新宿プッシールーム

はなざんまい

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ロシアンブルーは眠れない(2)

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「げ」

アットの背中と両手が小刻みに動いているのが見えた

昨日の昼間から着ていたであろう白い礼服用のワイシャツが、細いが筋肉質な背中に汗で張り付いている


その姿が妙にセクシーで、リンは気づかれないように背後から近づいた




「勝手に人をおかずにしないでください」

リンに声をかけられ、アットはビクッと身体を震わせた

その瞬間、アットの先端から精液がほとばしり出た

さっきまで、リンの髪をつかんでいた指の隙間から、精液がこぼれ落ちた


「わり」

アットはローテーブルの上の箱ティッシュを引き寄せて、手のひらと床を拭いた





「・・・」

「・・・」

「なんで?」

リンの疑問はもっともだった

アットは何も言えなくなった

余裕のないところを見せたくなくて、一度ヌいておこうとした自分が悪かったと、アットは反省した

反省しても時が戻るわけではない

アットはスラックスを上げて、リンに向き直った

リンは、一度はシャワーを浴びたらしく、湿った肌に、ボクサーパンツを履いて、Yシャツを羽織っていた



アットの脳内にブワッと血が回った



なんてことはない、ヤローの下着姿だ


バンドでツアーにいくときや、曲作りで徹夜をするときなんて、マサトや他のメンバーとはパンツ1枚で雑魚寝する



彼らに一度だって欲情したか?
アットは頭の中で否定した




じゃあ、この衝動と火照りはなんだ?


アットはリンの足にすがりつくと、ボクサーパンツの上からリンのモノをんだ

「アットさん!?」

アットは夢中でリンの膨れ上がったモノを甘噛みした

「ちょ…」

「リン…!」

「待って待って待って!」

「待てない…!」

「いやいやいや…」



『いや』という言葉に反応して、アットは我に返った

見上げると、リンが真っ赤な顔で歯を食いしばっていた

「イヤ…?じゃない?」

リンはコクリとうなずいた

「イヤ…ではないけど、俺、初めてで…どうしたらいいかわかんない…」

ホストクラブでウエイターとして働いていた時に、先輩たちに無理やりフェラをさせられたことならある


だが、オーナーの息子ということで、最後まではされなかった

今思えば、地獄の中にも光があったのかもしれない

継母のせいで、辛い目にもあったが、守られている部分もあったのだと強く思う



「俺がリードしていい?もうカッコ悪いとこ、全部見られちゃったけど…」


アットが、7つも上とは思えない声と表情でリンを見た

「…わ、わかった…」

「今日だけじゃなくて。あんたとは一回で終わりにしたくない…と思う。だからあんたもそのつもりで、ヤるかヤらないか決めてほしい」

一度冷静になると、途端に及び腰になった


年下に判断を委ねるなんて、スマートさやかっこよさとはほど遠い



でも怖い

恋愛とはこんなに怖いものだっただろうか

アットは鮭児に想いを寄せていた時のことを思い出した

「アットさんと、付き合うかどうかってこと、ですか?」

リンはボクサーパンツのウエストをギュッと握っていた手を緩めた

「うん。真剣に考えてほしい」


アットは、正座した膝の上で拳を握りしめた


それを見たリンが、

「アットさん、言ってることとやってることがめちゃくちゃ」

アハハとお腹を抱えて笑った

「急にキスしたり、チンコ噛んできたりしたくせに、付き合う前提でヤるかヤらないか俺に選べって」


「だって、俺はもう好きな人に嫌われたくない…っていま思い出して」


アットが今にも泣き出しそうな顔で言った


リンは笑うのを止めた


「それは…俺もです」


リンがアットの前に立て膝をついて、両手を広げた


アットはその腕の中に身を委ねた


※※※※※※※※※※※

その日の夕方、リンは、アットと一緒に大久保の家を出て、歩いて新宿に向かった

アットはついていくと言ったが、リンは断って、新宿駅で別れた

昨晩から今日にかけての出来事は夢のようでいて、後を引く痛みを伴った現実だ

下半身も痛くてだるかったが、それよりもアットと抱き合っている間、ずっと締め付けられていた心臓のほうが、ずっと痛かった


アットとは離れがったかったが、リンにはやるべきことがある

リンは、新宿駅から、花園神社方面に向かって歩きだした

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