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婚約破棄?その言葉待っていました!
夜会(裏)②
私は少し距離を空けて給仕の後をついて行く。大広間を抜けて廊下を進み、回廊に出た。
右に進めば王宮の庭園に抜けるはず。左に進めば馬車を停めておく馬留があり、さらに進むと王宮の裏手に出ると聞いている。
「ここでお待ちください」
給仕は慌てて来た道を戻って行った。
私は静かになった回廊を見渡す。不自然なくらい人気がない。
……ふむ。
私はくるりと向きを変えて歩き出す。来た道を戻り大広間に向かおうとした。
すると急に後ろから声を掛けられた。
「セレス子爵令嬢、でいらっしゃいますか?」
従者の格好をした若い男性……いや、少年だ。相手は私より年下に見えるし、声に幼さがある。
「……貴方は?」
声がした方向へ身体を半分向けつつ、目端に王宮の使用人の姿を捕らえる。人の目がある場所にいることは、身の安全に繋がる。
「……」
従者の少年が答えないので、私は彼に構わず大広間の方へ歩き出す。すると少年が焦った様に声を掛けた。
「あ、あの、アメリア様が貴方様にお会いしたいと申しております」
私は足を止める。思いがけない名前だった。
「元ドロール男爵家のアメリア様です。貴方様に謝りたいと……」
私は振り返り従者の少年を見る。格好は……板についている。貴族の家の使用人で間違いなさそうだ。
「……貴方のお名前は教えていただけないのですか?」
私は少し優しい声を出した。
「僕はドロール家の縁者の者です。アメリア様には小さい頃お世話になりまして……。今日は主人の供をしておりまして、貴方様をお見かけして……その……」
「……そうでしたか。持ち場を離れたことが分かれば貴方は叱られてしまいます。早く戻った方がいいですよ」
「あの、どうか、アメリア様に謝罪の機会を頂けないでしょうか?」
彼は叱責覚悟でここに来たのだろう。それだけアメリア様を思っているということ。
「貴方はアメリア様のことを案じているのですね。従者の方、私はアメリア様に謝罪を受ける理由がありませんよ」
「えっ?あの、だって、アメリア様のせいで婚約が……」
「アメリア様のせいではありませんよ。婚約は私と元婚約者の間の契約で、アメリア様には関係のないことです」
「でも、貴方はそれで傷付いたのですよね?友人だったアメリア様の裏切りを許せなかったのではないですか?」
世間ではそう噂されていたのかな……?
仮に目の前の少年がアメリア様を思うなら……。
「アメリア様は既に謝罪して下さいました。もしアメリア様が私のことを気にされているとしたら、もう気にする必要はないとお伝え下さい」
「……」
少年は驚いた様な顔をして黙ってしまった。
沈黙の訪れた回廊に、足音が近付いてくる。
「レイ!」
「お兄様」
振り向くと少し離れたところに兄がいた。王太子殿下の近衛騎士の正装が場違いなくらい目立つ。
「すみませんでした。僕はこれで……」
小さく弱々しい声が耳に届く。私が後ろを振り向いた時には、既に従者の少年の背中が見えなかった。
「レイ、大丈夫か?」
兄が私のもとに来て、心配そうに声をかける。
「はい、お兄様。私は大丈夫です」
私は心配かけないように微笑む。兄は職務中に抜けて来てくれたのだろう。
「先程の者は?」
兄の声が一段低く小さくなる。同時に周りを窺っている。
「ドロール家の縁者と名乗っておりました。本当かどうかはわかりませんが、今は放っておいても問題はありません」
私も応じて声量を落とす。誰が聞いているかわからないからだ。
兄がため息を吐き、呆れた様な声で言う。
「……レイ、わざと呼び出されたな?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
お昼投稿ができていなかったので、この後にもう一話投稿します(今日は三話投稿)。
アメリアが謝罪したのは第一話でのことです。
お気に入りやいいね下さった方、いつもありがとうございます。読んで下さる方がいると励みになります(^-^)
拙い文章ですが2人のこれからを見届けてもらえると嬉しいです
右に進めば王宮の庭園に抜けるはず。左に進めば馬車を停めておく馬留があり、さらに進むと王宮の裏手に出ると聞いている。
「ここでお待ちください」
給仕は慌てて来た道を戻って行った。
私は静かになった回廊を見渡す。不自然なくらい人気がない。
……ふむ。
私はくるりと向きを変えて歩き出す。来た道を戻り大広間に向かおうとした。
すると急に後ろから声を掛けられた。
「セレス子爵令嬢、でいらっしゃいますか?」
従者の格好をした若い男性……いや、少年だ。相手は私より年下に見えるし、声に幼さがある。
「……貴方は?」
声がした方向へ身体を半分向けつつ、目端に王宮の使用人の姿を捕らえる。人の目がある場所にいることは、身の安全に繋がる。
「……」
従者の少年が答えないので、私は彼に構わず大広間の方へ歩き出す。すると少年が焦った様に声を掛けた。
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私は振り返り従者の少年を見る。格好は……板についている。貴族の家の使用人で間違いなさそうだ。
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私は少し優しい声を出した。
「僕はドロール家の縁者の者です。アメリア様には小さい頃お世話になりまして……。今日は主人の供をしておりまして、貴方様をお見かけして……その……」
「……そうでしたか。持ち場を離れたことが分かれば貴方は叱られてしまいます。早く戻った方がいいですよ」
「あの、どうか、アメリア様に謝罪の機会を頂けないでしょうか?」
彼は叱責覚悟でここに来たのだろう。それだけアメリア様を思っているということ。
「貴方はアメリア様のことを案じているのですね。従者の方、私はアメリア様に謝罪を受ける理由がありませんよ」
「えっ?あの、だって、アメリア様のせいで婚約が……」
「アメリア様のせいではありませんよ。婚約は私と元婚約者の間の契約で、アメリア様には関係のないことです」
「でも、貴方はそれで傷付いたのですよね?友人だったアメリア様の裏切りを許せなかったのではないですか?」
世間ではそう噂されていたのかな……?
仮に目の前の少年がアメリア様を思うなら……。
「アメリア様は既に謝罪して下さいました。もしアメリア様が私のことを気にされているとしたら、もう気にする必要はないとお伝え下さい」
「……」
少年は驚いた様な顔をして黙ってしまった。
沈黙の訪れた回廊に、足音が近付いてくる。
「レイ!」
「お兄様」
振り向くと少し離れたところに兄がいた。王太子殿下の近衛騎士の正装が場違いなくらい目立つ。
「すみませんでした。僕はこれで……」
小さく弱々しい声が耳に届く。私が後ろを振り向いた時には、既に従者の少年の背中が見えなかった。
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兄が私のもとに来て、心配そうに声をかける。
「はい、お兄様。私は大丈夫です」
私は心配かけないように微笑む。兄は職務中に抜けて来てくれたのだろう。
「先程の者は?」
兄の声が一段低く小さくなる。同時に周りを窺っている。
「ドロール家の縁者と名乗っておりました。本当かどうかはわかりませんが、今は放っておいても問題はありません」
私も応じて声量を落とす。誰が聞いているかわからないからだ。
兄がため息を吐き、呆れた様な声で言う。
「……レイ、わざと呼び出されたな?」
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お読みいただきありがとうございます。
お昼投稿ができていなかったので、この後にもう一話投稿します(今日は三話投稿)。
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拙い文章ですが2人のこれからを見届けてもらえると嬉しいです
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