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第1話 王子リドール
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魔法国家ダムランドは、大陸より遥か北の離島にある小国だ。
島内全域を覆う防護結界で守られており、数百年の間、外界との接触を絶っている。
もっとも、5年前に始まった魔族の侵攻により、ダムランドを除く諸外国は、ほぼ壊滅状態にあった。
ダムランド国王ラウルスは、国祖より連なる15代目の当主で、魔王軍の侵攻に対していち早く結界の強化を進め、国を守った名君である。
その第1王子であるリドールは、ブロンドの髪に王家直系の証である緑眼を持った15才の少年で、この春、王立魔法学校中等部から高等部へと進学することになっている。
王立魔法学校は、国祖によって設立された歴史ある学校で、王都ルグナールの西方約80kmにある精霊の湖のほとりに位置している。
中等部と高等部からなる全寮制の学校で、国内全域から選抜されたエリートたちが集う、魔法使いの育成機関だ。
卒業後は適性に応じて、国防軍か魔法研究院へと振り分けられる。
リドールは短い休暇を利用し、高等部進学の報告も兼ねて、王都ルグナールに帰省していた。
「父上、ただいま戻りました」
リドールは、父ラウルスの執務室で深々と頭を下げた。
「久しいな、リドール。息災か?」
ラウルスは、手にしていた書類を揃え机に置き、正面からリドールを見据えて言った。
「ええ、父上もお変わりなく」
「そう見えるか?」
ラウルスは薄く笑い、続けた。
「リドール、そなたも知っての通り、外界では魔族の脅威が増している。幸い我らがダムランドは防護結界に守られてはいるが、いつ破られるとも分からん。そうなれば、魔族との全面戦争は免れまい。国を挙げて軍備を整えておるところだが、果たして魔族の兵力に耐えうるものか……」
ラウルスは大きく息を吐いた。
「魔法学校を卒業したら、私も軍に加わります。あと3年です、父上。私たち王家の力で、このダムランドを必ずや守り抜きましょう!」
リドールの血気に満ちた若々しい声に、ラウルスは頼もしさと共に、一抹の不安を感じていた。
「リドールよ、確かにそなたの魔法の才には、魔法師団長セシウスでさえも、大きな期待を寄せている」
ラウルスは立ち上がると、窓辺へと歩み寄り言った。
「しかし、だ。魔族は我々人間よりも遥かに強大な魔力を持つという。魔法戦において、我らがどこまで通用するかは未知数なのだ」
リドールは黙って、少し老いた父の背を見つめていた。
ラウルスは振り返ると、息子をしっかりと、しかし温かく見据えて続けた。
「リドールよ、魔法学校で腕を磨くことも大切だが、そなたには次期国王として、民を導く責務がある。願わくは高等部で、そなたが信の置ける未来の将となる人材と、出会えればよいのだがな」
リドールはかすかに首を横に振り、こう答えた。
「父上、私の魔法力は中等部でも群を抜いておりました。王家の血筋を上回る魔法使いなど、現れるはずもないでしょう。しかしご安心ください、父上。このリドール、臣に頼らずとも自身の手で、必ずや魔族どもを蹴散らしてご覧にいれます!」
そう言うとリドールは一礼をし、執務室を後にした。ラウルスはため息をつき、呟いた。
「相変わらずの強気よな、リドール。しかし私には魔族が、そなたが考えるほど安易に退けられるとは思えんのだ。結界の維持が、ダムランドの生命線となろう」
島内全域を覆う防護結界で守られており、数百年の間、外界との接触を絶っている。
もっとも、5年前に始まった魔族の侵攻により、ダムランドを除く諸外国は、ほぼ壊滅状態にあった。
ダムランド国王ラウルスは、国祖より連なる15代目の当主で、魔王軍の侵攻に対していち早く結界の強化を進め、国を守った名君である。
その第1王子であるリドールは、ブロンドの髪に王家直系の証である緑眼を持った15才の少年で、この春、王立魔法学校中等部から高等部へと進学することになっている。
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中等部と高等部からなる全寮制の学校で、国内全域から選抜されたエリートたちが集う、魔法使いの育成機関だ。
卒業後は適性に応じて、国防軍か魔法研究院へと振り分けられる。
リドールは短い休暇を利用し、高等部進学の報告も兼ねて、王都ルグナールに帰省していた。
「父上、ただいま戻りました」
リドールは、父ラウルスの執務室で深々と頭を下げた。
「久しいな、リドール。息災か?」
ラウルスは、手にしていた書類を揃え机に置き、正面からリドールを見据えて言った。
「ええ、父上もお変わりなく」
「そう見えるか?」
ラウルスは薄く笑い、続けた。
「リドール、そなたも知っての通り、外界では魔族の脅威が増している。幸い我らがダムランドは防護結界に守られてはいるが、いつ破られるとも分からん。そうなれば、魔族との全面戦争は免れまい。国を挙げて軍備を整えておるところだが、果たして魔族の兵力に耐えうるものか……」
ラウルスは大きく息を吐いた。
「魔法学校を卒業したら、私も軍に加わります。あと3年です、父上。私たち王家の力で、このダムランドを必ずや守り抜きましょう!」
リドールの血気に満ちた若々しい声に、ラウルスは頼もしさと共に、一抹の不安を感じていた。
「リドールよ、確かにそなたの魔法の才には、魔法師団長セシウスでさえも、大きな期待を寄せている」
ラウルスは立ち上がると、窓辺へと歩み寄り言った。
「しかし、だ。魔族は我々人間よりも遥かに強大な魔力を持つという。魔法戦において、我らがどこまで通用するかは未知数なのだ」
リドールは黙って、少し老いた父の背を見つめていた。
ラウルスは振り返ると、息子をしっかりと、しかし温かく見据えて続けた。
「リドールよ、魔法学校で腕を磨くことも大切だが、そなたには次期国王として、民を導く責務がある。願わくは高等部で、そなたが信の置ける未来の将となる人材と、出会えればよいのだがな」
リドールはかすかに首を横に振り、こう答えた。
「父上、私の魔法力は中等部でも群を抜いておりました。王家の血筋を上回る魔法使いなど、現れるはずもないでしょう。しかしご安心ください、父上。このリドール、臣に頼らずとも自身の手で、必ずや魔族どもを蹴散らしてご覧にいれます!」
そう言うとリドールは一礼をし、執務室を後にした。ラウルスはため息をつき、呟いた。
「相変わらずの強気よな、リドール。しかし私には魔族が、そなたが考えるほど安易に退けられるとは思えんのだ。結界の維持が、ダムランドの生命線となろう」
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