確かに。じゃあまずは、俺と水沢くんが話すようになったきっかけだけど……」
桜輔の話をまとめるとこうだ。瀬名と桜輔は、春の頃にはもう知り合っていた。声をかけたのは桜輔のほうから。瀬名に聞いていた通りだ。だがまさかそれが、三年の階の渡り廊下で「瀬名には構うな」と釘を刺した当日のことだったとは。この片割れは、約束をしたその日にさっそく破ってくれたということだ。
「桜輔、マジ見損なったわ……」
「ほんとごめんモモ!」
「はあ……分かったから、続き」
「モモ……ありがとう。えっと、水沢くんに声をかけたのは、実は牽制するためだったんだよね」
「牽制?」
「正直、瀬名くんのことちょっと警戒してたから。モモのこと傷つけるくらいなら、関わらないでほしいって言ったんだ」
「いや、お前は何様なんだよ……」
「え? モモの双子のお兄ちゃんだよ」
「はあ、出た……」
「はは、先輩たちって揃うと面白いんすね」
「どこがだよ……」
片割れの行動に桃輔は呆れてしまったけど、当の桜輔はそれをものともしない。かと思えば、そんな兄弟を見て瀬名は笑う。
「話を戻すけど。瀬名くんと話したら、モモに対して真剣なんだってすぐに分かった。だから俺は、応援することにしたんだ。色々アドバイスしたけど、例えばお弁当とかかな」
「弁当?」
「瀬名くんがモモのためになにか作りたいって言うから、好物はエビフライって教えた。母さんのおかずとかぶらないように、事前に聞いたりしてね」
「マジかよ……なんか、桜輔に転がされたと思うと腹立つんだけど。でも……瀬名のエビフライは美味かった」
「いつでも作りますよ。他にも色々モモ先輩に食べてほしいんで、リクエストください」
「マジ? やった」
あのエビフライがまた食べられるのだと思うと、桃輔はついつい顔が緩んでしまう。だが、一緒に笑んでいたはずの瀬名が、その表情を引き締めた。
「でね、先輩。本題はここからなんです」
「本題?」
「モモ、驚かないで聞いてほしいんだけど……単刀直入に言うと、cherryは俺なんだ」
「……え?」
突然出てきた“cherry”というワードに、桃輔は思考がストップした。
チェリーは俺? さくらんぼのことだよな? いやお前は人間だろ。なに言ってんだ俺の片割れは……
なんて呆れそうになったのは、本当は一瞬で意味が分かってしまったからかもしれない。信じたくないからこその、現実逃避だ。それを分かっているらしく、桜輔は話を続ける。
「どっちもmomoの歌を聴いてるって気づいたのは、わりとすぐだったよね」
「っすね。モモ先輩のことを放課後に話してる時、momoが投稿した、って通知が同時に鳴って。お互いにそれが見えちゃって」
「はは、自己紹介し直したよね。あれは面白かったな。アンミツですー、cherryですーって」
「いやいや、全然面白くねえから! てか桜輔……お前、どうやって俺のアカウント見つけたんだよ」
「ああ、それは。モモの部屋から歌声が聴こえてきて、だから試しに検索……」
「あー……うん。ごめん、もういいわ」
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