Blue Earth

noiz

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番外編

分け合う温度*

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「うっ…ん……」

何度目かの行為だ。ソウの身体に触れること。熱を高めて吐き出すこと。

「はぁっ…はッ…あ…」

中へ挿れた指を掻き回すたび、眉根を寄せて、鼻にかかった声を漏らす。肌へそっと触れるたび、ソウは身を震わせて背を逸らす。

「ソウ、大丈夫…?」
「んッ…ハ、ル…」

切なそうな顔をしているソウが薄く目を開けて、訴えるように僕を見上げた。

「前、から…言おうと、思ってたん、だけど…」
「うん?」
「お前の、それ…」
「それ?」
「優しすぎるんだ…」
「え?」

ソウは目を逸らして、それ以上は言いたくないって様子だった。でも僕には言葉の意図がわからない。困惑して手を止めてしまっていると、ソウは焦れたように言った。

「そういうの、された、こと、ない、から…」

浅い息で、時折身体を震わせて熱の波をやり過しながらソウは続ける。

「つらい…優しく、しないでくれ…」
「ソウ、でも…僕はソウを大事にしたいんだ」
「わかってる…そうじゃなくて…ん…はあっ…」

堪らなくなったように、ソウが僕の指を締め付けながら吐息を漏らす。そして、僕を睨んだ。

「焦らすなって、言ってるんだ…」




 + + +




「うっあっ…あぁぁっ…はぁっ…」

解すのもそこそこにソウの中に入って、強く腰を打ちつけた。ソウのせいだ。あんな、煽るようなことを、言うから。

「ふ、あっ! あぁっ…んんっ…はぁ、あっ」
「ソウ…」
「やっあぁっ…もっと…ハルッ…あぁっあっ…」
「すご…ソウ、…んっ…はぁ…本当は、こうされたかったの…?」
「うっあぁ…ッ! い、やだ…ハル…言わないで…くれ…」
「だって…すごい良さそうだよ…すごく…締め付けてくるし」
「んんっ…ふ、んっ…はぁっ…」
「そんなにイイ?」

返事を拒むソウは、僕の首にしがみ付いて力無く首を振る。だけど腰が揺れてる。いつもよりずっと感じてるみたいだった。

壊れ物に触るみたいなやり方で、傷の多いその肌へ触れてきたと思う。奴隷みたいな抱かれ方をしてきたソウだから。あんな偽者の父親を思い出して欲しくなかったから。だけど、知ってしまっている快楽を身体は忘れられないらしい。激しく乱暴に突けば突くほど、ソウは甘く啼いた。ソウの好きな所を、ごりごりと強く先端で擦り付けて、引いた腰を勢い良く奥まで貫いて、噛み付くようなキスをした。ソウの性器を指先で擦って、その熱を扱いた。溢れる粘着質な液が、その滑りを良くする。

「あっイ、ク…あっあぁっ…ハルッ…!」
「いいよ…イって…」
「ふ、あ、あぁぁっ…あぁっ…!」
「ん…」

強い締め付けをやり過して、僕は絶頂を迎えたばかりでヒクつくソウの中をすぐに刺激した。理性を捨てたみたいに、休ませる余裕もなく腰を振った。

「あっ!あぁっあっ!や、だッ…ハル!ハル…あっ…待っ…!」
「…待てない…」
「うっん…んんっ…はぁっあぁぁっ…!」

拒もうとするソウの腕を抑え付けて、敏感に反応する熱い場所を容赦なく刺激すれば、泣き喚くようにソウがむずがる。いつも理性的でクールなソウが、こんな風に自分の腕の中で乱れるなんて、まるで幻覚でも見てるみたいだ。

「あっうあぁ…! あぁ…ん…あぁっあっあっ…!」

脚を抱え上げて上からソウの限界まで奥へ突き刺すと、扇情的な悲鳴が上がった。

「やあぁぁッ! あ、あ、奥、きて、る…!」
「辛い…?」
「んぁッ! や、ダメ…! 抜くな、そこ…あッおかしくな、る…!」
「ソウッ…!」
「う、あ、あぁぁッ!」

ソウの性器を強く擦り上げて、先端を引っ掻く。そうすると、背を逸らして啼くソウが中を強く締め付けた。

「やっあぁっ…ま、た…あっ…」
「いいよ…一緒にいこう…ソウ」
「ハ、ルッ…! んッあっあぁっ…あぁぁ!」

両手をシーツに抑え付けて、激しい水音を立てながら中を突くと、強い刺激に耐え切れなくなったソウが二度目の精を吐き出した。震える性器から痙攣的に白濁が溢れ出す様は、ひどく卑猥だった。僕も白くなる意識のなか、ソウの一番奥へ性器を擦り付けて、スキンへ吐き出した。半開きの唇で吐息を漏らし、焦点の合わない瞳で脱力するソウが、あんまり綺麗で愛しかった。腕の中に抱き締めて、隣で目を閉じる。ソウと一緒に、呼吸のペースを取り戻す。ソウが眠るまで、こうしていたい。

「ソウ…ごめんね、無理させた…?」

ソウはそっと首を振る。僕の胸に顔を埋めて。

「俺が言ったんだし…良かった…」
「ほんと?良かった…僕だけ暴走してたらどうしようかと思った」

そう言って笑うと、ソウは僕の背中に腕を回して抱き締めてきた。

「ソウ?」
「浅ましい奴だって…思わなかったか…?」
「え!? まさか! むしろその、よかったんなら嬉しいよ」
「……良かった」

ぽつりと呟いたソウが、本当に安堵してるみたいで、僕はなんだか遣る瀬無くなった。あの男からされていた色んなことのせいで、ソウはこういう体になったんだと思うと、辛い。嫌悪する男のやり方を身体が欲しがるなんて、ソウは凄く嫌だろう。なんでソウがこんな思いをしなきゃならないんだろう。

「ソウとするの、すごく気持ちいいよ。ソウが大好きだし、ソウと繋がれるし…ソウの身体がどんなでもいいんだ。だけどソウ、僕を欲しがってね」
「ハル…?」
「僕のことを欲しがって…」

あの男の、影にはなりたくない。

「ハル…俺もハルが好きだよ…優しいのも好きなんだ…でも、」
「わかってるよ。ソウが悪いんじゃない。気にしなくていいんだ」

顔を埋めているソウの顎を捉えて上げさせると、現れた瞳に微笑いかけて、甘いキスをする。ソウの全部を溶かすような、優しいキスを繰り返す。
しあわせだと思ってくれたらいい。僕に抱かれたいと思って欲しい。快楽も痛みも遣る瀬無さも、分け合えたらいい。

「ハルに逢えて良かった」

ありがとう、と。囁くように呟いて、ソウは微睡みの中に落ちた。僕はソウの身体を抱き締める。やさしい夢が見れるように、一人じゃない事を忘れないように。


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