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第22話 竜騎士たちは愛姫を着飾りたい
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アヴィル家の屋敷で最も南側に位置するその部屋は、主に客間として使われている場所だった。
ミラがセトに連れられて初めてこの屋敷に訪れた時に最初に足を踏み入れた部屋でもある。
窓から見える外の景色以外に殆ど色がないその空間に最初こそ面食らったものだったが、この屋敷で暮らすようになってからはその白一色の世界にも慣れた。ただ、天井の照明の光が壁や床の白に反射して全てが眩しく見えるこの感覚だけは、もう少しでいいから何とかならないかなと心密かに考えていたりもする。
もっとも、家具も屋敷そのものも白いのはアヴィル家の──と言うよりも竜人ケテル種としてのしきたりのようなものなので、壁紙の色を変えてほしいと主張する気はないのだが。
広い部屋の中央にテーブルやソファが置かれているのは、居間と同じだ。ただしこちらの部屋にある家具の方が、心持ち高級品であることが伺える作りをしている。
ソファの一方にミラとファズが、テーブルを挟んで向かい側のソファにはこざっぱりとした服装の女性が座っている。
テーブルの上には大量の本と紙の束が広げられており、テーブルに掛けられたクロスのデザインが最早分からないほどだ。
三人は真剣な顔をして、対面する相手の顔を真っ向から見据えている。
各々の手中には、彼女たちが選び取ったと思わしき紙があった。
フンスと鼻息を荒くして力強い眼差しをしているミラに、ファズは長く息を吐いて、告げた。
「……すまんが、却下だ」
「何でですかっ!?」
びゃっ、と全身の毛を逆立てたかのような勢いでミラが頓狂な声を上げる。
「私は動きやすい服装がいいって……そう言っただけなんですけど!」
「あぁ、いや、それに関しては異論はないんだ。動きやすい服装であることは、快適な学校生活を送る上で重要な要素だからな。ただ……」
そっとミラが手にした紙を取り上げて、改めてそこに視線を落として、
「これは、農村の平民が農作業の時に着ている作業着だろう? 幾らあの学校が服装が自由だとはいっても、流石にこれは……」
飾り気のない簡素なドレスを身に着け、腰をガードルで締めただけの服装。この国における平民女性の一般的な格好だが、染色すらされておらず麻のように簡素な素材で仕立てたものは、特に日頃から肉体労働をしている農村部や辺境地域で多く着られているものだ。
ミラの出身地であるギーメルでも住民たちに長らく愛用されてきた衣服のひとつであると言える。
「昔から着慣れてた服だし、私らしくていいかなって……それに、私が幾らこちらのお屋敷に住まわせて頂いているとはいっても、平民であることに変わりはないですし」
「ひょっとしてあの時言われたことまだ気にしてんの? ミラちゃん」
彼女の背後からひょっこり身を乗り出してきたナギが、手にしたダンプフヌーデルをもすもすと頬張りながら真下にある彼女の顔を覗き込む。
「あんなの単なる嫉妬なんだし、気にしなくていいって。どーせ仕立て代払うのはファズなんだしさ、どーんと世界一豪華で目立つドレス作っちゃえば」
「別に世界一豪華で目立つ必要はないけどね。でも、ナギの言う通りだよ」
ナギの左隣に、淡く微笑んだウルの顔が並ぶ。
「ミラちゃんが初めて此処に来た時に、説明されたでしょ? これから君はアヴィル家の一員、家族になるんだから、それに相応しい姿にならなきゃ駄目だよって。その中には礼儀作法とか考え方だけじゃなくて、服装のことも含まれてるんだよ。必要なことなんだ」
ね、と優しく頭を撫でられて、ミラは困ったように顔を伏せた。
「……綺麗なドレスとか、落ち着かないですよぅ……私なんかには分不相応ですし」
「……ねー、いっぺんさぁ、婚約パーティーみたいなの開いた方が良くない? セトと結婚したら嫌でもあちこち引っ張りだこになるんだしさ、その練習っていうか雰囲気に慣れてもらうって意味でも悪くないと思うんだけど」
「ふぁっ!?」
学校生活用の服を仕立てる話がとんでもない方向に転がり始めたことに、反射的に変な声が出てしまう。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい。どうして学校で着る用の服を選ぶ話が、パーティーの話に……」
「あぁ、いいねぇそれ。流石にこの屋敷の中だと狭すぎるから庭全部使って屋外の会食パーティーみたいなのにしてさ。そうすれば大勢呼べるよね」
「えぇぇ、ウルさんまでそんな!?」
そうだこういう時はファズに頼れば彼らのことを落ち着かせてくれるはず。そう期待して隣に座る彼の方に視線を送ると、向こうも丁度ミラと弟二人のことを交互に見比べていて、
「……そうだな。そのうち氏族長らとも顔合わせすることになるし、時期が来たら国王とも謁見しなけりゃならん。そんな場所に何の予備知識もない状態で立たされるのは流石に俺だって御免だ。今からでも、少しずつアヴィル家の者として人前に立つ練習はしておいた方がいいかもしれんな」
「ファ、ファズさんまで……」
てっきり普段の調子でナギたちを諌めてくれるものだとばかり思っていたのに、その期待を見事に裏切る発言に軽い眩暈を覚えるミラなのだった。
とはいえ、ナギやウルとは異なり、ファズは別にミラを甘やかしているからこういう意見を述べたのではない。
ミラは、彼女自身も散々主張してきたが、農村出身の平民である。上流階級の人間に相応しい振る舞い方や礼儀作法、常識を全く知らない彼女が、いきなり大勢の支配者階級の者たちや王族らを前に完璧な立ち振る舞いをするのはほぼ不可能であろうことを、彼は理解しているのだ。
礼儀作法を知識として無理矢理叩き込むことはできても、大勢の竜人たちを前にして全く萎縮せず堂々としていられる自信と度胸までは座学では到底身に付くようなことではない。経験を積んで慣れていくしかないのである。
その経験を積ませるために、外から人を招いてミラと交流させよう。彼はそう考えたのだ。
「何もいきなりお偉いさんたちを集めて引き合わせるつもりはないから安心していいよ、ミラちゃん。今さっきナギも言ってたが、まずは竜人たちとの交流に慣れてもらうことが第一だから、そこまで大規模な集まりにはしないから。君と面識のあるセレスやアズールも招待するし、何だったら君が親しくしている人間の友人を呼んでも構わないよ」
「……あ、そ、そうなんですか?」
招待する竜人の中にセレスティアやアズールもいると聞いて、ミラはちょっぴり胸を撫で下ろした。
流石にそこまで大規模なパーティーにしないとはいっても、見知らぬ竜人たちばかりが会場にいるよりかは、僅か数人であっても顔見知りがいた方が安心できるというものだ。
それに自分の友人たちも招待して良いと言われ、思わず口元が緩む。
故郷の村には、幼少の頃から親しくしてきた友人たちが今でもいる。ミラはそこまで交友関係が広い方ではなかったが、その数少ない友人たちは、彼女がセトに見初められアヴィル家に嫁ぐことを心から祝福してくれたのだ。
今でも実家の管理のために頻繁に村へと足を運んでいるとはいえ、その帰郷時間の大半は畑仕事や薬屋の掃除に費やしてしまい、友人たちとゆっくりお茶を楽しむ……なんて余裕はない。パーティーに招待したら、昔のように他愛のないお喋りができるかな?と密かに期待してしまう。
その他に浮かぶのは……リゼルのこと。
彼とは殆ど事故のような形で知り合っただけで、特別に親しいわけではない。だが、同郷の出だということと、自分と同じく植物の世話が好きで薬学という共通の話題があることが、他の第三者よりも何だか近しい存在のように彼女には思えていた。
彼も……友人として招待したら、来てくれるだろうか?
「……今後の話をするのもいいが、まずは目の前のことに向き合え。もうじきに日が暮れる……今夜は歓迎会なんだぞ、忘れてるのか」
と。部屋の隅で壁に凭れていたシュイの溜め息に、一同ははたと我に返った。
結局、普段から着慣れている質素で地味な服がいいと主張するミラと世界一豪華で可愛いドレスを着せたいと主張するナギとウル、せめて見た目が地味でもいいから麻のチュニックだけはやめてくれと説得したいファズの意見が真っ向からぶつかって二時間もの討論に発展した末に、何気なくシュイが零した「それならいっそセレスがいつも着てるやつの色違いで揃いのデザインにしてやれ」の一言が三者の妥協点として採用されることになった。
本格的な採寸は明日行うということで仕立て屋は帰っていき、兄弟たちは今夜のパーティーの支度をするために大急ぎで屋敷中に散っていったのだった。
ミラがセトに連れられて初めてこの屋敷に訪れた時に最初に足を踏み入れた部屋でもある。
窓から見える外の景色以外に殆ど色がないその空間に最初こそ面食らったものだったが、この屋敷で暮らすようになってからはその白一色の世界にも慣れた。ただ、天井の照明の光が壁や床の白に反射して全てが眩しく見えるこの感覚だけは、もう少しでいいから何とかならないかなと心密かに考えていたりもする。
もっとも、家具も屋敷そのものも白いのはアヴィル家の──と言うよりも竜人ケテル種としてのしきたりのようなものなので、壁紙の色を変えてほしいと主張する気はないのだが。
広い部屋の中央にテーブルやソファが置かれているのは、居間と同じだ。ただしこちらの部屋にある家具の方が、心持ち高級品であることが伺える作りをしている。
ソファの一方にミラとファズが、テーブルを挟んで向かい側のソファにはこざっぱりとした服装の女性が座っている。
テーブルの上には大量の本と紙の束が広げられており、テーブルに掛けられたクロスのデザインが最早分からないほどだ。
三人は真剣な顔をして、対面する相手の顔を真っ向から見据えている。
各々の手中には、彼女たちが選び取ったと思わしき紙があった。
フンスと鼻息を荒くして力強い眼差しをしているミラに、ファズは長く息を吐いて、告げた。
「……すまんが、却下だ」
「何でですかっ!?」
びゃっ、と全身の毛を逆立てたかのような勢いでミラが頓狂な声を上げる。
「私は動きやすい服装がいいって……そう言っただけなんですけど!」
「あぁ、いや、それに関しては異論はないんだ。動きやすい服装であることは、快適な学校生活を送る上で重要な要素だからな。ただ……」
そっとミラが手にした紙を取り上げて、改めてそこに視線を落として、
「これは、農村の平民が農作業の時に着ている作業着だろう? 幾らあの学校が服装が自由だとはいっても、流石にこれは……」
飾り気のない簡素なドレスを身に着け、腰をガードルで締めただけの服装。この国における平民女性の一般的な格好だが、染色すらされておらず麻のように簡素な素材で仕立てたものは、特に日頃から肉体労働をしている農村部や辺境地域で多く着られているものだ。
ミラの出身地であるギーメルでも住民たちに長らく愛用されてきた衣服のひとつであると言える。
「昔から着慣れてた服だし、私らしくていいかなって……それに、私が幾らこちらのお屋敷に住まわせて頂いているとはいっても、平民であることに変わりはないですし」
「ひょっとしてあの時言われたことまだ気にしてんの? ミラちゃん」
彼女の背後からひょっこり身を乗り出してきたナギが、手にしたダンプフヌーデルをもすもすと頬張りながら真下にある彼女の顔を覗き込む。
「あんなの単なる嫉妬なんだし、気にしなくていいって。どーせ仕立て代払うのはファズなんだしさ、どーんと世界一豪華で目立つドレス作っちゃえば」
「別に世界一豪華で目立つ必要はないけどね。でも、ナギの言う通りだよ」
ナギの左隣に、淡く微笑んだウルの顔が並ぶ。
「ミラちゃんが初めて此処に来た時に、説明されたでしょ? これから君はアヴィル家の一員、家族になるんだから、それに相応しい姿にならなきゃ駄目だよって。その中には礼儀作法とか考え方だけじゃなくて、服装のことも含まれてるんだよ。必要なことなんだ」
ね、と優しく頭を撫でられて、ミラは困ったように顔を伏せた。
「……綺麗なドレスとか、落ち着かないですよぅ……私なんかには分不相応ですし」
「……ねー、いっぺんさぁ、婚約パーティーみたいなの開いた方が良くない? セトと結婚したら嫌でもあちこち引っ張りだこになるんだしさ、その練習っていうか雰囲気に慣れてもらうって意味でも悪くないと思うんだけど」
「ふぁっ!?」
学校生活用の服を仕立てる話がとんでもない方向に転がり始めたことに、反射的に変な声が出てしまう。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい。どうして学校で着る用の服を選ぶ話が、パーティーの話に……」
「あぁ、いいねぇそれ。流石にこの屋敷の中だと狭すぎるから庭全部使って屋外の会食パーティーみたいなのにしてさ。そうすれば大勢呼べるよね」
「えぇぇ、ウルさんまでそんな!?」
そうだこういう時はファズに頼れば彼らのことを落ち着かせてくれるはず。そう期待して隣に座る彼の方に視線を送ると、向こうも丁度ミラと弟二人のことを交互に見比べていて、
「……そうだな。そのうち氏族長らとも顔合わせすることになるし、時期が来たら国王とも謁見しなけりゃならん。そんな場所に何の予備知識もない状態で立たされるのは流石に俺だって御免だ。今からでも、少しずつアヴィル家の者として人前に立つ練習はしておいた方がいいかもしれんな」
「ファ、ファズさんまで……」
てっきり普段の調子でナギたちを諌めてくれるものだとばかり思っていたのに、その期待を見事に裏切る発言に軽い眩暈を覚えるミラなのだった。
とはいえ、ナギやウルとは異なり、ファズは別にミラを甘やかしているからこういう意見を述べたのではない。
ミラは、彼女自身も散々主張してきたが、農村出身の平民である。上流階級の人間に相応しい振る舞い方や礼儀作法、常識を全く知らない彼女が、いきなり大勢の支配者階級の者たちや王族らを前に完璧な立ち振る舞いをするのはほぼ不可能であろうことを、彼は理解しているのだ。
礼儀作法を知識として無理矢理叩き込むことはできても、大勢の竜人たちを前にして全く萎縮せず堂々としていられる自信と度胸までは座学では到底身に付くようなことではない。経験を積んで慣れていくしかないのである。
その経験を積ませるために、外から人を招いてミラと交流させよう。彼はそう考えたのだ。
「何もいきなりお偉いさんたちを集めて引き合わせるつもりはないから安心していいよ、ミラちゃん。今さっきナギも言ってたが、まずは竜人たちとの交流に慣れてもらうことが第一だから、そこまで大規模な集まりにはしないから。君と面識のあるセレスやアズールも招待するし、何だったら君が親しくしている人間の友人を呼んでも構わないよ」
「……あ、そ、そうなんですか?」
招待する竜人の中にセレスティアやアズールもいると聞いて、ミラはちょっぴり胸を撫で下ろした。
流石にそこまで大規模なパーティーにしないとはいっても、見知らぬ竜人たちばかりが会場にいるよりかは、僅か数人であっても顔見知りがいた方が安心できるというものだ。
それに自分の友人たちも招待して良いと言われ、思わず口元が緩む。
故郷の村には、幼少の頃から親しくしてきた友人たちが今でもいる。ミラはそこまで交友関係が広い方ではなかったが、その数少ない友人たちは、彼女がセトに見初められアヴィル家に嫁ぐことを心から祝福してくれたのだ。
今でも実家の管理のために頻繁に村へと足を運んでいるとはいえ、その帰郷時間の大半は畑仕事や薬屋の掃除に費やしてしまい、友人たちとゆっくりお茶を楽しむ……なんて余裕はない。パーティーに招待したら、昔のように他愛のないお喋りができるかな?と密かに期待してしまう。
その他に浮かぶのは……リゼルのこと。
彼とは殆ど事故のような形で知り合っただけで、特別に親しいわけではない。だが、同郷の出だということと、自分と同じく植物の世話が好きで薬学という共通の話題があることが、他の第三者よりも何だか近しい存在のように彼女には思えていた。
彼も……友人として招待したら、来てくれるだろうか?
「……今後の話をするのもいいが、まずは目の前のことに向き合え。もうじきに日が暮れる……今夜は歓迎会なんだぞ、忘れてるのか」
と。部屋の隅で壁に凭れていたシュイの溜め息に、一同ははたと我に返った。
結局、普段から着慣れている質素で地味な服がいいと主張するミラと世界一豪華で可愛いドレスを着せたいと主張するナギとウル、せめて見た目が地味でもいいから麻のチュニックだけはやめてくれと説得したいファズの意見が真っ向からぶつかって二時間もの討論に発展した末に、何気なくシュイが零した「それならいっそセレスがいつも着てるやつの色違いで揃いのデザインにしてやれ」の一言が三者の妥協点として採用されることになった。
本格的な採寸は明日行うということで仕立て屋は帰っていき、兄弟たちは今夜のパーティーの支度をするために大急ぎで屋敷中に散っていったのだった。
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