婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜

みのすけ

文字の大きさ
12 / 36

婚約破棄から7日目 退学手続き

しおりを挟む
婚約破棄から7日目、私は退学手続きをするために王立学園にいる。
学園はこの日授業が午前中で終わるため、午後は職員しかいない。今以上の噂にならない様に、生徒が早帰りするこの日に手続きする予定にしていたのだ。

生徒が下校した頃を見計らって私が学園に着くと、シルフィーユ様が仁王立ちしていた。

「ご機嫌よう、セレス嬢」
シルフィーユ様は優雅に微笑む。仁王立ちしていても絵になる美しさだ。私は憧れの人の登場に驚いた。

シルフィーユ・イヴェル侯爵令嬢は眩しいくらい美しい方だ。
銀糸の美しい髪、銀の輝く瞳、はっきりとした目鼻立ち、人形の様に完璧な造形で見る者を魅了してしまう。

侯爵令嬢としての振る舞いも完璧で、まさに理想の令嬢。その場に居るだけで華やぐ『学園の花』だ。

私から高位の令嬢に話しかけることはできないので、生徒会役員として活躍するシルフィーユ様のお姿を遠目から見るのが好きだった。

シルフィーユ様は曲がったことを許さず、高潔無比なお方である。
学園に通う最も身分の高いのご令嬢でありながら取り巻きを作らず、生徒会役員として生徒に平等に接する方なので、シルフィーユ様から私に話しかけられた時はとても嬉しかった。
名前で呼ぶ許可を頂いたことは良い思い出だ。

「シルフィーユ様、お目にかかれて光栄です。」
私は舞い上がって声が上ずる。
まさか今日お会いできるとは思わなかったから。

「貴方を待っていたの。学園を退学するのは本当かしら?」

「……はい。本日で最後になります」

「ブロウ伯爵子息が原因なら、貴方が辞めることはなくってよ」

「シルフィーユ様、そう言ってくださりありがとうございます。ですが私事で学園を騒がせた以上、速やかに学園を去りたいと思います。
ライオール殿下の在籍中にこのようなことになり、大変申し訳ございませんでした」

「殿下も、貴方を案じていらっしゃったわ」

「殿下にまでお気遣いいただき、言葉もありません」

私は最敬礼をとる。
シルフィーユ様は生徒会役員として、私を見送りに来て下さったのだろう。

「貴方の意思は固いようね。学園を辞めた後はどうするつもりかしら?」

「しばらく領地で過ごそうと思います」

「では手紙を書くわ。返事を下さるかしら?」

「勿体無いことです」

「私は貴方のことが気に入っているの。また会いましょう」

颯爽と去るシルフィーユ様の後ろ姿を見送りながら、私は胸が熱くなった。

王立学園に入って良かったのは先生や友人に恵まれたことと、シルフィーユ様に出会えたことだと思う。

学園に入る前の私は、貴族に対して良い印象を持てなかった。自分が貴族であるということも後ろめたかった。

しかし学園に来てから、貴族も平民もその在り方が違うだけで同じ人間なのだということに気付いた。
また貴族の在り様を、私なりにある程度理解できるようになり、結果として自分の在り方を一部肯定できた。

それはシルフィーユ様や良き友人達のおかげなのだろう。

✳︎

その後退学手続きをして、先生方に挨拶をする。
学園長先生やニール教授も、私のことを惜しんで下さった。お心遣いが嬉しい。

学園を出る時、私はなんだか感情的になっていた。
だから気付かなかった。
背後から迫る人影に。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

1人視点なので情報が偏っております。全体がわかるまでは読み進めて頂けると嬉しいです。
気に入って下さった方はお気に入りやいいね頂けると励みになります^_^
よろしくお願い致します。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜をすっぽかされた令嬢は夫を死亡扱いする

さんけい
恋愛
クズ夫の非常識を帳簿で粛々と清算!真実の愛?笑わせるわね! 全14話。予約投稿済みです。

誓いを忘れた騎士へ ―私は誰かの花嫁になる

吉乃
恋愛
「帰ってきたら、結婚してくれる?」 ――あの日の誓いを胸に、私は待ち続けた。 最初の三年間は幸せだった。 けれど、騎士の務めに赴いた彼は、やがて音信不通となり―― 気づけば七年の歳月が流れていた。 二十七歳になった私は、もう結婚をしなければならない。 未来を選ぶ年齢。 だから、別の男性との婚姻を受け入れると決めたのに……。 結婚式を目前にした夜。 失われたはずの声が、突然私の心を打ち砕く。 「……リリアナ。迎えに来た」 七年の沈黙を破って現れた騎士。 赦せるのか、それとも拒むのか。 揺れる心が最後に選ぶのは―― かつての誓いか、それとも新しい愛か。 お知らせ ※すみません、PCの不調で更新が出来なくなってしまいました。 直り次第すぐに更新を再開しますので、少しだけお待ちいただければ幸いです。

「君は大丈夫だろ?」と可哀想な元恋人を選択した夫。~今さら復縁を迫っても、愛は既に錆び付いています~

水上
恋愛
夫と白い結婚をして、傾いた領地を努力と苦労の末に立て直した伯爵令嬢ヴィクトリア。 夫との関係も良好……、のように見えていた。 だが夫は「君は強いから」と、めそめそ泣く元恋人を優先し、ヴィクトリアの献身を踏みにじった。 その瞬間、彼女の恋心は錆び付き始めた。 「私が去ったら、この領地は終わりですが?」 愛想を尽かした彼女は、完璧な微笑みの裏で淡々と離縁の準備を始める。 これは、有能な妻が去り、無能な夫が泥沼に沈むまでを描く、冷徹な断罪劇。

アリーチェ・オランジュ夫人の幸せな政略結婚

里見しおん
恋愛
「私のジーナにした仕打ち、許し難い! 婚約破棄だ!」  なーんて抜かしやがった婚約者様と、本日結婚しました。  アリーチェ・オランジュ夫人の結婚生活のお話。

【完結】姉の婚約者を奪った私は悪女と呼ばれています

春野オカリナ
恋愛
 エミリー・ブラウンは、姉の婚約者だった。アルフレッド・スタンレー伯爵子息と結婚した。  社交界では、彼女は「姉の婚約者を奪った悪女」と呼ばれていた。

幼馴染を選んで婚約者を追放した旦那様。しかしその後大変なことになっているようです

睡蓮
恋愛
レーベット侯爵は自身の婚約者として、一目ぼれしたミリアの事を受け入れていた。しかしレーベットはその後、自身の幼馴染であるリナリーの事ばかりを偏愛し、ミリアの事を冷遇し始める。そんな日々が繰り返されたのち、ついにレーベットはミリアのことを婚約破棄することを決める。もう戻れないところまで来てしまったレーベットは、その後大きな後悔をすることとなるのだった…。

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。

ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。 ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も…… ※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。 また、一応転生者も出ます。

どうしてか、知っていて?

碧水 遥
恋愛
どうして高位貴族令嬢だけが婚約者となるのか……知っていて?

処理中です...