不死の妖

アリエッティ

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無趣味の魂

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 「結局小屋まで戻ってきちまったが、どうするよ?
また上に登るにしても大半が傷付いちまってるし..」

 疎らに風に飛ばされた隊士達もお互いに探り合い、殆どが小屋の中で落ち合う事が出来た。しかし皆傷だらけで、直ぐに戦へ戻る事は難しい状況だ。

「..取り敢えず、傷の手当てをしよう。」「..はい!」
医療班は結託し隊士達の傷を見る、大概は身体は傷付いているが大事には至らず手当てをして少し休めば治るようなものだ。

「交代お願いします!」「おう!」
軽いといえど一応は怪我人の為、万全でない状態の戦は出来ず小屋の外で代り番で隊士が見張りを施す。

「君たちも行くのかい?」
負傷した隊士の脚に包帯を巻き付けながら問う。

「はい、直ぐに追いかけます。
医療班の皆さんは間違いない侍ですが、戦は僕たちの生業ですから!」

「…そうか、無理をせずに。」
医療班にも刀は有るが、余り前線には出ない。医療班が負傷をすれば傷を治すものがいなくなるからだ。

「これで最後..かな?
...太一くんも手伝いにいってあげな、僕はもう少しここで休んでいくよ。他の皆も連れてさ」

「……はい、わかりました。」
素直に言う事を聞く理由は、なんとなく察しているからだ。身体の不調が周囲に迷惑を被る、その危険性を考慮して他の皆を外に出しておきたいのだと。

「班長!」「..ん、どうした?」

「……元気でいて下さいね。」
それだけ言い残し、班員を連れ扉を閉めた

「....元気でいてくれ、か..」
我慢していた痛みと苦しみが一気に溢れる、気を抜けば口からは吐血をしていた。班長の右手には、執刀用の小さな刃物。痛みを抑えるように強く握られている

 「おい、いいのか?」 「何がだよ?」

「こんな事してていいのかよ?
隊長とか副隊長はまだ戦ってんだろ、俺たちは何でそんな時に小屋の見張りなんてしてんだ」

「まだ全快じゃねぇからだよ。怪我して応戦でも向かってみろ、足手まといどころか迷惑かけるぜ」
応戦したいのは山々だが、怪我をしてる以上安易に妖と対峙は出来ない。唯の竜巻でこの程度だ、まとも相手をしたら一溜まりも無いだろう。

「まぁでもその点ここら辺は上の方ほど活発じゃ..」

「うわぁぁっ!!」「なんだ!?」
下り道の近くを見張る隊士が悲鳴を上げ登ってくる。

「どうした!?」

「登ってくるんです〝アイツら〟がっ!!」

「アイツら?」
悲鳴に混じり鼓膜に響く
重たく大きな、以前に聞いた音。

「……おい、嘘だろう?」
しかし以前とは比べ物にならない数のその音は、静かな山小屋の周りに絶望を囲んだ。


『ズル..ズル...ここにもあったか、死体を見つけた。』
滝の中、緑の死骸を引き摺り背負う。

『山の中ってのは何処でもあるな、誰のもんでも死体死体。代わり映えし無ぇが、まぁ仕方ねぇ。』
水に濡れても構わない、何も感じず与えない

『……そういやそろそろあそこにも一ついるな。山小屋の中に一人、糧になりそうな奴がよ..』


「..こいつらどうする?」
鬼の居ぬ間に...とは上手くいかなそうだ。


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