dead or A life

アリエッティ

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新しくもない日常

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 昨日ゾンビに噛まれました、会社員の春彦です。
初めは少しビビったけど、別に普通に生活してます。

 『春彦、お前顔色悪く無ぇか?』

 「そうか? 気のせいだろ。」
業務は殆どリモートワークなので、然程迷惑は掛からない。顔色は確かに、明確に悪いけど。

「...さて、漸く自由か。
今日は何を食べようかねぇ..」
具合は常に悪い、嫌に喉が渇くし肉が無性に食べたくなる。リモート業務を終えたこの時間が、いつも少し苦しい時間だ。腹が減ってはといったりするがまさにその通りだ。

「..イカ刺しでいいか。」
しかし大いなる利点も存在する。
慢性的な患っていた肩凝りや節々の痛みが完全に消えてくれた、お陰で身体がかなり動かしやすい。

それと...「シャクッ!」

「上手い..!!」
野菜がかなり味覚に刺さる。
常に具合が悪いので、さっぱりした食物が驚く程の心地よい栄養源に昇華されるのだ。

「漬物が相当くるな。」
死んでから、お通しが主食となった。

「寝るまで少し時間あるな、映画でも見るか。」
最近は便利な時代だ、好きなときに好きな場所で映画が観れる。サブスクは偉大な発明である。

「余り遅くなると朝に響くかもな..」
寝付きはかなり悪い。しかし驚きなのが、睡眠薬はちゃんと効く。脳の神経に働きかけ疲れさせる作用からなのか薬の効き目に即効性がある。

「これでも観るか」
前までは、映画で泣くなど考えられなかった。
しかし今は酷く弱い、B級のゾンビ映画ですら泣いてしまっていたりする。ニュアンスを変えてエロ動画を見てみたりすると、必要以上に興奮する。やはり生に執着があるのだろうか? 
生っていうのはそういう意味じゃない。

「はぁ..。」
オレが何故ゾンビになったのか。
人間のときの最後の記憶は、今いるこの部屋で友人と恋人の三人で飲み会をしていた事だった。

「あかり..」
立花あかり。結構仲はいい筈だったが、正直今は自信が無い。酒が切れ、オレと友人は軽く酔っていた為あかりが酒を買い足しに外へ出掛けた。するとそこにゾンビが現れ、あかりを襲った。あかりは助けを求めたが、部屋に辿り着く頃にはもう息の根を止められていた。あかりを殺したゾンビはどうにか友人と二人で倒せたが、今度はあかりがゾンビとなりオレたちを襲い始めた。

「だけど..なんでだろうな...?」
あかりはオレでは無く、積極的に友人を襲い始めた。
友人は苦しんで奮闘していたが、オレは立ち尽くし衝撃を受けた。あかりはこちらに一切見向きもせずに、一心不乱に友人に噛み付いていた。

「アタシが死んだら、巻き添えにするからね?」

あの言葉はウソだったのか。
..いや、初めからオレに向けられた言葉では無かった

「だからだろうな、あいつが一緒に死んだのは。」
友人はあかりに抱きつき、灯油をかぶって自ら諸共身体を焼いた。わざわざ外に出て、二人っきりで。

「もう忘れよう..。」
窓から見える火を見つめ、オレは自分の記憶を殺した

「寝るか」
明日は何を食べようか....イカ刺しでいいか。

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