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1話 【出会い】
「ねえ、君って英語Bの人だよね?席近かったよね?」
第二講義棟の教室で、明るめの茶髪の女の子が突然話しかけてきた。どこかで見た顔だと思ったら、いつも英語の授業で何列か前に座ってる子だった。二年生になって初めて同じ講義見舞った子だけどなぜか印象に残っている。
「あ、うん。たぶん。……篠原さん、だよね?」
「正解。篠原まどか。よろしくね、えっと……」
「高橋直哉。」
「直哉くんね。よろしく!」
篠原まどかは、話しやすい子だった。話題が途切れないし、テンポが軽い。俺みたいにそこまで社交的じゃない人間でも、自然に返事をしたくなるタイプ。
それから数回の講義を一緒に過ごすうちに、まどかとはそれなりに顔見知りになった。
前よりも授業前の会話が増えて、ちょっとしたメッセージのやりとりなんかもするようになっていた。
そんなある日、ふと気づいたことがあった。
まどかの隣に、いつも同じ女の子が座っている。
黒髪で、どこか淡い雰囲気の子。話しているところはほとんど見たことがない。
まどかが楽しそうにしゃべっている横で、その子はずっと静かにノートに目を落としていた。
初めは気にも留めてなかったけど、気づけば毎回、彼女の存在を目で追ってしまっていた。
別にタイプとか、そういうのじゃない。
ただ、どこか……空気が違うように見えた。
目立たないけど、見つけようとすればすぐに見つかる。
そんな不思議な存在感があった。
名前も知らない。声も聞いたことがない。
でも、なんとなく気になる。
気づかないうちに、その子のことを見ていた。
2話 【仲良し】
「おーい直哉、こっち空いてるぞ。」
英語の講義が始まる5分前。
教室の後方、窓際の席で手を振っていたのは、俺の高校からの友人・田島悠真だった。
悠真はどこか飄々としてて、けど妙に勘が鋭い。高校時代からずっと一緒で、大学でもよく行動を共にしている。
「お前、いつもそこにいるな。席取り職人かよ」
「ここ日当たりいいからな。あと女子の声がちょうど反響しない絶妙なポジション。」
「言い方やめろ。下心が響いてる。」
くだらない会話をしながら席に着くと、ふと前方の列で見覚えのある姿が目に入った。
篠原まどかと、あの無口な子。今日も、変わらず並んで座っている。
そしてそのまどかが、こっちに気づいて手を振った。
「直哉くん、おはよー。あ、そっちの子って友達?」
「ああ、田島。高校からの友達。」
「へえー、じゃあ一緒に座ろっか。」
「……うん、いいよ。」
その日から、自然と俺たちは四人で近くの席に並ぶようになった。
まどかが軽快に話すのを、悠真がふわっと受け流して、たまにツッコむ。
俺はその会話にぽつぽつと加わるくらいで、そして──雪は、相変わらず静かだった。
たまにまどかに話しかけられて、小さくうなずく。
声は小さくて、聞き取れないこともあったけど、それでも確かに彼女の声だった。
不思議だった。
同じ空間にいるのに、彼女の空気だけが少し違って見える。
別に、何がどうとかではない。
ただ、知りたくなった。
彼女が、何を見て、何を考えてるのか。
たぶんそのときにはもう、俺の中で何かが始まっていたんだと思う。
「ねえ、君って英語Bの人だよね?席近かったよね?」
第二講義棟の教室で、明るめの茶髪の女の子が突然話しかけてきた。どこかで見た顔だと思ったら、いつも英語の授業で何列か前に座ってる子だった。二年生になって初めて同じ講義見舞った子だけどなぜか印象に残っている。
「あ、うん。たぶん。……篠原さん、だよね?」
「正解。篠原まどか。よろしくね、えっと……」
「高橋直哉。」
「直哉くんね。よろしく!」
篠原まどかは、話しやすい子だった。話題が途切れないし、テンポが軽い。俺みたいにそこまで社交的じゃない人間でも、自然に返事をしたくなるタイプ。
それから数回の講義を一緒に過ごすうちに、まどかとはそれなりに顔見知りになった。
前よりも授業前の会話が増えて、ちょっとしたメッセージのやりとりなんかもするようになっていた。
そんなある日、ふと気づいたことがあった。
まどかの隣に、いつも同じ女の子が座っている。
黒髪で、どこか淡い雰囲気の子。話しているところはほとんど見たことがない。
まどかが楽しそうにしゃべっている横で、その子はずっと静かにノートに目を落としていた。
初めは気にも留めてなかったけど、気づけば毎回、彼女の存在を目で追ってしまっていた。
別にタイプとか、そういうのじゃない。
ただ、どこか……空気が違うように見えた。
目立たないけど、見つけようとすればすぐに見つかる。
そんな不思議な存在感があった。
名前も知らない。声も聞いたことがない。
でも、なんとなく気になる。
気づかないうちに、その子のことを見ていた。
2話 【仲良し】
「おーい直哉、こっち空いてるぞ。」
英語の講義が始まる5分前。
教室の後方、窓際の席で手を振っていたのは、俺の高校からの友人・田島悠真だった。
悠真はどこか飄々としてて、けど妙に勘が鋭い。高校時代からずっと一緒で、大学でもよく行動を共にしている。
「お前、いつもそこにいるな。席取り職人かよ」
「ここ日当たりいいからな。あと女子の声がちょうど反響しない絶妙なポジション。」
「言い方やめろ。下心が響いてる。」
くだらない会話をしながら席に着くと、ふと前方の列で見覚えのある姿が目に入った。
篠原まどかと、あの無口な子。今日も、変わらず並んで座っている。
そしてそのまどかが、こっちに気づいて手を振った。
「直哉くん、おはよー。あ、そっちの子って友達?」
「ああ、田島。高校からの友達。」
「へえー、じゃあ一緒に座ろっか。」
「……うん、いいよ。」
その日から、自然と俺たちは四人で近くの席に並ぶようになった。
まどかが軽快に話すのを、悠真がふわっと受け流して、たまにツッコむ。
俺はその会話にぽつぽつと加わるくらいで、そして──雪は、相変わらず静かだった。
たまにまどかに話しかけられて、小さくうなずく。
声は小さくて、聞き取れないこともあったけど、それでも確かに彼女の声だった。
不思議だった。
同じ空間にいるのに、彼女の空気だけが少し違って見える。
別に、何がどうとかではない。
ただ、知りたくなった。
彼女が、何を見て、何を考えてるのか。
たぶんそのときにはもう、俺の中で何かが始まっていたんだと思う。
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