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悲しみは偽りの悲しさ
エピソード3
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???サイド
「おい、佐藤!!とりあえずこいつは署に連れていくとして、現場検証の方は、鑑識からどうなってるんだ?!」
事故?正直おれもあんまり事故だとは思っていない。
何度も、素直に言った方が刑は軽くなると言ったのに、無罪を主張するトラックの運転手であり、今回の加害者の伊藤剛。
こいつの言う通り、轢いたことには間違いないが、誰かに押されて被害者である本条が車道に突き飛ばされた可能性が高い。
そして、現場近くの監視カメラが反抗時刻に止まっていた。どうやらその時間に電源が落ちたらしく、ここら辺の電車は電気で動いているので、丁度地下鉄は止まっていたようだ。
このふたつは関係しているだろうと踏んで、今殺人事件として捜査をするための根拠を集めていた。
毎回、一課に捜査権を奪われているからな、今回だけは成功させなくちゃならねぇ。
坂本家の名にかけて、事件を解決してみせる。
坂本樹は、二課の刑事だ。そして、警視庁一の狙撃の腕前を持っている。
「鑑識の方ではけ検証は住んでいるそうなので、一応保存も終わってます。
あと、彼の遺族に明日話を聞きに行きましょう。既に許可はとってきてありますからね。」
本当に用意が早い部下だな。
こいつは佐藤太一。
刑事1年目の新米だ。
「そうか、なら捜査は切り上げて署にもどるぞ。」
「はい!!あ、あとですね」
「ん?なんだ。」
「大通りのとなりにある福田商店街の交番に話を聞いたら、犯行時刻当たりに、不審者の通報があって、通報を受けた所に行ったそうで。」
「ほう、それで?」
「交番には一人しかいなくて、事件に気づいたのは、救急車のサイレンが鳴ったからだそうですよ」
その話が本当なら、犯行時刻に人を寄せ付けないために、監視カメラのハック、交番にいる警察官の誘導をした可能性が高いな。
今後の捜査では、通報をした人物に、話を聞かねぇとな。
「なら、そろそろ署に戻るか。佐藤、行くぞ」
「はい!!」
「そう言えば、この監視カメラの映像はどこの会社なんだ?」
「それが、西川財閥の系列だそうですよ」
西川財閥か。
「明日は、監視カメラの会社にも話を聞きに行くからな、そう言えば、お前も西川財閥と親戚なんだってな?」
佐藤は照れくさそうに言った。
「いや、自分なんて西川財閥本家じゃないですから。あ、とりあえず署にもどり次第、西川の本家に連絡して、話を聞けるようにしときますね。」
「おう、頼んだぞ。とゆうか、犯行時間お前どこに行ってたんだ?」
「あ、自分は明星高校にいる自分の鳩子を車で途中から送ってたんですよ。誰かにつけられてるって連絡もらったので。」
「へぇ、まあいいだろう。」
セナサイド
彼氏が死んだ日にパーティーなんて、最悪だ。
悲しいけど、お母様からは婚約者がいるから恋愛はしないでと言われているからね、内緒で付き合っていたのだけど。
それを話したところでパーティーは休めないし、お母様に怒られるだけ。
新しいドレスがクローゼットにかけられていた。
淡いピンクのドレスに黒のカーディガンを羽織った。
本家から車が迎えにきて、リンスホテルに向かった。
ホテルにつくと、控え室である102号室に向かった。
私専属の美容師が待機していて、すぐにメイクを開始した。
新色のリップなんですよー、とか、今回どんな風には巻きましょうかねぇ、とか、そんな話はどうでもよかった。
綺麗に着飾った私のことを可愛らしい、美しい、お似合いですわとはやし立ててくれる存在。
褒められたら嬉しいけど、毎回毎回言われのは少々ウザイ。
綺麗に飾られた私は、パーティー会場の最上階のホールへ向かった。
グラスを受け取り、壁際に移動するととある男が話しかけてきた。
「セナさん、こんばんわ」
顔の整っていて、背の高い男。
女子からの人気は高く、将来有望な私の婚約者。
でも、軽薄である。
女性との噂が耐えなくて、正直結婚したくないとさえ思っている。
名前は、町井蒼汰。
町井財閥の次男で私の婚約者。
彼は、有名な男子校に通っていて、隣の女子高の生徒からは王子と呼ばれている。
優しくて紳士だけど、好きじゃないかな。
坂本くんの方が優しいし、かっこいいし
・・・・・・なんで坂本くんのことを考えていたんだろう。
よく知りもしないのに、蒼汰くんよりいいなんて。
いやでも、蒼汰くんよりは、大切に付き合ってくれそうだよね。
そんなことを考えながら、挨拶をした。
「こんばんわ、蒼汰くん。パーティーのご招待ありがとうございます。」
彼の家のアパレルブランドの最新作の発表会の日だ。
今回の美容師が使ったのは、最新色の化粧品。
高いが、女子からの支持率が高くて、そんなコスメやらバックやらを昔から送って貰っていた。
「セナさん、今夜は新作の発表会ですからね、もしよろしければ試供品をお試しください。
ステージ右側の女性が多く集まっているところ試供品ブースがありますからね。」
今回は化粧品のCM発表と、バックや洋服などの新作をファッションショー形式で発表するらしい。
「ええ、楽しみにしていますわね。後で少し見させていただきますね。」
「では、オレはほかの方に挨拶をするので、何かありましたらお声がけを。」
やっぱり彼は苦手だ。
正統派イケメンを演じながら、ほかの女の子と関係を持ってすぐに切る。
「こんばんわ」
今度は誰?聞いたことのある声だけど。
振り返ると、黒いスーツを身にまとった坂本くんがいた。
「え、坂本くん?!」
驚きを隠せないでいると彼は続けた。
「西川セナさんですよね?オレの病院もパーティーに呼ばれたんですよ、母が町井家の当主と知り合いで、町井の化粧品を使用している縁からの招待ですがね。」
「そうだったのね、私は町井家の次男である蒼汰くんの婚約者だから招待されたんだ。」
「もし良ければさ、パーティー抜けないか?セナさん、随分と顔色が宜しくないみたいだし。」
「え、そ、そう?なら、お言葉に甘えて抜けようかな。疲れちゃった。」
「なら、行こうか。」
かっこいい坂本くんが私に手を差し伸べる。坂本くんがする仕草にいちいちドキドキしてしまう。
そっと手を重ねると思いのほか強く引っ張られる。
男の子の手、大きいな。
絶対に顔が赤くなっているし、鼓動も早い。
彼が連れてきたのは、屋上のガーデンスペース。
「今夜は、パーティーの途中で花火が上がるんだ。確か、ブランドの20周年記念の花火だっけ。」
え、花火?!
そんなの聞いていなかった私は、知って驚いた。
坂本くんに教えてもらえなければ、そのままホテルの控え室に向かっていただろうな。
セナは、花火が好きだ。
昔から花火大会には毎年参加していたし、小学校や中学校の自由研究は、花火についてだ。
綺麗な花火を見ていると普段の疲れが取れる気がした。
「花火なんて知らなかったなぁ。坂本くん教えてくれてありがとう!!私ね、花火が大好きなんだ。」
「そうなんだ、なら良かった。」
「今日の事故で死んだのは、私の彼氏なんだ。交通事故で死んだのか、誰かに押されたのか、どっちにしても婚約者がいる身で恋愛なんてしてはダメなのにね」
坂本くんは驚いた顔をして。
そして、
セナの目をじっとみつめた。
坂本くんの瞳、すごくきれい。
夜の街のライトが瞳に映ってて、キラキラしてて、ガラスみたいに脆くて儚いひかり。
すごく綺麗。
「そうとは知らなかったから、なんか、ごめんな。」
「ううん、私悲しかっのよ?泣いたのよ?それでもね、心のどこかでの本条くんのことを愛せてない自分がいるの。あんなに好きなのに、どうしてな?」
坂本くんは何も言わずにー。
チュッ
唇を塞いだ。
思わず目を見開いてしまったが、彼に身をゆだね用とする自分がいる。
「んっ」
お互いの甘い吐息がこぼれる。
そして、花火が上がる。
少しびっくりしたが、坂本くんは離してくれないし、私も離れたくない。
花火の音にかき消されて、生まれて二度目のキスをした。
セカンドキス。
初めてのキスは短いけど、2回目のキスは長くて深くて、官能的で。
彼とのキスは、花火と同じ効果があった。
普段の疲れが取れていく。
何度も何度もキスをして、彼に全てを預けた。
彼氏が死んだ日にほかの男とキスをする私の罪は、
『色欲』。
ほかの男に自分の傷を癒してもらう。
そして、ほかの男との触れ合いを楽しんでいる自分は、色欲の罪だ。
ねぇ、坂本くん。私あなたのことがすごく気になってるのよ?知らないことも全部教えて欲しいの。
大切なことは
ねぇ、教えてよ。私に真実の愛を。
斗真サイド
パーティーで今日会ってキスをした彼女を見かけた。
男と話していた。
あいつは、町井蒼汰か。
町井財閥の次男で女性との噂が耐えない人物だ。
彼と話している彼女の顔色が少しずつ悪くなっていた。
それに気づいて彼が離れた隙をついて、彼女に話しかけた。
驚いた顔をされたが、構わず話しかけた。
綺麗で可愛らしい彼女。
ピンクのドレスに黒のカーディガン。
ほんのりとピンクな口元。
アップにまとめられた髪。
なんとも美しい。
そんな彼女には、警戒心は感じられなかったので、思い切ってパーティーを抜け出そうと誘った。
男の誘いにのこのこついてくるような彼女を危ういと思い、手を引いて屋上に向かった。
花火が上がることを知らなかった彼女は、俺に向かって「ありがとう」と言った。
大したことをしていないのに、彼女の感謝に照れくさくなった。
ぽつりぽつりと彼女が話し始めた。
話を聞いてると、彼女は悲しそうな顔でこちらを見つめてきた。
ああ、そんな話を聞かされて、そんな顔で見つめられて、そんな声で話されたらもう無理だ。
彼女は、セナさんは可愛らしい。
彼女がいるのに、キスをした。
強引に深く甘いキス。
不慣れなのか、テンパってるのか、彼女はキスが下手だった。
それで必死に返そうとする姿がまた可愛らしくて、彼女の腰を抱いてキスを続ける。
どのくらいしていたんだろうか。
花火はもう終盤だ。
彼女は足に力が入らなくなってオレに寄りかかっている。
「さ、坂本くん、下手でごめんね?」
真っ赤に染まった彼女を見て、欲情しそうになるのをなんとか抑える。
「ごめん、強引にキスして。でもね、君が悲しそうな顔をしたから慰めてあげたくなったんだ。」
さらに顔を赤くして、オレの胸に顔を埋める。
「は、恥ずかしいから、今は顔見ないでね」
必死に隠そうとされると、見たくなるが我慢した。
「これからはさ、オレが君を慰めるし。だから、君を支えさせてくれないかな?恋愛感情は一切ないけど、ただ心配なんだ。」
「うん、慰めてね。坂本くん。」
ま、まじか。
このタイミングで、そう返してくるってことは、相当辛かったんだろうな。
名前で呼びたい。君の名前を名前で呼びたいんだ、セナ。
「あのさ、2人だけの時は、名前でも呼んでもいいかな?」
「いいよ、斗真。」
うわぁ、可愛すぎて俺が死にそうだ。
彼女はいる。
本命は彼女だ。
セナは、俺の友達。
友達を慰めるためにキスをする。
ほかの女の子に気移りしてる訳じゃない、ただ彼女を慰めたいだけ。
偽りの感情で自分を騙すオレの罪は、『色欲』。
彼女に執着してるオレは、彼女に恋をしていることを知らないふりして騙してるんだ。
罪深い男だけど、セナ。
君だって、同じなんだろう?口にしたら崩れると思うから、言えないんだ。
愛してるって、大切だって。
だまし絵の中で生きるオレは、嘘つきなピエロ。
「おい、佐藤!!とりあえずこいつは署に連れていくとして、現場検証の方は、鑑識からどうなってるんだ?!」
事故?正直おれもあんまり事故だとは思っていない。
何度も、素直に言った方が刑は軽くなると言ったのに、無罪を主張するトラックの運転手であり、今回の加害者の伊藤剛。
こいつの言う通り、轢いたことには間違いないが、誰かに押されて被害者である本条が車道に突き飛ばされた可能性が高い。
そして、現場近くの監視カメラが反抗時刻に止まっていた。どうやらその時間に電源が落ちたらしく、ここら辺の電車は電気で動いているので、丁度地下鉄は止まっていたようだ。
このふたつは関係しているだろうと踏んで、今殺人事件として捜査をするための根拠を集めていた。
毎回、一課に捜査権を奪われているからな、今回だけは成功させなくちゃならねぇ。
坂本家の名にかけて、事件を解決してみせる。
坂本樹は、二課の刑事だ。そして、警視庁一の狙撃の腕前を持っている。
「鑑識の方ではけ検証は住んでいるそうなので、一応保存も終わってます。
あと、彼の遺族に明日話を聞きに行きましょう。既に許可はとってきてありますからね。」
本当に用意が早い部下だな。
こいつは佐藤太一。
刑事1年目の新米だ。
「そうか、なら捜査は切り上げて署にもどるぞ。」
「はい!!あ、あとですね」
「ん?なんだ。」
「大通りのとなりにある福田商店街の交番に話を聞いたら、犯行時刻当たりに、不審者の通報があって、通報を受けた所に行ったそうで。」
「ほう、それで?」
「交番には一人しかいなくて、事件に気づいたのは、救急車のサイレンが鳴ったからだそうですよ」
その話が本当なら、犯行時刻に人を寄せ付けないために、監視カメラのハック、交番にいる警察官の誘導をした可能性が高いな。
今後の捜査では、通報をした人物に、話を聞かねぇとな。
「なら、そろそろ署に戻るか。佐藤、行くぞ」
「はい!!」
「そう言えば、この監視カメラの映像はどこの会社なんだ?」
「それが、西川財閥の系列だそうですよ」
西川財閥か。
「明日は、監視カメラの会社にも話を聞きに行くからな、そう言えば、お前も西川財閥と親戚なんだってな?」
佐藤は照れくさそうに言った。
「いや、自分なんて西川財閥本家じゃないですから。あ、とりあえず署にもどり次第、西川の本家に連絡して、話を聞けるようにしときますね。」
「おう、頼んだぞ。とゆうか、犯行時間お前どこに行ってたんだ?」
「あ、自分は明星高校にいる自分の鳩子を車で途中から送ってたんですよ。誰かにつけられてるって連絡もらったので。」
「へぇ、まあいいだろう。」
セナサイド
彼氏が死んだ日にパーティーなんて、最悪だ。
悲しいけど、お母様からは婚約者がいるから恋愛はしないでと言われているからね、内緒で付き合っていたのだけど。
それを話したところでパーティーは休めないし、お母様に怒られるだけ。
新しいドレスがクローゼットにかけられていた。
淡いピンクのドレスに黒のカーディガンを羽織った。
本家から車が迎えにきて、リンスホテルに向かった。
ホテルにつくと、控え室である102号室に向かった。
私専属の美容師が待機していて、すぐにメイクを開始した。
新色のリップなんですよー、とか、今回どんな風には巻きましょうかねぇ、とか、そんな話はどうでもよかった。
綺麗に着飾った私のことを可愛らしい、美しい、お似合いですわとはやし立ててくれる存在。
褒められたら嬉しいけど、毎回毎回言われのは少々ウザイ。
綺麗に飾られた私は、パーティー会場の最上階のホールへ向かった。
グラスを受け取り、壁際に移動するととある男が話しかけてきた。
「セナさん、こんばんわ」
顔の整っていて、背の高い男。
女子からの人気は高く、将来有望な私の婚約者。
でも、軽薄である。
女性との噂が耐えなくて、正直結婚したくないとさえ思っている。
名前は、町井蒼汰。
町井財閥の次男で私の婚約者。
彼は、有名な男子校に通っていて、隣の女子高の生徒からは王子と呼ばれている。
優しくて紳士だけど、好きじゃないかな。
坂本くんの方が優しいし、かっこいいし
・・・・・・なんで坂本くんのことを考えていたんだろう。
よく知りもしないのに、蒼汰くんよりいいなんて。
いやでも、蒼汰くんよりは、大切に付き合ってくれそうだよね。
そんなことを考えながら、挨拶をした。
「こんばんわ、蒼汰くん。パーティーのご招待ありがとうございます。」
彼の家のアパレルブランドの最新作の発表会の日だ。
今回の美容師が使ったのは、最新色の化粧品。
高いが、女子からの支持率が高くて、そんなコスメやらバックやらを昔から送って貰っていた。
「セナさん、今夜は新作の発表会ですからね、もしよろしければ試供品をお試しください。
ステージ右側の女性が多く集まっているところ試供品ブースがありますからね。」
今回は化粧品のCM発表と、バックや洋服などの新作をファッションショー形式で発表するらしい。
「ええ、楽しみにしていますわね。後で少し見させていただきますね。」
「では、オレはほかの方に挨拶をするので、何かありましたらお声がけを。」
やっぱり彼は苦手だ。
正統派イケメンを演じながら、ほかの女の子と関係を持ってすぐに切る。
「こんばんわ」
今度は誰?聞いたことのある声だけど。
振り返ると、黒いスーツを身にまとった坂本くんがいた。
「え、坂本くん?!」
驚きを隠せないでいると彼は続けた。
「西川セナさんですよね?オレの病院もパーティーに呼ばれたんですよ、母が町井家の当主と知り合いで、町井の化粧品を使用している縁からの招待ですがね。」
「そうだったのね、私は町井家の次男である蒼汰くんの婚約者だから招待されたんだ。」
「もし良ければさ、パーティー抜けないか?セナさん、随分と顔色が宜しくないみたいだし。」
「え、そ、そう?なら、お言葉に甘えて抜けようかな。疲れちゃった。」
「なら、行こうか。」
かっこいい坂本くんが私に手を差し伸べる。坂本くんがする仕草にいちいちドキドキしてしまう。
そっと手を重ねると思いのほか強く引っ張られる。
男の子の手、大きいな。
絶対に顔が赤くなっているし、鼓動も早い。
彼が連れてきたのは、屋上のガーデンスペース。
「今夜は、パーティーの途中で花火が上がるんだ。確か、ブランドの20周年記念の花火だっけ。」
え、花火?!
そんなの聞いていなかった私は、知って驚いた。
坂本くんに教えてもらえなければ、そのままホテルの控え室に向かっていただろうな。
セナは、花火が好きだ。
昔から花火大会には毎年参加していたし、小学校や中学校の自由研究は、花火についてだ。
綺麗な花火を見ていると普段の疲れが取れる気がした。
「花火なんて知らなかったなぁ。坂本くん教えてくれてありがとう!!私ね、花火が大好きなんだ。」
「そうなんだ、なら良かった。」
「今日の事故で死んだのは、私の彼氏なんだ。交通事故で死んだのか、誰かに押されたのか、どっちにしても婚約者がいる身で恋愛なんてしてはダメなのにね」
坂本くんは驚いた顔をして。
そして、
セナの目をじっとみつめた。
坂本くんの瞳、すごくきれい。
夜の街のライトが瞳に映ってて、キラキラしてて、ガラスみたいに脆くて儚いひかり。
すごく綺麗。
「そうとは知らなかったから、なんか、ごめんな。」
「ううん、私悲しかっのよ?泣いたのよ?それでもね、心のどこかでの本条くんのことを愛せてない自分がいるの。あんなに好きなのに、どうしてな?」
坂本くんは何も言わずにー。
チュッ
唇を塞いだ。
思わず目を見開いてしまったが、彼に身をゆだね用とする自分がいる。
「んっ」
お互いの甘い吐息がこぼれる。
そして、花火が上がる。
少しびっくりしたが、坂本くんは離してくれないし、私も離れたくない。
花火の音にかき消されて、生まれて二度目のキスをした。
セカンドキス。
初めてのキスは短いけど、2回目のキスは長くて深くて、官能的で。
彼とのキスは、花火と同じ効果があった。
普段の疲れが取れていく。
何度も何度もキスをして、彼に全てを預けた。
彼氏が死んだ日にほかの男とキスをする私の罪は、
『色欲』。
ほかの男に自分の傷を癒してもらう。
そして、ほかの男との触れ合いを楽しんでいる自分は、色欲の罪だ。
ねぇ、坂本くん。私あなたのことがすごく気になってるのよ?知らないことも全部教えて欲しいの。
大切なことは
ねぇ、教えてよ。私に真実の愛を。
斗真サイド
パーティーで今日会ってキスをした彼女を見かけた。
男と話していた。
あいつは、町井蒼汰か。
町井財閥の次男で女性との噂が耐えない人物だ。
彼と話している彼女の顔色が少しずつ悪くなっていた。
それに気づいて彼が離れた隙をついて、彼女に話しかけた。
驚いた顔をされたが、構わず話しかけた。
綺麗で可愛らしい彼女。
ピンクのドレスに黒のカーディガン。
ほんのりとピンクな口元。
アップにまとめられた髪。
なんとも美しい。
そんな彼女には、警戒心は感じられなかったので、思い切ってパーティーを抜け出そうと誘った。
男の誘いにのこのこついてくるような彼女を危ういと思い、手を引いて屋上に向かった。
花火が上がることを知らなかった彼女は、俺に向かって「ありがとう」と言った。
大したことをしていないのに、彼女の感謝に照れくさくなった。
ぽつりぽつりと彼女が話し始めた。
話を聞いてると、彼女は悲しそうな顔でこちらを見つめてきた。
ああ、そんな話を聞かされて、そんな顔で見つめられて、そんな声で話されたらもう無理だ。
彼女は、セナさんは可愛らしい。
彼女がいるのに、キスをした。
強引に深く甘いキス。
不慣れなのか、テンパってるのか、彼女はキスが下手だった。
それで必死に返そうとする姿がまた可愛らしくて、彼女の腰を抱いてキスを続ける。
どのくらいしていたんだろうか。
花火はもう終盤だ。
彼女は足に力が入らなくなってオレに寄りかかっている。
「さ、坂本くん、下手でごめんね?」
真っ赤に染まった彼女を見て、欲情しそうになるのをなんとか抑える。
「ごめん、強引にキスして。でもね、君が悲しそうな顔をしたから慰めてあげたくなったんだ。」
さらに顔を赤くして、オレの胸に顔を埋める。
「は、恥ずかしいから、今は顔見ないでね」
必死に隠そうとされると、見たくなるが我慢した。
「これからはさ、オレが君を慰めるし。だから、君を支えさせてくれないかな?恋愛感情は一切ないけど、ただ心配なんだ。」
「うん、慰めてね。坂本くん。」
ま、まじか。
このタイミングで、そう返してくるってことは、相当辛かったんだろうな。
名前で呼びたい。君の名前を名前で呼びたいんだ、セナ。
「あのさ、2人だけの時は、名前でも呼んでもいいかな?」
「いいよ、斗真。」
うわぁ、可愛すぎて俺が死にそうだ。
彼女はいる。
本命は彼女だ。
セナは、俺の友達。
友達を慰めるためにキスをする。
ほかの女の子に気移りしてる訳じゃない、ただ彼女を慰めたいだけ。
偽りの感情で自分を騙すオレの罪は、『色欲』。
彼女に執着してるオレは、彼女に恋をしていることを知らないふりして騙してるんだ。
罪深い男だけど、セナ。
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