7 / 36
婚約破棄から4日目 領地からの報せ
しおりを挟む
婚約破棄から4日目の夕方、領地から早馬が届いた。
領地の護衛の件について、ジーク隊が今朝方セレス領入りしたとの報せ。
私はホッと胸をなで下ろした。
今日一日この報せを待っていて、ずっと落ち着かなかったからだ。
「レイは領地のこととなると心配性になる」と父にも言われたが、全くその通りだと思う。
自分でも原因は分かっている。
8年前、セレス領は賊に入られたのだ。
当時の領主夫妻が殺害され、領民の子供3人が行方不明になった。
殺された領主夫妻は私の実の両親で、犯人は今も捕まっていない。
ジーク隊長とはその縁で知り合った。両親を亡くした私に、無骨だがとても良くしてくれた。
そのため領地の家令や領主館の使用人はジーク隊長のことをよく知っている。今回私が出した急な指示にも、臨機応変に対応してくれるだろう。
あとブロウ伯爵家から手紙が来た。
「共同事業の解消について見直してほしい」との内容だった。
父は婚約破棄に伴う「無関与不干渉の誓約書」を理由に、断りの返事を出した。
両親はブロウ家に憤慨していたが、私は手紙なら直接的な危険がなくてよかったと思っている。
ブロウ伯爵家がセレス家に直接乗り込んできられても困るし。
まぁ巷が婚約破棄の噂で持ちきりの今、破棄した側のブロウ伯爵家の関係者がセレス家に来たとなれば、余計噂になるだろう。
プライドの高いブロウ伯爵夫妻がそのようなことを許すはずはないと思うけど。
ブロウ伯爵は強引な方だった。
当家よりも格上の伯爵家であり、かつ養父より年が上で、いつも横柄な態度を取る方だった。
ブロウ伯爵家が共同事業にこだわるのは、なんとなくわかる。ブロウ伯爵家は共同事業に名を連ねることで、投資家としての名声を得ていたのだと思われる。
そして共同事業に利益が出始めたら「分け前を寄越せ」とセレス家に言うつもりだったのだろう。
養父であるセレス子爵は堅実な人柄だ。
共同事業を解消して単独事業で続ければ、近いうちに利益に転じるだろう。
そのために必要と思われる資料は、父と家令に渡してある。
王都での事業が成功すれば、セレス子爵家に金銭的な余裕ができる。
そうなれば後継のクリスの将来の選択肢が増える。
ブロウ伯爵家との婚姻関係がなくなっても、セレス子爵家に不利にならないように最善を尽くしたい。
領地の護衛の件について、ジーク隊が今朝方セレス領入りしたとの報せ。
私はホッと胸をなで下ろした。
今日一日この報せを待っていて、ずっと落ち着かなかったからだ。
「レイは領地のこととなると心配性になる」と父にも言われたが、全くその通りだと思う。
自分でも原因は分かっている。
8年前、セレス領は賊に入られたのだ。
当時の領主夫妻が殺害され、領民の子供3人が行方不明になった。
殺された領主夫妻は私の実の両親で、犯人は今も捕まっていない。
ジーク隊長とはその縁で知り合った。両親を亡くした私に、無骨だがとても良くしてくれた。
そのため領地の家令や領主館の使用人はジーク隊長のことをよく知っている。今回私が出した急な指示にも、臨機応変に対応してくれるだろう。
あとブロウ伯爵家から手紙が来た。
「共同事業の解消について見直してほしい」との内容だった。
父は婚約破棄に伴う「無関与不干渉の誓約書」を理由に、断りの返事を出した。
両親はブロウ家に憤慨していたが、私は手紙なら直接的な危険がなくてよかったと思っている。
ブロウ伯爵家がセレス家に直接乗り込んできられても困るし。
まぁ巷が婚約破棄の噂で持ちきりの今、破棄した側のブロウ伯爵家の関係者がセレス家に来たとなれば、余計噂になるだろう。
プライドの高いブロウ伯爵夫妻がそのようなことを許すはずはないと思うけど。
ブロウ伯爵は強引な方だった。
当家よりも格上の伯爵家であり、かつ養父より年が上で、いつも横柄な態度を取る方だった。
ブロウ伯爵家が共同事業にこだわるのは、なんとなくわかる。ブロウ伯爵家は共同事業に名を連ねることで、投資家としての名声を得ていたのだと思われる。
そして共同事業に利益が出始めたら「分け前を寄越せ」とセレス家に言うつもりだったのだろう。
養父であるセレス子爵は堅実な人柄だ。
共同事業を解消して単独事業で続ければ、近いうちに利益に転じるだろう。
そのために必要と思われる資料は、父と家令に渡してある。
王都での事業が成功すれば、セレス子爵家に金銭的な余裕ができる。
そうなれば後継のクリスの将来の選択肢が増える。
ブロウ伯爵家との婚姻関係がなくなっても、セレス子爵家に不利にならないように最善を尽くしたい。
11
あなたにおすすめの小説
誓いを忘れた騎士へ ―私は誰かの花嫁になる
吉乃
恋愛
「帰ってきたら、結婚してくれる?」
――あの日の誓いを胸に、私は待ち続けた。
最初の三年間は幸せだった。
けれど、騎士の務めに赴いた彼は、やがて音信不通となり――
気づけば七年の歳月が流れていた。
二十七歳になった私は、もう結婚をしなければならない。
未来を選ぶ年齢。
だから、別の男性との婚姻を受け入れると決めたのに……。
結婚式を目前にした夜。
失われたはずの声が、突然私の心を打ち砕く。
「……リリアナ。迎えに来た」
七年の沈黙を破って現れた騎士。
赦せるのか、それとも拒むのか。
揺れる心が最後に選ぶのは――
かつての誓いか、それとも新しい愛か。
お知らせ
※すみません、PCの不調で更新が出来なくなってしまいました。
直り次第すぐに更新を再開しますので、少しだけお待ちいただければ幸いです。
「君は大丈夫だろ?」と可哀想な元恋人を選択した夫。~今さら復縁を迫っても、愛は既に錆び付いています~
水上
恋愛
夫と白い結婚をして、傾いた領地を努力と苦労の末に立て直した伯爵令嬢ヴィクトリア。
夫との関係も良好……、のように見えていた。
だが夫は「君は強いから」と、めそめそ泣く元恋人を優先し、ヴィクトリアの献身を踏みにじった。
その瞬間、彼女の恋心は錆び付き始めた。
「私が去ったら、この領地は終わりですが?」
愛想を尽かした彼女は、完璧な微笑みの裏で淡々と離縁の準備を始める。
これは、有能な妻が去り、無能な夫が泥沼に沈むまでを描く、冷徹な断罪劇。
アリーチェ・オランジュ夫人の幸せな政略結婚
里見しおん
恋愛
「私のジーナにした仕打ち、許し難い! 婚約破棄だ!」
なーんて抜かしやがった婚約者様と、本日結婚しました。
アリーチェ・オランジュ夫人の結婚生活のお話。
【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています
春野オカリナ
恋愛
エミリー・ブラウンは、姉の婚約者だった。アルフレッド・スタンレー伯爵子息と結婚した。
社交界では、彼女は「姉の婚約者を奪った悪女」と呼ばれていた。
幼馴染を選んで婚約者を追放した旦那様。しかしその後大変なことになっているようです
睡蓮
恋愛
レーベット侯爵は自身の婚約者として、一目ぼれしたミリアの事を受け入れていた。しかしレーベットはその後、自身の幼馴染であるリナリーの事ばかりを偏愛し、ミリアの事を冷遇し始める。そんな日々が繰り返されたのち、ついにレーベットはミリアのことを婚約破棄することを決める。もう戻れないところまで来てしまったレーベットは、その後大きな後悔をすることとなるのだった…。
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる