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第47話 心に強さを
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「……ふふ」
廊下を歩きながら、ミカは小さな笑みを零していた。
彼女の手には、小さな包みがある。
ローゼンの協力(?)もあって無事に完成したシュークリームが入った包みである。
何度も試行錯誤を繰り返した末にできたシュークリームは、ローゼンにも納得のいく出来になった。
味見役にさせられたローゼンは、もうしばらくシュークリームは見たくないとぼやいていたが。
それでも最後まで付き合うのだから、彼も根はお人好しなんだろうね。
早速完成品をアレクに届けようと、彼女はうきうきとした気分でフロントへと向かった。
カウンターに立っているアレクの姿を見つける。
アレクは相変わらずの様子で、台帳に目を通していた。
「アレク」
彼女が声を掛けると、アレクは笑顔で彼女を迎えた。
「どうかなさいましたか?」
アレク、喜んでくれるかな。
彼が嬉しそうに包みを受け取ることを期待しながら、ミカは包みを彼へと差し出した。
「これを」
「?」
カウンターから出てきて包みを受け取りながら、怪訝そうに小首を傾げるアレク。
ミカはどきどきする胸を手で押さえて落ち着かせながら、言った。
「アップルパイの、御礼。一生懸命作ったから、食べて」
「作った……?」
アレクは目を瞬かせた。
ミカは厨房にアカギと一緒にいたのだというリルディアの言葉を思い出し、はっとする。
「……ひょっとして、厨房にいたというのは……これを作るために?」
「……うん」
こくん、と頷くミカ。
アレクには包みの中身は分からなかったが、ミカの手料理が入っていることを知り、彼は本当に心の底から嬉しそうな笑顔になった。
「ありがとうございます。わざわざ作って下さるなんて……夢でも見ているようですよ」
包みを胸元に抱き抱えて、彼は言った。
「後で大切に頂きます。感想は必ずお返ししますので、待っていて頂けますか」
本当は今すぐにでも食べてもらいたかったが、アレクも仕事中の身だ。仕事の邪魔はすまいと思い、ミカはアレクの言葉を承諾した。
言葉が途切れ、二人は互いの顔をじっと見つめ合う。
「……アレク。私は……」
ミカが途切れた会話を繋げようとした、その時。
「アレク。私と来い」
玄関扉が開き、早足でレンがフロントに入ってきた。
突然の彼女の登場に、ミカの表情が暗くなる。
アレクの顔から笑顔が消えた。
「……何だ突然。帰ってきたと思ったらいきなり──」
「いいから来い」
レンはアレクの腕を掴み、引っ張った。
アレクは包みを慌ててカウンターの上に置き、引き摺られるようにしてレンと共に外へと出ていった。
それを、ミカは淋しそうに見つめていた。
強引にアレクを引き摺り回せる彼女の気の強さが羨ましいと、ちょっぴり思ったのだ。
私もあんな風にアレクに話しかけられるようになりたい。
自分の引っ込み思案で気の弱いところを直せたら、今頃アレクに想いをちゃんと伝えられていたのにな、と独りごちたのだった。
廊下を歩きながら、ミカは小さな笑みを零していた。
彼女の手には、小さな包みがある。
ローゼンの協力(?)もあって無事に完成したシュークリームが入った包みである。
何度も試行錯誤を繰り返した末にできたシュークリームは、ローゼンにも納得のいく出来になった。
味見役にさせられたローゼンは、もうしばらくシュークリームは見たくないとぼやいていたが。
それでも最後まで付き合うのだから、彼も根はお人好しなんだろうね。
早速完成品をアレクに届けようと、彼女はうきうきとした気分でフロントへと向かった。
カウンターに立っているアレクの姿を見つける。
アレクは相変わらずの様子で、台帳に目を通していた。
「アレク」
彼女が声を掛けると、アレクは笑顔で彼女を迎えた。
「どうかなさいましたか?」
アレク、喜んでくれるかな。
彼が嬉しそうに包みを受け取ることを期待しながら、ミカは包みを彼へと差し出した。
「これを」
「?」
カウンターから出てきて包みを受け取りながら、怪訝そうに小首を傾げるアレク。
ミカはどきどきする胸を手で押さえて落ち着かせながら、言った。
「アップルパイの、御礼。一生懸命作ったから、食べて」
「作った……?」
アレクは目を瞬かせた。
ミカは厨房にアカギと一緒にいたのだというリルディアの言葉を思い出し、はっとする。
「……ひょっとして、厨房にいたというのは……これを作るために?」
「……うん」
こくん、と頷くミカ。
アレクには包みの中身は分からなかったが、ミカの手料理が入っていることを知り、彼は本当に心の底から嬉しそうな笑顔になった。
「ありがとうございます。わざわざ作って下さるなんて……夢でも見ているようですよ」
包みを胸元に抱き抱えて、彼は言った。
「後で大切に頂きます。感想は必ずお返ししますので、待っていて頂けますか」
本当は今すぐにでも食べてもらいたかったが、アレクも仕事中の身だ。仕事の邪魔はすまいと思い、ミカはアレクの言葉を承諾した。
言葉が途切れ、二人は互いの顔をじっと見つめ合う。
「……アレク。私は……」
ミカが途切れた会話を繋げようとした、その時。
「アレク。私と来い」
玄関扉が開き、早足でレンがフロントに入ってきた。
突然の彼女の登場に、ミカの表情が暗くなる。
アレクの顔から笑顔が消えた。
「……何だ突然。帰ってきたと思ったらいきなり──」
「いいから来い」
レンはアレクの腕を掴み、引っ張った。
アレクは包みを慌ててカウンターの上に置き、引き摺られるようにしてレンと共に外へと出ていった。
それを、ミカは淋しそうに見つめていた。
強引にアレクを引き摺り回せる彼女の気の強さが羨ましいと、ちょっぴり思ったのだ。
私もあんな風にアレクに話しかけられるようになりたい。
自分の引っ込み思案で気の弱いところを直せたら、今頃アレクに想いをちゃんと伝えられていたのにな、と独りごちたのだった。
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